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解説記事2017年12月11日 【SCOPE】 消費税の軽減税率導入でインボイスの政令事項を手当て(2017年12月11日号・№718)

平成30年度改正、適格簡易請求書の電子化も
消費税の軽減税率導入でインボイスの政令事項を手当て

 平成30年度税制改正では、消費税の軽減税率制度導入に伴う措置が講じられることになる。食用の農林水産物を生産する「農林水産業」における簡易課税制度については、みなし仕入れ率を現行の「70%」から「80%」に引き上げる。また、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の政令事項等の整備や適格簡易請求書の電子化も行えるようにする。

農林水産業の簡易課税のみなし仕入率を80%に引上げへ
 平成31年10月1日に消費税率が10%へ引き上げられることに伴い、軽減税率制度も導入されることになる。平成30年度税制改正では、この消費税の軽減税率制度導入に伴う措置が講じられることになる。
 まずは簡易課税制度の見直しだ。具体的には、食用の農林水産物を生産する農林水産業の簡易課税のみなし仕入率を80%(現行70%)に引き上げる。農林水産業については、売上げが軽減税率の8%となるが、仕入れに関しては種子や農薬、農耕機具など、その大半が標準税率(10%)となる。現行のみなし仕入率のままだと、仕入税額が過小に算出されるおそれがあるため、見直しを行うこととしたものである。
電子レシートの普及を踏まえ  また、適格簡易請求書の電子化も行う。小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業等の一定の事業を行う場合には、実務負担に配慮し、「適格請求書」に代えて一部記載事項が簡略化された「適格簡易請求書」を交付することができる。ただし、適格請求書等保存方式においては、適格請求書の電子化が可能になっているが、不特定かつ多数の者に対して交付する適格簡易請求書については、買い手を特定することができないことから電子化はできないこととされている。
 しかし、政府が6月9日に閣議決定した「未来投資戦略2017」では、「レシートの電子化促進のためのフォーマットの統一などの環境整備を本年度内に行う」とされ、今後、「電子レシート」がコンビニ等の小売業者を中心に普及していくことが予想されている。このため、適格簡易請求書についても電子化を認めることとしたものである(図表1参照)。

インボイスへのシステム対応が可能に  そのほか、適格請求書等保存方式の政令事項が未整備であったため、平成30年度税制改正で手当てが行われる(図表2参照)。事業者サイドから軽減税率制度の実施に向けたシステム対応の際に適格請求書等保存方式への対応を行いたいとのニーズがあるためだ。
 主だった内容はすでに平成28年度税制改正大綱に盛り込まれているもの。例えば、適格請求書の交付が困難なものとして交付義務を免除する取引として、①公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送として行われるもの(3万円未満)、②卸売市場、農業協同組合等が委託を受けて行う農水産品の譲渡等、③自動販売機により行われるもの(3万円未満)、④郵便切手を対価とする郵便サービスを規定する。
 また、適格請求書発行事業者の登録・公表事項は、氏名又は名称、登録番号及び登録年月日を基本とし、法人にあっては、更に本店又は主たる事務所の所在地を追加することとする。

【図表2】適格請求書等保存方式の主な政令事項等
(1)適格請求書の交付が困難なものとして交付義務を免除する取引 ①公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送として行われるもの(3万円未満のものに限る。)
②卸売市場、農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等が委託を受けて行う農水産品の譲渡等
③自動販売機により行われるもの(3万円未満のものに限る。)
④郵便切手を対価とする郵便サービス
(2)適格簡易請求書を交付することのできる事業の範囲  小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業又は駐車場業等の不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業
(3)適格請求書の交付方法の特例  媒介又は取次に係る業務を行う者を介して行う課税資産の譲渡等について、委託者・媒介者等の双方が適格請求書発行事業者である場合には、媒介者等の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を交付することができる。
(4)請求書等の交付を受けることが困難なため、帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる取引 ①適格請求書の交付義務が免除される上記(1)①③④に掲げる取引
②適格簡易請求書の要件を満たす入場券等が使用の際に回収されるもの
③古物営業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受けるもの
④質屋を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受けるもの
⑤宅地建物取引業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から買い受けるもの
⑥適格請求書発行事業者でない者から再生資源又は再生部品を買い受けるもの
⑦従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
(5)適格請求書発行事業者登録制度の詳細  登録・公表事項は、氏名又は名称、登録番号及び登録年月日を基本とし、法人にあっては、更に本店又は主たる事務所の所在地を登録・公表事項とする。また、登録番号の構成については、法人については「T+法人番号」、個人事業者その他については「T+13桁の数字」とする。

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