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解説記事2017年06月12日 【ニュース特集】 Q&Aで読み解く法定相続情報証明制度(2017年6月12日号・№694)

ニュース特集
税理士も手続可能!
Q&Aで読み解く法定相続情報証明制度

 不動産登記規則の一部改正(平成29年法務省令第20号)により、「法定相続情報証明制度」が平成29年5月29日からスタートしている。同制度は、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば登記官がその一覧図に認証文を付した写しを交付するというもの(無料)。これまでは相続手続全般において戸除籍謄本の束を一式揃えて様々な窓口に提出する必要があったが、法定相続情報証明制度が導入されたことで、その後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを利用することで完了。相続人の手続的負担を軽減することが可能になった。
 本特集では、新しく始まった法定相続情報証明制度の概要についてQ&A形式で解説する。

相続登記の未了が空き家問題の一因に
Q
 法定相続情報証明制度が導入された経緯を教えてください。
A
 不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要になります。昨今では、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しています。これがいわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因になっているとの指摘があったことなどを踏まえ、相続登記を促進するために平成29年5月29日から法定相続情報証明制度が導入されることになりました。

手続の負担が軽減
Q
 法定相続証明制度の手続の概要を教えてください。
A
 相続人が、①被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等、②①の書類等に基づく法定相続情報一覧図を登記所に対し提出することにより、登記官がこれらの書類等の内容を確認し、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付されることになります。
 交付された法定相続情報一覧図の写しは、相続登記の申請手続のほか、被相続人名義の預金の払戻しなど、同時に様々な相続手続に利用することができます。従来であれば戸除籍謄本等の束を提出するなど手続が煩雑でしたが、大幅に手続や時間の負担が軽減されることになりそうです(図表1参照)。


出生から死亡までの戸除籍謄本が必要
Q
 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等とは具体的にどのような書類をいうのでしょうか。
A
 相続人を特定するためには、被相続人のすべての戸除籍謄本を漏れなく確認する必要がありますが、戸籍は被相続人が生まれてから結婚による分籍や転籍、戸籍のコンピュータ化による改製などにより複数種類にわたる場合があります(図表2参照)。
 そこで法務省では、市区町村役場で戸籍謄本を請求する際には相続手続に必要になるため、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸除籍謄本が必要である旨を伝えるよう呼びかけています。


被相続人及び相続人の戸籍情報を記載
Q
 法定相続情報一覧図とはどのようなものですか。
A
 被相続人及び戸籍の記載から判明する法定相続人を一覧にした図のことです。具体的には、被相続人の氏名、最後の住所、生年月日及び死亡年月日並びに相続人の氏名、住所、生年月日及び続柄の情報を記載したものになります(図表3参照)。被相続人の最後の住所を証する書面が廃棄され添付することができない場合には、被相続人の最後の住所の記載に代えて被相続人の最後の本籍を記載することも認められます。また、相続人の住所の記載は任意となっています。
 なお、図表3に示した図形式のほか、被相続人及び相続人を単に列挙して記載する一覧表形式も認められています。


相続放棄した人も一覧図に記載
Q
 相続放棄をした相続人がいる場合でも、登記所に提出する法定相続情報一覧図に記載する必要はありますか。
A
 記載する必要があります。具体的には氏名、生年月日、続柄を記載します。なお、推定相続人が廃除された場合には、その人の氏名などを記載する必要はありません。

相続人が子の場合は単に「子」と記載
Q
 相続人に嫡出でない子がいる場合、法定相続情報一覧図における続柄にはどのように記載すればよいですか。
A
 相続人が子である場合の続柄については、単に「子」として記載することとなります。ただし、平成13年7月1日(※)よりも前に相続が発生している場合は、嫡出子・嫡出でない子の別を記載することでも差し支えないとされています。
※最高裁判決(平成25年9月4日)を踏まえ、平成13年7月1日以後に開始した相続についても、既に遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除いては、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等のものとして扱われることとされています。

税理士も手続の代理人になることが可能
Q
 法定相続情報一覧図の申出の手続においては、法定代理人のほか、税理士も代理人になることができますか。
A
 申出をすることができるのは被相続人の相続人とされています。当然、代理人も認められており、税理士も代理人になることができます。法定相続情報一覧図の写しは、戸除籍謄抄本の束の代わりになるものであるため、代理人となることができる者を戸除籍謄抄本によって申出人との関係性を確認することができる親族のほか、戸籍法によって戸除籍謄抄本を取り扱うことができる資格者代理人としたものです。税理士以外では、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士、海事代理人、行政書士が代理人になることができます(戸籍法10条の2第3項)。

申出人の住所地を管轄する登記所などで手続可能
Q
 法定相続情報一覧図の保管等の申出はどこの登記所で行えばよいのですか。例えば、最寄りの登記所でよいのでしょうか。
A
 申出をすることができる登記所は、①被相続人の本籍地、②被相続人の最後の住所地、③申出人の住所地、④被相続人名義の不動産の所在地のいずれかとされています。したがって、申出人の住所地を管轄する登記所で手続を行うこともできます。なお、申出は郵送で行うことも可能です。

不動産がない場合も手続可能
Q
 被相続人名義の不動産はなく銀行預金のみしかありませんが、法定相続情報制度を利用することができますか。
A
 利用することができます。預金口座が複数ある場合で法定相続情報証明制度を利用すれば、各金融機関に対して一度に手続を進めることができます。なお、法定相続情報一覧図の写しは、相続手続に必要な範囲で複数通発行することが可能になっています。

数次相続の場合も利用可
Q
 法定相続情報制度は、数次相続が発生している場合でも利用することができますか。
A
 数次相続が生じている場合であっても、被相続人ごとに法定相続情報一覧図を作成し、これらを組み合わせることによって利用することができます。

相続手続以外の利用は不可
Q
 法定相続情報一覧図の写しの利用目的としては相続登記以外に、何が想定されていますか。
A
 不動産以外の財産権の名義変更手続や金融機関等における預金の払戻手続、保険金請求手続などが想定されています。基本的に相続手続以外に利用できないこととされています。

5年間は再交付が可能
Q
 法定相続情報一覧図の再交付を受けることはできますか。
A
 法定相続情報一覧図つづり込み帳の保存期間中(5年間)であれば、再交付の申出をすることができます。

訂正する場合は戸除籍謄抄本が必要
Q
 法定相続情報に誤りがあった場合には登記官が職権で訂正等をしてくれますか。
A
 登記官が職権で訂正等をすることはできません。したがって、法定相続情報一覧図を訂正等するためには、再度の申出が必要になります。この場合、登記所に保管される書面は、代理人の権限を証する書面などであり、戸除籍謄抄本は保管されないため、再度の申出に当たっては、申出人において必要な添付書面を揃える必要があるので留意したい点です。
 また、認知や廃除により法定相続情報に変更が生じた場合も再度の申出をすることができます。

不正申出には戸籍法の罰則規定が適用
Q
 不正な申出等に対する罰則等はありますか。
A
 戸除籍謄本を不正に取得し、その謄本をもって法定相続情報証明制度の申出がされた場合は、戸籍法の罰則規定が適用されることになります。

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