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解説記事2018年07月16日 【税制改正解説】 平成30年度における法人税関係の改正について(2018年7月16日号・№747)

税制改正解説
平成30年度における法人税関係の改正について
 渡辺弘平

はじめに

 平成30年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向けて賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずるほか、国際課税制度の見直し並びに税務手続の電子化の推進等を行うこととされた。
 このうち法人税関係については、所得拡大促進税制の改組、革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度、特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例等の創設が行われたほか、収益認識に関する会計基準を踏まえて包括的な収益の認識に関する税制を整備する、ICTの活用を推進して社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図るため法人税等に係る申告データを円滑に電子提出できるように環境整備を進めるとともに大法人について法人税等の電子申告を義務化する、多段階型再編等多様な手法による事業再編の円滑な実施を可能とするために組織再編税制の適格要件を見直す等の改正を行うこととされた。
 また、納税環境の整備として行われた法人税及びその法人税に係る地方法人税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設に伴い、法人税等特例規定による添付書類に係る電子情報処理組織による申告の特例の創設が行われた。
 本稿は、これらの改正の内容を紹介するものである。

法人税法等の改正

Ⅰ 収益認識に関する会計基準等への対応

1 改正の内容
 収益認識に関する会計基準の導入に伴い、次の改正が行われた。
(1)収益の額を益金の額に算入する時期 ① 原則
  内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下「資産の販売等」という。)に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することが明確化された(法法22の2①)。
② 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って収益経理した場合
  内国法人が、資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従ってその資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の上記①の日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合には、上記①にかかわらず、その資産の販売等に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することが明確化された(法法22の2②)。
③ 申告調整をした場合
  内国法人が資産の販売等を行った場合において、その資産の販売等に係る上記②の近接する日の属する事業年度の確定申告書にその資産の販売等に係る収益の額の益金算入に関する申告の記載があるときは、その額につきその事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして、上記②を適用することとされた(法法22の2③)。
(2)収益の額として益金の額に算入する金額 ① 原則
  内国法人の各事業年度の資産の販売等に係る収益の額として上記(1)①又は②によりその事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、別段の定めがあるものを除き、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とすることが明確化された(法法22の2④)。
② 貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合
  上記①の引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、資産の販売等につきその資産の販売等の対価の額に係る金銭債権の貸倒れ等の事実が生ずる可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合における価額とされた(法法22の2⑤)。
③ 他の制度における整備
  他の制度において「対価の額」とされている短期売買商品の譲渡損益等の規定について、上記①と同様に明確化された(法法61①一、61の2①一、61の13①、62②、62の5②、法令119の10①、123の8⑥⑩⑪、129③、155の5三)。
(3)資本等取引との関係  無償による資産の譲渡に係る収益の額は、金銭以外の資産による利益又は剰余金の分配及び残余財産の分配又は引渡しその他これらに類する行為としての資産の譲渡に係る収益の額を含むものとすることが明確化された(法法22の2⑥)。
(4)返品調整引当金  本制度は廃止された(旧法法53、旧法令99~102、旧法規25の7、25の8)。
(5)長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度  本制度について、対象となる資産の販売等がリース譲渡に限定された(法法63、法令124~128、旧法令127)。

2 適用関係及び経過措置
(1)
上記1(1)から(3)までの改正は、法人の平成30年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則19、改正法令附則2)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則19、改正法令附則2)。
(2)上記1(4)の改正は、法人の平成30年4月1日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則19)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則19)。
  ただし、現に対象事業を営む法人について、平成33年3月31日までに開始する事業年度については改正前の規定の繰入限度額とし、平成33年4月1日から平成43年3月31日までの間に開始する事業年度については、改正前の規定による繰入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した割合を乗じて計算した金額を繰入限度額とする経過措置が講じられている(改正法附則25、改正法令附則9、改正法規附則2)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則32、改正法令附則18、改正法規附則5)。
(3)上記1(5)の改正は、法人の平成30年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされている(改正法附則19)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則19)。
  ただし、平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、平成35年3月31日までに開始する各事業年度について改正前の延払基準により収益の額及び費用の額を計上することができ、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の経過措置が講じられている(改正法附則28、改正法令附則13、改正法規附則3)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則33、改正法令附則19、改正法規附則6)。

Ⅱ 申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設その他税務手続の電子化の推進

一 申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設

1 制度の概要
 特定法人である内国法人は、各事業年度の所得に対する法人税の申告については、中間申告書若しくは確定申告書(確定申告書に係る期限後申告書を含む。)又はこれらの申告書に係る修正申告書及び添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を、電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより、行わなければならないとする制度が創設された(法法75の3)。
 ただし、電子的な提出が困難と認められる一定の事由があるときは、税務署長の承認に基づき、例外的に書面による申告書等の提出が可能とされた(法法75の4)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(法法81の24の2、81の24の3)。また、内国法人が提出する地方法人税中間申告書若しくは地方法人税確定申告書(地方法人税確定申告書に係る期限後申告書を含む。)又はこれらの申告書に係る修正申告書及び添付書類についても、同様の改正が行われている(地法法19の2、19の3)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税、同日以後に開始する連結事業年度の連結所得に対する法人税及び同日以後に開始する課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税について適用することとされている(改正法附則31、36、42①)。

二 連結子法人の個別帰属額等の届出書の提出先の一元化等

1 改正の内容
(1)個別帰属額等の届出書の提出先の一元化
 連結親法人が法人税の申告又は地方法人税の申告を行った場合において、これらの申告に係る連結子法人の個別帰属額等及びその届出書添付書類に記載すべきものとされている事項を、電子情報処理組織を使用する方法その他の方法により提供したときは、連結子法人が個別帰属額等を記載した書類に届出書添付書類を添付して、これをその本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出したものとみなすこととされた(法法81の25②)。
(2)個別帰属額等の異動の届出の提出先の一元化  連結親法人が法人税の修正申告又は地方法人税の修正申告を行った場合において、その修正申告により異動した連結子法人の異動後の個別帰属額等その他参考となるべき事項を、電子情報処理組織を使用する方法その他の方法により提供したときは、その連結子法人がその異動後の個別帰属額等その他参考となるべき事項を記載した書類をその本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出したものとみなすこととされた(法法81の25④)。
(3)個別帰属額等の異動の届出事由の見直し  個別帰属額等に異動があった場合の異動後の個別帰属額等その他参考となるべき事項を記載した書類は、修正申告により個別帰属額等が異動した場合に限り提出を要することとされ、更正により個別帰属額等が異動した場合には提出を要しないこととされた(法法81の25③)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、平成32年4月1日以後に終了する連結事業年度に係る個別帰属額等を記載した書類について適用することとされている(改正法附則37①)。
(2)上記1(2)及び(3)の改正は、平成32年4月1日以後に個別帰属額等に異動があった場合におけるその異動に係る書類について適用し、同日前に個別帰属額等に異動があった場合におけるその異動に係る書類については、従前どおりとされている(改正法附則37②)。

三 連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書等の提出先の一元化

1 改正の内容
(1)連結納税の承認の申請の手続等
① 連結納税の承認申請書を提出した場合に連結子法人となる法人がその納税地の所轄税務署長に提出することとされている届出書について、その提出が不要とされた(旧法令14の7①)。
② 連結親法人又は連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有することとなった場合に連結子法人となる法人がその納税地の所轄税務署長等に提出することとされている書類について、その提出が不要とされた(法令14の7③)。
(2)連結納税の承認の取消しの手続等  連結完全支配関係又は完全支配関係を有しなくなった場合に連結子法人がその本店等所在地の所轄税務署長に提出することとされている書類について、その提出が不要とされた(法令14の9②)。

2 適用関係 (1)上記1(1)①の改正は、平成31年4月1日前に連結納税の承認申請書を提出した場合の届出については、従前どおりとされている(改正法令附則6①)。
(2)上記1(1)②の改正は、連結子法人となる法人が平成31年4月1日以後に連結親法人又は連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有することとなる場合の書類の提出について適用し、連結子法人となる法人が同日前に連結親法人又は連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有することとなった場合における書類の提出については、従前どおりとされている(改正法令附則6②)。
(3)上記1(2)の改正は、平成31年4月1日以後に書類提出の基因となる事由が生ずる場合の書類の提出について適用し、同日前に書類提出の基因となる事由が生じた場合の書類の提出については、従前どおりとされている(改正法令附則7)。

四 代表者等の自署・押印制度

1 改正の内容
 本制度は廃止された(旧法法151、161)。地方法人税及び復興特別法人税についても同様とされている(旧地法法30、35、旧復興財確法60、66)。
 なお、改正後は、国税通則法の規定に基づく代表者の記名・押印制度の対象となる(通法124①②)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成30年4月1日前に終了した事業年度の確定申告書、法人の同日前に納税義務が成立した中間申告書に係る法人税の中間申告書、連結法人の同日前に終了した連結事業年度の連結確定申告書及び連結法人の同日前に納税義務が成立した連結中間申告書に係る法人税の連結中間申告書並びにこれらの申告書に係る修正申告書で法人が同日前に提出したもの並びに連結法人の同日前に終了した連結事業年度の個別帰属額等の届出書に係る自署及び押印については、従前どおりとされている(改正法附則41②)。罰則についても同様である(改正法附則143)。
 なお、地方法人税及び復興特別法人税についても同様の改正が行われている(改正法附則42③、改正法附則126③、改正法附則143)。

五 地方税共同機構

1 改正の内容
 公共法人の範囲に、地方税法の改正に伴い設立される地方税共同機構が追加された(法法別表1)。

2 適用関係  上記1の改正は地方税法等の一部を改正する法律附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(平成31年4月1日)から施行することとされている(改正法附則1十二)。

Ⅲ 組織再編税制

1 改正の内容
(1)適格株式分配に係る株式の保有関係に関する要件の見直し
 完全支配関係がある法人間で行われる合併、分割、現物出資、株式交換及び株式移転(以下「合併等」という。)の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合には、その合併等の時からその適格株式分配の直前の時までその合併等に係る支配株主とその適格株式分配に係る完全子法人とされる法人との間にその支配株主による完全支配関係が継続することが見込まれていれば株式の保有関係に関する要件に該当することとされた。
(2)従業者従事要件及び事業継続要件の見直し ① 従業者引継要件又は従業者継続要件
  支配関係がある法人間の組織再編成及び共同で事業を行うための組織再編成に係る従業者引継要件又は従業者継続要件について、次のとおり見直された。
 イ 合併
   合併に係る被合併法人のその合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者がその合併後にその合併に係る合併法人の業務(その合併後に行われる適格合併により被合併事業(被合併法人のその合併前に行う事業のうち主要な事業をいう。以下同じ。)がその適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、その適格合併に係る合併法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていることとの要件について、この「合併に係る合併法人の業務」には、その合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務及びその適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含むこととされた(法法2十二の八ロ(1)、法令4の3④三)。
 ロ 分割及び現物出資
   分割の直前の分割事業(分割法人の分割前に行う事業でその分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。以下同じ。)の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者がその分割後に分割承継法人の業務(その分割後に行われる適格合併により分割事業がその適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、その合併法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていることとの要件について、この「分割承継法人の業務」には、その分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務及びその適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含むこととされた(法法2十二の十一ロ(2)、法令4の3⑧四)。現物出資についても同様である(法法2十二の十四ロ(2)、法令4の3⑮四)。
 ハ 株式交換等及び株式移転
   株式交換完全子法人の株式交換の直前の従業者のうち、その総数のおおむね80%以上に相当する数の者がその株式交換完全子法人の業務(その株式交換後に行われる適格合併又はその株式交換完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(以下「適格合併等」という。)によりその株式交換完全子法人のその株式交換前に行う主要な事業がその適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(以下「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合には、その合併法人等の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていることとの要件について、この「株式交換完全子法人の業務」には、その株式交換完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務及びその適格合併等に係る合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含むこととされた(法法2十二の十七ロ(1)、法令4の3⑳三)。支配関係がある法人間で行う株式交換等で株式交換以外のものについても同様である(法法2十二の十七ロ(1))。また、株式移転についても同様である(法法2十二の十八ロ(1)、法令4の3三)。
② 事業継続要件
  支配関係がある法人間の組織再編成及び共同で事業を行うための組織再編成に係る事業継続要件について、次のとおり見直された。
 イ 合併、分割及び現物出資
   合併に係る被合併法人のその合併前に行う主要な事業(共同で事業を行うための合併に該当するかどうかを判定する場合には、合併法人の合併前に行う事業と関連する事業に限る。)がその合併後にその合併に係る合併法人(その合併後に行われる適格合併によりその主要な事業がその適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合には、その適格合併に係る合併法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていることとの要件について、この「合併法人」には、その合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人及びその適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含むこととされた(法法2十二の八ロ(2)、法令4の3④四)。分割及び現物出資についても同様である(法法2十二の十一ロ(3)・十二の十四ロ(3)、法令4の3⑧五⑮五)。
 ロ 株式交換等及び株式移転
   株式交換完全子法人の株式交換前に行う主要な事業(共同で事業を行うための株式交換に該当するかどうかを判定する場合には、株式交換完全親法人の株式交換前に行う事業と関連する事業に限る。)が株式交換完全子法人(その株式交換後に行われる適格合併等によりその主要な事業がその適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合には、その合併法人等を含む。)において引き続き行われることが見込まれていることとの要件について、この「株式交換完全子法人」には、その株式交換完全子法人との間に完全支配関係がある法人及びその適格合併等に係る合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含むこととされた(法法2十二の十七ロ(2)、法令4の3⑳四)。支配関係がある法人間で行う株式交換等で株式交換以外のものについても同様である(法法2十二の十七ロ(2))。また、株式移転についても同様である(法法2十二の十八ロ(2)、法令4の3四)。
(3)無対価組織再編成の明確化等の整備  対価が交付されない合併、分割及び株式交換について、適格組織再編成となる類型の見直しが行われるとともに、非適格組織再編成となる場合の処理の方法の明確化が行われた。

2 適用関係  上記1(1)及び(2)の改正は、平成30年4月1日以後に行われる合併、分割、現物出資、株式交換等及び株式移転について適用し、同日前に行われた合併、分割、現物出資、株式交換等及び株式移転については、従前どおりとされている(改正法附則20、改正法令附則3)。

Ⅳ 繰延ヘッジ処理による利益額若しくは損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益若しくは評価損の計上

(1)承認の効力
 特別な有効性判定方法等について、その特別な有効性判定方法等の承認を受けたデリバティブ取引等に係る有効性判定等については、その承認に係る申請書に記載されたその適用を受けようとする最初の事業年度からその承認を受けた特別な方法、特別な場合及び特別な金額によることとされた(法令121の4①、121の10①)。
(2)承認申請書の提出期限  特別な有効性判定方法等について、その特別な有効性判定方法等の承認に係る申請書の提出期限が、その適用を受けようとする最初の事業年度の確定申告書の提出期限(その最初の事業年度に係る仮決算による中間申告書を提出する場合には、その中間申告書の提出期限)の3月前の日とされた(法令121の4②、121の10②)。

Ⅴ その他

一 特定公益増進法人に対する寄附金

 本制度について、特定公益増進法人の範囲に市区町村の窓口関連業務又は介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人が追加された(法令77一の二)。

二 社会医療法人に対する税制上の措置
 医療法施行規則等の改正により、社会医療法人の認定要件について、次の改正が行われた。
(1)本来業務(病院、診療所、介護老人保健施設及び介護医療院の業務をいう。)に係る費用の額が経常費用の額の100分の60を超えることとの要件が追加された(医療法施行規則30の35の3①二イ)。
(2)社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に予防接種に係る収入金額及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額(租税特別措置法第26条第2項第4号に掲げる保険給付に係る収入金額を除く。)を含めることとされた(医療法施行規則30の35の3①二ロ)。
(3)精神科救急医療及び小児救急医療の業務の実績に係る要件について、時間外等診療件数に診療時間以外の時間、休日又は深夜における初診又は再診に引き続いて入院した患者数を含めることとされた(平20.3厚生労働告119)。

三 交換により取得した資産の圧縮額の損金算入
 農地法の改正に伴い、対象となる固定資産に農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用される農地の上に存する農作物の栽培に関する権利が追加された(法法50①一)。

四 資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入
 消費税の軽減税率制度が導入されること等に伴い、課税仕入れ等が軽減税率の対象資産の譲渡等及び保税地域から引き取る軽減税率の対象課税貨物に係るものである場合の控除対象外消費税額等の計算における地方消費税の額に相当する金額について、地方消費税を税率が1.76%(本則税率:2.2%)の消費税であると仮定して消費税に関する法令の規定の例により計算した金額とされた(法令139の4⑥)。

五 特定同族会社の特別税率(留保金課税)
 分配時調整外国税相当額の控除制度の創設に伴い、留保金額の計算上、所得等の金額のうち留保した金額から控除する法人税の額及び地方法人税の額は、分配時調整外国税相当額の控除をする前のこれらの金額を合計した金額から、法人税における分配時調整外国税相当額の控除制度等による控除をされるべき金額を控除した金額とされた(法法67③)。
 連結納税制度の場合についても同様とされている(法法81の13②)。

六 税額控除の順序
 分配時調整外国税相当額の控除制度の創設並びに外国子会社合算税制及びコーポレート・インバージョン対策税制の適用に係る税額控除措置の見直しに伴い、法人税法並びに租税特別措置法及び震災税特法の規定による法人税の額からの控除については、次の順に控除することとされた(法法70の2、措法42の4⑫、66の7⑦、66の9の3⑦、震災税特法17の2⑪⑬等)。
① 租税特別措置法(下記③を除く。)及び震災税特法による税額控除
② 法人税法第69条の2(分配時調整外国税相当額の控除)
③ 租税特別措置法第66条の7第4項(外国子会社合算税制の適用に係る税額控除)及び第66条の9の3第4項(コーポレート・インバージョン対策税制の適用に係る税額控除)
④ 法人税法第70条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)
⑤ 法人税法第68条(所得税額の控除)及び第69条(外国税額の控除)
 連結納税制度の場合についても同様とされている(法法81の17、措法68の9⑫、68の91⑦、68の93の3⑦、震災税特法25の2⑫⑭等)。

七 法人税額等の損金不算入
 相続税法の改正により創設された特定一般社団法人等に対する課税の規定により一般社団法人等が納付することとなる相続税の額は、損金の額に算入しないこととされた(法法38②)。

八 分配時調整外国税相当額の控除制度等の創設に伴う整備
 分配時調整外国税相当額の控除制度等の創設に伴い、次の改正が行われた。

1 所得税額の控除  所得税額の控除制度における控除対象となる所得税の額は、その所得税の額に係る分配時調整外国税相当額を除いた金額とされた(法法68①)。
 連結納税制度の場合についても同様とされている(法法81の14①)。

2 寄附金の損金不算入  寄附金の損金算入限度額を計算する場合における所得の金額は、分配時調整外国税相当額の損金不算入制度を適用しないで計算した所得の金額とされた(法令73②)。
 連結納税制度の場合についても同様とされている(法令155の13②)。

3 欠損金の繰戻しによる還付  欠損金の繰戻しによる還付金額を計算する場合における還付所得事業年度の所得に対する法人税の額は、分配時調整外国税相当額の控除をした後の金額とされた(法法80①)。
 連結納税制度の場合についても同様とされている(法法81の31①)。

租税特別措置法(法人税関係)の改正

Ⅰ 税額控除関係

一 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)

1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成30年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の5、旧措令27の5、旧措規20の2、旧平23.6財務告219)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の10、旧措令39の40、旧措規22の24)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をしたエネルギー環境負荷低減推進設備等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則89①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則105①)。

二 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日(エネルギーの使用の合理化等に関する法律の認定を受けた工場等を設置している者及び荷主は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日)から平成32年3月31日までの間に、高度省エネルギー増進設備等の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その高度省エネルギー増進設備等の取得価額の30%相当額の特別償却(中小企業者等は、その特別償却とその取得価額の7%相当額の税額控除(税額控除額は、当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされている。)との選択適用)ができる制度が創設された(措法42の5①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の10①②)。

2 適用関係  上記1の制度は、平成30年4月1日から施行されている(改正法附則1)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則104)。

三 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 本制度について、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた確認に係る事業実施計画に同日において記載されているものを除く。)の特別償却限度額及び税額控除割合が次のとおり引き下げられた(措法42の10①②)。
① 特別償却限度額:その取得価額の45%(建物等及び構築物は、23%)相当額(改正前:その取得価額の50%(建物等及び構築物は、25%)相当額)
② 税額控除割合:14%(建物等及び構築物は、7%)(改正前:15%(建物等及び構築物は、8%))
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の14①②)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成30年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

四 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度

1 改正の内容
 本制度について、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に同日において記載されているものを除く。)の特別償却限度額及び税額控除割合が次のとおり引き下げられた(措法42の11①②)。
① 特別償却限度額:その取得価額の34%(建物等及び構築物は、17%)相当額(改正前:その取得価額の40%(建物等及び構築物は、20%)相当額)
② 税額控除割合:10%(建物等及び構築物は、5%)(改正前:12%(建物等及び構築物は、6%))
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の14の2①②)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成30年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

五 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(改正後:地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度)

1 改正の内容
 本制度について、移転型事業の対象地域に準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部が追加された上、その適用の前提となる地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法42の11の3①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の15①②)。

2 適用関係  上記1の移転型事業の対象地域の追加については、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成30年6月1日)から施行されている(改正法附則1十五)。

六 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)(改正後:地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度)

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用の前提となる地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法42の12①②)。
(1)特定地域基準雇用者数に係る措置  本措置は、その適用期限(平成30年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法42の12①⑤六、旧措令27の12①②⑦、旧措規20の7①③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の15の2①⑤六、旧措令39の45の2①②⑧一、旧措規22の29①③)。
(2)地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置 ① 地方事業所基準雇用者数に係る措置の改組
 イ 適用要件のうち「基準雇用者数が5人以上(中小企業者等にあっては、2人以上)であることにつき証明がされたこと」との要件が、「特定新規雇用者等数が2人以上であること」との要件とされた(措法42の12①一イ)。
 ロ 適用要件のうち給与等支給額に係る要件における比較給与等支給額の算出において適用年度前1年以内事業年度における給与等の支給額に基準雇用者割合を乗じて計算した金額に乗ずる割合が20%(改正前:30%)に引き下げられた(措法42の12④十三)。
 ハ 移転型事業に係る特定業務施設に、準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部において認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に従って整備されたものが追加された(措法42の12④二)。
 ニ 地方事業所税額控除限度額の算出における基準雇用者割合に係る要件が「基準雇用者割合が8%以上(移転型事業は、5%以上)(改正前:10%以上)であること」とされた上、次の場合の区分に応じそれぞれ次の金額とすることとされた(措法42の12①二)。
(イ)基準雇用者割合が8%以上であること又はその適用年度開始の日の前日における雇用者(その適用年度終了の日において高年齢雇用者に該当する者を除く。)の数が零であることにつき、証明がされた場合:次の金額の合計額(措法42の12①二イ、措令27の12③、措規20の7②)
 A 60万円に、特定新規雇用者基礎数を乗じて計算した金額
 B 50万円に、非特定新規雇用者数のうちその新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数とその地方事業所基準雇用者数からその新規雇用者総数を控除した数とを合計した数を乗じて計算した金額
(ロ)基準雇用者割合が5%以上であることにつき証明がされた場合(上記(イ)の場合を除く。):次の金額の合計額(措法42の12①二ロ、措令27の12③⑤⑥、措規20の7②)
 A 30万円に、特定新規雇用者基礎数(移転型特定新規雇用者数がある場合には、その特定新規雇用者基礎数のうちその移転型特定新規雇用者数に達するまでの数を加算した数)を乗じて計算した金額
 B 20万円に、非特定新規雇用者数のうち新規雇用者総数の40%相当数に達するまでの数(移転型非特定新規雇用者数がある場合には、その40%相当数に達するまでの数のうちその移転型非特定新規雇用者数に達するまでの数に1.5を乗じた数を加算した数)と地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除して計算した数(移転型非新規基準雇用者数が零を超える場合には、その計算した数のうちその移転型非新規基準雇用者数に達するまでの数に1.5を乗じた数を加算した数)とを合計した数を乗じて計算した金額
(ハ)上記(イ)及び(ロ)の場合以外の場合……次の金額の合計額(措法42の12①二ハ)
 A 30万円に、特定新規雇用者基礎数を乗じて計算した金額
 B 20万円に、上記(イ)Bに規定する合計した数を乗じて計算した金額
  なお、新規雇用者総数から特定新規雇用者数を控除した数のうちその新規雇用者総数の40%相当数を超える部分の数に対する金額(10万円(基準雇用者割合が10%以上であることにつき証明がされた場合には、40万円)に、その40%相当数を超える部分の数を乗じて計算した金額)は、廃止された(旧措法42の12②三)。
 ホ 地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度(前述の制度)、その制度に係る特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例又はその制度に係る準備金方式による特別償却(特別償却準備金)制度の適用を受ける事業年度については、この措置を適用しないこととされた(措法42の12⑥)。また、この見直しに伴い、税額控除額の上限が、この措置及び下記②の合計(改正前:この措置、上記(1)及び下記②の措置並びに前述の制度における税額控除の合計)とされた上、当期の調整前法人税額の20%(改正前:30%)相当額に引き下げられた(措法42の12①後段)。
② 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置
 イ 上記①ハと同じ改正が行われた(措法42の12④二)。
 ロ 上記イの改正に伴い、地方事業所特別税額控除限度額について、計画の認定に係る特定業務施設が準地方活力向上地域内にある場合におけるその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗ずる金額が20万円とされた(措法42の12②③、措令27の12⑲)。
 ハ 税額控除額の上限が、当期の調整前法人税額の20%相当額(改正前:30%)に引き下げられた(措法42の12②後段)。
  なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の改正が行われている(措法68の15の2①~④⑥、旧措法68の15の2②三、措令39の45の2①③~⑥⑨~⑪、措規22の29①~③)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)並びに(2)①(ハを除く。)、②ロ及びハの改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則86)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則107①)。
(2)上記1(2)①ハ及び②イの改正は、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日(平成30年6月1日)から施行されている(改正法附則1十五)。

七 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(所得拡大促進税制)(改正後:給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除制度)

1 改正の内容
 「賃上げ及び投資の促進に係る税制」として、本制度(所得拡大促進税制)が次のとおり改組された。
(1)青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度等を除く。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その事業年度において次の①及び②の要件を満たすとき(その法人の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額以下である場合を除く。)は、その事業年度においてその雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額(その事業年度において雇用促進税制の適用を受ける場合には、その控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額を控除した残額)の15%(その事業年度において次の③の要件を満たす場合には、20%)相当額の税額控除(税額控除額は、当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされている。)ができる(措法42の12の5①)。
① その法人の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が3%以上であること。
② その法人の国内設備投資額がその当期償却費総額の90%相当額以上であること。
③ その法人のその事業年度において損金算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が20%以上であること。
(2)青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度(上記(1)の適用を受ける事業年度、設立事業年度等を除く。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その中小企業者等の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるとき(雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以下である場合を除く。)は、その事業年度においてその雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額(その事業年度において雇用促進税制の適用を受ける場合には、その控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額を控除した残額)の15%(その事業年度において次の要件を満たす場合には、25%)相当額の税額控除(税額控除額は、当期の調整前法人税額の20%相当額が上限とされている。)ができる(措法42の12の5②)。
① 中小企業者等の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。
② 次のいずれかの要件を満たすこと。
 イ 中小企業者等の教育訓練費の額から中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額が中小企業比較教育訓練費の額の10%相当額以上であること。
 ロ 中小企業者等がその事業年度終了の日までにおいて中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改組が行われ、上記(1)及び(2)と同様の措置が適用できることとされた(措法68の15の6①②)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則86)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、連結法人の連結親法人事業年度が同日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則108①)。

八 革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人で生産性向上特別措置法の認定革新的データ産業活用事業者であるものが、同法の施行の日から平成33年3月31日までの間に、特定ソフトウエアの新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る革新的情報産業活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その革新的情報産業活用設備の取得価額の30%相当額の特別償却又は5%(継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額がその継続雇用者比較給与等支給額の3%未満である場合には、3%)相当額の税額控除(税額控除額は、当期の調整前法人税額の20%(継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額がその継続雇用者比較給与等支給額の3%未満である場合には、15%)相当額が上限とされている。)との選択適用ができる制度が創設された(措法42の12の6①②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の15の7①②)。

2 適用関係  上記1の制度は、生産性向上特別措置法の施行の日(平成30年6月6日)から施行されている(改正法附則1十四)。

九 法人税の額から控除される特別控除額の特例

1 改正の内容
 本制度について、法人(中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)又は農業協同組合等を除く。)が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において特定税額控除規定の適用を受けようとする場合において、その事業年度において次の要件のいずれにも該当しないとき(その事業年度(設立事業年度及び合併等事業年度のいずれにも該当しない事業年度に限る。)の所得の金額がその事業年度の前事業年度の所得の金額以下である場合を除く。)は、その特定税額控除規定を適用しないこととする措置が追加された(措法42の13⑥)。
(1)その法人の継続雇用者給与等支給額がその継続雇用者比較給与等支給額を超えること。
(2)その法人の国内設備投資額がその当期償却費総額の10%相当額を超えること。
 なお、連結納税制度の場合についても、上記と同様の措置を適用することとされた(措法68の15の8⑥)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成30年4月1日から施行することとされている(改正法附則1)。連結納税制度についても同様とされている(改正法附則1)。

十 その他の税額控除制度

収益認識に関する会計基準への対応

1 改正の内容
 収益認識に関する会計基準の公表を踏まえた法人税法の改正に伴い、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度について、試験研究費割合の算定における平均売上金額の計算の基礎となる各事業年度の売上金額は、資産の販売等に係る収益の額(営業外の収益の額とされるべきものを除く。)として所得の金額の計算上益金の額に算入される金額とすることが明確化された(措令27の4⑮)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の39⑭)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成30年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則19)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則32)。

Ⅱ 特別償却関係

一 特定設備等の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度について、青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、再生可能エネルギー発電設備等の取得等をして、これをその法人の国内にある事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その再生可能エネルギー発電設備等の取得価額の20%相当額の特別償却ができる措置が追加された(措法43①表四、措令28⑥~⑧⑩⑫、昭48.5大蔵告69別表四)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の16①表四、措令39の49⑥⑦⑧四)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする再生可能エネルギー発電設備等について適用することとされている(改正法附則94①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110①)。

二 耐震基準適合建物等の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度のうち技術基準適合施設に係る措置について、特別償却割合が18%(港湾法の港湾隣接地域のうち緊急確保航路に隣接する港湾区域に隣接する地域内において取得等をした技術基準適合施設は、22%)(改正前:20%)とされた上、特定点検結果報告を行う期間が平成30年4月1日から平成32年3月31日までの期間とされるとともに、その適用期間がその報告を行った日から同日以後3年を経過する日までの期間とされた(措法43の2②)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の17②)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日以後に取得又は建設をする技術基準適合施設について適用し、法人が同日前に取得又は建設をした技術基準適合施設については、なお従前の例によることとされている(改正法附則94②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110②)。

三 特定地域における電気通信設備の特別償却制度

1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成30年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法44の5、旧措令28の8、旧措規20の15)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の26、旧措令39の55、旧措規22の36)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日前に取得又は製作若しくは建設をした特定電気通信設備については、なお従前の例によることとされている(改正法附則94③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110③)。

四 情報流通円滑化設備の特別償却制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人で特定通信・放送開発事業実施円滑化法の実施計画(地域特定電気通信設備供用事業の実施に関するものに限る。)について認定を受けたものが、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、情報流通円滑化設備の取得等をして、これを東京圏以外の区域内においてその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、その情報流通円滑化設備の取得価額の15%相当額の特別償却ができる制度が創設された(措法44の5①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の26①)。

2 適用関係  上記1の制度は、法人が平成30年4月1日以後に取得又は製作若しくは建設をする情報流通円滑化設備について適用することとされている(改正法附則94③)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110③)。

五 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度

1 改正の内容
 本制度について、適用要件のうち「基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が50%以上であること」とする要件における重度障害者割合が55%に引き上げられた上、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法46①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の31①)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人の平成30年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、法人の同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例によることとされている(改正法附則86)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則86)。

六 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度

1 改正の内容
 本制度は、その適用期限(平成30年3月31日)の到来をもって廃止された(旧措法46の2、旧措令29の3、旧措規20の19、旧平27.3厚生労働告233)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の33、旧措令39の62、旧措規22の40)。

2 適用関係  上記1の改正は、平成30年4月1日前に基準適合認定又は特例基準適合認定を受けた法人の同日以後に終了する適用事業年度又は特例認定適用事業年度終了の日において有する次世代育成支援対策資産については、従来どおり適用できることとされている(改正法附則94④、改正措令附則25、改正措規附則23)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則110④、改正措令附則38、改正措規附則29)。

七 企業主導型保育施設用資産の割増償却制度(創設)

1 制度の概要
 青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、企業主導型保育施設用資産の取得等をして、これをその法人の保育事業の用に供した場合には、その用に供した日以後3年以内の日を含む各事業年度において、その企業主導型保育施設用資産の普通償却限度額の12%(建物等及び構築物は、15%)相当額の割増償却ができる制度が創設された(措法47①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の34①)。

2 適用関係  上記1の制度は、平成30年4月1日から施行されている(改正法附則1)。

八 その他の特別償却制度
 倉庫用建物等の割増償却制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年延長された(措法48①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の36①)。

Ⅲ 準備金等関係

一 海外投資等損失準備金制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法55①)。
(1)資源開発事業法人及び資源開発投資法人の特定株式等に係る準備金の積立割合が20%(改正前:30%)に、資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人の特定株式等に係る準備金の積立割合が50%(改正前:70%)に、それぞれ引き下げられた(措法55①⑨)。
(2)準備金に係る特定法人を被合併法人等とする適格合併等が行われた場合に準備金の取崩し事由に該当するか否かの判定について、その適格合併等により交付を受けた株式の発行法人が特定法人であるか否かによって判定することとされた(措令32の2⑬~⑯)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の43①⑧、措令39の72⑩~⑬)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、法人が平成30年4月1日以後に取得する特定株式等について適用し、法人が同日前に取得した特定株式等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則95①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則111①)。
(2)上記1(2)の改正は、平成30年4月1日以後に行われる合併又は分割型分割について適用し、同日前に行われた合併又は分割型分割については、なお従前の例によることとされている(改正措令附則26)。連結納税制度の場合についても同様である(改正措令附則39)。

二 特定災害防止準備金制度

1 改正の内容
 本制度について、準備金の一括取崩し事由に次の場合が追加された上、その適用期限が平成32年3月31日まで延長された(措法56①③一・二)。
① 特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受けた場合
② 特定廃棄物最終処分場に係る設置の許可が取り消された場合
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の46①③一・二)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日以後に特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受ける場合におけるその確認を受ける日を含む事業年度分の法人税及び法人が平成30年4月1日以後に特定廃棄物最終処分場の設置の許可を取り消される場合におけるその取り消される日を含む事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則95②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則111②)。

三 農業経営基盤強化準備金制度

1 改正の内容
 本制度について、次の見直しが行われた上、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法61の2①)。
(1)適用対象法人の見直し  適用対象となる法人から特定農業法人である農地所有適格法人(認定農地所有適格法人を除く。)が除外された(措法61の2①、旧措規21の18の2②)。
(2)適用対象交付金等の見直し  適用対象となる交付金等から経営所得安定対策交付金(米の直接支払交付金)が除外された(措規21の18の2①)。
(3)特定の事由に該当することとなった場合の準備金の益金算入措置における特定の事由の追加  準備金の取崩し事由に農用地等の取得等をした場合が追加され、その場合における益金算入額が次の場合の区分に応じそれぞれ次の準備金の金額とされた(措法61の2③二)。
① 認定計画の定めるところにより農用地等の取得等をした場合:その取得等をした日における農業経営基盤強化準備金の金額のうちその取得等をした農用地等の取得価額に相当する金額
② 農用地等(農業用の器具備品及びソフトウエアを除く。)の取得等をした場合(上記①の場合を除く。):その取得等をした日における農業経営基盤強化準備金の金額のうちその取得等をした農用地等の取得価額に相当する金額
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の64①③二、旧措規22の61の2①)。

2 適用関係
(1)
上記1(1)の改正は、特定農業法人である農地所有適格法人(認定農地所有適格法人を除く。)が平成30年4月1日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則96①)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則112①)。
(2)上記1(2)の改正は、法人が平成30年4月1日以後に交付を受ける交付金等について適用し、法人が同日前に交付を受けた交付金等については、なお従前の例によることとされている(改正措規附則24)。連結納税制度の場合についても同様である。
(3)上記1(3)の改正は、法人が平成30年4月1日以後に農用地等の取得等をする場合におけるその取得等をする日を含む事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則96②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則112②)。

四 農用地等を取得した場合の課税の特例

1 改正の内容
 本制度について、圧縮限度額の計算の基礎となる農業経営強化準備金制度(前述の制度)における益金算入額から前述三の制度の1(3)②の金額が除外された(措法61の3①一イ)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の65①一イ)。

2 適用関係  上記1の改正は、法人が平成30年4月1日以後に農用地等の取得等をする場合におけるその取得等をする日を含む事業年度分の法人税について適用することとされている(改正法附則96②)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則112②)。

五 その他の準備金制度

(1)
金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年延長された(措法55の5①)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の44①)。
(2)新事業開拓事業者投資損失準備金制度の適用の前提となる特定新事業開拓投資事業計画の認定期限が、平成31年3月31日まで1年延長された(措法55の2①)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の43の2①)。

Ⅳ 土地税制関係

一 収用等に伴い代替資産を取得した場合等の課税の特例

 本制度について、これらの特例の適用要件のうち第三者作成書類の添付要件が保存要件とされるとともに、適格分割等を行う場合において圧縮記帳ができる措置又は期中特別勘定の金額の損金算入ができる措置の適用を受けるときの第三者作成書類の添付義務が保存義務とされた(措法64④⑤、64の2⑬、措令39)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の70③④、措令39の99⑱)。

二 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
 本制度について、適格分割等を行う場合において圧縮記帳ができる措置の適用を受けるときの第三者作成書類の添付義務が保存義務とされた(措法65③④、措令39の2⑨)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の100⑦)。

三 収用換地等の場合の所得の特別控除(連結:収用換地等の場合の連結所得の特別控除)制度(5,000万円特別控除制度)
 本制度について、その適用要件のうち第三者作成書類の添付要件が保存要件とされた(措法65の2④⑤)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の73④⑤)。

四 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(2,000万円特別控除制度)
 本制度について、その適用要件のうち第三者作成書類の添付要件が保存要件とされた(措法65の3④⑤)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の74④⑤)。

五 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(1,500万円特別控除制度)
 本制度について、次の見直しが行われた上、一団の宅地の造成に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合に係る措置の適用期限が、平成32年12月31日まで3年延長された(措法65の4①三)。
(1)その適用対象から食品流通構造改善促進法の認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業の用に供するために地方公共団体の出資に係る法人等に土地等が買い取られる場合に係る措置が除外された(旧措法65の4①十三ハ)。
(2)その適用要件のうち第三者作成書類の添付要件が保存要件とされた(措法65の4⑤)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている。

六 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度(800万円特別控除制度)
 本制度について、農業振興地域の整備に関する法律の勧告に係る協議、調停又はあっせんにより譲渡した場合その他農地保有の合理化のために土地等を譲渡した場合に係る措置の対象となる農地又はその農地の上に存する権利に、農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する農地法の農地又はその農地の上に存する農作物の栽培に関する権利を含めることとされた(措令39の6②、措規22の6①④四)。連結納税制度の場合についても同様である。

七 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の課税の特例
 本制度は、平成30年3月31日をもって廃止された(旧措法65の11、65の12、旧措令39の9、旧措規22の9)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(旧措法68の82、68の83、旧措令39の108、旧措規22の71)。

八 その他の土地税制
 収益認識に関する会計基準の公表を踏まえた法人税法の改正に伴い、土地の譲渡等がある場合の特別税率について、譲渡利益金額の算定における土地の譲渡等による収益の額は、土地の譲渡等が、土地等の譲渡である場合には土地等の譲渡の時における価額とし、その有する資産が主として土地等である法人の発行する株式又は出資で、土地等の譲渡に類するものである場合には株式又は出資の譲渡の時における有償によるその株式又は出資の譲渡により通常得べき対価の額とすることが明確化された(措令38の4③一・二)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の97②一・二)。

Ⅴ その他の特別措置関係

一 沖縄の認定法人の課税の特例(連結:連結法人である沖縄の認定法人の課税の特例)

 本制度について、情報通信産業特別地区に係る措置及び国際物流拠点産業集積地域に係る措置の軽減対象所得金額及び全所得金額並びに経済金融活性化特別地区に係る措置の適用を受ける事業年度の所得の金額を計算する場合には、分配時調整外国税相当額の損金不算入制度を適用しないで計算することとされた(措令36⑦)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措令39の90⑦)。

二 国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例(連結:国家戦略特別区域における連結法人である指定法人の課税の特例)
 本制度について、軽減対象所得金額及び全所得金額を計算する場合には、分配時調整外国税相当額の損金不算入制度を適用しないで計算することとされた上、その適用期限が、平成32年3月31日まで2年延長された(措法61①、措令37④)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の63の2①、措令39の90の2④)。

三 特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例(連結:特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る連結所得の計算の特例)(創設)

1 制度の概要
 法人が、産業競争力強化法の認定特別事業再編事業者(産業競争力強化法等の一部を改正する法律の施行の日から平成33年3月31日までの間に特別事業再編計画の認定を受けた法人に限る。)の行ったその認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編によりその有する他の法人の株式等の譲渡をし、その認定特別事業再編事業者の株式の交付を受けた場合には、当該他の法人の株式等の譲渡損益の計上を繰り延べる制度が創設された(措法66の2の2①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の86①)。

2 適用関係  上記1の制度は、産業競争力強化法等の一部を改正する法律の施行の日から施行することとされている(改正法附則1十三)。

四 特定の医療法人の法人税率の特例(連結:特定の医療法人である連結親法人の法人税率の特例)
 本制度について、国税庁長官の承認及び承認の取消しに係る要件について、次の見直しが行われた。
(1)要件の緩和  その要件における厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準のうち、その医療法人の事業について、社会保険診療に係る収入金額及び健康増進事業に係る収入金額の合計額が全収入金額の80%を超えることとする基準における収入金額に次の収入金額が追加された(措令39の25①一⑦、平15.3厚生労働告147一イ)。連結納税制度の場合についても同様である。
① 予防接種法の定期の予防接種等に係る収入金額
② 助産に係る収入金額(一の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とする。)
③ 介護保険法の規定による保険給付に係る収入金額
(2)要件の追加  その経理に関し次の基準に適合していることとする要件が追加された(措令39の25①五)。連結納税制度の場合についても同様である。
① 帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、その帳簿書類を保存していること。
② その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適正な経理が行われていないこと。

五 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(連結:中小連結法人の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)

1 改正の内容
 本制度について、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものの事業年度においては、この制度の適用を停止することとされた上、その適用期限が平成32年3月31日まで2年延長された(措法67の5①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の102の2①)。

2 適用関係  上記1の適用除外事業者に該当する中小企業者への本制度の適用停止に関する改正は、法人の平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用することとされている(平29改正法附則62①)。連結納税制度の場合については、連結法人の連結親法人事業年度が同日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用することとされている(平29改正法附則75③)。

六 電子情報処理組織による申告の特例(創設)

1 制度の概要
 法人税法又は地方法人税法の特定法人である内国法人が法人税等特例規定の適用を受ける場合には、法人税等特例規定による添付書類について、法人税法又は地方法人税法において電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより行わなければならないこととされている添付書類記載事項に係る添付書類に含めることによって、電子申告の義務化の対象とする制度が創設された(措法68の4)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(措法68の112)。

2 適用関係  上記1の制度は、法人の平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び同日以後に開始する課税事業年度分の地方法人税について適用することとされている(改正法附則102)。連結納税制度の場合についても同様である(改正法附則117)。

七 その他の特別措置

1 収益認識に関する会計基準への対応
 収益認識に関する会計基準の公表を踏まえた法人税法の改正に伴い、特定の公共施設等運営権の設定に係る長期割賦販売等の特例について、長期割賦販売等に該当する資産の販売等とみなすこととされていた公共施設等運営権の設定をリース譲渡とみなすこととする規定の整備が行われた(措法67の5の3①)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の102の4①)。

2 適用期限の延長
(1)
技術研究組合の所得の計算の特例の適用期限が、平成33年3月31日まで3年延長された(措法66の10①)。
  なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(措法68の94①)。
(2)次の制度の適用期限が、平成32年3月31日まで2年延長された。
① 交際費等の損金不算入制度(中小法人に係る定額控除額の特例を含む。)(措法61の4①)
② 中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置(認定事業再編事業者における設備廃棄等欠損金額の適用除外措置を含む。)(措法66の13①②)
  なお、連結納税制度の場合についても、上記①及び②と同様の改正が行われている(措法68の66①、68の98①②)。

Ⅵ 租特透明化法関係

適用額明細書の提出義務
 法人税法の特定法人である法人が法人税申告書に添付すべきものとされている適用額明細書について、同法の添付書類記載事項に係る添付書類に含めることとされ(租特透明化法3④)、電子申告の義務化の対象とされた。

Ⅶ 震災税特法関係

電子情報処理組織による申告の特例(創設)
 法人税法の特定法人である法人が法人税特例規定の適用を受ける場合には、法人税特例規定による添付書類について、法人税法において電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより行わなければならないこととされている添付書類記載事項に係る添付書類に含めることにより、電子申告の義務化の対象とする制度が創設された(震災税特法22の2)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の措置が講じられている(震災税特法30の2)。

Ⅷ 沖縄復帰国税関係政令関係

特定駐留軍用地等を譲渡した場合の所得の特別控除(連結:連結法人が特定駐留軍用地等を譲渡した場合の連結所得の特別控除)制度
 本制度について、その適用要件のうち第三者作成書類の添付要件が保存要件とされた(沖特令63の3②③)。
 なお、連結納税制度の場合についても、同様の改正が行われている(沖特令63の4②③)。

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