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解説記事2018年06月25日 【ニュース特集】 Q&Aで読み解く省エネ再エネ投資税制(2018年6月25日号・№744)

ニュース特集
経済産業局への確認は設備取得後でも可
Q&Aで読み解く省エネ再エネ投資税制

 平成30年度税制改正では、平成30年3月31日で期限切れとなったグリーン投資減税に代わる新たな制度として「省エネ再エネ高度化投資促進税制」が導入された。同税制はグリーン投資減税と違い、税制の適用を受けるには経済産業局等により「確認書」の交付を受ける必要があるなど、その仕組みは大きく異なる。本特集では、「省エネ再エネ高度化投資促進税制」の概要をQ&A形式で解説する。

省エネ促進税制と再生可能エネルギー税制の2つの総称
Q
 省エネ再エネ高度化投資促進税制とはどのような制度なのでしょうか。
A
 省エネ再エネ高度化投資促進税制とは、省エネ促進税制と再生エネルギー税制の2つの制度の総称である。省エネ促進税制は、青色申告書を提出する個人・法人であって、平成30年4月1日(※)から平成32年3月31日までの間に、高度省エネルギー増進設備等の取得等をして、事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)、初年度において取得価額の30%の特別償却(中小企業者等の場合は7%の税額控除との選択適用)を受けることができるというもの。一方、再生可能エネルギー税制は、青色申告書を提出する個人・法人であって、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、再生可能エネルギー発電設備等の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合、その取得価額の20%の特別償却ができるというものである。
※省エネ促進税制の対象者のうち「連携省エネルギー計画の認定を受けた工場等を設置している者」「荷主連携省エネルギー計画の認定を受けた荷主」については、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の一部改正法の施行の日以後の取得等に適用される(平成32年3月31日まで)。同改正法は平成30年6月13日に公布され、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日とされているが、6月20日時点では施行されていない。

2年連続でS評価が必要
Q
 省エネ促進税制の対象となるのはどのような事業者になりますか。
A
 平成30年4月1日から適用が可能な省エネ促進税制(大規模な省エネ投資)は、「特定事業者及び特例連鎖化事業者(特定連鎖化事業の加盟者を含む)」(エネルギーの使用の合理化を推進する必要がある者として経済産業大臣に指定された工場等を設置している者)が対象になる。
 具体的には、平成28年度及び平成29年度に提出した定期報告書に基づく「事業者クラス分け評価制度」(省エネ法に基づき定期報告書を提出するすべての特定事業者等をクラス分けしたもの。省エネ優良事業者を公表することで事業者に自らの省エネ取組状況の客観的な認識を促すことを目的として実施されている)の評価がいずれもS評価(2年連続S評価)であった者である。

中長期計画に記載された設備等が対象
Q
 どのような設備が対象となりますか。
A
 特定事業者及び特定連鎖化事業者が行う事業、並びに加盟者が行う連鎖化事業に使用される設備等で、①確認申請書を提出する年度又は直近2年度内に提出した中長期的な計画に記載されている設備等であること、②業種等の分類に応じて、中長期計画作成指針において掲げられた「製造業関連高度省エネルギー増進設備等」「鉱業等関連高度省エネルギー増進設備等」「上水道業等関連高度省エネルギー増進設備等」「事務所等関連高度省エネルギー増進設備等」のいずれかに該当することの要件を満たすものとして経済産業局等の確認を受けた機械装置、器具備品、建物附属設備及び構築物が対象となる。具体的には下表を参照。


確認書は30日以内に経済産業局等から交付
Q
 省エネ促進税制の適用を受けるための具体的な手続きはどうなりますか。
A
 省エネ促進税制の適用を受けるには、経済産業局等の確認を受ける必要がある(下図参照)。具体的には、取得する高度省エネルギー増進設備等や当該設備等によるエネルギーの使用の合理化の目標に関する事項の説明などを記載した「高度省エネルギー増進設備等に関する投資計画の確認申請書」を主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局等に提出する。確認書交付の要件を満たしている場合には、30日以内を目途に経済産業局等から確認書が交付される。


確認書の添付は不要
Q
 経済産業局等から交付を受けた確認書は確定申告の際に必要となりますか。
A
 確定申告書の際に確認書を添付する必要はない。ただし、取引に関連して作成・受領した書類として個人の場合は5年間、法人の場合は7年間(繰越欠損金の生じた事業年度については10年間)保存する必要がある。

平均所得が15億円超なら適用停止
Q
 省エネ促進税制は、中小法人を対象とした中小企業向け租税特別措置法の適用停止措置の対象になりますか。
A
 平成29年度税制改正では、中小企業者のうち事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える場合には、中小企業向けの租税特別措置の適用を停止することとされた。
 省エネ促進税制も同措置の対象となっているため、平成31年4月1日以後に開始する事業年度においては、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の年平均額が15億円を超えた場合には適用が停止される。

補助金の交付を受けた場合は適用対象外
Q
 国又は地方公共団体から補助金等の交付を受け、設備等を取得した場合も対象になりますか。
A
 省エネ促進税制(及び再生可能エネルギー税制)の場合、国等から補助金等を受けて取得等をした設備等は適用対象外となる。

確認が翌事業年度にならなければOK
Q
 設備等の取得は経済産業局等からの確認を受けてからでなければなりませんか。
A
 設備等の取得は、原則として確認書の交付を受けてからとなるが、手続が前後した場合、つまり先に設備等を取得してから確認申請書を提出し確認書の交付を受けた場合であっても適用を認めるとの取扱いがなされている(図1参照)。
 ただし、この場合は税制措置を受ける事業年度までに確認書の交付を受ける必要がある。仮に確認書の交付が設備等を取得した翌事業年度となってしまった場合には適用対象外となる(図2参照)。そのほか、設備等の取得が平成30年4月1日よりも前に取得した設備等も当然のことながら適用対象外となる。


連携省エネ投資は経産省の認定必要、設備取得は認定後に
Q
 「連携省エネルギー計画の認定を受けた工場等を設置している者」「荷主連携省エネルギー計画の認定を受けた荷主」を対象者とする連携省エネ投資に係る省エネ促進税制(未施行)はどのような制度になりますか。
A
 これまでのQ&Aでは、省エネ促進税制のうち「特定事業者及び特例連鎖化事業者」を対象者とする大規模な省エネ投資に係る省エネ促進税制について解説してきたが、「連携省エネルギー計画の認定を受けた工場等を設置している者」「荷主連携省エネルギー計画の認定を受けた荷主」を対象者とする連携省エネ投資に係る省エネ促進税制は、改正省エネ法の施行日(公布の日(平成30年6月13日)から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日)から平成32年3月31日までの間に高度省エネルギー増進設備等の取得等をして事業の用に供した場合(貸付けの用に供した場合を除く)には、初年度において取得価額の30%の特別償却(中小企業者等の場合は7%の税額控除との選択適用)を受けることができるとされている。まだ施行されていないため、詳細は明らかとなってはいないが、対象設備は改正省エネ法上の連携省エネ計画認定がされた設備となっており、「連携省エネルギー計画の認定を受けた工場等を設置している者」を対象とするものは、ボイラー、配管・バルブ、苛性化タンク、自営線、計測器、什器備品、高効率溶解設備、熱電供給型動力発生装置、ソフトウェア(製造管理システム、EMS)などが想定されている。また、「荷主連携省エネルギー計画の認定を受けた荷主」を対象とするものは、倉庫搬送システム、電子計算機、専用コンテナ、什器備品、搬出貨物表示装置、荷役設備、ソフトウェア(物流管理システム)が想定されている。
 省エネ促進税制の適用を受けるには、事業者は連携省エネルギー計画を提出し、経済産業省の認定を受ける必要がある。大規模な省エネ投資に係る省エネ促進税制とは異なり、設備取得前に経済産業省の認定を受けることが条件となる見込みとなっているので要注意だ。

再生可能エネルギー税制、太陽光発電、風力発電設備は対象外
Q
 再生エネルギー税制ですが、太陽光発電設備や風力発電設備は適用の対象外となりますか。
A
 再生可能エネルギー税制は、青色申告書を提出する個人・法人であって、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に再生可能エネルギー発電設備等の取得等をし、国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができるというもの。再生可能エネルギー税制の適用対象となる設備は、中小水力発電設備、地熱発電設備、バイオマス利用機器(木質バイオマス発電設備、木質バイオマス熱供給設備、バイオマス利用メタンガス製造装置)とされ、太陽光発電設備や風力発電設備は対象外となっている。
 ただし、再生可能エネルギー発電設備等とともに使用する資産は適用対象となる。例えば、付帯的設備として太陽光発電設備に設置する蓄電池や、風力発電設備に設置するメンテナンス高度化設備等は適用対象となっている。

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