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解説記事2015年08月10日 【SCOPE】 マイナンバーを含む個人情報、行政機関はどこまで把握可能か(2015年8月10日号・№606)

他の行政機関が照会できるケースは限定
マイナンバーを含む個人情報、行政機関はどこまで把握可能か

 マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の施行が迫る中、企業経営者や個人事業主等が懸念するのは、マイナンバーを含む個人情報(特定個人情報)がどの程度、行政機関に把握されるのかといった点であろう。しかし、行政機関等がマイナンバー法施行後に稼動する情報提供ネットワークシステムを通じて“税と社会保障”に関する情報をすべて照会できるわけではない。照会できる情報はマイナンバー法の別表2に規定される情報提供のみに限られているからだ。例えば、市町村が国税に関する情報を同システムにより得ることはマイナンバー法上できないこととされている。

システムで名寄せ・突合されるのではとの懸念
 マイナンバー(個人番号)が10月5日以降、国民に付与されることになる。マイナンバーが付与されることにより企業経営者や個人事業主等が懸念しているのは、マイナンバーが各行政機関で名寄せ・突合され、個人情報が丸裸になってしまうのではないかという点であろう。マイナンバーを含む個人情報(特定個人情報)は、マイナンバー法施行後に稼動される情報提供ネットワークシステムを利用して税や社会保障制度の異なる行政分野における情報を共有し、各行政機関で利用されることになるからだ。
 情報提供ネットワークシステムとは、行政機関や地方公共団体等への特定個人情報の提供を許可及び管理するシステムのこと。他の行政機関等が保有する個人情報が必要な場合には、同システムを利用して、情報提供の要請や情報提供を行うこととなる。民間事業者等は利用できない。なお、特定個人情報は情報提供ネットワークで一元管理されるわけではなく、これまでと同様、各行政機関等がそれぞれ分散して管理するほか、特定個人情報を符号に置き換えてやりとりするなど、安全措置が講じられている。

マイナンバー法の別表2に掲げる情報提供に限定
 しかし、むやみやたらに各行政機関が特定個人情報を照会することはできない。マイナンバー法上は、別表2に掲げる情報提供のみに限られているからだ。別表2では、第1欄に情報照会者(情報提供の求めができる機関)、第2欄に特定個人情報の提供を必要とする事務、第3欄に当該特定個人情報を提供する情報提供者、第4欄に提供する特定個人情報をそれぞれ規定するものとなっている(参照)。

 別表2には規定されていないため、市町村が国税に関する情報を情報提供ネットワークシステムにより得ることはできないこととされている。税務情報に関していえば、同システムを利用できるのは地方税のみとなっており、国税と地方税を隔たる壁は依然として高いといえる。
 ただ、別表2に限定されるといっても、別表2は現在も120番まであり、将来的には追加される可能性もある。また、例えば、厚生労働省(厚生労働大臣)が厚生年金関係の事務で市町村から地方税の情報を得ることはできるとされており、厚生年金への未加入企業があぶり出される可能性などもありそうだ。

確定申告書の地方公共団体への提供は?
 現在、地方税法に基づく国税連携により、市町村は所得税又は法人税に関する書類の供覧等が可能となっている(地方税法325条等)。この取扱いについては、マイナンバー法導入前から存在する制度であるため、確定申告書等にマイナンバーが付された後も引き続き特定個人情報の提供は可能となっている(マイナンバー法19条8号)。この点は現行実務と変更はない。

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