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解説記事2018年10月08日 【SCOPE】 税効果会計実務指針移管後の残された課題とは?(2018年10月8日号・№758)

その他の包括利益に対する課税などを検討へ
税効果会計実務指針移管後の残された課題とは?
 企業会計基準委員会(ASBJ)は今後、「その他の包括利益に対する課税」及び「100%子会社間での子会社株式等の売買に係る税効果」について検討を行う方針だ。今回の論点は日本公認会計士協会の税効果会計に関する5本の実務指針の移管後に改めて対応するとしていたものである。

「法人税等」か「その他の包括利益」のどちらに計上するか
 企業会計基準委員会は日本公認会計士協会の税効果会計実務指針などの5つの実務指針を移管し、税効果会計に係る会計基準や適用指針等を公表しているが、関係者から寄せられた意見のうち将来の検討課題とされた論点については、実務指針の移管後に改めて検討することとされていたものである。今回、同委員会が検討する方針を示したのが「その他の包括利益に対する課税」及び「100%子会社間での子会社株式等の売買に係る税効果」に関する2つの論点だ。
 「その他の包括利益に対する課税」については、連結納税加入時にその他有価証券が税務上時価評価された場合などにおいて、その他の包括利益に課税されることがあるが、当該項目に関連する税金を「法人税、住民税及び事業税」(法人税等)に含めて処理するか、「その他の包括利益」に含めて処理するかの明確化を求めるものである。
税金の支払は生じないのに  また、もう1つの論点である「100%子会社間での子会社株式等の売買に係る税効果」とは、グループ法人税制に関連して、100%子会社間で子会社株式等の売買が行われた場合には連結財務諸表において当該取引高及び売買損益は消去され、また税務上も売買損益に係る課税は繰り延べられ税金の支払は生じないにもかかわらず、連結税効果適用指針では繰延税金負債(資産)を計上することが求められている。
 このため見直しをすべきとの意見が寄せられていたものである。
無対価組織再編の税効果などは検討せず  その他、企業会計基準委員会では、関係者から寄せられた「中間財務諸表及び四半期財務諸表における簡便法」「連結納税を離脱する際の税効果」「在外子会社等への投資のヘッジに係る税効果」「無対価組織再編に係る税効果」「グループ法人税制における寄附修正事由に対応する投資簿価修正に係る税効果」「資産調整勘定又は差額負債調整勘定が生じる場合における税効果」についても論点として取り上げるべきか検討を行っているが、現時点では検討を行うほどの必要性は乏しいと結論付けている(参照)。

【表】その他の論点
論  点 概  要 企業会計基準委員会
の分析
中間財務諸表及び四半期財務諸表における簡便法 ・中間財務諸表等における税金費用の取扱いのうち、簡便法について見直し。
・四半期財務諸表等における税金費用の取扱いに関して、四半期会計期間末における将来の課税所得の見積方法等について年度の取扱いとは別個の取扱いが必要か。
・企業会計審議会の「中間財務諸表等の作成基準」の基本的な考え方の見直しを行ってまで再検討を行う程の強いニーズはない。
・詳細な定めがなくとも実務に重要な影響を及ぼさない。
連結納税を離脱する際の税効果
子会社が連結納税から離脱する際の損益が計上されるか否かについて取扱いを明確化。
実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」Q13において、連結納税からの離脱の取扱いとして、繰延税金資産の回収可能性の判断を見直す旨が定められており、現時点で検討を行う程の必要性は乏しい。
在外子会社等への投資のヘッジに係る税効果
個別財務諸表において、子会社持分投資等に関してヘッジを行い、繰延ヘッジ会計を適用している場合、ヘッジ手段から生じた為替換算差額は、その他の包括利益に認識される。また、この繰延ヘッジ損失について将来減算一時差異が生じる場合、当該将来減算一時差異に対応する繰延税金資産については、(分類1)、(分類2)、(分類3)に該当する企業では、回収可能性があるとされている。一方、連結財務諸表においては、子会社等の株式の売却の意思が明確でない限り為替換算調整勘定に係る税効果が認識されないため、個別財務諸表において認識した繰延税金資産は取り消される。
個別財務諸表における取扱いは、金融資産(子会社持分投資等)に関するヘッジ会計の適用であるのに対し、連結財務諸表においては直接的なヘッジ対象である子会社持分投資等は連結消去された上で、そのヘッジ効果は為替換算調整勘定に対するものとなる。ヘッジを行うことにより、子会社持分投資等の売却時又は清算時における為替差損益を減少させる効果がある点は、個別財務諸表及び連結財務諸表において同様であるが、両者では取り扱う会計領域が異なるため、両者に係る税効果の取扱いを整合させる必然性は乏しい。
無対価組織再編に係る税効果
企業結合会計における無対価組織再編が行われる場合の一時差異に係る税効果会計の取扱いが現状明示的に定められていない。
実務上のばらつきがあるとの意見は特段聞かれていないことから、現時点で検討を行う必要性は乏しい。
グループ法人税制における寄附修正事由に対応する投資簿価修正に係る税効果
グループ法人税制が適用される場合、完全支配関係にある国内子会社間で寄附が行われたとき、子会社株式の投資簿価修正に係る将来加算一時差異及び将来減算一時差異が生じることとなる。本論点は、連結手続上、当該寄附取引が相殺消去されることから連結グループにおける課税関係は変わらず、連結財務諸表上、当該一時差異が消滅すると捉えるのか、あるいは、当該寄附取引の相殺消去及び投資と資本の相殺消去により当該一時差異は消滅せず、個別財務諸表上の一時差異に係る繰延税金負債及び繰延税金資産を単純合算するのかについて明確化。
税効果適用指針においては、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱いを連結財務諸表における子会社等に対する投資に関連する一時差異の取扱いに平仄を合わせており(適用指針第8項(2)②)、現時点において、いずれの考え方によっても影響はない。
資産調整勘定又は差額負債調整勘定が生じる場合における税効果
現金等を対価とする共通支配下の取引において、税務上、非適格組織再編に該当し、資産調整勘定又は差額負債調整勘定が生じる場合の税効果会計に関する取扱いについて明確化。
共通支配下の取引において、現金を対価に行う限定的な取引に関するものであり、必ずしも広範な影響があるとは考えられないため、現時点で検討を行う必要性は乏しい。

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