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解説記事2017年09月11日 【未公開裁決事例紹介】 会社更生法で債権に変更も免除額は譲渡損失にあらず(2017年9月11日号・№706)

未公開裁決事例紹介
会社更生法で債権に変更も免除額は譲渡損失にあらず
新株予約権付社債は他への移転はないと判断

○転換社債型新株予約権付社債が、会社更生法による更生計画に基づき民法上の「指名債権」に権利変更され、その一部が免除されたことについて、当該免除された金額が株式等の譲渡損失であるか否かが争われた裁決。国税不服審判所は、請求人は権利者として更生会社に対して必要な手続を行い、その結果、更生会社から弁済額及び免除額の通知を受けているのであるから、請求人が本件新株予約権付社債を他に移転させたとは認められないとし、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は適用できないとの判断を示した(平成28年12月8日、棄却)。

基礎事実等
(1)事案の概要
 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、自己の保有する新株予約権付社債について、発行会社の更生計画が認可決定されたことにより損失が生じたとして、上場株式等の譲渡所得、配当所得又は利子所得の各所得金額から当該損失の額を控除して所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の確定申告をしたところ、原処分庁が、請求人は当該社債の権利者として債権額の一部返還を受けたものであり、当該社債を譲渡した事実はないことから、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のものをいい、以下「措置法」という。)第37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》第1項及び同法第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第1項は適用されないなどとして各更正処分等をしたのに対し、請求人が、当該損失は上場株式等に係る譲渡損失であるなどとして、原処分の全部について取消しを求めた事案である。
(2)関係法令の要旨(略)
(3)基礎事実
 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人は、×××が発行した次の転換社債型新株予約権付社債(以下「本件新株予約権付社債」という。)、数量合計××を、×××を通じて購入した。
(イ)130%コールオプション条項付第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(期中償還請求権及び転換社債型新株予約権付社債間限定同順位特約付)、数量××
(ロ)130%コールオプション条項付第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(期中償還請求権及び転換社債型新株予約権付社債間限定同順位特約付)、数量××
ロ ×××は、×××、××裁判所に対し更生手続開始の申立てを行い、その後、更生手続開始の決定、更生計画案の提出を経て、×××、同裁判所から更生計画認可の決定(以下「本件更生計画認可決定」という。)を受けた(以下、更生手続開始決定を受けた×××を「本件更生会社」といい、本件更生計画認可決定を受けた更生計画を「本件更生計画」という。)。
  なお、請求人は、上記一連の更生手続において、×××から、請求人が本件新株予約権付社債の社債権者であることを証明する旨が記載された、×××付の「社債株式等の振替に関する法律第222条の規定に基づく証明書」と題する書面(以下「本件証明書」という。)の交付を受けた。
ハ 請求人は、本件更生会社から、×××付の「更生計画認可決定のお知らせ」と題する書面(以下「本件お知らせ」という。)により、本件更生計画認可決定を受けた旨、また、当該決定に伴う効果等について要旨次のとおり通知を受けた。
(イ)本件更生会社の社債権者が本件更生計画認可決定日現在で保有している債権額を基準として、本件更生計画に従い、××の確定額弁済と追加弁済及び残額の免除が行われる。
(ロ)本件更生会社の新株予約権付社債に係る更生債権(以下「本件更生債権」という。)は、本件更生計画認可決定日に会社法上の「社債」から民法上の「指名債権」となり、以後、×××を振替機関とする振替社債としての取扱いは終了し、振替口座簿の記録等は抹消される。
(ハ)×××の社債管理者としての業務は終了し、社債管理者が、本件更生計画認可決定後、本件更生債権に対する弁済を受領することはなく、本件更生会社から各社債権者に対して直接弁済される予定である。
ニ 請求人は、本件更生会社から、×××付「××による出資完了のお知らせ及び第1回分割弁済等に関するご案内」と題する書面により、本件更生計画に従い、第1回分割弁済の金額及び弁済予定日の通知を受けた。
ホ 請求人は、平成25年分の所得税等の確定申告について、別表の「確定申告」欄のとおり記載した確定申告書を提出した。
  なお、請求人は、本件新株予約権付社債の譲渡に係る損失金額××(以下「本件損失」という。)が生じたとして、措置法第37条の12の2の規定を適用して、本件損失を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除し、翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失の金額を××(以下「本件繰越損失額」という。)とする平成25年分の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)等を上記確定申告書に添付した。
へ 請求人は、平成26年分の所得税等について、本件繰越損失額を譲渡所得の金額、配当所得の金額及び利子所得の金額から控除することができるとして、別表の「確定申告」欄のとおり記載した確定申告書を提出した。
(4)審査請求に至る経緯(略)

争点および主張
(1)本件損失は、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当するか否か(争点1)。
(2)本件繰越損失額を、請求人の平成26年分の利子所得の金額から控除することができるか否か(争点2)。
 当事者の主張はのとおり(上記(2)の当事者の主張は省略)。

【表】当事者の主張(本件損失は、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当するか否か。)について
原処分庁 請 求 人
 譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいうものと解されるところ、本件損失は、本件更生計画に基づき、請求人を権利者として、その支払が一部免除されたことにより生じた損失であり、本件新株予約権付社債を他に移転させることによって生じた損失ではない。
 したがって、本件損失は、株式等を譲渡したことにより生じた損失とは認められず、措置法37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当しない。
 本件新株予約権付社債は、本件証明書及び本件お知らせの記載内容からすると、本件更生計画に基づき請求人から×××へ移管されたものと読み取ることができ、このことは、措置法第37条の12の2第2項第3号に規定する登録金融機関に対する譲渡に該当する。
 したがって、本件損失は、株式等の譲渡をしたことにより生じた損失であり、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当する。

審判所の判断
(1)争点1(本件損失は、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当するか否か。)について
 イ 検討
(イ)譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう旨規定しているところ(所得税法第33条《譲渡所得》第1項)、資産の譲渡とは、有償、無償を問わず譲渡性のある所有権その他の権利等保有資産を移転させる一切の行為をいうものと解される。
(ロ)これを本件についてみるに、本件損失が株式等の譲渡をしたことにより生じた損失であるというためには、本件新株予約権付社債が請求人から移転していることが前提となる。
 本件新株予約権付社債は、本件更生債権として上記のとおり、本件更生計画に基づき、本件更生計画認可決定日に会社法上の社債から民法上の指名債権に権利変更され、その弁済等は、同日時点において更生債権者が保有している債権額を基準として、本件更生会社から請求人に直接弁済されるところ、請求人は、上記のとおり権利者として、本件更生会社に対して必要な手続を行い、その結果、上記のとおり弁済通知を受けているのであり、請求人が本件新株予約権付社債を他に移転させたとは認められない。
 そして、その他当審判所に提出された証拠資料等によっても、本件の会社更生法に基づく一連の更生手続において、本件新株予約権付社債が請求人から他に移転したと認めるに足る証拠等は認められない。
 したがって、本件新株予約権付社債について、資産の譲渡があったということはできないから、本件損失は、株式等の譲渡をしたことにより生じた損失ということはできない。
 ロ 小括  以上のとおり、本件損失は、株式等の譲渡をしたことにより生じた損失ということはできないから、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失には該当しない。
 ハ 請求人の主張について  請求人は、本件証明書及び本件お知らせを根拠に、本件新株予約権付社債が、×××に譲渡された旨主張する。
 しかしながら、上記のとおり、上記各書面からは、本件新株予約権付社債が本件更生計画認可決定の日をもって会社法上の社債から民法上の指名債権になったことに伴い、×××が、社債管理者として社債権者である請求人のために債権の弁済を受ける権限(会社法第705条《社債管理者の権限等》第1項参照)を有しなくなったことは認められるものの、上記イの(ロ)のとおり、本件新株予約権付社債が請求人から×××へ移転された事実は認められず、資産の譲渡があったということはできないから、請求人の主張には理由がない。
(2)争点2(本件繰越損失額を、請求人の平成26年分の利子所得の金額から控除することができるか否か。)について  上記(1)のロのとおり、本件損失は、措置法第37条の12の2第1項及び同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失に該当しないことから、その余について判断するまでもなく、同条第6項に規定する繰越控除の適用はない。
(3)本件各更正処分の適法性について  以上によれば、本件各更正処分には、争点についてこれを取り消すべき理由はない。そして、当審判所においても、これに基づき算出した請求人の平成25年分及び平成26年分の所得税等の納付すべき税額は、いずれも本件各更正処分の納付すべき税額と同額であると認められる。
 したがって、本件各更正処分はいずれも適法である。
(4)本件賦課決定処分の適法性について  平成26年分の更正処分は、上記(3)のとおり適法であり、通則法第65条第1項所定の要件を充足するところ、当該更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、同条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。そして、当審判所においても平成26年分の過少申告加算税の額は、本件賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であると認められる。
 したがって、本件賦課決定処分は適法である。
(5)結論  以上によれば、審査請求には理由がないから、いずれも棄却することとし、主文のとおり裁決する。

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