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解説記事2015年11月30日 【第2特集】 実務家のための財産評価の審理上の留意点に係るQ&A(2015年11月30日号・№620)

第2特集
評価会社が課税時期前3年以内に取得した貸家の評価は?
実務家のための財産評価の審理上の留意点に係るQ&A

 本特集は、税理士等の実務家のための財産評価の審理上の留意点について、課税当局の資料等を元にQ&A形式で紹介するものです。「評価会社が課税時期前3年以内に取得した貸家及び貸家建付地の評価」「同族会社に対して債務免除があった場合の株式の価額の増加額の計算(類似業種比準価額)」など、4問を取り上げています。

評価会社が課税時期前3年以内に取得した貸家及び貸家建付地の評価
 甲社(評価会社)は、課税時期前3年以内に取得した建物及びその敷地を所有していますが、当該建物は、その取得後、賃貸の用に供しています。甲社株式を純資産価額方式で評価する場合、当該貸家及び貸家建付地は、通常の取引価額で評価することとなりますが、具体的にはどのように評価しますか。
 甲社株式の評価に当たって、純資産価額に算入する課税時期前3年以内に取得した貸家及び貸家建付地の価額は、その貸家及び貸家建付地が自用の建物及び自用地であるとした場合の課税時期における通常の取引価額を算定し、次にその価額を評基通93(貸家の評価)及び評基通26(貸家建付地の評価)に定める評価方法に準じて評価した価額によって差し支えありません。
【理由】  評基通185かっこ書きにおいて課税時期前3年以内に取得した土地(借地権)等及び家屋等の価額は、課税時期における通常の取引価額とすることが定められていますが、これは、課税時期の直前に取得し、「時価」が明らかになっている土地等及び家屋等について、わざわざ路線価等によって評価替えを行うことは、「時価」の算定上、適切でないと考えられること等によるものです。
 したがって、Qのように、土地、建物の取得(新築)後、建物を賃貸の用に供したため、取得時の利用区分(自用の建物、自用地)と課税時期の利用区分(貸家、貸家建付地)が異なることとなり、その取得価額等から、課税時期における通常の取引価額を算定することが困難である貸家及び貸家建付地の価額については、まず、その貸家及び貸家建付地が自用の建物及び自用地であるとした場合の課税時期における通常の取引価額を求め、次にその価額を評基通93(貸家の評価)及び評基通26(貸家建付地の評価)の定めに準じて評価して差し支えないと考えます。
【関係法令通達等】 評基通185

同族会社に対して債務免除があった場合の株式の価額の増加額の計算(類似業種比準価額)
 同族会社に対して債務免除があったことにより株式の価額が増加した場合には、その株主が株式の価額のうちその増加した部分に相当する金額を、債務免除者から贈与により取得したものとみなされて贈与税が課税されます。
 この場合、類似業種比準価額の株式の価額の増加額については、どのように計算するのですか。
 類似業種比準方式による株式の価額の増加部分の価額は、①直前期末において債務免除があったものと仮定して計算した類似業種比準価額から、②直前期末において債務免除がなかったものとして計算した類似業種比準価額を控除した金額によることになります。
 なお、直前期末において債務免除があったものとして仮定した場合の類似業種比準価額計算上の1株当たりの配当金額((B))、1株当たりの利益金額((C))及び1株当たりの純資産価額((D))は、次により計算するのが妥当となります。
<1株当たりの配当金額((B))及び1株当たりの利益金額((C))の金額>  直前期末において債務免除がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上の金額に相当する金額によります。
<1株当たりの純資産価額((D))の金額>  直前期末において債務免除がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上の(D)の金額の計算の基とした純資産価額に債務免除額(その債務免除について課されるべき法人税等の額を控除した金額)を加算した金額を直前期末現在の発行株式数で除して計算した1株当たりの金額によります。


船舶の評価
 甲社(水運業)は、船舶(タンカー)を所有していますが、甲社株式を純資産価額方式で評価する場合、当該船舶はどのように評価するのですか。
 船舶の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。
 なお、売買実例価額については、納税者等における把握が比較的容易である業者等への売却価額に相当する金額(売り急ぎ等の特殊な事情がある場合を除く。)により評価して差し支えありません。
《参考》平成24年7月24日裁決  請求人が帳簿価額を基とする評価方法は、相続税法第22条及び評価通達136のただし書による原価法の趣旨に沿うものであることから、帳簿価額を基として評価すべきであると主張したのに対し、本件船舶の評価については、売買実例価額とすべき事例がないものの、本件相続開始日における船舶評価を行っていたことから、当該評価額が評価通達136にいう精通者意見であると認められ、そうすると本件船舶は、合理性のある精通者意見が明らかであることから、当該精通者意見価格を基に評価することが相当である。
 したがって、請求人の主張する評価通達136ただし書による原価法により評価することはできず、加えて帳簿価額を基に船舶の評価ができる場合にも該当しないというべきである。
【関係法令通達等】 評基通136

赤道が存する宅地の評価
 右記のように相続財産である宅地の中央部に赤道(丙:国有地)が存する場合、当該宅地はどのように評価すべきですか。
 なお、甲土地、乙土地及び丙土地は、一体として自宅の敷地の用に供されています。

 赤道は、その所有権が国に帰属するものですが、自宅の敷地として赤道を含めて一体利用していると認められることから、赤道を含めたところで一画地として評価し、赤道の払下費用相当額を控除して評価します。
 なお、当該払下費用相当額は、原則として、相続人等が払下げ申請を行った場合に支払うこととなる金額としますが、その金額が判明しない場合には、次の算式により算定した金額を控除しても差し支えないものとされています。
1㎡当たり当該宅地の相続税評価×(1-借地権割合)×需給修正率(0.5)×当該宅地に存する赤道の面積
【理由】 1 設例の場合、宅地の中央部に赤道と呼ばれる法定外公共用財産が存しており、同財産の所有者は国ですが、自宅の敷地として赤道を含めて一体利用していることから、相続税の評価に当たっては一体として評価するのが相当と認められます。
  このような土地の売却等に当たっては、本件宅地の所有者が、実際に赤道に係る国の所有権を消滅させるために赤道の払下げを受ける場合もありますが、赤道が存するままの状態でその土地を譲渡した場合には、その赤道が存しないとした場合における価額より低い価額でしか譲渡できないことが通常であると認められます。
  そこで、赤道が存する宅地の価額は、その宅地を自用地として一体評価した価額から、完全な所有権とするための費用を控除した価額、すなわち、赤道の払下げに要する金額に相当する額を控除した価額によって評価するのが相当と考えられます。
  このような考え方は、あたかも無道路地について、通路開設費用相当額を控除するのと同様であり、合理的な手法であると認められます。
2 ところで、赤道の払下げに要する払下価格は、実際に払下げの申請を行わないと判明しないものである。
  しかし、当該払下価格は、一般的に国有財産評価基準に従って算定することとされており、これによれば、評価対象土地(赤道)の計算方法は、下記の算式により数量単位当たりの評定価格を求め、これに評価対象土地の面積を乗じて求めることとされています。
数量単位当たりの評定価格=取引事例価格を基とした価格×(1-借地権割合)×需給修正率(0.5)
 そして、上記算式における「取引事例価格」とは、評価対象地を含めて一体利用することが適当と認められる画地における取引事例価格(当該一体利用の売却価額)をいいますが、当該価格が調査確認されていないときには、当該一体利用地についての財産評価基本通達に基づく価額を用いることとされており、「借地権割合」についても財産評価基本通達に基づく割合によることとされています。
  また、需給修正率については、私道、高圧線下地又は崖地以外の場合は一律0.5とされています。
  これらのことからすれば、一体評価した宅地の評価額から控除すべき赤道の払下げに要する金額については、次の算式により求めた金額として差し支えないものと考えられます。
1㎡当たり当該宅地の相続税評価×(1一借地権割合)×需給修正率(0.5)×当該宅地に存する赤道の面積
3 なお、上記取扱いは、赤道を含めて土地を一体利用しているという現況を考慮してのものであり、赤道を挟んだ双方の土地が独立して利用され、また、赤道の払下げができる状況等になければ、原則どおり、双方の土地をそれぞれ別個の評価単位として評価することに留意します。

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