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解説記事2017年06月12日 【最新判決研究】 過年度損失の当期損金算入と公正処理基準との関係・更正の理由付記の程度(2017年6月12日号・№694)

最新判決研究
過年度損失の当期損金算入と公正処理基準との関係・更正の理由付記の程度

東京高裁平成28年3月23日判決(平成27年(行コ)第344号)
東京地裁平成27年9月25日判決(平成25年(行ウ)第676号)

 筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣

一、事実

(1)X(原告、控訴人)は、小型貨物自動車運送業を営む有限会社であるが、平成21年3月期分の法人税について、S社に対する過年度分外注費980万円余(以下「本件外注費」という。)を損金の額に算入して確定申告をし、かつ、本件外注費に係る仕入消費税額を税額控除して、平成21年3月課税期間の消費税等の確定申告をした。これに対し、処分行政庁は、平成24年3月27日付で、平成21年3月期分法人税につき、本件外注費は損金の額に算入できないとする更正(以下「本件更正」という。)等をし、平成21年3月期間分消費税等分につき、上記の仕入税額控除を否認する更正等をした。Xは、これらの各処分につき、国(被告)に対し、上記各処分の取消しを求めて本訴を提起した。以下、法人税と消費税のそれぞれの争点は実質的に同様であるので、消費税についての説明は省略する。
(2)Xは、昭和55年以降、S社との間でトラック乗務員業務に係る請負契約を締結し、S社からトラック乗務員の派遣を受けていた。XのS社に対する外注費は、毎期、S社がXに派遣した従業員に支払った給与を1.4倍した金額であり、Xは、毎月当該給与に相当する額を支払い、S社の決算期である10月に、当該支払額の4割に相当する額の1年間分(前年の11月から当年の10月まで)をまとめて支払っていた。本件外注費は、S社の給与台帳に記載された給与のうち、S社が平成12年11月から同13年10月までの間にXに派遣した従業員に係る給与の合計額に0.4を乗じて算出した金額である。
 なお、本件更正の通知書(以下「本件通知書」という。)の本件外注費に係る理由付記は、次のとおりである。
 「貴法人は、S株式会社に対する過年度の外注費に計上漏れがあったとし、平成21年3月31日付で外注費勘定に『H13計上漏れ S』として9,802,260円を計上し、当事業年度の損金の額に算入しています。しかしながら、当該金額は、平成12年11月分から平成13年10月までのS株式会社に対する外注費であると認められることから、当事業年度の損金の額に算入されませんので所得金額に加算しました。」

二、争点と当事者の主張

1 争  点
① 本件外注費は、平成21年3月期の損金の額に算入されるか否か。
② 本件更正の理由付記に不備の違法があるか。

2 国の主張 (1)本件外注費は、本件外注先からトラック乗務員の派遣を受けたことに対する対価であり、これは、Xが営む小型貨物自動車運送事業の収益を獲得するために直接要する費用であり、当該運送事業に係る売上原価等の原価に該当するものである。そして、XがS社から本件外注費に係る役務の提供等を受けた時期は、平成12年11月から平成13年10月までの間であり、平成21年3月期において、S社から本件外注費に係る役務の提供等を受けた事実は認められないし、本件外注費に対応する収益が同事業年度で発生した事実も認められず、また、Xが本件外注費に対応する収益を平成21年3月期の益金の額に算入した事実も認められない。
(2)本件のように事実誤認による単なる計上漏れに係る前期損益修正を、法人税法22条4項に定める「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(以下「公正処理基準」という。)に該当するとして課税所得の計算上容認すると、発生主義及び費用収益対応の原則に基づき、発生した事業年度の費用及び損失として計上すべきものが、同時にその漏れが判明した事業年度に前期損益修正損として計上するのも正しいということになるが、かかる事態は、課税所得の計算に混乱を生じ、ひいては法人の恣意の介入する余地を生ずることになるのであって、法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の企図する公平な所得計算という要請に反する。
(3)青色申告に係る更正の態様は、①帳簿の記載自体を認めないで更正をする場合、②事実に対する法的評価につき納税者と見解を異にして更正をする場合など様々であるところ、②の場合の理由付記の程度について、最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁(以下「最高裁昭和60年判決」という。)の趣旨に照らしてみると、本件更正は、帳簿書類の記載自体を否認するものではなく、本件外注費の損金算入時期についての法的評価の違いにより行われたものであるから、本件通知書に記載された更正の理由(以下「本件付記理由」という。)は、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するという趣旨目的を充足するものといえる。

3 Xの主張 (1)法人税法22条4項に定める公正処理基準は、企業会計原則に定められた会計処理の基準はもちろん、企業会計上広く受け入れられている会計慣行を含む会計処理の基準であると解される。 本件のように、過年度(平成13年度)の外注費として計上すべきところを、何らかの原因により外注費の計上漏れが生じた場合、計上漏れを認識した事業年度(平成21年度)の前期損益修正項目として費用計上する処理についても企業会計上の会計慣行として広く受け入れられ、確立している。
(2)法人税法22条4項は、商事法令や商慣習として用いられている計算基準は、「別段の定め」として規定されている例外を除き、所得計算の原則的な通則の領域につき適用されることを定めている。つまり、会計慣行として反復して実施されていれば、それが規範化してくるので、規範性をもつ会計処理の基準が法人税法上の所得計算における原則規定となるのであり、法人税法22条4項の規定は、会計慣行化している会計処理の基準があれば、それは法的規準として扱うということを定めた規定と解すべきである。
(3)仮に、本件付記理由が帳簿の記載を否認しないでしたものとみても、次の①ないし③のとおり、理由として不十分なものであって違法である。
① 法人税法が青色申告に係る更正に対し、手続上の要件として、①調査の要件(同法130条1項)と、②理由付記(同法130条2項)の要件を課した趣旨は、全ての取引記録を記帳した帳簿を備え付け、かつ帳簿保存義務を履行する納税者に対してのみ青色申告を承認し、そのような青色申告には高い信頼性が付与されているものとし、信頼の表れとして、種々の特典が与えられている。
② 理由付記の判例法理の現時点の到達点として、大阪高裁平成25年1月18日判決(判例時報2203号25頁、以下「大阪高裁平成25年判決」という。)を位置付けることができ、同判決は、法人税においての青色申告に係る更正をする場合の理由付記の程度について、これまでの判例法理の到達点を確認しながら、立法趣旨及び青色申告制度の機能を十分しんしゃくした基準を明示している。
 同判決は、最高裁昭和60年判決を引用しながらも、更正処分庁が当該評価判断に至った過程を検証し得る程度に記載する必要があるとした。
③ 本件更正の付記理由としては、企業会計上の慣行として広く受け入れられている前期損益修正損としての本件外注費が、法人税法上損金算入できないことについて、その法的根拠を明示すべきこととなる。

三、一審判決要旨

請求棄却。
1 本件外注費の平成21年3月期における損金性
(1)法人税法22条4項は、同法における所得の金額の計算に係る規定及び制度を簡素なものとすることを旨として設けられた規定であると解されるところ、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」との規定の文言にも照らすと、現に法人のした収益等の額の計算が、法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的(同法1条参照)とする同法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいては、法人税の課税標準である所得の金額の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から定められたものと解され(最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照)、法人が収益等の額の計算に当たって採った会計処理の基準がそこにいう公正処理基準に該当するといえるか否かについては、上記に述べたところを目的とする同法の独自の観点から判断されるものと解するのが相当である。
 そして、このような見地から法人税法の課税所得における損金の計算についてみると、一般に、同法22条3項1号に規定する、特定の収益との対応関係を明らかにできる売上原価等については、その収益が計上された事業年度に、同項2号に規定する販売費、一般管理費等については、発生した事業年度に、同項3号の損失については、損失の発生した事業年度に、それぞれ損金の額として算入されるべきものと解するのが相当である。
(2)以上を前提として本件についてみると、前記前提事実のとおり、本件外注費は、S社からトラック乗務員の派遣を受けたことに対する対価であるから、これは、Xの営む運送事業の収益を得るために直接要する費用であって、当該運送事業の収益に係る売上原価等の原価に該当するものと認められる。そして、証拠によれば、本件外注費は、平成12年11月から平成13年10月までの間にS社がXに派遣した従業員に係る給与の合計額に基づいて算定されており、Xの平成21年3月期の総勘定元帳には、本件外注費を計上した上で、その摘要欄に「H13計上漏れ S」と記載されていることが認められることからすると、Xが本件外注費に係る役務の提供等を受けたのは、平成12年11月から平成13年10月までの間であると認められる。したがって、本件外注費は、平成21年3月期において、当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額に該当するということはできない。
(3)これに対し、Xは、本件外注費については、前期損益修正項目として費用計上する処理が企業会計上の慣行として広く受け入れられているから、そのような処理は、公正処理基準に該当する旨主張するので、以下検討する。
① 法人税法22条4項の趣旨に照らすと、企業会計の慣行として広く行われている処理であっても、適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の所得計算という要請に反する場合には、法人税法上採用することができないものというべきである。
② そして、企業会計においては、会計方針の変更や誤謬の発見などにより、翌期以後になってから過去の利益計算を修正した方がよいと考えられる場合でも、遡って決算をやり直すのではなく、前期損益修正として、過去の損益を特別損益項目に計上して処理することが慣行として広く行われてきたとしても(企業会計原則第二の六、同注解12参照)、このような企業会計上の慣行は、企業会計固有の問題に基づくものであると考えられる。
③ これに対し、ある事業年度に損金として算入すべきであったのにそれを失念し、それを後の事業年度に発見したという単なる計上漏れのような場合において、企業会計上行われている前期損益修正の処理を法人税法上も是認し、後の事業年度で計上することを認めると、本来計上すべきであった事業年度で計上することができるほか、計上漏れを発見した事業年度においても計上することが可能となり、同一の費用や損失を複数の事業年度において計上することができることになる。
④ また、法人税法上、修正申告や更正の制度があり、後に修正すべきことが発覚した場合、過去の事業年度に遡って修正することが予定されているのであって、企業会計上固有の問題に基づき行われているにすぎない前期損益修正の処理を、それが企業会計上広く行われているという理由だけで採用することはできない。
⑤ そうすると、単なる計上漏れのように、本来の事業年度で計上すべきであった損益を、後の事業年度において、前期損益修正として計上するような処理を公正処理基準に該当するものとして認めることはできないといわざるを得ない。
(4)以上によれば、本件において、本件外注費は、平成12年11月から平成13年10月までの役務の提供等を受けた対価であって、これを原価として生じた収益を計上した事業年度に損金として計上しておくべきであったことは明らかであり、平成21年3月期において損金として計上することを、公正処理基準に該当するものとして認めることはできないから、本件外注費を平成21年度3月期において損金として算入することは、法人税法上認められないものといわざるを得ない。

2 本件更正の理由付記不備の違法性 (1)法人税法130条2項が青色申告に係る法人税について更正をする場合に更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは、更正をする処分行政庁の判断の慎重さや合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものと解される(最高裁昭和38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁等参照)。そして、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては、更正通知書記載の更正の理由が、更正の根拠を上記の理由付記の制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正の理由の付記として欠けるところはないと解するのが相当である(最高裁昭和60年判決参照)。
(2)本件通知書には、更正の理由として、前記のとおりの記載があり、Xが平成21年3月期の確定申告において損金として計上していた本件外注費は、平成12年11月分から平成13年10月分までの外注費であると認められ、そのため平成21年3月期における損金に算入されないと評価したということが十分に読み取れるものであり、結論に至る判断過程が示されているといえる。そうすると、本件付記理由は、更正をする処分行政庁の判断の慎重さや合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の制度の趣旨を充足する程度に具体的なものであるということができ、理由付記として不備がないというべきである。
(3)これに対し、Xは、本件付記理由では、本件更正が帳簿の記載を否認しないでしたものか不明である旨主張する。しかしながら、本件通知書には、更正の理由として、前記前提事実のとおりの記載があり、その記載によれば、Xの帳簿に記載されている本件外注費があったことを前提にした上で、それは、平成12年11月分から平成13年10月分までの外注費であると認められ、よって平成21年3月期における損金の額に算入されないと判断したということが容易に読み取れるというべきであり、また、そこに記載された「平成21年3月31日」、「外注費」、「H13計上漏れ S」及び「9,802,260」円の各記載はXの帳簿の記載と同一であるから、帳簿の記載を否認することなく更正をしたものであることは明らかといえ、Xの上記主張は理由がない。

四、控訴審判決要旨

控訴棄却(請求棄却)。
(1)当裁判所も、Xの請求はいずれも理由がないからこれを棄却するのが相当であると判断する。その理由は、原判決の理由の一部を次のとおり訂正するほか、原判決の理由を引用する。
(2)企業会計上行われている前期損益修正の処理を法人税法上も是認することは、公平な所得計算を行うべきであるという同法上の要請に反するものといわざるを得ず、また、同法上、修正申告や更正の制度があり、後に修正すべきことが発覚した場合、過去の事業年度に遡って修正することが予定されているから、過年度の計上漏れを修正するための前期損益修正を公正処理基準に該当すると認めることができない。
(3)Xは、東京地裁平成25年10月30日判決(訟務月報60巻12号2668頁)は前期損益修正の処理が公正処理基準に該当する旨判示していることを主張するが、同判決の事案と本件とは事案を異にするし、かつ、同判決も、原判決と同様に、法人税法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいて公正処理基準と是認するのが相当である旨判示したものと解されるから、原判決と上記東京地裁判決と矛盾するものではない。

五、解説

はじめに
 本件は、Xが、7~8年前に生じた外注費(本件外注費)を計上漏れであったということで、当期(平成21年3月期)の損金の額に算入して法人税の申告をしたことに対し、処分行政庁が、当該損金算入を否認した更正(本件更正)等の適否が争われた事案である。また、本件では、本件更正について理由付記不備の違法性についても争われた。
 本件のような過年度分の損益修正の処理については、法人税法上明文規定がないので、法人税法22条4項に定める公正処理基準の解釈として判断されるべきか、あるいは、法人税基本通達2-2-16に定める前期損益修正処理に準じて判断されるべきか、が問題となる。また、青色申告に係る更正の理由付記については、そのこと自体は、従前の最高裁判決の延長線上の問題として処理されることが考えられるが、平成23年の国税通則法改正によって、国税についての全ての処分について理由付記が求められたため、青色申告の更正を含めた全ての処分の理由付記の程度のあり方に影響を及ぼすかも注目される。
 これらの問題は、結局、裁判例の積み重ねによって明らかにされるべきであろうが、本件判決についても、主要事例の一つとして注目される。

1 公正処理基準の意義と内容 (1)前述したように、法人税法22条4項は、収益の額並びに原価の額、費用の額及び損失の額につき、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」と定めている。この公正処理基準は、昭和42年に定められたものであるが、その背景には、昭和20年代から40年代にかけて強く要請されてきたところの、商法、企業会計原則及び税法間の利益・所得計算の調整強化(トライアングル体制の強化)にあったからにほかならない(注1)。
 そして、その具体的な立法趣旨については、昭和41年12月の「税制簡素化についての第一次答申」において、「税法は、……負担の公平という角度からややもすれば画一的に取り扱いがちの課税所得の計算についても、適正な企業会計の慣行を奨励する見地から、客観的に計算ができ、納税者と税務当局との間の紛争が避けられると認められる場合には、幅広い計算原理を認めることを明らかにすべきである。……このような観点を明らかにするため、税法において課税所得は、納税者たる企業が継続して適用する健全な会計慣行によって計算する旨の基本規定を設ける。」(同答申第3、一、I、1)と答申されている(注2)。
(2)この公正処理基準の具体的内容については、立法当初から議論の多いところであるが、立法当初には、客観的な規範性をもつ公正妥当と認められる会計処理の基準という意味であり、「企業会計原則」のように明文化された特定の基準を指すものではないと解されてきた(注3)。しかし、特定の基準(注4)を指すものでないが故に、その解釈について実務上混乱することもあり得るが、公正処理基準の内容については、前述の立法趣旨を積極的に解し、関係する会計法令、会計慣行、裁判例、裁決例、国税庁の解釈通達等を総合して、判断されるべきものと考えられる(注5)。
 ところで、公正処理基準が法人税法22条4項に明文化されているが故に、当該条項の解釈について法廷で争われることについては、他の法令の場合と同様である。よって、公正処理基準についても、裁判例における解釈が大きな影響を有することになる。この場合には、当該会計処理が会計慣行として定着しているか否かよりも、当該裁判官の価値感等が当該判示に表われ易い。
 例えば、脱税工作のための支出金(架空費計上に協力した取引先に対する手数料)の損金性(注6)につき、最高裁平成6年9月16日第三小法廷判決(刑集48巻6号357頁)は、「架空の経費を計上して所得を秘匿することは、事実に反する会計処理であり、公正処理基準に照らして否定されるべきものである……このような支出を費用又は損失として損金の額に算入する会計処理もまた、公正処理基準に従ったものであるということはできないと解するのが相当である。」と判示している。しかし、当時の会計慣行では、たとえ違法行為に係る支出金であっても、雑損失等として処理される場合が多かったし、課税当局の税務処理も、いわゆる純資産増加説の下で、かかる支出金も純資産が減少することと、その損金算入を否定する「別段の定め」もなかったことから、損金算入を否定していなかったところである。
 また、公正処理基準について判示したということでよく引用される最高裁平成5年11月25日第一小法廷判決(民集47巻9号5278頁)は、輸出取引の収益計上が為替取組日基準によるべきか船積日基準によるべきかが争われた事案につき、本件判決が引用するように、公正処理基準を法人税法の立法趣旨に照らし、限定的に解するとともに、「ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の収益に計上すべきものと考えられる。」と判示し、船積日基準を支持している。この判決も、公正処理基準について、実際の会計慣行から帰納的に導き出すのではなく、税法の学説、判例において支持されている権利確定主義(注7)の見地から収益計上を論じている(注8)。

2 過年度損失の会計処理 (1)ところで、本件外注費のような過年度の損失を当期の損失として会計処理ができるか否かについては、公正処理基準として明確にされているか否かは必ずしも定かではない。しかし、参考となる「企業会計原則」は、第二損益計算原則の「六 特別損益」において、「特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。」と定め、同原則注解(注12)において、「特別損益項目について」次のように定めている。
 「特別損益に属する項目としては、次のようなものがある。
(1)臨時損益
 イ~ハ(略)
(2)前期損益修正
 イ、過年度における引当金の過不足修正額
 ロ、過年度における減価償却の過不足修正額
 ハ、過年度におけるたな卸資産評価の訂正額
 ニ、過年度償却済債権の取立額
 なお、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。」
 また、平成21年12月4日、企業会計基準委員会から公表された「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」は、過去の誤謬に関する取扱いを次のように定めている。
 「21. 過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、次の方法により修正再表示する。
(1)表示期間より前の期間に関する修正再表示による累積的影響額は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映する。
(2)表示する過去の各期間の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映する。」
 そして、上記企業会計原則注解(注12)との関係について、次のように説明している(同会計基準64)。
 「過去の誤謬に関する取扱いについても、国際的な会計基準と同様に、会計基準においてその取扱いを設けることとした(第21項参照)。本会計基準の適用により、過去の誤謬を前期損益修正項目として当期の特別損益で修正する従来の取扱いは、比較情報として表示される過去の財務諸表を修正再表示する方法に変更されることになるが、重要性の判断に基づき、過去の財務諸表を修正再表示しない場合は損益計算書上、その性質により、営業損益又は営業外損益として認識する処理が行われることになると考えられる。」
(2)他方、法人税法においては、過年度の損益修正について、特段の定めを設けているわけではないが、国税通則法23条2項は、いわゆる後発的事由について、過年度の売買等に係るやむを得ない事情による契約解除等の特定の事由に限定して、それが生じた場合の過年度の課税関係の修正を認めるための更正の請求を認めている(通令6等参照)。
 しかしながら、法人税基本通達2-2-16は、次のように定めて、上記後発的事由に基づく更正の請求を事実上認めないこととしている。
 「当該事業年度前の各事業年度(〈略〉)においてその収益の額を益金の額に算入した資産の販売又は譲渡、役務の提供その他の取引について当該事業年度において契約の解除又は取消し、値引き、返品等の事実が生じた場合でも、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当該事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。」
 そして、この取扱いの趣旨については、国税当局の担当者は、次のように説明している(注9)。
 「法人税における課税所得の計算は、いわゆる「継続企業の原則」に従い、当期において生じた収益と当期において生じた費用・損失とを対応させ、その差額概念として所得を測定するという建前になっている。この場合の当期の収益又は費用・損失については、その発生原因が何であるかを問わず、当期において生じたものであればすべて当期に属する損益として認識するという考え方がとられているから、仮に既往に計上した売上高について当期に契約解除等があった場合でも、その契約解除等は、当期に売上げの取消しによる損失が発生する原因にすぎないとみることになる。要するに、法人税の所得計算における損益の認識は、ひとり民事上の契約関係その他の法的基準のみに依拠するものではなく、むしろ経済的観測に重点を置いて当期で発生した損益の測定を行うことになるのである。このような考え方からすれば、契約解除等に伴う損失を当期の損失として処理することはむしろ当然のことであり、既往の課税関係を修正しないという考え方の論拠もその点に存する。」
 かくして、法人税の課税実務においては、上記通達に基づく課税処分が行われており、当該処分の適否が法廷で争われた場合にも、各判決において当該処分の適法性が認められている(注10)。

3 更正の理由付記の趣旨・程度 (1)法人税法130条2項は、青色申告書に係る更正について、「更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない。」と定めている(同旨所法155②)。このような青色申告に係る更正の理由付記の程度については、後述するように、多くの裁判例において争われてきたところであるが、平成23年の国税通則法の改正によって国税に係る全ての処分について理由付記を要することになったこともあり(通法74の14①、行政手続法8、14参照)、いわば、理由付記の必要が重複的に定められている青色申告に係る更正の理由付記の程度が一層注目されている。
 ところで、青色申告に係る更正の理由付記の趣旨・程度についてのリーディング・ケースとされている最高裁昭和38年5月31日第二小法廷判決(民集19巻4号617頁)(以下「最高裁昭和38年判決」という。)は、次のとおり判示している(注11)。
 「一般に、法が行政処分に理由を附記すべきものとしているのは、処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立に便宜を与える趣旨に出たものであるから、その記載を欠くにおいて処分自体の取消を免れないものといわなければならない。ところで、どの程度の記載をなすべきかは、処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らして、これを決定すべきであるが、所得税法(〈略〉)第45条第1項(編注=現行155条1項)の規定は、申告にかかる所得の計算が法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記帳を無視して更正されることがない旨を納税者に保障したものであるから、同条2項が付記すべきものとしている理由には、特に帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示して処分の具体的根拠を明らかにすることを必要とするのが相当である。」
(2)その後、更正段階においても、青色申告に係る更正の理由付記の内容が改善されたこともあって、当該理由付記の当否が争われた裁判例においても、是々非々の判断が行われるようになったが、最高裁昭和60年判決は、更正の理由付記の程度について一つの転機を示したと言える。
 すなわち、同判決の事案では、「減価償却費の償却超過額36万8036円。昭和48年6月取得の冷房設備について機材として特別償却していますが、内容を検討した結果、建物附属設備と認められ、特別償却の適用はありませんので、次の計算による償却超過額は損金の額に算入されません。〈以下略〉」とする理由付記の違法性が争われたところ、一審の神戸地裁昭和54年8月20日判決(民集39巻3号875頁)は、適法である旨判示したが、控訴審の大阪高裁昭和55年11月26日判決(民集39巻3号889頁)は、違法である旨判示した。
 かくして、最高裁昭和60年判決は、最高裁昭和38年判決を引用しながらも、次のとおり判示して、原判決を破棄差し戻した。
 「帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては、右の更正は納税者による帳簿の記載を覆すものではないから、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を前記の更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないと解するのが相当である。」
 この最高裁判決は、その後の裁判例の先例となる(注12)とともに、学説上も、次のように解されるに至っている(注13)。
 「ここに更正の理由とともに、①更正の原因となる事実、②それへの法の適用、および、③結論の3つを含む趣旨であると解されるが、②に関連して生ずる法の解釈の問題や収入・支出の法的評価ないし法的判断の問題については、結論のみを示せば足り、結論に達した理由ないし根拠を示す必要はないと解すべきであろう。」
(3)しかしながら、Xも引用している大阪高裁平成25年1月18日(判例時報2203号25頁)では、公益法人が不法投棄品の調達・回収を東大阪市から請け負ってその対価を得ている場合に、当該業務が請負業として法人税法2条13号に規定する「収益事業」に該当するか否か等が争われた事案につき、「(東大阪市から)受ける補助金は、法人税法2条13号に規定する収益事業の収入に該当します。」とする更正の理由付記に対し、一審の大阪地裁平成24年2月2日判決(平成21年(行ウ)第192号)が、最高裁昭和60年判決の趣旨に照らし、適法である旨判示したが、上記大阪高裁判決は、最高裁昭和60年判決を引用しながらも次のとおり判示して、当該理由付記は違法である旨(請求認容)判示している。
 「本件各付記理由は、法適用に関しては、「法人税法第2条第13号に規定する収益事業の収入に該当する。」との結論を記載するにとどまり、法人税法施行令第5条第1項第10号、同施行規則第4条の3、実費弁償通達の各規定や、その適用関係についての判断過程の記載がすっぽりそのまま欠落しており、本件各事業がなぜ収益事業の収入に該当するかについての法令等の適用関係や、何故そのように解釈するかの判断過程についての記載が一切ない。そのため、本件各付記理由では、本件各更正処分における処分行政庁の判断過程を省略することなしに記載したものということができないので、処分行政庁としては、本件各付記理由を記載することによって、本件各更正を処分による自己の判断過程を逐一検証することができないし、その判断の慎重、合理性を確保するという点について欠けるところはないなど到底いえない。」
 このように、最高裁昭和60年判決の射程をめぐって、下級審判決の判断が分かれたにもかかわらず、国側が上告もしなかったため、今後、「法的評価」及び「法的判断」に係る更正の理由付記のあり方の行方が注目されていた(注14)。

4 本件における公正処理基準と更正の理由付記 (1)本件においては、まず、前述したように、7~8年前に計上もれとなっていた本件外注費を当期(平成21年3月期)の所得金額の計算上損金の額に算入し得るか否かが争われ、その場合の税務処理について、主として、公正処理基準の射程が問題とされた。この問題に関し、一審判決は、公正処理基準の射程につき、「現に法人のした収益等の額の計算が、法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的(同法1条参照)とする同法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいては、法人税の課税標準である所得の金額の計算上もこれを是認するのが相当である」場合に限定される旨判示し、次いで、法人税法22条3項各号の規定を確認し、「本件外注費は、平成21年3月期において、当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額に該当するということはできない。」と判示した。
 また、一審判決は、Xの公正処理基準の観点から本件外注費が平成21年3月期の損金として認められるべき旨の主張に対し、「法人税法22条4項の趣旨に照らすと、企業会計の慣行として広く行われている処理であっても、適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の所得計算という要請に反する場合には、公正処理基準に該当するということはできず、公正妥当であるとはいえないものとして、法人税法上採用することができない」と判示し、Xの主張を排斥し、控訴審判決も原判決を支持している。
(2)しかしながら、上記の本件各判決も、前記1で述べた最高裁各判決と同様、法的な価値判断に基づいて、公正処理基準の内容を制限しているに過ぎない。この場合、本件各判決や前掲最高裁平成5年11月25日判決のように、法人税法1条の立法趣旨から特定の損失の損金算入を否定できるというのであれば、わざわざ公正処理基準を持ち出すまでもなく当該立法趣旨に基づいて損金算入を否定すれば足りるはずである。前記1で述べたように、元々、法人税法22条4項が立法化されたのは、法人税法上の所得計算と企業会計上の利益計算との調整を図るべく、企業会計上の「公正妥当な会計慣行」を尊重しようとしたものであるから、何がそれに当たるかは、第一次的には会計慣行等の会計の側面から判断されるべきであろう。
 この点については、前記2(1)で述べたように、企業会計原則であれ、企業会計基準であれ、過年度損失をそれを認識した年度の損失として計上することを認め、又は否認しているわけではなく、それ以外の会計慣行も存在しているようにも考えられない。また、前記2(2)で述べたように、法人税基本通達は、過年度損失についてそれを認識した事業年度の損失に計上するものとし、過年度に遡及修正する更正の請求を禁じているところである(もっとも、同通達がいう契約解除等の「事実」に本件外注費のようなものが含まれるか否かは議論のあるところであろう。)。
 なお、このような過年度損益の修正については、法人税法129条が、いわゆる粉飾経理をしていた場合に、当該法人の修正経理を待って減額更正をすると定めていることと対比し、本件外注費についても、法定申告期限から5年以内であれば減額更正が認められるのであろうが、その場合の法人税基本通達2-2-16の取扱いとの関係がどうなるのかという問題も惹起する。
(3)次に、本件通知書に係る理由付記については、本件各判決は、本件更正が、「帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合」であることを重視し、最高裁昭和38年判決及び最高裁昭和60年判決を引用しつつ、「本件外注費は、平成12年11月分から平成13年10月分までの外注費であると認められ、そのため平成21年3月期における損金に算入されないと評価したということが十分に読み取れるものであり、結論に至る判断過程が示されているといえる。」と判示し、当該理由付記に不備はない旨判示している。
 しかしながら、本件においても、前掲大阪高裁平成25年1月18日判決が指摘するように、本件外注費が平成21年3月期の損金に算入されないことについての法令等の適用関係や何故そのように解釈するかの判断過程の記載がないことには変りがないわけであるから、前掲大阪高裁判決とのバランス上の疑問は依然として解消されないことになる。
 もっとも、筆者自身も最高裁昭和60年判決の考え方を支持するものであり、前掲大阪高裁判決が指摘するような判断過程については、前述した実体法上の損金算入の可否について論じれば足りるものと考えられる。

5 本件各判決の意義と問題点  以上のように、本件においては、過年度の外注費(本件外注費)が当期の損金の額に算入できるかという争点、本件外注費の損金不算入とする本件更正に係る更正の理由付記の程度(不備の違法性)という争点が争われたものである。本件各判決は、前者については、公正処理基準の内容を限定的に解した上で、本件外注費を当期である平成21年3月期の損金の額に算入できないとし、後者については、本件の理由付記についても最高裁昭和60年判決の射程に入るものとしてその適法性を認めている。上記の各争点とも、法人税法関連法の解釈上、あるいは租税手続法上、それぞれ重要なテーマであるので、それらを判示した一事例として、本件各判決は評価できる(意義がある。)。
 しかしながら、特に、本件外注費の損金処理については、前述したように、会計からみた公正処理基準と法的な解釈論における公正処理基準との間に相当ギャップのある問題であり、課税当局の過年度損失の損金処理についてはいささか御都合主義的な面もあるので、本件各判決の考え方や結論がそれ程妥当なものであるとも考えられない。よって、それらは、今後、一層の検討があって然るべきであると考えられる。
(注1)詳細については、品川芳宣「課税所得と企業利益」(税務研究会 昭和57年)261頁以下参照。
(注2)公正処理基準の立法趣旨については武田昌輔「公正処理基準と税法」租税法研究第4号(租税法学会誌 昭和52年)71頁、品川芳宣「中小企業の会計と税務」(大蔵財務協会 平成25年)128頁等参照。
(注3)前出(注1)、(注2)各書参照。
(注4)他方、金融商品取引法では、同法に定める財務書類について、同法の内閣府令である財務諸表等規則の定めによって作成するものとし(同規則1①)、同規則において定めのない事項については、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」(同規則1①)とし、金融庁に付設されている「企業会計審議会」により公表された企業会計の基準は、前項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。」(同規則1②)と定め、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」の内容を同規則で特定している。
(注5)前出(注1)、(注2)各書参照。
(注6)現行法では、脱税工作費については、別段の定めによって損金不算入としている(法法55①)。
(注7)権利確定主義については、金子宏「租税法 第22版」(弘文堂 平成29年)294頁等参照。
(注8)もっとも、同判決の少数意見では、輸出取引の収益計上の会計慣行を斟酌し、為替取組日基準でも良いとしている。
(注9)森文人「法人税基本通達逐条解説 六訂版」(税務研究会 平成23年)222頁。
(注10)横浜地裁昭和60年7月3日判決(行裁例集36巻7・8号1081頁)、東京高裁昭和61年11月11日判決(同37巻10・11号1334頁)、最高裁昭和62年7月10日第二小法廷判決(税資159号65頁)、東京地裁平成25年10月30日判決(平成24年(行ウ)第212号)、東京高裁平成26年4月23日判決(平成25年(行コ)第399号)等参照。
(注11)更正の理由付記の法的効力、趣旨、程度の判例の動向については、品川芳宣「国税通則法の理論と実務」(ぎょうせい 平成29年)111頁以下参照。なお、最高裁昭和38年判決に追従した代表的な最高裁判決については、最高裁昭和38年12月27日第二小法廷判決(民集17巻12号1871頁)、最高裁昭和47年3月31日第二小法廷判決(民集26巻2号319頁)、最高裁昭和47年12月5日第三小法廷判決(民集26巻10号1795頁)、最高裁昭和51年3月8日第二小法廷判決(民集30巻2号64頁)等参照。
(注12)大阪高裁昭和60年7月30日判決(行裁例集36巻7・8号1191頁)、東京高裁平成3年6月26日判決(同42巻6・7号1033頁)、東京地裁平成12年11月30日判決(訟務月報48巻11号2785頁)等参照。
(注13)前出(注7)の第21版849頁。ただし、第22版では一部修正されている(同版890頁)。
(注14)詳細については、前出(注11)115頁等参照。

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