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税務ニュース2017年07月03日 全株没収のRS、損金0でも特別損失発生(2017年7月3日号・№697) 税務上は「給与等課税額」生じない限り損金不算入

全株没収のRS、損金0でも特別損失発生
税務上は「給与等課税額」生じない限り損金不算入

業績があらかじめ定めた基準に達しない場合に全株式が没収されるタイプの譲渡制限付株式報酬は従来通り事前確定届出給与として損金算入可も、実際に全株式が没収された場合、損金算入額はゼロに。
一方、会計上は報酬債権の全額が特別損失として計上。税務上は「給与等課税額」が生じない以上、当該特別損失の損金算入は不可。
 平成29年度税制改正では、利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式報酬が事前確定届出給与の対象から除外されたのは周知のとおりだ。ただし、業績があらかじめ定めた基準に達しない場合に“全て”の株式が没収されるタイプの譲渡制限付株式報酬は、「利益その他の指標」を基礎としているとまでは言えないことから、従来通り事前確定届出給与として損金算入が可能である旨の解釈が税務当局より示されている(691号7頁「“オールorナッシング”型の譲渡制限付株式報酬」参照)。
 もっとも、実際に全ての株式が没収された場合、損金算入額もゼロになる。ただし、この場合でも会計上のコストは発生するので注意したい。例えば、特定譲渡制限付株式を発行して3年後に譲渡制限を解除するケースでは、会計上は最初に決めた報酬債権額を前払費用等として資産計上し、これを毎年按分して3年間で費用(株式報酬費用)として認識していくことになる。そして、その途中で業績悪化事由が発動し、全ての株式が没収された場合には、前払費用を全額取り崩し、「特別損失」を計上するというのが現在の会計ルールとなっている。
 税務上、この特別損失を損金算入することはできない。これは、法人税法54条2項で「給与等課税額が生じないときは、当該役務の提供を受ける内国法人の当該役務の提供を受けたことによる費用の額又は当該役務の全部若しくは一部の提供を受けられなかつたことによる損失の額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない」と規定されているため。全株式が没収された場合には当然ながら「給与等課税額」は生じないことから、損金算入の対象となる金額もないことになる。
 損金算入が一切できないにもかかわらず報酬債権額全額について会計上のコストだけが発生するという点は、企業が事前交付型の譲渡制限付株式報酬の導入を検討する上ではネガティブな材料となる可能性もありそうだ。

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