ニュース特集 第1部
会計士制度はこう変わる!!
比較でわかる新しい会計士制度公認会計士法を大幅に改正する改正案が国会で審議中です。今回の特集では、第1部で主な改正点をまとめてみました。また、第2部にて法改正のキーパーソン塩崎衆議院議員へのインタビューを掲載しました。
会計士制度が大きく変わろうとしています。そこで、主な改正点について改正前(Before)と改正後(After)を較べてみました。今回の改正は米国のサーベーンズ=オクスリー法(SO法)の影響も受けた改正です。そのため、一部については参考のために米国の制度との比較をしています。
紙幅の都合上、改正点すべてを取り上げることはできませんが、その他、①公認会計士審査会が監査の監督業務も行う公認会計士・監査審査会に機能強化・名称変更され、常勤の委員も置かれる、②継続的専門研修制度が法定化される、③関与会社への就職制限、④行政の立入調査権につき懲戒を前提としないものとする等の規制強化並びに⑤広告規制の廃止、⑥監査法人の設立等につき認可制から届出制へ変更、⑦監査法人の会計年度の弾力化(現在は3月決算のみ)等の規制緩和に関する改正が行われる予定です。
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会計士の使命って何? | 改正前 | | 改正後 | Before | | After | 使命に関する規定はない。 業務に関する以下の規定のみ。 | → | 使命に関する規定が新設された。 業務に関する規定は変更無し。 | 第2条 1項 公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。 2項 公認会計士は、前項に規定する業務の外、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。(以下略)。 | | 第1条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。 |
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Before | | After | 全社員が無限連帯責任 | → | 指定社員制度の導入 | 関与社員に限らず、すべての社員が連帯して無限責任を負う。 | | 指定社員のみが、被監査会社等への債務につき無限連帯責任を負う(指定社員制度を導入していない場合や被監査会社等以外の第三者に対する債務の場合は、依然として全社員が無限連帯責任)。 |
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非監査業務の同時提供はどうなる? | 改正前 | | 改正後 | | アメリカでは | Before | | After | | U.S. | 自由 | → | 原則として禁止 | | 原則として禁止 | 被監査会社への非監査業務の同時提供は自由に行えた(税務業務を除く)。 | | 監査に対する信頼回復のため、大会社等について非監査業務の同時提供は原則禁止となった。 | | SO法201条にて9つの非監査業務につき、監査業務との同時提供が禁止されている。 |
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Before | | After | | U.S. | 法律上の制限無し | → | ローテーションが法定 | | ローテーションが法定 | 自主的にローテーションを実施している。 | | 馴れ合い監査を防ぐため、7年(当初)担当した後は政令で定める期間のインターバルが必要。 | | 5年担当した後は5年のインターバルが必要。 |
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Before | | After | | U.S. | 法定化されていない | → | 法定化された | | PCAOBによる監督 | もっとも、日本公認会計士協会が品質管理レビュー(監査の適切な質的水準の維持・向上を図り、監査に対する社会的信頼を維持・確保するために、監査の品質管理状況を日本公認会計士協会がレビューする制度)を実施している。 | | 監査に対する信頼をより一層確保すべく、日本公認会計士協会の品質管理レビューが法定化された。品質管理レビューは行政の監視を受けることとなる。 | | 米国SEC(証券取引委員会)の監督下に新設されたPCAOB (Public Company Accounting Oversight Board:公開会社会計監督委員会)が会計事務所を監督(oversight)する。 | (*)監査業務のレビュー制度とは、監査業務のレベルを保つため、第三者が業務の状況をチェックすること。 |
Before | | After | シンプルではない試験制度 年間1000人程度(2次試験)の合格者 | → | シンプルな試験制度 年間2000~3000人程度の合格者 | 1次試験から3次試験まである。2次試験合格者は登録すれば会計士補となる。2次試験は年間1000人程度の合格者で、7~8%程度の合格率。3次試験は年間700人程度の合格者で、60%程度の合格率。 | | 試験は1段階(もっとも、短答式と論文式の2回)。短答式に合格すれば次の2年間は短答式が免除。論文式は科目合格制(合格した科目は次の2年間免除)。会計士補制度は廃止。 |
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