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解説記事2015年09月14日 【ニュース特集】 BEPS報告書の方向性(2015年9月14日号・№610)

ニュース特集
3年にわたる議論に終止符、10月のG20で報告へ
BEPS報告書の方向性

 2012年6月から3年以上にわたって議論されてきた「BEPSプロジェクト」が大きな節目を迎える。OECDは9月中に全行動計画に係る最終報告書をまとめ、10月8日に開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議で報告する予定だ。
 ただ、当該報告書をもって、すべての行動計画について明確な勧告が示されるということにはならないだろう。結論が示されなかったり、先送りされたりしているものも多いと予想され、これは日本の税制改正のスケジュールにも影響を与えることなる。本特集では、各行動計画に関する報告書の内容がどのようなものになるのか、どこよりも早くお伝えする。

28年度税制改正での実施は行動計画13「移転価格文書化」のみ
 今月9月を期限とする報告書に盛り込まれる各行動計画の内容の方向性を示したのが次頁のだ。この表を見れば分かるように、当該報告書をもって、すべての行動計画について明確な勧告が示されるわけではない。

 その中で、国際協調の観点からも平成28年度税制改正での実現が確実とみられるのが、行動計画13「移転価格文書化」である。行動計画13は、多国籍企業に対する適正な移転価格課税の実現のため、「各国共通の様式」に従って、移転価格関連の情報(各国における利益、納税額、経済活動の概要等)を税務当局に報告することを義務付けるものであり、(国別報告については)連結ベースの年間売上額が「750百万ユーロ」以上の企業グループを対象に、2016年1月1日以後開始事業年度分の報告書から提出が義務付けられることになる(ただし、子会社等の情報を集めるのに時間がかかることに配慮し、1年間の提出猶予が認められている。例えば3月決算法人であれば、2017年3月決算に係る報告書は2018年3月31日までに提出すればよいことになる)。
 行動計画13のうち国別報告については、去る6月8日に“モデル国内立法案”が示されたところだが(本誌598号11頁参照)、基本的には昨年9月の勧告、今年2月のガイダンスに書いてある内容を“条文化”したものであり、目新しいものはない。一方、マスターファイルについては、改正に向け検討すべき課題が少なくない。例えば、マスターファイルへの記載が求められる無形資産の定義は、行動計画8中間報告(2014年9月)では明確化されたものの、日本の現行税法では極めて曖昧な状態にあり、28年度税制改正における課題の1つとなりそうだ。

CFC税制は「ベストプラクティス」に留まる
 一方、企業や実務家の関心が高いCFC税制(行動計画3)については、各国のCFC税制を拘束する「ミニマム・スタンダード」ではなく、あくまで「ベストプラクティス」にとどまる模様。ここでいう「ベストプラクティス」とは、CFC税制の未導入国も念頭に置いた「制度設計の提案」であり、より拘束性・規範性の高い「ミニマム・スタンダード」とは異なる。既に各国が既に様々なCFC税制を運用する中、「統一基準」を作るのは難しかったということだろう。ベストプラクティスの中には、ドイツの現行税制が典型例であるインカム・アプローチや米国が主張する超過利得アプローチがオプションとして提示されることになりそうだ。
 行動計画13で「ミニマム・スタンダード」が示されなかった結果、日本におけるCFC税制の抜本的な見直しは必然的に平成29年度改正以降となる。具体的な改正の中身は今後の議論を待つ必要があるが、日本の税務当局は「インカム・アプローチ」を念頭に置いているものとみられる。インカム・アプローチは企業に「所得の実質分析」という事務負担をもたらす一方、CFC税制の対象を特定の所得に限定(partial inclusion)というメリットもある。業種によっては日本のCFC税制に不満を抱く企業もある中、今後大きな議論を呼ぶことが予想される。

所得相応性基準の導入も29年度税制改正以降
 このほか、行動計画8では、いわゆる所得相応性基準(42頁参照)をOECD移転価格ガイドライン第6章の一部として採用することが固まっているが、OECDが7月に開催した公聴会では、所得相応性基準について「施行に係る作業の先送り」が予告されている。これは、何が評価困難な無形資産に該当するのか、また、各国で解釈に幅が生じ二重課税が生じるのではないかといった企業側の懸念に応えたものと言える。財務省は将来的な導入を検討している模様だが、このようなOECDの動きを踏まえ、国内での法制化も慎重に進められるものとみられ、実現は平成29年度税制改正以降となる。
 また、BEPS行動計画10の検討課題とされていた利益分割法(PS法)の適用拡大についても、PS法の核心部分である「内国法人と国外関連者の合算利益の分割」における配分キーの選択を巡り、先進国側から「BEPSプロジェクトを契機に途上国がPS法の適用を安易に拡大(税収が上がるように分割キーを恣意的に選択)するのではないか」との懸念が示され、途上国との溝が埋まらないまま、所得相応性基準と同様、来年以降に結論が先送りされている(本誌606号8頁参照)。したがって、PS法に関する国内での法制化については、当面様子見の状況が続くだろう。
 このほか、行動計画4では、固定比率ルールを第1ルール、グループ・ワイド・ルールを第2ルールとする方式を採用したうえで、固定比率を「10~30%」の間の数字とすることが予想されている(本誌609号8頁参照)。こちらも平成29年度以降の税制改正での実施が検討されることになろう。

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