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税務ニュース2003年07月14日 固定資産税の『適正な時価』は、客観的な交換価値か?(2003年7月14日号・№027) 別件の東京高裁判決は、収益還元価格を判示

固定資産税の『適正な時価』は、客観的な交換価値か?
別件の東京高裁判決は、収益還元価格を判示



本誌No.026【7月7日号】では、固定資産税評価額の時価(客観的な交換価値)を超える部分を違法とした最高裁判決をお伝えした。
 最高裁判決だけに、その射程範囲が注目されるところだが、別件の東京高裁の判決では、「適正な時価」を収益還元価格によって算定すると判示しており、今後の最高裁の判断が大いに注目される。

別件で東京高裁は、時価の評価方法に「収益還元価格」を採用
 最高裁判決が出された事件(「本件」)では、第1審において、原告(納税者)が「評価基準及び取扱要領等の内容の是非を含めて、法が定める『適正な時価』に合致しているかどうかを審査しなければならない。」と主張した。これに対して、第1審(東京地裁)の判断は、土地の「適正な時価(地法341条5号)とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうものと解すべきであると判示した(平成8年9月11日東京地裁、平成07(行ウ)第235号)。原告側が上級審で争わなかったため、高裁・最高裁も同様の判示を行っている。
一方、平成14年10月29日東京高裁第19民事部(浅生重機裁判長)(平13(行コ)第117号)(「別件」)は、別の固定資産税評価額を巡る訴訟において、①「固定資産税評価基準は、市町村長を拘束するが、法規のように裁判所や委員会及び国民を拘束するものではない。」②「売買実例価格(市場価格)説は、一種のドグマにとらわれた解釈であり、法の適正な解釈は、固定資産税の制度の趣旨の探求によってのみ、実現されるべきものである。」③「固定資産税は物税であるとし、固定資産税の課税標準である「適正な時価」は、値上がり益や将来の収益の現在価値を含まない、当該年度の収益を基準に資本還元した価格によって算定されねばならないのである。」と判示した。
 さらに、固定資産税において想定される標準的な利子率(適用すべき還元利回り)は、民事法定利率と同じ5%とするのが相当であるとし、固定資産税の制度の趣旨からして、「適正な時価」は、収益還元価格を上限とすべきであるとしている。

不安定な土地評価の実状を暗示
 本件と別件の判示を読めば、争点の取り上げ方によっては、まったく異なる判断が下されることが十分に予想される。別件が最高裁に係属中であることから、最高裁が高裁のこのような判示に対して、本件のように「適正な時価」を客観的な交換価値とするのか、別件の高裁判決を引用して「収益還元価格」を採用するのか、大いに注目されるところである。土地評価については法的に不安定な状態が続きそうだ。

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