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解説記事2017年12月04日 【法令解説】 新たな「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度」について(2017年12月4日号・№717)

法令解説
新たな「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度」について
 厚生労働省 医政局 医療経営支援課 佐々木和哉

Ⅰ 持分の定めのない医療法人について

 地域医療の重要な担い手である医療法人においては、非営利での運営が原則とされており、剰余金の配当が禁止されている。しかし、従来は、社団である医療法人の解散時における法人の残余財産については、当該法人の出資者に対して分配することを禁止していなかった。このような医療法人を、「持分の定めのある医療法人(以下「持分あり医療法人」という。)」という。
 しかし、このような取扱いは、実質的に剰余金の配当がなされているとの指摘があり、また、出資者の死亡に伴う相続税納税のために相続人が医療法人へ持分の返還請求を行う可能性があることから医療法人の医業継続への支障となっているといった課題があった。
 このため、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号。以下「平成18年改正法」という。)」において、医療法人の非営利性の徹底を図るとともに、出資者の死亡に伴う持分の返還という問題を解消し、地域医療の安定性を確保するため、解散時に残余財産を出資者に分配することができない、いわゆる「持分の定めのない医療法人(以下「持分なし医療法人」という。)」を原則とした。ただし、平成18年改正法施行の時点で持分あり医療法人であったものについては、当分の間、持分あり医療法人のままで存続することができることとし、持分なし医療法人への自主的な移行を促すこととした。

Ⅱ 持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度の創設について
 しかし、平成18年改正法以降も持分なし医療法人への移行は進まず、平成25年3月末におけるすべての社団たる医療法人のうち、持分あり医療法人の割合は86.5%と依然高い水準にあった(平成19年3月末における同割合は99.0%)。
 そこで、平成18年改正法の趣旨を徹底し、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行を促進するため、平成26年に、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)」によって、移行の方針を決定した医療法人が作成する移行に係る計画(以下「移行計画」という)を厚生労働大臣が認定し、当該認定を受けた医療法人に対し、厚生労働省として計画達成のための助言、指導、資金のあっせん等の援助を行うよう努める制度を創設した。なお、当該認定は、平成26年10月1日から平成29年9月30日までの3年間の時限的な措置とされた。
 本制度により、当該認定を受けた医療法人は、税制措置と融資措置によって支援を受けられることとなった。税制措置とは、持分あり医療法人の持分を相続または遺贈により取得した場合や、持分あり医療法人の出資者が持分を放棄したことにより、他の出資者の持分が増加することで、贈与を受けたものとして他の出資者にみなし贈与税が課される場合、これらの相続税、贈与税の納税が猶予(最大3年間)されるというものである。そして、実際に移行計画どおりに持分なし医療法人に移行した場合には、これらの税が免除されることとなった。ただし、出資者が持分を放棄したことにより当該医療法人が経済的利益を受けたことに対してはみなし贈与税が課せられ、これを非課税とするためには、移行計画の認定とは別に国税庁が設けた非課税基準を満たす必要があった。また、税務署の個別判断により課税とされる場合もあるため、この非課税基準の適用については慎重な判断が必要であった。融資制度については、認定を受けた医療法人は、持分なし医療法人への移行を進める際に出資持分の払戻が生じ、資金調達が必要となった場合、独立行政法人福祉医療機構から経営安定化資金の貸付を受けることができるようになった。なお、貸付限度額は2億5千万円であり、償還期間は8年間である。

Ⅲ 平成29年の医療法改正について
 移行計画の認定期限が近づいてきた平成28年3月末時点において、すべての社団たる医療法人のうち、持分あり医療法人の割合は78.7%あり、持分なし医療法人への移行は進んでいるものの、依然として持分あり医療法人が大多数を占めていた。そこで、「医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)」により制度改正を行い、移行計画の認定の期限を延長するとともに、適正な運営が確保された医療法人への援助を強化するために認定要件の見直し等を行った。本改正による見直しの内容は、具体的には以下のとおりである。
① 認定の期限の延長(平成29年6月14日施行)
  厚生労働大臣が移行計画の認定を行うことができる期限を平成32年9月30日まで延長した。
② 認定要件の追加(平成29年10月1日施行)
  移行計画の認定の要件に、持分なし医療法人へ移行しようとする医療法人が、その運営に関し、社員、理事、監事、使用人その他の当該医療法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであることその他の厚生労働省令で定める要件に適合するものであることを追加した。
③ 認定の失効時期(平成29年10月1日施行)
  ②に関する改正規定が施行された日以後に、移行計画の認定を受けた場合には、その認定は当該医療法人が持分なし医療法人になった日から6年を経過したときに効力を失うものとした。
④ 認定医療法人への支援及び認定医療法人からの報告(平成29年10月1日施行)
  ②に関する改正規定が施行された日以後に、移行計画の認定を受けた医療法人に対し、当該医療法人の移行が完了した日から6年を経過する日までの間、移行後の法人の運営の安定のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんその他の援助を行うよう努めることとし、当該医療法人は、その間運営の状況について厚生労働大臣に報告しなければならないものとした。
 また、出資者が持分を放棄したことにより当該医療法人が経済的利益を受けたことに対して課されるみなし贈与税については、従前、移行計画の認定とは別に国税庁の非課税基準を満たしていることに関して、税務署の個別判断によらなければ非課税とされることはなかった。これについては、「所得税法等の一部を改正する等の法律(平成29年法律第4号)」により、医療法人に課されるみなし贈与税についても移行計画の認定を受けていれば非課税とされることとなった。

Ⅳ 医療法施行規則の一部を改正する省令の内容について
 移行計画の新しい認定制度の施行のため、医療法施行規則の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第101号)により、医療法施行規則の改正を行った。移行計画の認定制度に関係する部分の改正内容としては、(1)移行計画の認定要件の追加について、(2)移行計画の変更について、(3)移行計画の認定の取消しについて、(4)厚生労働大臣への報告について、の4点であり、具体的な内容については以下のとおりである(平成29年10月1日施行)。
(1)移行計画の認定要件の追加について  移行計画の認定を受ける医療法人の運営及び事業の適正性を担保するため、運営方法と事業状況に関してそれぞれ以下の要件を追加した。
ア 運営方法に関する要件
 ① 社員や理事等の当該医療法人の関係者に対し特別の利益を与えないこと。
 ② 理事及び監事に対する報酬等について、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該医療法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めていること。
 ③ 株式会社等に対し、寄附その他の特別の利益を与えないこと。
 ④ 当該医療法人の毎会計年度の末日における遊休財産額は、直近に終了した会計年度の損益計算書に計上する事業に係る費用の額を超えてはならないこと。
 ⑤ 当該医療法人について、法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部若しくは一部を隠蔽し、又は仮装して記録若しくは記載をしている事実その他公益に反する事実がないこと。
イ 事業に関する要件
 ① 社会保険診療に係る収入金額、健康増進事業(健康診査に係るものに限る)に係る収入金額、予防接種に係る収入金額、助産に係る収入金額及び介護保険の保険給付に係る収入金額の合計額が、全収入金額の8割を超えること。
 ② 自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること。
 ③ 医療診療により収入する金額が、医師、看護師等の給与、医療の提供に要する費用(投薬費を含む。)等患者のために直接必要な経費の額の1.5倍の額の範囲内であること。
(2)移行計画の変更について  移行計画の認定を受けた医療法人が、その移行計画を変更する場合は再び厚生労働大臣の認定を受ける必要がある。移行計画の変更の認定を受ける場合、変更前と変更後の移行計画の写しや社員総会の議事録等を提出しなければならないこととなっており、この提出書類に、上記の運営及び事業の適正性に関する要件を満たしている旨を説明する資料を追加した。
(3)移行計画の認定の取消しについて  厚生労働大臣は、移行計画の認定を受けた医療法人が不正の手段により認定を受けたことが判明した場合など一定の場合にはその認定を取り消すことができることになっているが、上記の運営及び事業の適正性に関する要件を欠くに至ったとき及び当該医療法人が分割をしたときにも、認定を取り消すことができることとした。
(4)厚生労働大臣への報告について  移行計画の認定を受けた医療法人は、一定の期間、移行計画の実施状況を報告するとともに、持分なし医療法人へ移行する旨の定款の変更について厚生労働大臣に報告しなければならないこととなっており、その際の提出資料に、当該医療法人の運営の状況報告書を追加した。なお、運営の状況報告書の様式については、附則様式第8号として、医療法施行規則に新しく追加した。
 また、持分なし医療法人に移行した認定医療法人は、持分なし医療法人へ移行する旨の定款の変更について都道府県知事の認可を受けた日から6年間、次の①及び②の期間に係る認定医療法人の運営の状況に関する報告書を、①及び②に定める日までに厚生労働大臣に提出しなければならないとする改正を行った。
① 認可を受けた日から5年間、認可の日から起算して1年を経過するごとの日までの期間 各1年を経過する日の翌日から起算して3月を経過する日
② 認可を受けた日から起算して5年を経過する日から6年を経過する日までの期間 当該認可を受けた日から起算して5年10月を経過する日

Ⅴ 「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度について」(平成29年9月29日付け医政支発0929第1号)について
 医療法改正や医療法施行規則の改正により、持分なし医療法人への移行計画の新しい認定制度が平成29年10月1日から開始されることを踏まえ、医政局医療経営支援課長通知(持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度について(平成29年9月29日付け医政支発0929第1号))において、実務での取扱の詳細を示している。ここでは特に重要と思われる、今回新しく認定要件に追加された運営に関する要件の取扱について説明する。
(1)「その事業を行うに当たり、社員、理事、監事、使用人その他の当該医療法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること」について ア 「当該医療法人の関係者」とは、次に掲げるものである。
 ① 当該医療法人の理事、監事、これらの者に準じ当該医療法人が任意に設置するもの又は使用人
 ② 出資者(持分の定めのない医療法人に移行した後にあっては、従前の出資者であって持分を放棄した者を含む。)
 ③ 当該医療法人の社員
 ④ ①から③までに掲げる者の配偶者及び三親等以内の親族
 ⑤ ①から③までに掲げる者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
 ⑥ ①から③までに掲げる者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
 ⑦ ⑤又は⑥に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしている者
イ 当該医療法人が上記「当該医療法人の関係者」に、例えば次のいずれかの行為をすると認められ、その行為が社会通念上不相当と認められる場合には、「特別の利益を与えている」ものと判断される。
 ① 当該医療法人の所有する財産をこれらの者に居住、担保その他の私事に利用させること。
 ② 当該医療法人の余裕金をこれらの者の行う事業に運用していること。
 ③ 当該医療法人の他の従業員に比し有利な条件で、これらの者に金銭の貸付をすること。
 ④ 当該医療法人の所有する財産をこれらの者に無償又は著しく低い価額の対価で譲渡すること。
 ⑤ これらの者から金銭その他の財産を過大な利息又は賃貸料で借り受けること。
 ⑥ これらの者からその所有する財産を過大な対価で譲り受けること、又はこれらの者から当該医療法人の事業目的の用に供するとは認められない財産を取得すること。
 ⑦ これらの者に対して、当該医療法人の役員等の地位にあることのみに基づき給与等を支払い、又は当該医療法人の他の従業員に比し過大な給与等を支払うこと。
 ⑧ これらの者の債務に関して、保証、弁済、免除又は引受け(当該医療法人の設立のための財産の提供に伴う債務の引受けを除く。)をすること。
 ⑨ 契約金額が少額なものを除き、入札等公正な方法によらないで、これらの者が行う物品の販売、工事請負、役務提供、物品の賃貸その他の事業に係る契約の相手方となること。
 ⑩ 事業の遂行により供与する利益を主として、又は不公正な方法で、これらの者に与えること。
(2)「その理事及び監事(以下「理事等」という。)に対する報酬等について、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該医療法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること」について  当該医療法人は、理事等に対する報酬等の支給の基準においては、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定めなければならない。理事等が当該医療法人の使用人として給与、賞与等を受ける場合は、理事等の報酬等と使用人として受ける給与、賞与等を併せて評価される。
(3)「その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行う者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること」について  「特定の個人又は団体の利益を図る活動を行う者」とは、次に掲げる者である。
ア 株式会社その他の営利事業を営む者に対して寄附その他の特別の利益を与える活動を行う個人又は団体
イ 特定の者から継続的に若しくは反復して資産の譲渡、貸付け若しくは役務の提供を受ける者又は特定の者の行う会員等相互の支援、交流、連絡その他その対象が会員等である活動に参加する者に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的とする団体
(4)「毎会計年度の末日における遊休財産額は、直近に終了した会計年度の損益計算書に計上する事業に係る費用の額を超えてはならないこと」について ア 「遊休財産額」は、当該医療法人の業務のために現に使用されておらず、かつ、引き続き使用されることが見込まれない財産の価額の合計額として、直近に終了した会計年度の貸借対照表に計上する資産の総額から次の①から⑤までに掲げる資産のうち保有する資産の明細表に記載されたものの帳簿価額の合計額を控除した額に、純資産の額の資産の総額に対する割合(貸借対照表の純資産の部の合計額の資産の部の合計額に占める割合をいう。)を乗じて得た額である。
  なお、当該医療法人の経理は、その法人が行う業務の種類及び規模に応じて、その内容を適正に表示するに必要な帳簿書類を備えて、収入及び支出並びに資産及び負債の明細が適正に記帳されていなければならない。
 ① 当該医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の業務の用に供する財産
 ② 当該医療法人が行う附帯業務の用に供する財産
 ③ ①及び②に掲げる業務を行うために保有する財産(現に使用されていないが、①及び②に掲げる業務のために使用されることが見込まれる財産とし、業務の用に供するまでに発生する請負前渡金及び建設用材料部品の買入代金等を含む。)
 ④ ①及び②に掲げる業務を行うための財産の取得又は改良に充てるために保有する資金(以下「減価償却引当特定預金」という。)であって、以下の要件を満たすもの
  a 減価償却費に対応する資産の取得又は改良に充てるための資金に限るものとし、減価償却累計額を上限とする。
  b 貸借対照表において次の科目をもって掲記し、他の資金と明確に区分して経理されていること。
   資産の部 減価償却引当特定預金(固定資産のその他の資産に掲記)
  c 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること。ただし、正当な理由がないのに当該資金の目的である財産を取得せず、又は改良しない事実があった場合には、理事会及び社員総会の議決を経て、当該資金の額を取り崩さなければならないこと。
 ⑤ 将来の特定の事業(定款に定められた事業に限る。)の実施のために特別に支出(引当金に係る支出及び③の資金を除く。)する費用に係る支出に充てるために保有する資金(以下「特定事業準備資金」という。)であって、以下の要件を満たすもの
  a 当該資金の目的である事業が、定款において定められていること。
  b 当該資金の額が合理的に算定されていること。
  c 当該資金の目的である事業ごとに、貸借対照表において次の科目をもって掲記し、他の資金と明確に区分して経理されていること。
  (a)資産の部  ○○事業特定預金(固定資産のその他の資産に掲記)
  (b)純資産の部 ○○事業積立金(利益剰余金その他利益剰余金に掲記)
  d 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないものであること。ただし、正当な理由がないのに当該資金の目的である事業を行わない事実があった場合には、理事会及び社員総会の議決を経て、当該資金の額を取り崩さなければならないこと。
イ 「費用の額」とは、損益計算書の本来業務事業損益に係る事業費用の額をいうものである。
(5)「法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部若しくは一部を隠蔽し、又は仮装して記録若しくは記載をしている事実その他公益に反する事実がないこと」について ア 当該要件は、申請日の属する会計年度及び前会計年度について申請日の前日までの間において該当する事実がないことを確認する。
イ 「法令に違反する事実」とは、例えば、医療に関する法令については次に掲げるいずれかの事実がある場合をいう。
 ① 医療に関する法律に基づき医療法人又はその理事長が罰金刑以上の刑事処分を受けた場合
 ② 医療法人の開設する医療機関に対する医療監視の結果、重大な不適合事項があり、都道府県知事から改善勧告が行われたが是正されない場合
 ③ 医療法第30条の11の規定に基づく都道府県知事の勧告に反する病院の開設、増床又は病床種別の変更が行われた場合
 ④ 医療法人の業務若しくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認められた場合であって、医療法第64条第1項の必要な措置をとるべき旨の命令若しくは同条第2項の業務の全部若しくは一部の停止の命令又は役員の解任の勧告が発せられた場合
 ⑤ その他①から④までに相当する医療関係法令についての重大な違反事実があった場合
(6)「社会保険診療に係る収入金額、健康増進事業に係る収入金額、予防接種に係る収入金額、助産に係る収入金額及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額の合計額が、全収入金額の100分の80を超えること」について ア 「社会保険診療」とは、租税特別措置法第26条第2項に規定する社会保険診療をいい、これに係る収入金額には、労働者災害補償保険法に係る患者の診療報酬(当該診療報酬が社会保険診療報酬と同一の基準によっている場合又は当該診療報酬が少額の場合に限る。)を含むものである。
イ 「健康増進事業」とは、健康増進法第6条各号に掲げる健康増進事業実施者が行う健康増進事業をいい、これに係る収入金額とは、以下①から⑩に掲げるものについて、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されているものに限られる。
 ① 健康保険法第150条第1項の規定により保険者が行う健康診査
 ② 船員保険法第111条第1項の規定により全国健康保険協会が行う健康診査
 ③ 国民健康保険法第82条第1項の規定により保険者が行う健康診査
 ④ 国家公務員共済組合法第98条第1項の規定により国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会が行う健康診査
 ⑤ 地方公務員等共済組合法第112条第1項の規定により地方公務員共済組合又は全国市町村職員共済組合連合会が行う健康診査
 ⑥ 私立学校教職員共済法第26条第1項の規定により日本私立学校振興・共済事業団が行う健康診査
 ⑦ 学校保健安全法第5条の規定により学校において実施される健康診断又は同法第11条の規定により市町村の教育委員会が行う健康診断
 ⑧ 母子保健法第12条又は第13条の規定により市町村が行う健康診査
 ⑨ 労働安全衛生法第66条各項の規定により事業者が行う健康診断若しくは労働者が受ける健康診断又は同法第66条の2の規定により労働者が自ら受ける健康診断
 ⑩ 高齢者の医療の確保に関する法律第20条又は第26条の規定により保険者が行う特定健康診査及び第125条第1項の規定により後期高齢者医療広域連合が行う健康診査
ウ 「その他厚生労働大臣が定める予防接種」とは、告示により定める以下のものである。
 ① 麻しんに係る予防接種(予防接種法第2条第6項に規定する定期の予防接種等(以下「定期の予防接種等」という。)を除く。)
 ② 風しんに係る予防接種(定期の予防接種等を除く。)
 ③ インフルエンザに係る予防接種(定期の予防接種等を除く。)
 ④ おたふくかぜに係る予防接種
 ⑤ ロタウイルス感染症に係る予防接種
エ 「助産に係る収入金額」は、社会保険診療及び健康増進事業に係るものを除き、一の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円が限度である。
オ 「全収入金額」とは、損益計算書の本来業務事業損益、附帯業務事業損益に係る事業収益の合計額である。
(7)「自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されること」について ア 「自費患者」とは、社会保険診療に係る患者又は労働者災害補償保険法に係る患者以外の患者をいう。
イ 「社会保険診療報酬と同一の基準」とは、次に掲げるもののほか、その法人の診療報酬の額が診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)の別表に掲げる療養について、同告示及び健康保険法の施行に関する諸通達の定めるところにより算定した額程度以下であることの定めがされており、かつ、報酬の徴収が現にその定めに従ってされているものでなければならない。
 ① 公害健康被害者に係る診療報酬及び予防接種により健康被害者に係る診療報酬にあっては、法令等に基づいて規定される額
 ② 分娩料等健康保険法の規定に類似のものが定められていないものにあっては、地域における標準的な料金として診療報酬規程に定められた額を超えない額
(8)「医療診療により収入する金額が、医師、看護師等の給与、医療の提供に要する費用(投薬費を含む。)等患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であること」について  「医療診療」とは、社会保険診療、労働者災害補償保険法に係る診療及び自費患者に係る診療をいい、これにより「収入する金額」とは、損益計算書の本来業務事業損益に係る事業収益の額をいう。また、「患者のために直接必要な経費の額」とは、損益計算書の本来業務事業損益に係る事業費用の額をいう。

Ⅵ 改正前の移行計画の認定を受けた医療法人について
 平成29年9月30日以前に移行計画の認定を受けた医療法人で、持分の定めのない医療法人へ移行していないものであって、移行計画に記載された移行の期限内にあるものは、平成29年10月1日以降に認定(「特例認定」という。)を改めて受けることができる。ただし、この場合においても、移行計画の移行の期限は、当初認定の日から起算して3年を超えてはならない。
 「特例認定」を受けた場合には、制度改正前に受けた当初認定は将来に向かってその効力を失い、当該認定医療法人には、制度改正後の新しい規定(移行計画の認定、移行計画の変更等、認定の失効、援助及び報告等について)が適用されることとなる。

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