税務ニュース2008年12月08日 事前確定届出給与の記載事項、割引債償還差益課税等見直しへ(2008年12月8日号・№286) 21年度税制改正による「納税環境整備」

事前確定届出給与の記載事項、割引債償還差益課税等見直しへ
21年度税制改正による「納税環境整備」

誌285号8頁では、海外での課徴金を一律損金不算入とする方向で検討が行われていることをお伝えしたが、この改正を含み、事前確定届出給与届出書の記載事項簡素化、割引債の償還差益への課税統一など12項目について、「納税環境整備」と位置付けた税制改正が実施される。

「レポ取引=貸付金」との前提が崩壊  「納税環境整備」として実施される12項目は、これまで課税上の矛盾や、納税者の事務負担が指摘されていたものが中心となる。本誌285号でお伝えした、海外での課徴金を損金不算入とする取扱いも、この「納税環境整備」の一環として手当てされる方向だ。
 また、割引債の償還差益に対する課税も見直される。割引債の償還差益は源泉徴収されたうえで法人税が課税されることになるが、受取人が外国法人で、かつ割引債の発行者も外国法人である場合には、源泉徴収だけで課税関係が終了する。一方、債権の利子については、たとえ利子の受取り手が外国法人であっても、その外国法人が国内に恒久的施設(PE)を有していれば「源泉徴収+法人税課税」が行われ(発行者が誰であるかは問わない)、償還差益とは課税関係が異なっている。このため、21年度税制改正では、償還差益に対する課税を利子に対する課税に合わせる方向で法令改正が行われることになりそうだ。
 レポ取引に係る所得の源泉所得税上の分類が変更される点も注目される。レポ取引に係る「利子」については現在非課税とされているが、この非課税措置が導入される前において大手信託銀行が海外でのレポ取引に絡み追徴課税処分を受けたことを巡る裁判で、今年10月28日、課税処分の取消しに加え「レポ取引は貸付金ではない」旨の判決が確定したことから、21年度税制改正では、レポ取引に係る所得が「利子」であることを前提とした現行法令を見直す必要が生じた。もっとも、レポ取引に係る所得が非課税であることは変わらないことになろう。
 また、事前確定届出給与の届出書において、前期の給与の記載が省略されることとなるほか、現在法人税と所得税で償却限度額の計算方法が異なっている「情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除制度」について、所得税上の計算方法を法人税に合わせる。
 このほか、①民法組合の業務執行組合員や信託受託者は、上場株式配当等の支払通知書を組合員や受益者に交付しなければならない、②信託収益に上場株式収益が含まれている場合には、提出不要限度額(3万円)を適用しない、③株式投資信託等の解約・償還金は、株式等の譲渡対価の支払調書の提出対象などが明確化される。

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