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税務ニュース2010年06月07日 ソフトウェア著作権の譲渡取引で支払対価を寄附金と認めず(2010年6月7日号・№357) 知財高裁、開発費の負担で直ちに著作権が移転することはない

ソフトウェア著作権の譲渡取引で支払対価を寄附金と認めず
知財高裁、開発費の負担で直ちに著作権が移転することはない

的財産高裁第1部(塚原朋一裁判長)は5月25日、連結親法人である控訴人が連結子法人に対して支払った金員が「寄附金」に該当するか否かが争われた事案で、当該金員を連結子法人に帰属するソフトウェア著作権の対価と判断。控訴人の請求を容認する判決を言い渡した(平成21年(行コ)第10001号)。

改変等により新ソフトウェアを開発  連結親法人、連結子法人のソフトウェア著作権譲渡契約の概要は以下のとおり。
① 連結親法人が連結子法人にソフトウェアを譲渡
② 連結子法人が連結親法人の委託に基づきソフトウェアを改変し、新たなソフトウェアを開発(著作権は連結子法人に原始的に帰属)
③ 連結親法人と連結子法人が新ソフトウェアの著作権等の譲渡契約を締結。連結親法人が対価として30億円を支払い
④ 連結親法人はX社に新ソフトウェア等を35億円で譲渡する合意。X社が連結親法人に35億円を支払い

譲渡契約前に著作権が移転と主張  争点は、連結親法人(控訴人)が連結子法人に対しソフトウェア著作権等の譲渡対価として支払った29億4,324万円が、法人税法37条7項の「寄附金」に当たるか否か。
 被控訴人(国)は、連結親法人と連結子法人が、新ソフトウェア開発の都度、開発費用としてSEサービス料を負担した連結親法人に著作権が移転することに黙示に合意しており、上記③の譲渡契約までには、それまでに開発された新ソフトウェア全部の著作権が連結親法人に帰属していたと主張。連結親法人が、連結子法人に支払った対価は、連結子法人の債務超過の状態を解消するためにあえて作出された虚偽の外形であり、何ら対価性を有しないことから、「寄附金」に該当するとした。

明示の特約・特段の事情の証拠もなし  塚原裁判長は、「単に開発したソフトウェアが主に委託者の業務に使用されるものとの理由で、委託者がその開発料を支払っていれば、直ちにその開発料に対応して改変された著作物の著作権が委託者に移転されるということにはならない」と指摘。
 そのうえで、本件においては、①著作権の帰属に係る明示の特約がなく、②ソフトウェアの著作権が、連結親法人が開発費用を負担した都度、連結親法人に対し黙示的に譲渡されていたことなどの特段の事情を認める証拠もないことから、開発費を負担したという事実があっても、そのことをもって直ちに、開発費を負担した部分の著作権がその都度、連結親法人に移転することはないと判断した。

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