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解説記事2017年11月20日 【税務マエストロ】 非課税(4)~金融取引・保険料(1)(2017年11月20日号・№716)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
非課税(4)~金融取引・保険料(1)

#201 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#202
租税条約と配当課税②
PwC税理士法人
品川克己
税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

マエストロの解説  金銭の貸付けや預入れなど資金の流れに関する取引は、通常の財産やサービスの流れに課税する消費税にはなじまない。また、保険は、保険料を支払う者が保険集団を構成し、その集団のなかで相互保証をするしくみになっており、保険会社が収受する保険料は、保険会社が行ったサービスに対する対価ではあるものの、預金利息などに類似するものであることから非課税とされたものである。今月は、非課税となる金融取引と保険について確認するとともに、国税庁の質疑応答事例の内容を検討する。

1 金融取引の範囲(消基通6-3-1)  金融取引は、現今の経済状勢のもとにおいては複雑怪奇にわたっているのであるが、実質的な経済的効果は貸付金の利子と同質のものと考えていただきたい。
 例えば手形の割引料であるが、100万円の手形を95万円で割り引いた場合、銀行は決済日に5万円の割引料を収入することになる。これは、95万円の金銭を貸し付けて、返済日に利息共に100万円を収受する行為と何ら変わるところはない。割引債を購入し、満期に額面金額で償還する行為や、金銭を信託し、期日に収益分配金を取得する行為も実質的な効果は同じであり、これらの金銭の流れに付随して発生する「もうけ」について、消費税を非課税としたわけである。
 証券投資信託に対する収益分配金については、所得税、法人税においては、公社債にかかるものは利子、株式にかかるものは配当として取り扱われているが、金銭を信託するという行為は預金の預入れなどと実質的には変わらないことから、消費税ではすべて非課税として取り扱うこととしているので注意が必要だ。
 また、売掛金を支払期日前に回収したことにより取引先に支払う売上割引や、買掛金を支払期日前に支払ったことにより取引先から収受する仕入割引については、会計上は利子的な性格を有するものとされているが、消費税の世界では売上代金や仕入代金のマイナス項目(売上(仕入)対価の返還)として取り扱うことになる(消基通6-3-4)。
 売上割引は支払利息ではない。また、仕入割引は受取利息ではないということに留意する必要がある(図表1参照)。


2 保険料の範囲(消基通6-3-1~3)  非課税となる保険料には、保険会社との契約により支払われる損害保険などの保険料のほか、共済制度に基づいてその構成員が負担する共済掛金も非課税となる。会社負担の健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などは「法定福利費」として処理することになるが、これも非課税となるので仕入税額控除はできない。
 債務保証をしたことにより、その保証日数に応じて収受する信用の保証料や、債務者に代って金融機関などに担保提供をしたことにより収受する物上保証料は、その実体は保険料であることから同様に非課税となる。
 非課税となるのは保険料などを対価とする役務の提供だけであり、保険代理店が収受する代理店手数料や調査手数料などは消費税が課税されることに注意する必要がある(図表2参照)。


3 国税庁質疑応答事例

○金銭の貸付時に収受する契約締結料及び事務手数料(役務の提供2)
【照会要旨】  金融業を営む法人が、顧客と金銭消費貸借契約を締結するときに、
1 契約締結料として1件ごとに50,000円を、
2 さらに、事務手数料として貸付金額の1%相当額をそれぞれ収受しています。
 消費税法上、この契約締結料及び事務手数料は、課税の対象となるのでしょうか。
 なお、事務手数料は、利息制限法第3条《みなし利息》の規定により、利息とみなされています。
【回答要旨】  いずれも、役務の提供の対価であり、消費税法上、金銭の貸付けの対価としての「利子」に該当しないので、課税の対象となります。
 金銭の貸付けの際に収受する各種手数料については、利息制限法上「利息」とみなされるか否かにかかわらず、課税の対象となります。

○クレジット手数料(非課税-利子を対価とする貸付金等1)
【照会要旨】  次のクレジット手数料は、課税の対象となるのでしょうか。
1 加盟店が信販会社へ支払うもの(債権譲渡の対価が安くなる部分)
2 消費者が信販会社へ支払うもの

【回答要旨】 1 信販会社が加盟店から譲り受ける債権の額(100)と加盟店への支払額(90)との差額(10)は、消費税法施行令第10条第3項第8号に該当し、非課税となります。
2 消費者が信販会社に支払う手数料は、包括信用購入あっせん又は個別信用購入あっせんに係る手数料又は賦払金のうち利子に相当する額であり、非課税となります(消令103九、十)。

<解説> 1 クレジット手数料の取扱い  クレジット手数料(信販会社が加盟店から譲り受ける債権の額(100)と加盟店への支払額(90)との差額(10))とは、いわば「債権売却損」であり、たとえこれを支払手数料勘定で処理していたとしても当然に課税仕入れとはならない。
 信販会社が購入した売掛債権を全額回収した場合には、その購入金額(90)と回収金額(100)の差額(10)が信販会社の儲けとなるわけであるが、この債権の取り立てによる差益(儲け)は貸付金の利息や手形の割引料と同質のものであり、信販会社の非課税売上げとなる(消基通6-3-1(10))。
 クレジット手数料は、債権金額の○%と契約により取り決めていることが多いようである。たとえば、債権金額が10,800円で、クレジット手数料が債権金額の10%という取り決めの場合には、天引きされるクレジット手数料は1,080円(10,800円×10%)となり、金額面だけをみると、いかにも消費税が課税されているような数字になってしまうので注意が必要だ。
 当たり前のことであるが、消費税の課税区分を判定するときは、支払金額がいくらであるかなどということは基本的に関係がない。また、商品などの値段を設定する際にも、内税でジャスト10,000円とするか、あるいは外税で10,800円という値段設定にするかということは経営判断の問題であり、税額計算とは基本的に関係のないことである。
 1,080円という金額面だけをみて即座に課税であると判断してはいけないということである。
2 売掛債権の譲渡対価の取扱い  加盟店は、商品の販売時と売掛債権(有価証券)の譲渡時に次の仕訳により処理をすることになる。

 この場合において、加盟店は、有価証券の譲渡対価90が発生するものの、資産の譲渡対価として取得した売掛債権の譲渡は、売上高の二重計上を防止する観点から課税売上割合の計算に関係させないこととしている(消令48②二)。よって、売掛金の譲渡対価90は、課税売上割合の分母に計上する必要はない。

○金銭債権の買取り等に対する課税関係(非課税-利子を対価とする貸付金等2)
 売掛金、貸付金等の金銭債権に関する次の取引は、どのように取り扱われるのでしょうか。

【照会要旨】 【回答要旨】
(1)相手方から金銭債権を譲り受け、債務者から回収できなかった場合には、当該相手方から譲受対価の返還を求めることとしているときの割引料又は手数料と称する金銭
  なお、譲受対価は、現金又は手形で支払います。
 譲り受けた金銭債権について債務者から回収できなかった場合には、債権者から譲受対価の返還を求めることとされていますから、割引料又は手数料等は金銭債権の取立てという役務の提供の対価の側面も有しますが、契約上金銭債権の譲受けであれば金銭債権の譲受対価(消令10③八)として非課税となります。
(2)相手方から金銭債権を譲り受け、債務者から回収できるかどうかにかかわらず、金銭債権額から割引料、保証料又は手数料を控除して現金又は手形で支払います。  金銭債権の譲り受けの際に債権者から徴収する割引料、保証料又は手数料は、その名目の如何にかかわらず、金銭債権の譲受対価として非課税となります。
※【照会要旨】と【回答要旨】は筆者が雛形をアレンジしている

<解説>  この質疑応答事例は、【照会要旨】が(1)と(2)に区分されてはいるものの、結論として、金銭債権の譲り受けに伴い収受する金銭は、割引料、保証料、手数料などの名目如何に関わらず、非課税になるということである。
 例えば、95万円で購入した額面100万円の債権が回収不能となったため、これを額面金額で売り戻す場合の仕訳は次のようになり、債権譲受差益5万円が非課税となる。

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