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資料2019年08月05日 【重要資料】 定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ(国税庁)(2019年8月5日号・№798)

重要資料

定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ(国税庁)

 定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いについては、令和元年6月28日付課法2-13他2課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)が発遣され、取扱通達(法基通9-3-4等)の改正とともに、個別通達の廃止が行われており、令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については改正後の取扱いが適用されます(解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険の保険料については、令和元年10月8日以後の契約に係るものについて、改正後の取扱いが適用されます。)。
 このFAQは、改正後の通達に関して寄せられた主な質問に対する回答を取りまとめたものです。
(注)
1. このFAQは、令和元年6月28日現在の法令・通達に基づいて作成しています。
なお、「法人税基本通達」のほか、「連結納税基本通達」についても同様の改正が行われています(連基通8-3-4から8-3-9まで)。
2. このFAQにおいて使用している次の省略用語は、それぞれ次に掲げる通達を示します。
 法基通:法人税基本通達、連基通:連結納税基本通達
3. 今回の通達改正の経緯や趣旨等については以下を参照してください。
「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)に対する意見公募手続の実施について(意見公募は終了しています。)
「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)に対する意見公募の結果について

【適用時期】
[Q1]
 改正通達の適用時期はどのようになりますか。
[A]  改正後の法基通及び連基通の取扱い(解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険を除きます。)は、令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料について適用されますので、同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。
 また、法基通9-3-5の(注)2及び連基通8-3-5の(注)2に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険の保険料については、令和元年10月8日以後の契約に係るものについて、改正後の取扱いが適用されますので、同日前の契約に遡って改正後の取扱いが適用されることはありません。
 なお、上記のそれぞれの日前の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については、引き続き、改正前の法基通若しくは連基通又は廃止前の各個別通達の取扱いの例によることとなります。


【当期分支払保険料の額】
[Q2]
法基通9-3-5の2では、「当期分支払保険料の額」について、一定額を資産に計上し、あるいは損金の額に算入するとされていますが、この「当期分支払保険料の額」はどのように計算するのですか。
  また、保険料を年払としている場合には、法基通2-2-14((短期の前払費用))により損金算入した金額を当期分支払保険料の額とすることは認められますか。
[A]  「当期分支払保険料の額」とは、その支払った保険料の額のうち当該事業年度に対応する部分の金額をいいます(法基通9-3-5の2(注)1のロ)。したがって、例えば、いわゆる前納制度を利用して前納金を支払った場合や保険料を短期払した場合など、一定期間分の保険料の額の前払をしたときには、その全額を資産に計上し、資産に計上した金額のうち当該事業年度に対応する部分の金額が、当期分支払保険料の額として法基通9-3-5の2の本文の取扱いによることとなります(法基通9-3-5の2(注)4)。
 また、法基通2-2-14により、支払日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合(例えば、保険料を年払としている場合)において、その支払額に相当する金額を継続して支払日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、その金額を当期分支払保険料の額とすることは認められます。


【資産計上期間と取崩期間】
[Q3]
法基通9-3-5の2の表のうち、最高解約返戻率が85%超の区分となる場合の資産計上期間の欄や取崩期間の欄にある「期間」とは、どのような意味ですか。
[A]  法基通9-3-5の2では、保険期間を基に資産計上期間及び取崩期間を設定し、各事業年度に資産計上期間又は取崩期間があるか否かにより、当期分支払保険料の額の取扱いを定めています。
 ここで、「保険期間」とは、保険契約に定められている契約日から満了日までの期間をいい、当該保険期間の開始の日(契約日)以後1年ごとに区分した各期間で構成されているものとしています(法基通9-3-5の2(注)1のニ)。したがって、最高解約返戻率が85%超の区分となる場合における資産計上期間の欄や取崩期間の欄にある「期間」とは、保険期間の開始の日(契約日)以後1年ごとに区分した各期間のうちの特定の期間(例えば、「最高解約返戻率となる期間」や「解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間」など)のことをいい、当該法人の各事業年度とは異なります。

【(最高)解約返戻率と解約返戻金相当額】
[Q4]
(最高)解約返戻率の計算や、最高解約返戻率が85%超の区分となる場合の資産計上期間の判定に用いる「解約返戻金相当額」は、どのように把握するのですか。また、解約返戻率に端数が生じた場合はどうするのですか。
[A]  保険期間中の各期間における解約返戻金相当額は、契約時に保険会社から各期間の解約返戻金相当額として保険契約者に示された金額(「○年目の解約返戻金△△円」などと示された金額)によることとなります。
 なお、この金額は、各保険商品の標準例としてパンフレット等に記載された金額ではなく、保険設計書等に記載される個々の契約内容に応じて設定される金額となります。
 また、解約返戻率は、解約返戻金相当額について、それを受けることとなるまでの間に支払うこととなる保険料の額の合計額で除した割合としていますので(法基通9-3-5の2(注)1のイ)、これに端数が生じた場合、原則として、端数の切捨て等を行わずに最高解約返戻率を計算することとなりますが、現状、各保険会社は小数点1位までの数値により解約返戻率を通知しているという実務や経理事務の簡便性を考慮し、小数点2位以下の端数を切り捨てて計算した解約返戻率が保険設計書等に記載されている場合には、その解約返戻率を用いて最高解約返戻率の区分を判定しても差し支えありません。

[Q5]いわゆる前納制度を利用して前納金を支払った場合や、保険料を短期払込とした場合、(最高)解約返戻率はどのように計算するのですか。
[A]  いわゆる前納制度を利用して前納金を支払った場合には、各期間の保険料として充当されることとなる部分の額の合計額を分母とし、その合計額に係る解約返戻金相当額を分子として(最高)解約返戻率を計算することとなります。
 一方で、保険料を短期払込とした場合には、各期間までに実際に支払うこととなる短期払込の保険料の額の合計額を分母とし、その合計額に係る解約返戻金相当額を分子として(最高)解約返戻率を計算することとなります。
 また、最高解約返戻率が85%超の区分となる場合の資産計上期間の判定における解約返戻金相当額についても同様に計算することになります。
 なお、契約者には、上記のことを踏まえた解約返戻金相当額が保険会社から示されるものと考えられます。

[Q6]特約に係る保険料や特別保険料を支払った場合、(最高)解約返戻率はどのように計算するのですか。
[A]  保険給付のない特約に係る保険料(例えば、保険料払込免除特約等)や特別保険料は、主契約に係る保険料に含め、また、当該特約保険料や特別保険料を含めたところで計算される解約返戻金相当額により、(最高)解約返戻率を計算することとなります。
 なお、保険給付のある特約に係る保険料は、主契約に係る保険料とは区分して取り扱われることとなります(法基通9-3-6の2)([Q18]参照)。

[Q7]契約者配当の額や、いわゆる「生存給付金」、「無事故給付金」は、解約返戻金相当額に含まれますか。
[A]  契約者配当の額は、一般に、利差益、死差益及び費差益から成り、将来の払戻しを約束しているものではないため、解約返戻金相当額には含まれません。したがって、契約時の参考指標として、過去の契約者配当の実績を踏まえた予想配当額が示されている場合でも、解約返戻金相当額に含める必要はありません。ただし、契約時に、契約者配当が確実に見込まれているような場合は、この限りではありません。
 次に、いわゆる「生存給付金」や「無事故給付金」は、契約者に将来の払戻しを約束しているものですので、解約返戻金相当額に含まれます。したがって、契約時に、保険会社が各期間の「解約返戻金」として示す金額と「生存給付金」や「無事故給付金」とを区分して表示している場合には、これらの金額を合計した金額が解約返戻金相当額となります。

[Q8]いわゆる「変額保険」、「積立利率変動型保険」、「外貨建て保険」及び「健康増進型保険」のように、将来の解約返戻金相当額が確定していない場合、解約返戻金相当額はどのように把握するのですか。
[A]  いわゆる「変額保険」や「積立利率変動型保険」については、契約時に示される予定利率を用いて計算した解約返戻金相当額を用いて差し支えありません。また、「外貨建て保険」については、契約時の為替レートを用いて計算した解約返戻金相当額を用いて差し支えありません。
 なお、いわゆる「健康増進型保険」については、保険商品ごとにその契約内容が異なりますので、その取扱いは個別に判断する必要がありますが、将来の達成が不確実な事由(例えば、毎日1万歩歩くなど)によって、キャッシュバックが生じたり支払保険料等が変動するような商品については、そのキャッシュバックが生じないあるいは支払保険料等の変動がないものとして、契約時に示される解約返戻金相当額とこれに係る保険料によって(最高)解約返戻率を計算して差し支えありません。
 また、これらの事由が契約後に確定した場合には、契約内容の変更([Q11]参照)には該当しないものとして差し支えありません。

【年換算保険料相当額が30万円以下の場合】
[Q9]
年換算保険料相当額が30万円以下か否かは、どのように判定するのですか。
[A]  年換算保険料相当額が30万円以下か否かは、保険会社やそれぞれの保険契約への加入時期の違いにかかわらず、一の者(例えば、代表取締役:甲)を被保険者として、その法人が加入している全ての定期保険等に係る年換算保険料相当額の合計額で判定することとなりますが、その判定に際しては、特に次の点に留意する必要があります。
① 合計額に含めるのは、保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険で最高解約返戻率が50%超70%以下のものに係る年換算保険料相当額となります。
  なお、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを被保険者としている場合で、その保険料の額が当該役員又は使用人に対する給与となるものは、判定に含める必要はありません。
② 事業年度の途中で上記①の定期保険等の追加加入又は解約等をした場合の取扱いは次のとおりです。
  最初に加入した定期保険等に係る年換算保険料相当額が30万円以下で、当期に追加加入した定期保険等に係る年換算保険料相当額を合計した金額が30万円超となる場合には、最初に加入した定期保険等に係る当期分支払保険料の額のうちその追加加入以後の期間に対応する部分の金額については、法基通9-3-5の2の取扱いによることとなります(経理事務が煩雑となるため、追加加入した日を含む事業年度に係る当期分支払保険料の額の全額について同通達の取扱いによることとしている場合には、それでも差し支えありません。)。
  反対に、2つの定期保険等に加入している場合で、事業年度の途中に一方の定期保険等を解約等したことにより、年換算保険料相当額の合計額が30万円以下となるときには、他の定期保険等に係る当期分支払保険料の額のうちその解約等以後の期間に対応する部分の金額については、法基通9-3-5の2の取扱いの適用はありません(経理事務が煩雑となるため、解約等した日を含む事業年度に係る当期分支払保険料の額の全額について同通達の取扱いによらないこととしている場合には、それでも差し支えありません。)。この場合、既往の資産計上額の累積額については、保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日までの取崩期間の経過に応じて取り崩すこととなります。
③  改正通達の適用日前に契約した定期保険等に係る年換算保険料相当額は判定に含める必要はありません。


【最高解約返戻率が85%超となる場合の資産計上期間】
[Q10]
最高解約返戻率が85%超の区分となる場合の資産計上期間は、どのように判定するのですか。特に、法基通9-3-5の2の表中の資産計上期間の欄の(注)は、どのような場面で適用されるのですか。
[A]  最高解約返戻率が85%超の区分となる場合の資産計上期間は、原則として、保険期間の開始日から、最高解約返戻率となる期間の終了の日までとなります。ただし、最高解約返戻率となる期間経過後の期間においても、その支払保険料の中に相当多額の前払部分の保険料が含まれている場合(解約返戻金相当額の対前年増加額を年換算保険料相当額で除した割合が7割を超える場合)には、7割を超える期間の終了の日まで資産計上期間が延長されることとなります。
 なお、この増加割合が7割を超える期間が複数ある場合には、その最も遅い期間の終了の日までが資産計上期間となります(法基通9-3-5の2(注)3)。
 また、最高解約返戻率となる期間が極めて早期に到来し、その後、解約返戻率が急減するような商品については、資産計上期間を最低でも5年間とする必要があります。ただし、そのような商品であっても、保険期間が10年未満である場合の資産計上期間については、保険期間の5割相当期間となります。したがって、例えば、法基通9-3-5の2の表中の資産計上期間の欄の本文に従って計算された資産計上期間が3年、かつ、保険期間が8年の保険契約の場合、その資産計上期間は4年となります。

【契約内容の変更】
[Q11]
法基通9-3-5の2(注)5にある「契約内容の変更」とは、どのような変更をいうのですか。
[A]  法基通9-3-5の2は、契約時の最高解約返戻率の区分に応じて資産計上期間、資産計上割合及び取崩期間を設定していますので、解約返戻率の変動を伴う契約内容の変更や保険期間の変更は、原則として、「契約内容の変更」に当たり、例えば、次に掲げるような変更が該当します。
(1)払込期間の変更(全期払(年払・月払)を短期払に変更する場合等)
(2)特別保険料の変更
(3)保険料払込免除特約の付加・解約
(4)保険金額の増額、減額又は契約の一部解約に伴う高額割引率の変更により解約返戻率が変動する場合
(5)保険期間の延長・短縮
(6)契約書に記載した年齢の誤りの訂正等により保険料が変動する場合
 一方で、例えば、次に掲げるような変更は、原則として、「契約内容の変更」には当たりません。
(7)払込方法の変更(月払を年払に変更する場合等)
(8)払込経路の変更(口座振替扱いを団体扱いに変更する場合等)
(9)前納金の追加納付
(10)契約者貸付
(11)保険金額の減額(部分解約)
 なお、保険給付のある特約に追加加入した場合、その特約に係る保険料は、主契約に係る保険料とは区分して取り扱われることとなりますので、特約の付加に伴う高額割引率の変更により主契約の保険料が変動するようなことがない限り、主契約の「契約内容の変更」としては取り扱われません(法基通9-3-6の2)([Q18]参照)。
 また、契約の転換、払済保険への変更、契約の更新も、法基通9-3-5の2(注)5の「契約内容の変更」としては取り扱われません([Q14]参照)。
 上記のとおり、解約返戻率の変動を伴う契約内容の変更は、原則として、「契約内容の変更」に当たることから、次の[Q12]の処理を行う必要がありますが、「契約内容の変更」により最高解約返戻率が低くなることが見込まれる場合で、経理事務が煩雑となるため、あえて[Q12]の処理を行わないこととしているときには、それでも差し支えありません。

[Q12]定期保険等に加入後、「契約内容の変更」があった場合、具体的には、どのような処理を行うのですか。
[A]  法基通9-3-5の2は、契約時の契約内容に基づいて適用されますので、その契約後に契約内容の変更があった場合、保険期間のうち当該変更があった時以後の期間においては、変更後の契約内容に基づいて法基通9-3-4から9-3-6の2までの取扱いを適用することとなります(法基通9-3-5の2(注)5)。
 なお、保険料や保険金額の異動(これに伴い解約返戻率も変動)を伴う契約内容の変更がある場合には、変更前の責任準備金相当額と変更後の契約内容に応じて必要となる責任準備金相当額との過不足の精算を行うのが一般的であり、これにより、責任準備金相当額は契約当初から変更後の契約内容であったのと同じ額となりますので、税務上の資産計上累積額もこれに合わせた調整を行う必要があります。
 具体的には、変更時に精算(追加払い又は払戻し)される責任準備金相当額を損金の額又は益金の額に算入するとともに、契約当初から変更後の契約内容であったとした場合の各期間の解約返戻率を基にその保険期間に係る最高解約返戻率の区分を再判定して契約当初から変更時までの資産計上累積額を計算し、これと既往の資産計上累積額との差額について、変更時の益金の額又は損金の額に算入することとなります。この調整により、税務上の資産計上累積額は契約当初から変更後の契約内容であったのと同じ額となります(この処理は、契約変更時に行うものですので、過去の事業年度に遡って修正申告等をする必要はありません。)。
 変更後の各事業年度における当期分支払保険料の額については、上記の新たな最高解約返戻率の区分に応じて取り扱い、上記の調整後の資産計上累積額についても、この新たな区分に応じた取崩し期間に従って取り崩すこととなります。
 また、最高解約返戻率が85%以下の場合で、最高解約返戻率の区分に変更がないときには、資産計上期間や資産計上割合は変わらないことから、必ずしも上記の処理によることなく、責任準備金相当額の精算のみを行う処理も認められます。例えば、①責任準備金相当額の追加払があった場合に、変更後の保険料に含めて処理することや、②責任準備金相当額の払戻しがあった場合に、既往の資産計上累積額のうち払い戻された責任準備金相当額に応じた金額を取り崩すといった処理も認められます。


[Q13]改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等について、改正通達の適用日以後に契約内容の変更があった場合はどのように取り扱われるのですか。
[A]  改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等の保険料については、改正通達の適用日以後に契約内容の変更があった場合であっても、改正前の取扱い又は廃止前の個別通達の取扱いの例によりますので、改正後の取扱いは適用されません。

[Q14]改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等について、改正通達の適用日後に、転換、払済保険への変更、契約の更新、保険給付のある特約の付加があった場合はどのように取り扱われるのですか。
[A]  契約の転換は、既契約の保険契約を新たな契約に切り替えるものですので、改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等を改正通達の適用日後に転換した場合には、転換後の契約については、改正後の取扱いによることとなります([Q19]参照)。このことは、改正通達の適用日後に払済保険に変更した場合も同様です。
 次に、契約の更新も、既契約の保険契約を新たな契約に切り替えるものですので、改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等を改正通達の適用日後に更新した場合には、更新後の契約については、改正後の取扱いによるのが相当と考えられます。ただし、実務的には自動更新される場合が多く、契約者にとっては新たな保険に加入したとの認識もないため、自動更新を前提に保険に加入した契約者の予測可能性の確保等の観点から、保障内容に変更のない自動更新については新たな契約とは取り扱わずに、改正前の取扱いによって差し支えありません。
 なお、改正通達の適用日前の契約に係る定期保険等について、改正通達の適用日後に、保険給付のある特約を付加した場合には、その特約に係る保険料については、改正後の取扱いによることとなります。

【解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険】
[Q15]
法基通9-3-5の(1)及び(2)では、支払った保険料の額は、原則として、保険期間の経過に応じて損金の額に算入するとされていますが、同通達の(注)2では、保険料を支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することが認められています。具体的には、どのような場合に(注)2の対象となるのですか。
[A]  法人が支払った保険料の額は、原則として、保険期間の経過に応じて損金の額に算入することとなりますが、納税者の事務負担に配慮し、法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に加入した場合において、一の被保険者につき当該事業年度に支払った保険料の額が30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、その処理が認められます(法基通9-3-5の(注)2)。
 なお、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを被保険者としている場合で、その保険料の額が当該役員又は使用人に対する給与となるものについては、(注)2の取扱いは適用されません。
(注)法基通9-3-5の2では、年換算保険料相当額(保険料総額を保険期間の年数で除した金額)により、同通達の適用対象となるかを判定しますが、同9-3-5の(注)2では、年換算保険料相当額とは異なり当該事業年度中に支払った保険料の額で適用関係を判定することに留意する必要があります。

[Q16]保険期間のうち一定期間のみ解約返戻金のない商品は、法基通9-3-5の(注)2の対象となりますか。
  また、「ごく少額の払戻金がある契約」とは、どのような契約をいうのですか。
[A]  法基通9-3-5の(注)2は、「保険期間を通じて」解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険と定めていますので、例えば、保険料払込期間中は解約返戻金相当額がないものの、払込期間終了以後は解約返戻金相当額があるような商品は、同通達の対象となりません。
 なお、ここでいう解約返戻金相当額とは、法基通9-3-5の2の解約返戻金相当額と同じ意味です([Q7]参照)。
 また、現行の終身保障の第三分野保険のなかには、払込期間終了以後、ごく少額の解約返戻金や死亡保険金が支払われる商品や、保険期間中にごく少額の健康祝金や出産祝金などが支払われる商品が多くありますが、このように、ごく少額の払戻金しかない商品については、解約返戻金相当額のない保険に含まれます。
 「ごく少額の払戻金」の範囲について、現行の商品では、入院給付金日額などの基本給付金額(5千円~1万円程度)の10倍としている商品が多いようであり、このような払戻金は、一般的にはごく少額のものと考えられますが、ごく少額か否かは、支払保険料の額や保障に係る給付金の額に対する割合などを勘案して個別に判断することとなります(廃止された、いわゆる「がん保険通達」と考え方が変わるものではありません。)。

[Q17]当該事業年度に支払った保険料の額が30万円以下か否かは、どのように判定するのですか。
[A]  当該事業年度に支払った保険料の額が30万円以下か否かについては、特に次の点に留意する必要があります。
① 一の被保険者(例えば、代表取締役:甲)につき、法基通9-3-5の(注)2に定める「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」に複数加入している場合は、保険会社やそれぞれの保険契約への加入時期の違いにかかわらず、その全ての保険について当該事業年度に支払った保険料の額を合計して判定することとなります。したがって、例えば、年払保険料20万円の無解約返戻金型終身医療保険(払込期間30年)と年払保険料100万円の無解約返戻金型終身がん保険(払込期間5年)に加入して当該事業年度に保険料を支払った場合、いずれの保険料についても、同通達の(注)2の取扱いは認められず、それぞれの保険期間(保険期間の開始から116歳までの期間)の経過に応じて損金算入することとなります。
  なお、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを被保険者としている場合で、その保険料の額が当該役員又は使用人に対する給与となるものは、判定に含める必要はありません。
② 事業年度の途中で「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」の追加加入又は解約等をした場合の取扱いは次のとおりです。
  最初に加入した定期保険又は第三分野保険の年払保険料の額が30万円以下で、事業年度の途中で追加加入した定期保険又は第三分野保険について当該事業年度に支払った保険料の額との合計額が30万円超となる場合には、当該事業年度に支払ったいずれの保険料についても、同通達の(注)2の取扱いは認められず、それぞれの保険期間の経過に応じて損金の額に算入することとなります。
  反対に、2つの定期保険又は第三分野保険に加入している場合で、事業年度の途中に一方の保険を解約等したことにより、当該事業年度に支払った保険料の合計額が30万円以下となるときには、当該事業年度に支払った保険料の額を当期の損金の額に算入することができます。
③ 改正通達の適用日前に契約した「解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険」に係る支払保険料の額は判定に含める必要はありません。

【特約に係る保険料】
[Q18]
特約に係る保険料を支払った場合、どのように取り扱われるのですか。
[A]  法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含みます。)を被保険者とする特約を付した養老保険、定期保険、第三分野保険又は定期付養老保険等に加入し、当該特約に係る保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額については、当該契約の内容に応じ、法基通9-3-4、9-3-5又は9-3-5の2の例によることとなります(法基通9-3-6の2)。
 ここでいう特約とは、保険給付がある特約のことをいい、保険給付がある特約に係る保険料を支払った場合には、主契約に係る保険料とは区別して、法基通9-3-4、9-3-5又は9-3-5の2の取扱いによることとなります。
 一方で、保険給付のない特約に係る保険料(例えば、保険料払込免除特約に係る保険料)は、主契約に係る保険料に含めて各通達の取扱いによることとなります([Q6]及び[Q11]参照)。

【保険契約の転換】
[Q19]
いわゆる契約転換制度により、現在加入している養老保険を定期保険又は第三分野保険に転換した場合、転換後契約はどのように取り扱われるのですか。
[A]  いわゆる契約転換制度により、現在加入している養老保険を定期保険又は第三分野保険に転換した場合には、養老保険の保険料について資産計上した金額のうち、転換後の定期保険又は第三分野保険の責任準備金に充当される部分の金額(充当額)を超える部分の金額を転換日の属する事業年度の損金の額に算入することができ、その上で、充当額に相当する部分の金額については、転換後の定期保険又は第三分野保険に係る保険料の一時払いをしたものとして、法基通9-3-5及び9-3-5の2の例によることとなります(法基通9-3-7)。
 この充当額(転換価格)については、前納金として扱い転換後契約の応当日に各期間の保険料に充当していく方式(保険料充当方式)と、転換後契約の保険料の一部の一時払いとする方式(一部一時払方式)があるようですが、いずれの方式であっても転換後契約が定期保険又は第三分野保険である場合には、その充当額(転換価格)の全額を資産に計上し、資産計上した金額のうち転換後の各事業年度に対応する部分の金額が当期分支払保険料の額として法基通9-3-5の2の本文の取扱いによることとなります(法基通9-3-5の2(注)4)([Q2]参照)。
 ところで、転換後契約については、上記の充当額(転換価格)のほかに平準保険料を支払うのが一般的なようですが、そのような場合には、この平準保険料を合わせた額を当期分支払保険料の額として法基通9-3-5の2の本文の取扱いによることとなります。
 なお、転換後契約に係る(最高)解約返戻率については、転換時に保険会社から示される転換後契約に係る解約返戻金相当額について、それを受けることとなるまでの間に支払うこととなる保険料の額の合計額で除した割合によることとなります。
 また、契約の転換は、既契約の保険契約を新たな契約に切り替えるものですので、転換のあった日を保険期間の開始の日として資産計上期間や取崩期間を判定することとなりますが、転換後の定期保険又は第三分野保険の最高解約返戻率が85%超の区分となる場合でも、同通達の表の資産計上期間の欄の(注)に定める資産計上期間を最低でも5年間とする取扱いの適用はありません(法基通9-3-7)。


【長期傷害保険】
[Q20]
文書回答事例「長期傷害保険(終身保障タイプ)に関する税務上の取扱いについて」(平成18年4月28日回答)にある長期傷害保険は、通達改正後、どのように取り扱われるのですか。
[A]  長期傷害保険は、法基通9-3-5に定める第三分野保険に該当することとなりますので、改正通達の適用日以後の契約に係る長期傷害保険の保険料については、改正後の取扱いによることとなります。
 なお、同日前の契約に係る長期傷害保険の保険料については、文書回答事例「長期傷害保険(終身保障タイプ)に関する税務上の取扱いについて」(平成18年4月28日回答)の取扱いの例によることとなります。

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