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解説記事2019年03月25日 【レポート】 電子的な資金調達(ICO)も金融商品取引法規制の対象に(2019年3月25日号・№780)

レポート
電子的な資金調達(ICO)も金融商品取引法規制の対象に
「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更へ

 政府は3月15日、「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。国際的な動向等を踏まえ、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更するほか、暗号資産交換業者に関する規制の整備や暗号資産を用いた不公正な行為への対応を行う。また、収益分配を受ける権利が付与されたICO(Initial Coin Offering)に適用されるルールが不明確であるため、暗号資産を対価としてトークンを発行する行為に金融商品取引法が適用されることを明確化する。
 施行は法律の公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日からとされており、今通常国会で法案が成立した場合には、来年6月頃までには施行される予定だ。

暗号資産にも風説の流布等の行為を禁止  今回の改正案は、国際的な動向や顧客の暗号資産(仮想通貨)の流出事案の発生などを踏まえ、利用者保護の確保やルールの明確化などを行うもの(参照)。まず、「仮想通貨」については、資金決済法などの法令上の呼称を「暗号資産」に変更する(これに伴い、所得税法、法人税法、登録免許税法の「仮想通貨」も「暗号資産」に変更)。また、収益分配を受ける権利が付与されたICO(企業等がトークン(電子的な記録・記号)を発行して、投資家からの資金調達を行う行為)に適用されるルールが不明確であるため、暗号資産を対価としてトークンを発行する行為に金融商品取引法が適用されることを明確化する。加えて株式等と同様、発行業者による投資家への情報開示制度を設けるとともに、トークン売買の仲介業者に対する販売・勧誘規制等を整備する。

【表】情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案の概要
(暗号資産の流出リスクへの対応) ・交換業者に対し、業務の円滑な遂行等のために必要なものを除き、顧客の暗号資産を信頼性の高い方法(コールドウォレット等)で管理することを義務付け
・ホットウォレットで管理する顧客の暗号資産については、別途、見合いの弁済原資(同種・同量の暗号資産)の保持を義務付け
(過剰な広告・勧誘への対応) ・虚偽記載・誇大広告の禁止
・投機を助長するような広告・勧誘の禁止など
(暗号資産の管理のみを行う業者(カストディ業者)への対応) ・カストディ業者に対し、暗号資産交換業規制のうち、暗号資産の管理に関する規制を適用(本人確認義務、分別管理義務など)
(問題がある暗号資産への対応) ・交換業者が取り扱う暗号資産の変更を事前届出とし、問題がないかチェックする仕組みを整備
(暗号資産を用いた不公正な行為への対応) ・風説の流布・価格操作等の不公正な行為を禁止
(暗号資産に関するその他の対応) ・交換業者の倒産時に、預かっていた暗号資産を顧客に優先的に返還するための規定を整備
(暗号資産を用いた証拠金取引への対応) ・外国為替証拠金取引(FX取引)と同様に、金融商品取引法上の規制(販売・勧誘規制等)を整備
(ICO(Initial Coin Offering)への対応) ・投資家に対し、暗号資産を対価としてトークンを発行する行為に金融商品取引法が適用されることを明確化
・株式等と同様に、発行者による投資家への情報開示の制度やトークン(電子的な記録・記号)の売買の仲介業者に対する販売・勧誘規制等を整備
(その他) ・保有する情報を第三者に提供する業務を金融機関の業務に追加
・保険業に関連するIT企業等を保険会社の子会社対象会社に追加
・店頭デリバティブ取引における証拠金の清算に関する規定を整備
・刑事訴訟法等と同様に、金融商品取引法の違反事案の調査において、電子的に保管されたデータの差押え等を可能とする規定を整備

 そのほか、暗号資産の取引において不当な価格操作等が行われているなどといった指摘を踏まえ、有価証券と同様、暗号資産についても風説の流布や相場操縦などの不公正な行為を禁止する。

データをパソコンに複写して差押えが可能  暗号資産関連以外にも改正が行われる。その中の1つがデータの差押え等に関する規定の整備だ。国税通則法や刑事訴訟法等と同様、金融商品取引法の犯則調査に電磁的記録等(サーバ等)の差押えを可能にする規定を導入する(本誌778号19頁参照)。
 昨今では、例えば、パソコン上の電子メールはすべて削除され、外部プロバイダのサーバ上のみに残されているようなケースなど、IT化等の進展により現行の金融商品取引法の犯則調査では対応できない状況も出てきていることに対応するものだ。
 具体的には、パソコンの差押えに代えて、データをCD-R等に複写した上で差押えを可能にしたり、外部プロバイダのサーバに保存されているデータをパソコンに複写した上で差し押さえることができるようにする(参照)。

 また、外部プロバイダ等に対し、送信元、送信先、通信日時など、通信履歴の電磁的記録を30日(特に必要な場合は60日)を超えない期間で消去しないよう、書面で求めることができるようにする。

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