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解説記事2022年06月27日 実務解説 四半期報告書 作成上の留意点(2022年6月第1四半期提出用)(2022年6月27日号・№936)

実務解説
四半期報告書 作成上の留意点(2022年6月第1四半期提出用)
 企業会計基準委員会 専門研究員 渡部 類
 専門研究員 高野裕郎

《まとめ》
・改正「時価の算定に関する会計基準の適用指針」、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」は、当第1四半期連結会計期間から原則適用となる。
・このほか、【発行済株式】、四半期レビュー報告書についても留意が必要。

はじめに

 本稿は、2022年6月第1四半期の四半期報告書の記載にあたり、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)から改正・公表された企業会計基準等に関する留意点を中心に解説する。なお、文中において意見に関する部分は私見であることをあらかじめ申し添えておく。

2021年改正「時価の算定に関する会計基準の適用指針」に係る留意点

1 概 要
 ASBJは、2019年7月4日に、金融商品の時価に関するガイダンス及び開示に関して、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等を公表した。このとき、投資信託の時価の算定については、関係者との協議等に一定の期間が必要と考えられたため、「時価の算定に関する会計基準」の公表後概ね1年をかけて検討を行うこととされた。また、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記については、一定の検討を要するため、投資信託に関する取扱いを改正する際に取扱いを明らかにすることとされていた。
 このような経緯を踏まえてASBJにおいて審議された結果、2021年6月に「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(以下、「2021年改正適用指針」という。)の改正が行われ、投資信託の時価の算定に関する取扱い、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記に関する取扱いが明らかにされた。
 2021年改正適用指針は、2022年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するとされている。なお、会計処理等の内容については、2021年改正適用指針のほか、山田哲也「改正企業会計基準適用指針第31号『時価の算定に関する会計基準の適用指針』の概要」(No.895)を参照いただきたい。

2 会計方針の変更に関する注記
 2021年改正適用指針の適用初年度においては、2021年改正適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用するとされている。この場合、その変更の内容について注記することとされている。記載事例1はこの場合の会計方針の変更に関する注記の記載事例である。

3 金融商品関係注記
 金融商品関係注記については、2021年9月24日に「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「四半期連結財規」という)の改正が行われており、四半期連結財規第15条の2第6項から第8項が追加された。
 ① 四半期連結財規第15条の2第6項及び第7項
 金融商品については、四半期連結財規第15条の2第1項本文において、当該金融商品に関する四半期連結貸借対照表の科目ごとに、企業集団の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、四半期連結貸借対照表計上額その他の金額に前連結会計年度の末日に比して著しい変動が認められる場合には、四半期連結貸借対照表の科目ごとの四半期連結貸借対照表日における四半期連結貸借対照表計上額、時価及び当該四半期連結貸借対照表計上額と当該時価との差額を注記しなければならないとされている。
 当該規定に関して、四半期連結財規の改正により、以下の規定が設けられている。
・ 四半期連結貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)への出資については、四半期連結財規第15条の2第1項本文に定める注記をしなければならない場合であっても、当該注記を要しない。ただし、この場合には、その旨及び当該出資の四半期連結貸借対照表計上額を注記しなければならない(四半期連結財規第15条の2第6項)。
・ 投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、四半期連結財規第15条の2第1項本文に定める事項の記載については、当該投資信託等が含まれている旨を注記しなければならない(当該投資信託等の四半期連結貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く。)(四半期連結財規第15条の2第7項)。
 なお、当第1四半期連結会計期間から2021年改正適用指針を適用する場合には、四半期連結財規第15条の2第6項及び第7項に規定する事項の比較情報について記載することを要しないとされている。
 ② 四半期連結財規第15条の2第8項
 時価で四半期連結貸借対照表に計上している金融商品については、四半期連結財規第15条の2第3項において、当該金融商品に関する四半期連結貸借対照表の科目ごとに、企業集団の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、当該金融商品を適切な項目に区分し、その項目ごとに、当該金融商品の時価を当該時価の算定に重要な影響を与える時価の算定に係るインプットが属するレベルに応じて分類し、それぞれの金額に前連結会計年度の末日に比して著しい変動が認められる場合には、次に掲げる事項を注記しなければならないとされている(ただし、「時価の算定に関する会計基準」等の適用初年度においては、経過措置により、四半期連結財規第15条の2第3項に規定する事項について記載を要しないとされていた)。
① 四半期連結貸借対照表日におけるレベルごとの金融商品の時価の合計額
② レベル2又はレベル3に分類された金融商品の時価の算定に用いる評価技法又はその適用を変更した場合には、その旨及びその理由
 当該規定に関して、四半期連結財規の改正により、投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、四半期連結財規第15条の2第3項及び第4項にかかわらず、第3項各号に掲げる事項の記載を要しないとされている。この場合には、その旨及び当該投資信託等の四半期連結貸借対照表計上額を注記しなければならない(ただし、当第1四半期連結会計期間から2021年改正適用指針を適用する場合には、経過措置として、四半期連結財規第15条の2第8項の注記の記載は要しないとされている)。

「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」

1 概 要
 令和2年度税制改正において、従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行することとされた。当該移行に伴い、グループ通算制度を適用する場合における法人税及び地方法人税並びに税効果会計の会計処理及び開示の取扱いを定める必要が生じたことから、2021年8月に、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第42号」という。)がASBJから公表された。
 実務対応報告第42号は、2022年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされている。その内容については、実務対応報告第42号のほか、宗延智也「実務対応報告第42号『グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い』の概要」(No.900)を参照してほしい。

2 追加情報
 連結納税制度を適用している企業がグループ通算制度に移行する場合、実務対応報告第42号の適用は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当するが、会計方針の変更による影響はないものとみなし、また、会計方針の変更に関する注記は要しないとされている。
 一方、実務対応報告第42号を適用した旨を開示することが有用と考えられるケースも想定される。この場合の追加情報の記載事例が、記載事例2である。

その他

1 発行済株式
 東京証券取引所において市場区分の見直しが行われ、4月4日から、「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」へと変更された。当該見直しにより、例えば、前第1四半期連結会計期間において東京証券取引所市場第一部に上場していた企業の場合、②【発行済株式】の「上場金融商品取引所名又は登録認可金融商品取引業協会名」の欄については、「プライム市場」等に記載を変更することとなる(記載事例3)。

2 四半期レビュー報告書
 2021年5月の公認会計士法の改正により、電磁的方法により電子署名を付した四半期レビュー報告書を作成することが可能となった。これを踏まえ、EDINETにより提出する四半期レビュー報告書の欄外記載については、「EDINETで提出する監査報告書の欄外記載について(お知らせ)」における監査報告書の欄外記載の表現を参考とすることが考えられる。記載事例4は、当該表現を参考とする場合の記載事例である。

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