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会社法ニュース2006年02月20日 東京地裁、住友信託と旧UFJの統合交渉で最終契約締結義務を否定(2006年2月20日号・№151) 基本合意に基づく独占交渉義務等は認めるも損害賠償請求は棄却

東京地裁、住友信託と旧UFJの統合交渉で最終契約締結義務を否定
基本合意に基づく独占交渉義務等は認めるも損害賠償請求は棄却


 東京地裁民事第7部(山崎勉裁判長)は2月13日、UFJホールディングス、UFJ信託銀行、UFJ銀行の旧UFJ3社と協議中の経営統合交渉が撤回され損害を被ったとして住友信託銀行が1,000億円の損害賠償を求めた事件で、原告の請求をすべて棄却する判決を言い渡した。

訴訟に至る経緯
 住友信託は平成16年5月21日、UFJ信託との経営統合を同グループとの間で基本合意したが、UFJ側が白紙撤回を申し入れる一方、旧三菱東京フィナンシャル・グループに経営統合を申し入れるに至り、7月16日、UFJ3社を相手取り、住友信託以外の第三者との協議や情報提供の禁止を求めて東京地裁に仮処分命令を申し立てた。仮処分事件の推移は右のとおりである。

本訴提起と争点
 住友信託は平成16年10月28日、UFJ3社に対し、翌年6月末までの①協議・情報提供の禁止、②住友信託との協議の履行を求める本訴を提起、平成17年3月7日、③基本合意の債務不履行に基づく損害賠償請求を追加。その後、①・②は取り下げられ、和解協議を経て損害賠償額が焦点となっていた。債務不履行または不法行為に基づく損害賠償として損害金2,331億円の一部1,000億円を求めるものである。
 主な争点は、①基本合意に基づく最終契約の締結義務の有無、②独占交渉義務・誠実協議義務の有無、③独占交渉義務等の白紙撤回通告による消滅の可否、④債務不履行等と相当因果関係にある損害額である。

裁判所の判断
 山崎裁判長は、基本合意は確定的でなく規定文言からも各当事者の最終契約締結義務まで合意したものではないと①を否定したが、独占交渉義務等は規定されており、②はあると指摘。本件の事実関係の下では協議を重ねても最終契約が成立する可能性がなかったとまでは断定できず、③は消滅しないとし、UFJ3社はこれらの義務違反による債務不履行責任を負うとした。
 一方で④につき、独占交渉義務等に違反せず交渉が継続されていても最終契約を締結しなかった可能性は否定できないとし、住友信託が主張する履行利益との間の相当因果関係を認めず、請求を棄却した。同様に、不法行為に基づく請求も斥けられた。

東京地決平成16年7月27日 UFJ3社による第三者との協議、情報提供を禁止する仮処分命令
東京地決平成16年8月4日 当該仮処分を認可
東京高決平成16年8月11日 基本合意書の法的拘束力と差止請求権を認めながらも住友信託の独占交渉権は失われたと判断
最決平成16年8月30日 住友信託の独占交渉権は認めながらも仮処分の必要性はないと判断


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