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解説記事2019年05月20日 【SCOPE】 LIBORの公表停止、ヘッジ会計が継続適用できるか(2019年5月20日号・№787)

IASBは救済措置案を公表
LIBORの公表停止、ヘッジ会計が継続適用できるか

 企業会計基準委員会は、基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)の提言を踏まえ、金利指標改革に起因する会計上の問題について検討に入った。LIBORが2021年12月末にも公表停止となる可能性が強まっており、ヘッジ対象とヘッジ手段とで異なる金利指標を参照することになった場合、ヘッジ会計を継続して適用できるかどうかが問題となっている。金融機関だけでなく、一般事業会社でもヘッジ会計を適用している企業は多く、その影響は大きい。
 今回の問題は日本だけでなく、世界的な問題となっている。国際会計基準審議会(IASB)は5月13日、金利指標改革(IFRS第9号及びIAS第39号の修正案)を公表。救済措置として、ヘッジ対象のキャッシュ・フローの基礎となっている金利指標が金融指標改革の結果として変更されないものと仮定し、企業がそれらの要求事項を適用することが提案されている。当面、企業会計基準委員会では、IASBの修正案に対するコメントについて検討を行い、今後、適時に検討を行っていくことになるが、スタンスとしては、国際的な歩調を合わせる方向で対応がなされることになる。

ヘッジ会計が中止となれば財務基盤に大きな影響が
 LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は主要な金利指標の1つであり、貸出・デリバティブ等の金融商品において幅広く用いられているが、2021年12月末に恒久的な公表停止となる可能性が強まっている。英国の金融行為監督機構(FCA)では、2011年以降のLIBOR呈示行による不正操作問題を端緒に金利指標改革を進めてきたが、データの不十分さなどからその存続性に疑義が持たれているからだ。
金利指標が契約途中で変更に  現在は、世界各国でLIBORの後継指標をどうするか模索が続いているが、現状においては、貸出やデリバティブ等の相対契約において異なる後継指標が用いられることが考えられる。日本銀行に設置された「日本円金利指標に関する検討委員会」では、金利指標改革を踏まえた対応を検討中。現段階では、円LIBORを参照する金融商品・取引について、円LIBORが恒久的に停止した場合に備えた対応として①移行(新規契約する金融商品・取引について、代替金利指標を用いる方法)と②フォールバック(LIBOR参照の既存契約について、LIBORの恒久的な公表停止後に参照する金利(フォールバック・レート)を、契約当事者間であらかじめ合意しておく対応方法)について検討を行っている。どちらの方法についても当初契約の金利指標が契約途中で変更されることになるが、ここで大きな問題の1つとして浮上してきているのがヘッジ会計上の問題だ。
 例えば、円LIBOR参照の貸出を円LIBOR参照のデリバティブでヘッジする場合、高い確率で事前・事後の有効性検証を満たす可能性が高く、通常はヘッジ会計又は金利スワップの特例処理を利用して会計処理を行うことができる。
 しかし、LIBORが公表停止となれば、例えば、貸出がTIBOR(東京銀行間取引金利)参照に、デリバティブがO/N物新指標に変更になった場合、ヘッジ対象とヘッジ手段とで異なる金利指標を参照することから、ヘッジ会計を継続して適用できるかどうかが問題となっている。
 ヘッジ手段が金利リスクをヘッジするもので、仮にヘッジの中止事由に該当する場合には、その時点までのヘッジ手段に係る損益または評価差額はヘッジ対象の満期までの期間にわたり金利の調整として純損益に配分する一方、それ以降はヘッジ手段を時価評価する必要が生じる。また、仮にヘッジの終了事由に該当する場合には、繰り延べられていたヘッジ手段の損益又は評価差額について純損益に計上する必要が生じる等、ヘッジ会計導入時点では契約当事者間で想定しえなかった損益が発生する可能性があり、財務基盤を大きく損なうことになる。全国銀行協会によれば、金融機関のほか、東証1部上場企業の約500社がヘッジ会計を適用しており、その影響は大きい。

【参考】会計上の論点
 ヘッジ会計に関しては、主に次の2つのケースにおいて、ヘッジ会計の継続適用の可否が論点になると考えられている。
① ヘッジ対象(債券)とヘッジ手段(デリバティブ)の間で、フォールバック後の参照金利が異なるケース
② (フォールバック後の参照金利は同じだが)ヘッジ対象とヘッジ手段でトリガーが異なる等により、フォールバックのタイミングが異なるケース(債券はトリガーの発生によりフォールバック後の参照金利へ移行する一方、デリバティブはその時点では「LIBOR」であるケース等)

ASBJ、スタンスは国際的な議論と歩調を合わせる
 今回のLIBORの公表停止は日本だけでなく、世界的な問題となっている。IASBは5月13日、金利指標改革(IFRS第9号及びIAS第39号の修正案)を公表。救済措置として、ヘッジ対象のキャッシュ・フローの基礎となっている金利指標が金融指標改革の結果として変更されないものと仮定し、企業がそれらの要求事項を適用することが提案されている(2020年1月1日以後開始する事業年度から適用予定)。
 企業会計基準委員会では、当面、IASBの修正案に対するコメントについて検討を行い、今後、適時に検討を行っていくことになるが、スタンスとしては、国際的な歩調を合わせる方向で対応がなされることになる。
 IASBは2019年末までにも修正案を正式決定する予定だが、今回の取扱いは、LIBORを別の金利指標に置き換える前の期間における対応にすぎない。代替金利指標への置換え時の論点はまだ残されている。

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