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解説記事2018年12月24日 【税務マエストロ】 消費税率に関する経過措置の取扱いQ&A(1)(2018年12月24日号・№768)

税務マエストロ
税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
消費税率に関する経過措置の取扱いQ&A(1)

#223 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会調査研究部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学教授

マエストロの解説
 平成30年11月2日に国税庁消費税室から「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」が公表された。新Q&A(以下「経過措置の取扱いQ&A」と表記する。)では、「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」と「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」が統合され、新たに13のQ&Aを追加するとともに【基本的な考え方編】と【具体的事例編】に区分して再編成されている。今月は、新たに追加されたQ&Aのうち、【基本的な考え方編】の内容を紹介する。

1 平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A(30年10月)【基本的な考え方編】

(31年施行日を含む1年間の役務提供を行う場合)※一部修正
問6 平成31年9月1日に、同日から1年間の役務提供を行う契約を締結するとともに、1年分の対価を受領しています。この場合、消費税法の適用関係はどのようになりますか。
【答】  役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、物の引渡しを要するものにあってはその目的物の全部を完成して引き渡した日、物の引渡しを要しないものにあってはその約した役務の全部を完了した日とされています(基通9-1-5)。
 照会の役務提供契約が、その契約期間を1年間として料金を年額で定めており、その役務提供が年ごとに完了するものである場合には、その資産の譲渡等の時期は役務の全部を完了する日である平成32年8月31日となり、31年施行日(平成31年10月1日)以後に行う課税資産の譲渡等となりますから、原則として新税率(10%)が適用されます。
 ただし、1年分の対価を受領することとしており、中途解約時の未経過部分について返還の定めがない契約において、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに収益として計上したものについて旧税率(8%)を適用して差し支えありません。
(注)役務提供を行う契約の内容等が、月ごとに完了するものであり、中途解約があった場合に未経過部分の代金を返還することとされるものであって、31年施行日前に1年分の対価を前受けするものについては、「具体的事例編」問2を参照してください。
<解説>  役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、原則としてその役務提供の完了日とされている(消基通9-1-11)。しかし、保守サービスのように、不規則に実施される役務提供については、本来は、契約により定めた期間に対応させて売上高を計上すべきものである。
 よって、役務提供を行う契約の内容等が月ごとに完了するものであり、中途解約があった場合に未経過部分の代金を返還することとされるものについては、たとえ1年分の対価を前受けしている場合であっても、毎月の役務提供の完了の都度、収益計上をする必要がある。結果、平成31年施行日以後に計上した売上高には10%の新税率が適用されることになるのである(経過措置Q&A【具体的事例編】問2を参照)。
 ところで、法人税の世界では、所得金額の計算において、返還不要となる収入は確定収入として認識し、実際に収受した日の属する事業年度の収益として計上することとされている(役務提供取引に係る収益計上時期について・石田昌朗著/国税速報第6113号(9))。
 そこで、中途解約時の未経過部分についての返還の定めがない契約において、事業者が31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに受領した対価を受領した時点で収益計上している場合には、法人税との整合性を図る観点からも、旧税率(8%)を適用して差し支えないこととするものである。


(経過措置の概要)
問7 31年施行日(平成31年10月1日)以後の取引に適用される経過措置の概要を教えてください。
【答】 
 31年施行日以後の取引については、原則として、31年新消費税法(新税率)が適用されることとなりますが、こうした原則を厳格に適用することが明らかに困難と認められる取引については、経過措置が設けられており、旧税率(8%)を適用することとされています(改正法附則16ほか)。
 主な経過措置の概要については、下記の表を参照してください。

(経過措置の選択適用の可否)
問8 経過措置が適用される取引は、必ず経過措置を適用しなければなりませんか。例えば、電気料金等の税率等に関する経過措置の適用を受ける電気料金について、新税率(10%)により仕入税額控除の計算をすることはできますか。
【答】  経過措置の各規定により、31年旧消費税法を適用することとされている場合、当該経過措置が適用される取引について必ず経過措置を適用し、旧税率(8%)により消費税額を計算することとなります(選択適用はできません。)。
 したがって、例えば、電気料金等の税率等に関する経過措置の適用を受ける電気料金については、旧税率により仕入税額控除の計算をすることとなります。
※ 平成31年10月1日以後に行う資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合の適用税率に関しては、経過措置の各規定は適用されず、軽減税率が適用されます(28年改正令附則4)。
<解説>  電気、ガス、水道水、電話などの料金については、月単位ではなく、それぞれの事業者が定めた計算期間にしたがって使用量などを検針し、利用者に請求が行われる。そこで、31年施行日にまたがって供給又は提供される次の(1)の料金については、31年施行日以後の部分も含めて旧税率を適用することとしている。
(1)対象となる料金  契約に基づき、31年施行日前から継続して供給し、または提供する料金で、検針などにより31年施行日からその月の月末(平成31年10月31日)までの間に料金が確定するものであること。
① 電気の供給
② ガスの供給
③ 水道水、工業用水の供給、下水道を使用させる行為
④ 電気通信役務の提供
⑤ 熱供給、温泉の供給
⑥ 灯油の供給
(2)支払者の取扱い  電気、ガス、水道料など、上記(1)に掲げる料金については、31年施行日以後に支払が確定したものであっても旧税率が適用されることとなるので、支払ベースで適用税率の処理をすると過大控除となる危険性がある。税率の切替時には請求書や明細書の内容を確認の上、誤りのないように処理するよう注意しなければならない。

(リース延払基準の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置の概要)
問42 リース延払基準の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】 省略

(リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置の概要)
問43 リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】 省略

(特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関する経過措置の概要)
問47 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関する業務に係る対価を領収している場合の税率等に関する経過措置の概要を教えてください。
【答】  家電リサイクル法第4条に規定する製造業者等又は同法第32条第1項に規定する指定法人が、同法第18条第1項に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等又は同法第33条第2号に掲げる業務に係る対価を31年施行日(平成31年10月1日)前に領収している場合(同法第12条の規定に基づき同法第5条に規定する小売業者が31年施行日前に領収している場合を含みます。)において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等(再商品化等)を31年施行日以後に行うときは、当該課税資産の譲渡等に係る消費税については、旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5⑤)。
<解説>  10%税率への引き上げに伴い、新たに設けられた経過措置である。いわゆる家電リサイクル法の定めにより、31年施行日前に受領したリサイクル料金については、引き取った中古品を実際に再商品化あるいは廃棄するのが31年施行日以後になったとしても、8%税率が適用されることとなった。
 したがって、リサイクル料金を支払う事業者サイドでは、支払ベースで適用税率の処理をすれば何ら問題はない。

(編集部注)
 平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A(30年10月)【具体的事例編】は来月号で掲載します。

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