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コラム2016年01月25日 【編集部レポート】 会計事務所のための平成27年分所得税確定申告のチェックポイント(2016年1月25日号・№627)

会計事務所のための平成27年分所得税確定申告のチェックポイント
 平成27年分所得税の確定申告が2月16日からスタートする。平成27年度税制改正では、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等が創設されているほか、従来の財産債務明細書が新たに財産債務調書に変更されるなど、重要な改正が行われている。平成27年分の所得税の確定申告から適用されるチェックすべき改正事項の概要を紹介する。

絶対注意!! 平成27年分所得税の改正事項
▶金融・証券税制 
配当所得(所法24、25) ① 配当等の範囲に、投資法人が利益を超えて投資主に分配する金額のうち、その利益を超えた額が投資法人の計算に関する規則に規定する一時差異等調整引当額の増加額に相当する金額と同額であるものが追加された(所法24①等)。
② 配当等とみなす金額について、配当等が生ずる基因となる自己株式の取得事由から株式の併合に反対する株主の買取請求に基づくものが除外された(所令61①九)。
 上記①の改正は、平成27年4月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用され(改正法附則4等)、上記②の改正は、会社法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年5月1日)以後に生ずる事由について適用される(改正所令附則5)。
特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例(措法41の19)  適用対象となる特定新規株式の範囲に、国家戦略特別区域法に規定する一定の株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(平成27年9月1日)から平成30年3月31日までの間に発行されるものが加えられた(措法41の19①四)。

▶住宅・土地税制
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(措法41)等  以下の措置の適用期限(平成29年12月31日)が平成31年6月30日まで1年6月延長された(措法41①等)。
① 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
② 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
③ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
④ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
⑤ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
⑥ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得
 税額の特別控除の控除額に係る特例
大深度地下の公共的使用に関する特別措置法関係  大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の規定により大深度地下の使用の認可を受けた事業と一体的に施行される事業として当該認可を受けた事業に係る事業計画書に記載されたものにより設置される施設又は工作物のうち一定のものの全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定がされた場合において、その設定の対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の2分の1に相当する金額にその土地における地表から大深度までの距離のうちに借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さから当該大深度までの距離の占める割合を乗じて計算した金額の10分の5に相当する金額を超えるときは、その設定は資産の譲渡とみなされる行為に該当し、その設定の対価に係る所得を譲渡所得として課税することとされた(所令79①三)。
 この改正は、平成27年4月1日以後に行う借地権の設定について適用される(改正所令附則6)。
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の2)  適用対象に、国家戦略特別区域法の認定区域計画に定められている特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業(これらの事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に特に資する一定のものに限る。)を行う者に対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものが加えられた(措法31の2②八の二)。
 この改正は、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(平成27年9月1日)以後に行う優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡について適用される(改正法附則67)。
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除(1,500万円特別控除)(措法34の2)  特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限が平成29年12月31日まで3年延長された(措法34の2②三)。

▶国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等
国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等(所法60の2等) (1)特例の概要(所法60の2、所令170)
 国外転出(国内に住所及び居所を有しないことをいう。)をする居住者が、所得税法に規定する有価証券若しくは匿名組合契約の出資の持分(以下「有価証券等」という。)を有する場合又は決済していないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日取引(以下「未決済デリバティブ取引等」という。)に係る契約を締結している場合には、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、当該国外転出の時に、次の①又は②の場合に応じそれぞれ次の①又は②に定める金額により当該有価証券等の譲渡又は当該未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなす。
① 当該国外転出の日の属する年分の確定申告書の提出時までに納税管理人の届出をした場合、納税管理人の届出をしないで当該国外転出をした日以後に当該年分の確定申告書を提出する場合又は当該年分の所得税につき決定がされる場合には、当該国外転出の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金額
② 上記①に掲げる場合以外の場合には、当該国外転出の予定日の3月前の日における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金額
(2)特例の対象者(所法60の2⑤)
 本特例は、次の①及び②に掲げる要件を満たす居住者について適用する。
① 上記(1)①又は②の場合に応じそれぞれ上記(1)①又は②に定める金額の合計額が1億円以上である者
② 原則として、国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年超である者
(3)国外転出後5年を経過する日までに帰国等をした場合の取扱い(所法60の2⑥、153の2①)
 本特例の適用を受けるべき者が、その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国等をした場合において、その者が当該国外転出の時において有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済デリバティブ取引等で当該国外転出の時以後引き続き有しているもの又は決済をしていないものについては、上記(1)による譲渡又は決済がなかったものとすることができる。ただし、当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る所得の計算につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく当該所得については、この限りでない。
 この取扱いは、帰国等の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより適用を受けることができる。
(4)納税猶予(所法137の2、所令266の2)
① 国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は契約を締結している未決済デリバティブ取引等につき本特例の適用を受けたものが、当該国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をし、かつ、一定の事項を記載した書類を添付した場合には、当該国外転出の日の属する年分の所得税のうち本特例により当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係るものについては、当該国外転出の日から5年を経過する日(同日前に帰国等をする場合には、同日とその者の帰国等の日から4月を経過する日のいずれか早い日)まで、その納税を猶予する。
② この納税猶予は、国外転出の時までに納税管理人の届出をし、かつ、その所得税に係る確定申告期限までに納税猶予分の所得税額に相当する担保を供した場合に適用する。
③ 納税猶予に係る期限は、届出により国外転出の日から10年を経過する日までとすることができる。この場合における上記(3)の取扱いは、国外転出の日から10年を経過する日までに帰国等をした場合に適用することができる。
④ 納税猶予を受ける者は、国外転出の日の属する年分の所得税に係る確定申告期限から納税猶予に係る期限までの間の各年の12月31 日において有し、又は契約を締結している当該納税猶予に係る有価証券等又は未決済デリバティブ取引等について、引き続き納税猶予を受けたい旨等を記載した届出書(継続適用届出書)を、同日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。当該届出書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限から4月を経過する日をもって、納税猶予に係る期限とする。
⑤ 納税猶予に係る期限の到来により所得税を納付する場合には、当該納税猶予がされた期間に係る利子税を納付する義務が生ずる。
(5)納税猶予に係る期限までに有価証券等の譲渡等があった場合の取扱い(所法60の2⑧、137の2⑤、153の2①②)
① 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合には、その納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする。この場合、これらの事由が生じた有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る種類、銘柄、数量及び納税猶予の期限が確定する所得税の金額に関する明細等を記載した書類を、同日までに、税務署長に提出しなければならない。
② 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合において、その譲渡又は決済等に係る譲渡価額又は利益の額に相当する金額が国外転出の時に課税が行われた額を下回るとき等は、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる。
(6)納税猶予に係る期限が到来した場合の取扱い(所法60の2⑩、137の2、153の2①③)
 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、納税猶予に係る期限の到来に伴いその納税猶予に係る所得税の納付をする場合において、その期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利益の額に相当する金額が国外転出の時に課税が行われた額を下回るとき等は、その到来の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる。
(7)二重課税の調整(所法60の4、95の2、所令226の2)
① 居住者が本特例に相当する外国の法令の規定(以下「外国転出時課税の規定」という。)の適用を受けた有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その外国転出時課税の規定により課される外国所得税の額の計算において収入金額に算入することとされた金額を当該有価証券等の取得に要した金額とし、又は当該未決済デリバティブ取引等の決済損益額から当該外国所得税の額の計算において算出された利益の額若しくは損失の額に相当する金額の減算若しくは加算をする。
② 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合において、その所得に係る外国所得税を納付することとなるとき(当該外国所得税に関する法令において、当該外国所得税の額の計算に当たって本特例の適用を受けたことを考慮しないものとされている場合に限る。)は、当該外国所得税を納付することとなる日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、当該外国所得税の額のうち当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等により生ずる所得に対応する部分の金額として計算した金額は、その者が国外転出の日の属する年において納付することとなるものとみなして、外国税額控除を適用することができる。
(8)贈与、相続又は遺贈により非居住者に有価証券等が移転する場合の特例(所法60の3、137の3、153の3)
 次に掲げる要件を満たす居住者が有する有価証券等又は締結している未決済デリバティブ取引等に係る契約が、贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」という。)により非居住者に移転した場合には、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、その贈与等の時に、その時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金額により、当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなす。
① その贈与等の時において有している有価証券等及び契約を締結している未決済デリバティブ取引等のその贈与等の時における有価証券等の価額並びに未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額の合計額が1億円以上である者
② 原則として、その贈与等の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年超である者
 上記の特例(上記(7)①を除く。)は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与等について適用され、上記(7)①の特例は、平成27年7月1日以後に国外転出に相当する事由等が生ずる場合について適用される(改正法附則7~9)。

▶財産債務明細書の見直し
財産債務調書(国外送金法6の2等)  財産債務明細書(旧所法232)について、次の改正が行われ、新たに財産債務調書(国外送金法6の2等)として整備された。
(1)提出基準の見直し(国外送金法6の2①)
 改正前の提出基準である「その年分の所得金額が2,000万円超であること」に加え、かつ、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、又は、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」が提出基準とされた。
(2)記載事項の見直し(国外送金令12の2、国外送金規15)
 改正前の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとされた。
 財産の評価については、原則として「時価」とし、「見積価額」とすることもできることとする。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとする。
(3)過少申告加算税等の特例(国外送金法6の3)
 財産若しくは債務に係る所得税(以下「財産債務に係る所得税」という。)又は財産に対する相続税について修正申告等があった場合の過少申告加算税又は無申告加算税について、次の措置が設けられた。
① 財産債務調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減  財産債務に係る所得税又は財産に対する相続税について修正申告等があった場合において、提出された財産債務調書に当該修正申告等の基因となる財産又は債務についての記載があるときは、過少申告加算税又は無申告加算税の額は、通常課されるこれらの加算税額から当該過少申告加算税又は無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(当該修正申告等の基因となる財産又は債務に係るものに限る。②において同じ。)の100分の5に相当する金額を控除した金額とされた。
② 財産債務調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重財産債務に係る所得税について修正申告等があった場合において、財産債務調書の提出がないとき、又は提出された財産債務調書に当該修正申告等の基因となる財産若しくは債務についての記載がないとき(重要なものの記載が不十分と認められるときを含む。)は、過少申告加算税又は無申告加算税の額は、通常課されるこれらの加算税額に、当該過少申告加算税又は無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額の100分の5に相当する金額を加算した金額とされた。
 上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用される(改正法附則101等)。

▶事業所得関係等
エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の2)  即時償却ができる措置について、対象資産から太陽光の利用に資する機械その他の減価償却資産が除外され、適用期限が平成28年3月31日まで1年延長された(措法10の2①⑥、措令5の4①)。
 この改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする特定エネルギー環境負荷低減推進設備等について適用される(改正法附則59)。
地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の4、措令5の5の2)  青色申告書を提出する事業者で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年8月10日)から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けた者が、その認定を受けた日から同日の翌日以後2年以内に、地方活力向上地域内において、その認定を受けた地方活力向上地域特定業務施設整備計画に記載された地域再生法の特定業務施設に該当する建物等及び構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の100分の15(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の25)相当額の特別償却とその認定の日が次の期間のいずれに含まれるかに応じそれぞれ次の金額の特別税額控除との選択適用ができることとされた。ただし、特別税額控除額については、その年分の調整前事業所得税額の100分の20相当額が限度とされている。
① 地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年8月10日)から平成29年3月31日までの期間 その取得価額の100分の4(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の7)相当額
② 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間 その取得価額の100分の2(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の4)相当額
雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5) ① 青色申告書を提出する事業者で地域再生法の認定事業者であるものが、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年8月10日)から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた場合のその認定を受けた日の属する年以後3年内の各年において、改正前の措置の適用要件のうち基準雇用者割合が100分の10以上であることなどの要件以外の要件を満たす場合で一定の事業を行っているときは、20万円(改正前の措置の適用要件の全てを満たす場合には、50万円)に地方事業所基準雇用者数(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画に従って地方活力向上地域において整備した地域再生法の特定業務施設のみをその事業者の事業所とみなした場合における基準雇用者数をいう。)を乗じて計算した金額の特別税額控除ができることとされた。ただし、特別税額控除額については、改正前の措置及び地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の所得税額の特別税額控除措置と合計してその年分の調整前事業所得税額の100分の30相当額が限度とされる(措法10の5②)。
② 青色申告書を提出する事業者で地域再生法の認定事業者であるもののうち、上記①の措置の適用を受ける又は受けたものが、その適用を受ける年以後の各年(基準雇用者数又は地方事業所基準雇用者数が零に満たない年以後の各年を除く。)において一定の事業を行っている場合には、30万円に地方事業所特別基準雇用者数(一定の集中地域から特定業務施設を地方活力向上地域に移転して整備する事業に関する地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けた事業者のその年以前の各年のうち、その認定を受けた日の属する年以後の各年のその地方活力向上地域特定業務施設整備計画に従って地方活力向上地域に移転して整備した特定業務施設のみをその事業者の事業所とみなした場合における基準雇用者数の合計数)を乗じて計算した金額の特別税額控除ができることとする。
 ただし、特別税額控除額については、改正前の措置及び上記①の措置並びに地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の所得税額の特別税額控除措置と合計してその年分の調整前事業所得税額の100分の30相当額を限度とされる(措法10の5③)。
 上記の改正は、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年8月10日)の属する年分以後の所得税について適用される(改正法附則61)。
特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の5の2)  対象となる事業者から認定経営革新等支援機関等が除外され、対象設備が経営の改善に資する資産に限定された上で、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法10の5の2①)。
 この改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする経営改善設備について適用される(改正法附則63)。
特定地域における工業用機械等の特別償却(措法12) ① 振興山村に係る措置について、山村振興法の改正に伴い、青色申告書を提出する事業者が、一定の期間内に、振興山村として指定された地区のうち産業の振興のための取組が積極的に促進される地区においてその地区内で生産されたものを原料等とする製造業等の事業の用に供する一定の設備の取得等をする場合に、その取得等をした設備をその地区内においてその事業の用に供したときは、その設備を構成するもののうち産業振興機械等につき、5年間、普通償却限度額の100分の24(建物等及び構築物については、100分の36)相当額の割増償却ができる措置に改組され、その適用対象期間を特定振興山村計画の計画期間の初日から平成29年3月31日までとされた(措法12①③四、措令6の3⑫四)。
② 半島振興対策実施地域に係る措置について、半島振興法の改正に伴い、半島振興対策実施地域のうち産業の振興のための取組が積極的に促進される地区に係る措置とした上で、その適用対象期間を認定半島産業振興促進計画の計画期間の初日から平成29年3月31日までとされた(措法12③一、措令6の3⑫一)。
③離島振興対策実施地域に係る措置、奄美群島に係る措置及び過疎地域に係る措置について、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法12③二・三、措令6の3①⑫二・三)。
 上記の改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする産業振興機械等について適用される(改正法附則64④)。
医療用機器の特別償却(措法12の2)  対象資産から医療の安全の確保に資する機械装置及び器具備品が除外された上で、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法12の2①)。
 平成27年4月1日前に取得等をした医療の安全の確保に資する機械装置及び器具備品については、従前どおりとされている(改正法附則64⑦)。
次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却(措法13の2)  次の改正が行われた上で、その適用期限が平成30年3月31日まで3年延長された。
① 対象資産を一般事業主行動計画に記載された建物、建物附属設備、車両運搬具及び器具備品で、次世代育成支援対策に資する一定のものとする(措法13の2①、措令6の6②④)。
② 償却割合(改正前:100分の32)について、次の資産の区分に応じそれぞれ次の割合とする(措法13の2①)。
 イ建物及び建物附属設備100分の24(その一般事業主行動計画が常時雇用する労働者数100人以下の一般事業主により届出をされたものである場合には、100分の32)
 ロ車両運搬具及び器具備品100分の18(その一般事業主行動計画が常時雇用する労働者数100人以下の一般事業主により届出をされたものである場合には、100分の24)
③ 青色申告書を提出する事業者が、次世代育成支援対策推進法の特例基準適合認定を受けた場合には、その特例基準適合認定を受けた日の属する年以後3年以内の各年の12月31日において有する対象資産で事業の用に供されているものについて、その普通償却限度額の100分の15(車両運搬具及び器具備品については、100分の12)相当額の割増償却ができる措置が設けられた(措法13の2①)。
 上記の改正は、平成27年4月1日以後に基準適合認定等を受ける個人が同年以後の各年の12月31日において有する次世代育成支援対策資産について適用される(改正法附則64⑨)。
特定都市再生建築物等の割増償却(措法14の2)  次のとおり見直しが行われた上で、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された。
① 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、都市再生緊急整備地域のうち特定都市再生緊急整備地域以外の地域内において行われる都市再生事業により整備される建築物の償却割合を100分の30(改正前:100分の40)に引き下げる(措法14の2①)。
② 都市再開発法の市街地再開発事業によって建築される建築物に係る措置を除外する(旧措法14の2②一)。
③ 雨水貯留浸透利用施設に係る措置について、下水道法の改正に伴い、対象区域を同法の浸水被害対策区域とし、対象施設から雨水の地下への浸透を図るための構築物を除外する(措法14の2②三)。
 上記の改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする特定都市再生建築物等について適用される(改正法附則64⑩)。
倉庫用建物等の割増償却(措法15)  対象となる倉庫用建物等の面積要件及び容積要件が引き上げられた上で、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法15①、措令8②)。
 この改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする倉庫用建物等について適用される(改正措令附則13⑦)。
農業経営基盤強化準備金(措法24の2)  対象となる事業者に認定新規就農者である個人が加えられるなど、所要の措置が講じられた上で、その適用期限が平成29年3月31日まで2年延長された(措法24の2①、措規9の3①)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(改正法附則54)。
農用地等を取得した場合の課税の特例(措法24の3)  対象となる特定農業用機械等が機械装置、器具備品、一定の農業用施設である建物等、構築物及びソフトウエアとされた(措法24の3①)。
 この改正は、平成27年4月1日以後に取得等をする特定農業用機械等について適用される(改正法附則65)。
特定の事業用資産の買換えの場合等の譲渡所得の課税の特例(措法37、37の4)  長期所有の国内にある土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、次の改正が行われた上で、その適用期限が平成29年3月31日まで延長された(措法37①⑨、37の4①)。
① 買換資産から機械装置を除外する。
② 地域再生法の集中地域以外の地域から集中地域への買換えに係る課税の繰延べ割合を100分の75(特定業務施設の集積の程度が特に著しく高い集中地域への買換えの場合には、100分の70)(改正前:100分の80)に引き下げる。
 上記①の改正は、平成27年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、かつ、同日以後に買換資産を取得する場合について適用され、上記②の改正は、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成27年8月10日)以後に譲渡資産の譲渡をし、かつ、同日以後に買換資産を取得する場合について適用される(改正法附則67)。
一括評価貸金に係る貸倒引当金(所法52)  実質的に債権とみられない金額の計算について、基準年実績による簡便法を用いる場合の基準年が平成27年及び平成28年(改正前:平成10年及び平成11年)に改正された(所令145②)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(改正所令附則7①)。
特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例(措法28)  適用対象から独立行政法人農畜産業振興機構の業務に係る基金に充てるための負担金が除外された(措令18の4②)。
 平成27年4月1日前に支出した独立行政法人農畜産業振興機構の業務に係る基金に充てるための負担金については、従前どおりとされている(改正措令附則14)。
福島再開投資等準備金制度(震災特例法11の3の2)  福島復興再生特別措置法の改正に伴い、避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けた事業者が、その認定に係る避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業を実施するために必要な資金の調達に要する期間(以下「積立期間」という。)内の日を含む各年において、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に係る避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する費用の支出に充てるため、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載されたその支出に充てるために積み立てる資金の総額の2分の1相当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その年分の必要経費に算入できる措置が創設された。
 この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける特定機械装置等の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日の属する年(以下「基準年」といいます。)の翌年分から3年間でその基準年の12月31日における準備金残高の均等額を取り崩して、総収入金額に算入することとされている(震災特例法11の3の2③④)。
 これに伴い、福島再開投資等準備金を積み立てている事業者の積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日が、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業に係る事務所等の所在する避難解除区域等に係る企業立地促進計画の提出のあった日又は避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日より後である場合には、その事業者に係る企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の適用期間の末日は、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日とされた。ただし、その5年を経過する日後に取得等をした特定機械装置等については、一定の規模以上のものに限り、この制度が適用できることとされた(震災特例法11の3の2⑪)。

▶その他 
居住者に係る特定子会社等の課税対象金額等の総収入金額算入制度(措法40の4)  特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準が20%未満(改正前:20%以下)に変更されるなど、所要の改正が行われた(措令25の19①等)。
 この改正は、外国関係会社の平成27年4月1日以後に開始する事業年度における特定外国子会社等の判定等について適用される(改正措令附則27)。
「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」及び「子育て世帯に対する臨時特例給付措置」  給付される給付金について、引き続き所得税を課さないこととされた(措法41の8)。
公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除(措法41の18の3)  その実績判定期間にその設置する特定学校等の定員が5,000人に満たない事業年度(以下「特定事業年度」という。)を有する学校法人又は社会福祉法人に係るいわゆるパブリック・サポート・テストの絶対値要件について、次の改正が行われた(措令26の28の2)。
① 実績判定期間内の判定基準寄附者数が年平均100人以上とする要件の当該判定基準寄附者数は、特定事業年度における判定基準寄附者数に5,000を乗じてこれを当該定員等の総数で除して計算する。
② 実績判定期間内の各事業年度における当該判定基準寄附者からの寄附金の額の総額に12を乗じてこれを当該実績判定期間の月数で除して得た金額が30万円以上であることを要件に加える。
(注)上記の「特定学校等」とは、学校、幼保連携型認定こども園、専修学校及び各種学校、障害児通所支援事業(児童発達支援、医療型児童発達支援又は放課後等デイサービスを行う事業に限る。)等が行われる施設又は保育所等をいう。
 上記の改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(改正措令附則2)。

▶平成24年度改正のうち、平成27年分の所得税から適用される主なもの
国外財産調書の提出制度(国外送金法5等)  国外財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられた。ただし、国外財産調書の提出期限内の不提出に対しては、情状により、その刑を免除することができることとされている(国外送金法10)。
 この改正は、平成27年1月1日以後の違反行為について適用される(平成24年度改正法附則1九、79)。

▶平成25年度改正のうち、平成27年分の所得税から適用される主なもの
所得税の税率(所法89)  次のとおり改正が行われた(所法89①)。



 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(平成25年度改正法附則5)。
 また、給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)及び賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(所法別表第2~別表第4)も改正された。この改正は、平成27年1月1日以後に支払うべき給与等について適用される(平成25年度改正法附則7)。

▶平成26年度改正のうち、平成27年分の所得税から適用される主なもの
公的年金等に係る確定申告不要制度(所法121)  源泉徴収の対象とならない公的年金等の支給を受ける者はこの制度を適用できないこととされた(所法121③)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(平成26年度改正法附則8)。
試験研究を行った場合の所得税額の特別控除(措法10)  試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の100分の10相当額を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度について、適用期限を平成29年まで3年延長し、試験研究費の増加額に係る税額控除を青色申告書を提出する個人の増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の100分の5相当額を超え、かつ、試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、増加試験研究費の額に100分の30(増加試験研究費割合が100分の30未満の場合には、増加試験研究費割合)を乗じて計算した金額の税額控除ができる制度に改組された(措法10④)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(平成26年度改正法附則50)。
所得税の額から控除される特別控除額の特例(措法10の6)  その年分の総所得金額に係る所得税額から控除できる税額控除可能額の合計額がその年分の事業所得の金額に係る所得税額の100分の90相当額に引き下げられた(措法10の6①)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(平成26年度改正法附則52)。
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却(措法13)  対象資産から構築物及び車両運搬具が除外された上で、その適用期限が平成28年3月31日まで2年延長された(措法13①)。
 この改正は、平成27年分以後の所得税について適用される(平成26年度改正法附則53⑥)。

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