税務ニュース2018年12月10日 富裕層への実地調査は5千件超で実施(2018年12月10日号・№766) 外国親会社からの経済的利益などを申告しなかった事例も

富裕層への実地調査は5千件超で実施
外国親会社からの経済的利益などを申告しなかった事例も

富裕層に対する調査は約5千件超で実施。統計を開始した平成21事務年度以降で最高。
外国親会社からの経済的利益を申告しなかった事例や、妻名義の仮想通貨取引による利益を申告しなかった事例も。
 国税庁が11月29日に公表した「平成29事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」によると、所得税の実地調査件数は72,953件(前事務年度70,238件)と3.9%増加した。実地調査のうち、「特別調査・一般調査」(高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象)は49,735件(同49,012件)、「着眼調査」(申告漏れ所得等の把握を短期間で行う調査)は23,218件(同21,226件)と増加する一方、「簡易な接触」(計算誤り等がある申告の是正)は549,684件(同576,906件)と減少した。ただ申告漏れ所得金額は9,038億円(同8,884億円)と増加しており、国税庁は深度ある調査を的確に実施できたとしている。
 また、国税庁ではいわゆる富裕層(有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人など)に対して積極的な調査を行っているが、平成29事務年度では平成21事務年度以降最高の5,219件(対前年比124.6%)の実地調査が行われ、このうち申告漏れ等の非違件数は4,269件(非違割合は81.8%)にのぼっていることがわかった。申告漏れ所得金額は670億円で追徴税額は177億円であった(下表参照)。名古屋国税局では、外国親会社からの経済的利益や海外ファンドの資産運用益(配当)などを申告せず約6,900万円を追徴した事例や、東京国税局では、仮想通貨取引による利益について、妻名義分の取引による利益の申告をしていなかったとして重加算税を含め約2,400万円を追徴された事例などがあった。
 そのほか、譲渡所得の調査等では、24,105件の調査(実施調査及び簡易な接触)が行われ、申告漏れ等の非違件数は18,022件だった。1件当たりの申告漏れ所得金額は615万円と前事務年度の556万円から増加した。なお、国税庁によると国外転出時課税に関して15件程度の調査が行われたという。

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