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解説記事2018年04月23日 【税務マエストロ】 非課税(9)~住宅の貸付け(2018年4月23日号・№736)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
非課税(9)~住宅の貸付け
#211 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会税務審議部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学准教授

次回のテーマ
#212
タックスヘイブン対策税制関連のQ&Aについて①
PwC税理士法人
品川克己
税制改正や、中国進出企業の増加に伴い、国際課税上のリスクは高まっている。国際課税の第一人者がそのリスクを検証する。

マエストロの解説
 住宅家賃は国民の生活に直接関係するものであり、また、家計収入に占める比重も比較的大きいことから非課税とされたものである。今月は、非課税となる住宅の貸付けについて、国税庁の質疑応答事例を中心にその内容を確認する。
※質疑応答事例の【回答要旨】については、必要に応じて筆者が適宜内容をアレンジしている。

1 範 囲  住宅の貸付けが非課税とされるのであり、事務所、店舗など居住用でないものの貸付けは消費税が課税される。なお、住宅の貸付けであっても、貸付期間が1月未満のものについては非課税とはならない。旅館、ホテルなどの施設の貸付けは、住宅の貸付けとは当然に異なるものであり、非課税とはならない(消令16の2)。
 また、住宅の貸付けだけが非課税とされるわけであるから、住宅の譲渡は建物の譲渡として当然に消費税が課税されることになる。
 住宅を借上げ、転貸することが契約により明らかにされている場合には、家主からの貸借及び従業員に対する転貸のいずれもが非課税となる。

 したがって、事業者が借上社宅を従業員に転貸するような場合には、当初の賃貸人に支払う社宅の賃借料は非課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象とはならないとともに、従業員から収受する社宅使用料は非課税売上高となり、課税売上割合の計算上、分母に計上することになる(消基通6-13-7)(図1参照)。
(注)家賃には、月決め等の家賃のほか、次のものも含まれる(消基通6-13-9)。
① 敷金、保証金、一時金等のうち契約期間終了時に返還しない部分
② 定額で収受する共益費
 したがって、居住用家屋の貸付けであれば、契約時に収受する礼金や毎月家賃とともに収受する共益費も非課税売上高となり、貸店舗ならば、契約により償却する保証金の額や毎月家賃とともに収受する共益費も課税売上高となる。なお、契約終了時に賃借人に返還する保証金や敷金については単なる預り金であり、課税の対象とはならない。

2 付属設備の取扱い(消基通6-13-1~3)  照明設備、冷暖房設備、駐車場などの付属設備については、住宅に付随して、または一体となって貸し付けられるものは家賃とともに非課税とされるのであるが、別契約により使用料等を収受しているような場合には、設備の貸付けに係るものとして消費税が課税される。

3 店舗兼用住宅などの取扱い(消基通6-13-5~6)  店舗と住宅が併設されているような場合や食事付の寮など、課税部分と非課税部分が混合した貸付けでその対価が区分されていない場合には、これらの対価の額を合理的に区分しなければならない。
 店舗併設住宅であるならば、住宅部分だけが非課税であり、店舗部分は課税となる。同様に、食事付の寮であるならば、食費に相当する部分が課税で、他の部分は住宅家賃として非課税になる。

4 国税庁質疑応答事例
○下宿の取扱い(非課税-住宅の貸付け1)
【照会要旨】  居住用の部屋の貸付けに「まかない」が伴ういわゆる下宿の場合、下宿代は、全額が住宅の貸付けの対価として非課税となるのでしょうか。

【回答要旨】
(注)旅館業法の適用を受ける施設の利用は非課税範囲から除かれていますが、学生又は独身者等が利用するいわゆる下宿は旅館業法上の「下宿営業」には該当しません。

○店舗等併設住宅の貸付け(非課税-住宅の貸付け2)
【照会要旨】  店舗等併設住宅の貸付けは、非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  店舗等併設住宅の居住用部分は住宅に該当しますから、賃貸借契約において居住用に供されることが明らかにされている部分の貸付けは非課税となります(消基通6-13-5)。
 この場合において、建物の貸付けに係る対価の額を住宅に係る対価の額と事業用の施設に係る対価の額とに面積比等により合理的に区分することになります。

○用途変更の取扱い(非課税-住宅の貸付け3)
【照会要旨】  住宅として借りた建物を賃貸人の承諾を得ずに事業用に使用した場合の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】
用途変更 取扱い
 賃貸借に係る契約において住宅として借り受けていた建物を、賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに事業用に使用した場合  建物の貸借料は課税仕入れには該当しません。
 貸付けに係る契約において住宅として貸し付けた建物について、その後契約当事者間で事業用に使用することについて契約した場合  用途変更の契約をした後においては、課税資産の貸付けに該当し、仕入税額控除の対象となります(消基通6−13−8)。

○転貸を前提とした住宅の貸付け(非課税-住宅の貸付け4)
【照会要旨】  賃借人が住宅として転貸することが明らかな建物を賃貸する場合も、住宅の貸付けとして非課税となるのでしょうか。
【回答要旨】  住宅の貸付けについては、契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものについて非課税となりますから、賃借人が転貸する場合であっても、転貸後において住宅として使用することが契約(当初の賃貸人と賃借した建物を転貸する者との間の契約)において明らかにされている場合には、住宅の貸付けに該当するものとして取り扱い、非課税となります(消基通6-13-7)。
 したがって、例えば、事業者が従業員の社宅に使用することが明らかにされている建物を当該事業者に貸し付ける場合には、貸主と当該事業者との間の賃貸料及び当該事業者と従業員との間の賃貸料(使用料)ともに非課税となります。

○集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定(非課税-住宅の貸付け5)
【照会要旨】  集合住宅においては、施設の使用料又は役務の提供の対価を家賃や共益費として収受する場合、又はこれらと別建てで収受する場合がありますが、それぞれの場合についての取扱いはどうなるのでしょうか。
【回答要旨】  基本的な考え方は次のとおりであり、それぞれの収受の形態により、別紙(次頁参照)のとおり取り扱います。
(1)家賃  住宅の貸付けとは別に貸付けの対象となっていると認められる施設や動産部分及びサービス部分については、一括家賃として収受したとしても合理的に区分の上課税対象となります。
 したがって、①通常単独で賃貸借やサービスの目的物となる駐車場施設、プール・アスレチック施設等については、全住宅の貸付けについて付属する場合や住人のみの利用が前提となっている場合など、住宅に対する従属性がより強固な場合にのみ非課税とされ、②もともと居住用としての従属性が認められる倉庫や家具などの施設又は動産については、全体を家賃として収受している以上、非課税として取り扱うこととなります。ただし、入居者の別注により賃貸借の対象となっているものは課税となります。
(2)共益費  住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税となります。
(3)別建請求する各種料金  個別に内容を判定することとなりますが、(2)の共益費に該当するもの以外は、課税対象となります。

【別紙】
この記事に関するご意見・お問合せはta@lotus21.co.jpにお寄せください。

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