税務ニュース2006年12月11日 外形標準課税の適用対象見直し、20年度税制改正以降に先送り(2006年12月11日号・№190 平成19年度税制改正 最新動向
外形標準課税の適用対象見直し、20年度税制改正以降に先送り
平成19年度税制改正 最新動向
平成19年度税制改正議論が大詰めを迎えているが、総務省が実施の方針を固めていた外形標準課税の適用基準見直しが一転、自民党税調で20年度税制改正以降に先送りされることになった。
また、減価償却制度の見直しに伴う新しい償却率は「新規取得分」から適用される方向。ただし、現行95%とされる償却限度額を100%に引き上げる旨の改正は、既存設備に対しても適用される。
外形標準課税改正先送りは参院選に配慮?
外形標準課税の適用対象は現在「資本金」が1億円超の法人とされるが、総務省は、減資による外形標準課税逃れが相次いでいる実態を受け、これを法人税法上の「資本金等の額」に改正する方針を固めていた。
適用対象の見直しにより、新たに外形標準課税を受ける企業は大幅に増える見通しとなっていたが、ここにきて一転、自民党税調により19年度での改正が見送られることになった。その背景の1つには、参議院選挙を来年に控えるなか、中小企業への配慮があった模様だ。
ただ、総務省が外形標準課税逃れの実態を強く問題視していることには変わりなく、また、適用対象の見直しは20年度税制改正以降のテーマとして19年度税制改正大綱にも明記される方向。減資等による外形標準逃れを検討する企業の抑止力になりそうだ。
減価償却制度改正 償却資産は蚊帳の外?
実現が確実視されている減価償却制度の見直しについては、適用が新規取得設備からとなるのか、既存設備からとなるのかが注目されているが、「新規取得設備」からの適用で決着しそうだ。ただ、これは残存価額の廃止に伴う新しい償却率が新規取得設備から適用になるということであり、もう1つの論点である償却限度額を現行の95%から100%に引き上げる旨の改正については既存設備に対しても適用される方向。
減価償却の見直しに関連して今議論となっているのが、固定資産税における償却資産にも改正内容を反映させるかどうかという点だ。総務省は現在、税収減へ懸念からこれに強く反対している。仮に償却資産に改正内容が反映されないことになれば、同一資産について、法人税と固定資産税で異なる償却率が適用される事態となる。事務負担が増すことになろう。
株式譲渡税率、党内では「単純延長」の声強まる
現在10%とされる株式譲渡益に対する優遇税率については、自民党税調内では、優遇税率の適用期限の単純に延長を求める声が強まっている。一方、尾身財務大臣は、「経過措置を設けたうえで特例を廃止すべき」と主張しているほか、財務省は、「予定どおり19年12月末をもって特例を廃止すべき」としている。
自民党税調では、19年度改正一番の政策的問題として検討することになり、税制改正大綱の取りまとめギリギリまで調整が行われることになりそうだ。
特定の事業用資産の買換え等の延長は?
特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例については、平成18年12月31日で期限切れとなるが、自民党税調では検討項目として挙げられている。財務省では、延長を認めない方針だが、今後の自民党税調の検討次第では期限延長の可能性もありそうだ。ただし、この場合には、圧縮割合80%が引き下げられることになりそうだ。
平成19年度での環境税導入は見送りへ
環境省等が要望する環境税の導入については、平成19年度税制改正での見送りが決まった。自民党税調内においては、毎年、環境税導入についての議論が行われるが、賛成派と反対派の溝は埋まっていない。
このため、経済産業、環境、国土交通、農林の各部会長で合同部会を設置し、部会において税を含めた環境対策をどのように実現していくのかについて検討することにした。税制改正大綱には、検討事項として、方向性のみが明記される方向だ。
e-Taxで税額控除を認める可能性
国税電子申告システム(e-Tax)関係については、電子署名の省略や添付書類のデータ送信を認める方向だ。電子申告の際、現在、別途郵送しなければならない医療費の領収書、生命保険料控除証明書、源泉徴収票等について、書類内容のデータ送信を可能とする方向。また、税理士に電子申告を依頼している場合でも、申告には、納税者と税理士の双方の電子署名が必要とされている。このため、税理士のみの電子署名のみで電子申告を可能にし、手続の簡便化を図る方向だ。
その他、所得税の確定申告について、e-Taxで申請するために要した電子署名等の取得費等に対する所得税の税額控除についても、実現の可能性が高くなっている。e-Taxについては、平成22年度までにオンライン利用率を50%とする目標があるが、平成17年度は0.3%にすぎないという現状に配慮してのものだ。
法人実効税率や扶養控除の拡大は先送り
法人実効税率の引下げや子どもの扶養控除の拡大については、すでに平成20年度税制改正以降の検討課題として、先送りすることが決定されている。
平成19年度税制改正 最新動向
平成19年度税制改正議論が大詰めを迎えているが、総務省が実施の方針を固めていた外形標準課税の適用基準見直しが一転、自民党税調で20年度税制改正以降に先送りされることになった。
また、減価償却制度の見直しに伴う新しい償却率は「新規取得分」から適用される方向。ただし、現行95%とされる償却限度額を100%に引き上げる旨の改正は、既存設備に対しても適用される。
外形標準課税改正先送りは参院選に配慮?
外形標準課税の適用対象は現在「資本金」が1億円超の法人とされるが、総務省は、減資による外形標準課税逃れが相次いでいる実態を受け、これを法人税法上の「資本金等の額」に改正する方針を固めていた。
適用対象の見直しにより、新たに外形標準課税を受ける企業は大幅に増える見通しとなっていたが、ここにきて一転、自民党税調により19年度での改正が見送られることになった。その背景の1つには、参議院選挙を来年に控えるなか、中小企業への配慮があった模様だ。
ただ、総務省が外形標準課税逃れの実態を強く問題視していることには変わりなく、また、適用対象の見直しは20年度税制改正以降のテーマとして19年度税制改正大綱にも明記される方向。減資等による外形標準逃れを検討する企業の抑止力になりそうだ。
減価償却制度改正 償却資産は蚊帳の外?
実現が確実視されている減価償却制度の見直しについては、適用が新規取得設備からとなるのか、既存設備からとなるのかが注目されているが、「新規取得設備」からの適用で決着しそうだ。ただ、これは残存価額の廃止に伴う新しい償却率が新規取得設備から適用になるということであり、もう1つの論点である償却限度額を現行の95%から100%に引き上げる旨の改正については既存設備に対しても適用される方向。
減価償却の見直しに関連して今議論となっているのが、固定資産税における償却資産にも改正内容を反映させるかどうかという点だ。総務省は現在、税収減へ懸念からこれに強く反対している。仮に償却資産に改正内容が反映されないことになれば、同一資産について、法人税と固定資産税で異なる償却率が適用される事態となる。事務負担が増すことになろう。
株式譲渡税率、党内では「単純延長」の声強まる
現在10%とされる株式譲渡益に対する優遇税率については、自民党税調内では、優遇税率の適用期限の単純に延長を求める声が強まっている。一方、尾身財務大臣は、「経過措置を設けたうえで特例を廃止すべき」と主張しているほか、財務省は、「予定どおり19年12月末をもって特例を廃止すべき」としている。
自民党税調では、19年度改正一番の政策的問題として検討することになり、税制改正大綱の取りまとめギリギリまで調整が行われることになりそうだ。
特定の事業用資産の買換え等の延長は?
特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例については、平成18年12月31日で期限切れとなるが、自民党税調では検討項目として挙げられている。財務省では、延長を認めない方針だが、今後の自民党税調の検討次第では期限延長の可能性もありそうだ。ただし、この場合には、圧縮割合80%が引き下げられることになりそうだ。
平成19年度での環境税導入は見送りへ
環境省等が要望する環境税の導入については、平成19年度税制改正での見送りが決まった。自民党税調内においては、毎年、環境税導入についての議論が行われるが、賛成派と反対派の溝は埋まっていない。
このため、経済産業、環境、国土交通、農林の各部会長で合同部会を設置し、部会において税を含めた環境対策をどのように実現していくのかについて検討することにした。税制改正大綱には、検討事項として、方向性のみが明記される方向だ。
e-Taxで税額控除を認める可能性
国税電子申告システム(e-Tax)関係については、電子署名の省略や添付書類のデータ送信を認める方向だ。電子申告の際、現在、別途郵送しなければならない医療費の領収書、生命保険料控除証明書、源泉徴収票等について、書類内容のデータ送信を可能とする方向。また、税理士に電子申告を依頼している場合でも、申告には、納税者と税理士の双方の電子署名が必要とされている。このため、税理士のみの電子署名のみで電子申告を可能にし、手続の簡便化を図る方向だ。
その他、所得税の確定申告について、e-Taxで申請するために要した電子署名等の取得費等に対する所得税の税額控除についても、実現の可能性が高くなっている。e-Taxについては、平成22年度までにオンライン利用率を50%とする目標があるが、平成17年度は0.3%にすぎないという現状に配慮してのものだ。
法人実効税率や扶養控除の拡大は先送り
法人実効税率の引下げや子どもの扶養控除の拡大については、すでに平成20年度税制改正以降の検討課題として、先送りすることが決定されている。
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