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解説記事2017年09月25日 【税務マエストロ】 非課税(2)~土地の譲渡及び貸付け(2017年9月25日号・№708)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
非課税(2)~土地の譲渡及び貸付け

#197 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#198
租税条約の意義と現状③
PwC税理士法人
品川克己
税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

マエストロの解説  土地は消費の対象となるものではなく、その譲渡は現金が土地に変わるだけの単なる資本の移転であることから非課税とされている。また、土地の貸付けについては、土地の譲渡との課税のバランスを考慮して非課税とされたものである。
 今月は、非課税となる土地の譲渡と貸付けについて、その非課税範囲を確認するとともに、国税庁の質疑応答事例の内容を検討する。

1 非課税となる土地の譲渡及び貸付け(消基通6-1-1~3)  土地の範囲には、借地権のように土地に存する権利も含まれるため、借地権の譲渡や貸付けも非課税となる。また、借地権の更新料や名義書換料は、その実態が借地権の対価の一部であることから、その名義の如何に関わらず、非課税として取り扱うこととされている。
 ただし、土地取引に関連するもののすべてが非課税というわけではなく、土地の売買に伴い不動産業者が収受する仲介手数料や整地に伴い土建業者が収受する造成費は、たとえ土地取引に関係するものであっても課税されることになる。土地造成費については、これを支払う事業者はその金額を土地の帳簿価額に加算するわけであるが、経理処理や勘定科目にかかわらず課非区分をしなければならない(図表1参照)。


2 土地の貸付けに関する取扱い(消令8・消基通6-1-4~5)  土地の貸付けについては、「譲渡」と異なり非課税となるためのさまざまな要件が設けられている。1か月未満の短期貸付けや施設としての貸付けは、たとえ土地の貸付けであっても課税されることになる。
 貸店舗の賃料などについては、土地の上に店舗が建っているわけであるから、土地部分は非課税と考えられなくもないのであるが、たとえ賃料を地代と家賃に区分する契約を結んだとしても、その全体が家賃として課税されることになる(図表2参照)。


3 質疑応答事例
○道路占用料(非課税-土地の譲渡及び貸付け1)
【照会要旨】 【回答要旨】
(1)道路区域内の地中に構築物を埋設する場合、道路区域内の上空に看板等の工作物が突出する場合及び祭礼等に当たり道路を店舗用として使用する場合に徴される道路占用料  土地の貸付けに係る対価に該当しますので、その貸付期間が1か月未満である場合を除き、非課税となります。

 なお、実際の貸付期間が1か月未満である場合に、1か月分の道路占用料を収受することとしているときであっても、その貸付期間が1か月未満であることから、その道路占用料は、課税の対象となります。
(2)道路区域内の路上又は地中に連続した構築物(電気、通信用の配線、ガス等の導管など)を付設する場合に、その構築物が橋梁上又はトンネル内に及ぶことがあり、これについて徴される道路占用料
(3)橋梁上又はトンネル内に構築物を付設する場合に徴される橋梁等の建設負担金  当該施設等を利用する権利の設定に係る対価に該当し、課税の対象となります。
 ※【照会要旨】と【回答要旨】は筆者が雛形をアレンジしている

○耕作権の譲渡(非課税-土地の譲渡及び貸付け2)
【照会要旨】  耕作権は、土地の上に存する権利に該当するのでしょうか。
 土地の上に存する権利とすれば、鉱業権や採石権とどこが違うのでしょうか。
【回答要旨】  耕作権は土地の上に存する権利であり、その譲渡は非課税となります。
 なお、耕作権は土地を耕作する権利であり、土地を使用収益する権利の一つですが、鉱業権(採掘権、試掘権)や採石権は、鉱石や岩石の採取のために特別法で認められた物権であり、土地の使用収益を目的とする耕作権とはその性質を異にします。
 したがって、採掘料や採石料は、鉱石等の採取の対価であり、土地の使用収益の対価ではないので課税の対象となります。

<解説>  耕作権とは、耕作者が土地を耕作する権利のことをいい、耕作者は、土地を耕し、農作物などを育成させて収穫することを目的とするものである。収穫された農作物については、耕作権の権利関係は発生しない。こういった理由から、耕作権は土地の上に存する権利として、その譲渡を非課税としている。
 これに対し、鉱業権や採石権とは、土地に埋蔵されている鉱石や岩石を採取する権利のことをいい、鉱業権や採石権を譲渡するということは、いわば鉱石や岩石を譲渡することと実態は変わらない。こういった理由から、鉱業権や採石権の譲渡は課税されるものである。

○土地の賃貸借により行われる採石等(非課税-土地の譲渡及び貸付け3)
【照会要旨】  他人の土地で採石する場合、採石法による採石権を設定せずに、土地の賃貸借の形態により採石している場合がありますが、この場合の土地の賃貸料は非課税となるのでしょうか。
 また、土地の賃貸借により砂利を採取する場合はどうでしょうか。
(注)1 実態は、採石権を設定することに代えて賃貸借とする場合が多い。
   2 砂利の場合、採石権を設定して採取する例はありません。
【回答要旨】  土地の賃貸借の形態により行われる採石であっても、採石法第33条《採取計画の認可》に規定する採取計画の認可を受けて行うべき採石であれば、その賃貸料及び採石料は、物権である採石権を設定して採石する場合の採石料と同様に課税の対象となります(消基通6-1-2)。
 また、他人の土地で砂利の採取を行う場合は、一般に賃貸借の形態により行われますが、この場合も砂利採取法第16条の規定により採取計画の認可を受けて行われるべきものであれば、その賃貸料及び採取料は、砂利の採取の対価として課税の対象となります(消基通6-1-2)。

○貸ビル建設期間中に借主が支払う地代相当額(非課税-土地の譲渡及び貸付け4)
【照会要旨】  A社は、B社がB社の所有する土地に建設するビルを専属的に賃借することを条件として、当該ビルの建設期間中に係る地代相当額を支払うこととしました。
 この場合、A社がB社に支払う地代相当額は土地賃貸料として非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  A社が支払う地代相当額は土地の使用に係る対価ではありませんから非課税とはならず、完成後のビルをA社が専属的に利用することを条件として支払われる金銭であることから、ビル賃貸借契約に係る権利金等と同様の性格を有するものと考えられます。したがって、当該地代相当額は課税の対象となります。
 なお、ビルの完成後において土地の地代相当額を支払うこととしても、その土地の使用はビルの賃貸に伴うものであり、非課税となる土地の貸付けには該当しません。

<解説>  建物の賃貸借契約にあたり収受する保証金や権利金などのうち、賃借人に返還しない金額については、家賃や地代の先取りと考え、課税の対象とされる。よって、建設期間中に支払う地代相当額は、「地代」という名目にはなっているものの、その実態は返還不要となるビル賃貸借契約に係る権利金であり、賃借人は課税仕入れとして処理することができる。
 建物の賃貸借契約にあたり収受する保証金や権利金などのうち、契約期間終了時に返還する部分の金額は賃借人からの預り金であり、課税の対象とはならない。
 なお、建物を賃借人が破損した場合や、契約により毎年5%ずつ保証金を償却するような場合については、その返還しないこととなった時点で、その返還不要となる金額を課税の対象に組み込むことになる(消基通5-4-3・9-1-23・5-2-7)。
(注)住宅の貸付けは、課税対象取引に区分したうえで非課税取引となる。


○建物部分と敷地部分を区分記載した賃貸料(非課税-土地の譲渡及び貸付け5)
【照会要旨】  オフィスビルを賃貸する場合において、敷地部分の賃貸料を区分して記載している場合には、その敷地部分の賃貸料は非課税と考えてよいでしょうか。
【回答要旨】  ビル等の貸付けの対価は、その建物の所在する場所の地価によって決定される場合が多いとしても、それは賃貸料を決める場合の一要素に過ぎません。また、ビル等の貸付けに伴う土地の使用は、そのビル等の貸付けに必然的に随伴するものであり、その使用は土地の貸付けに該当しません(消令8)。
 したがって、賃貸借契約において敷地部分の賃貸料を区分して記載している場合であっても、その部分を含めた賃貸料全額が建物の賃貸料として、課税の対象となります(消基通6-1-5(注)2)。

○借地権の譲渡又は転貸に際して地主に支払われる名義書換料(非課税-土地の譲渡及び貸付け6)
【照会要旨】  民法第612条《賃借権の譲渡又は転貸の制限》によれば、賃借人は、賃貸人の承諾がなければその権利の譲渡や賃借物の転貸はできないこととされていますが、次のような場合の名義書換料等について、それぞれ消費税はどうなるのでしょうか。
【照会要旨】 【回答要旨】
(1)借地上に建物を所有している者が第三者に借地権付で建物を譲渡する際に、地主に支払う名義書換料(承諾料)  借地上に建物を所有している者が第三者に借地権付で建物を譲渡する際、地主が借地人から承諾の対価として受ける名義書換料は、他の者に土地を利用させることの対価と認められますので、非課税となります。
(2)借家人が、その借家を第三者に転貸しようとする際に借家の所有者に支払う承諾料  借家人がその借家を第三者に転貸しようとする際に、借家の所有者が借家人から受ける承諾料は、他の者に建物を利用させる対価として課税となります(他の者への建物の貸付けが住宅の貸付けである場合には非課税です。)。
 ※【照会要旨】と【回答要旨】は筆者が雛形をアレンジしている

○電柱の使用料(非課税-土地の譲渡及び貸付け7)
【照会要旨】  道路又は土地の使用許可に基づく電柱の敷地の使用料は、土地の貸付けに該当し非課税とされますが、電柱に広告物を取り付ける場合に収受する電柱の使用料も非課税となりますか。
【回答要旨】  電柱を広告等のために使用させる場合に収受する電柱の使用料は、電柱の一部の貸付けの対価であり、土地の貸付けに該当しないことから課税の対象となります。

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