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解説記事2021年01月11日 ニュース特集 令和2年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?(2021年1月11日号・№865)

ニュース特集
再生可能エネルギー発電設備等の特別償却等は適用期限で廃止
令和2年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?


 令和3年3月末までに適用期限が到来する法人税関係の租税特別措置(減収措置)については、令和3年度税制改正により中小企業者等の法人税率の特例(15%)をはじめ、軒並み適用期限の延長が行われているが、商業・サービス業・農林水産業活性化税制や再生可能エネルギー発電設備等の特別償却など、適用期限で廃止される措置もある(表参照)。本特集では、適用期限を迎える租税特別措置の帰趨を紹介する。

高度省エネルギー増進設備等の特別償却制度等は1年前倒しで廃止

 令和3年度税制改正では、商業・サービス業・農林水産業活性化税制(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度)、再生可能エネルギー発電設備等の特別償却、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置)などが適用期限で廃止されることになった。商業・サービス業・農林水産業活性化税制については、対象業種が中小企業投資促進税制に統合される形となっている(本誌863号4頁参照)。
 なお、高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、所要の経過措置を講じた上、令和3年3月31日に1年前倒しで廃止されることになった。
 適用期限が延長された項目の多くは縮減とセットとなっているが、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(税額控除割合の上限の上乗せ特例等)や中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の税額控除)など、拡充されている項目もある。

【表】令和2年度末までに適用期限が到来する法人税関係特別措置の改正内容

税制措置 改正内容(適用期限等)
中小企業者等の法人税率の特例
適用期限を2年延長。
試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(税額控除割合の上限の上乗せ特例等) ① 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額を超える事業年度の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せ。
② 増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が9.4%を超える場合に次のとおりとする特例に見直した上、その適用期限を2年延長。
 (イ)税額控除率(12%)に、増減試験研究費割合から9.4% を控除した割合に
0.35 を乗じて計算した割合を加算。
 (ロ)控除税額の上限に当期の法人税額の10%を上乗せ。
③ 試験研究費の額が平均売上金額の10% を超える場合における税額控除率の特例及び試験研究費の額が平均売上金額の10% を超える場合(上記ロの適用がある場合を除く。)における控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を2年延長。
 (注)税額控除率は17%を上限(現行と同じ)。
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業投資促進税制) 適用期限を2年延長。
① 対象となる指定事業に次の事業を加える。
 イ 不動産業
 ロ 物品賃貸業
 ハ 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)
② 対象となる法人に商店街振興組合を加える。
③ 対象資産から匿名組合契約等の目的である事業の用に供するものを除外する。
沖縄の観光地形成促進地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 適用期限を1年延長。
ただし、対象資産のうち5G 情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定。
沖縄の情報通信産業振興地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控 適用期限を1年延長。
ただし、対象資産のうち5G 情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定。
沖縄の産業高度化・事業革新促進地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 適用期限を1年延長。
ただし、
① 対象事業からこん包業、機械設計業、経営コンサルタント業、エンジニアリング業、商品検査業及び研究開発支援検査分析業を除外。
② 対象資産のうち5G 情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
沖縄の国際物流拠点産業集積地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 適用期限を1年延長。
ただし、
① 対象事業からこん包業を除外。
② 対象資産のうち5G 情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
沖縄の経済金融活性化特別地区において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 適用期限を1年延長。
ただし、
① 対象事業から自然科学研究所、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所及び税理士事務所に属する事業を除外。
② 対象資産のうち5G 情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の税額控除(地域未来投資促進税制) 適用期限を2年延長。
① 対象となる事業にサプライチェーンの強靭化に資する類型を加えるとともに、承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件について、次の見直しを行う。
 イ 事業の先進性の確認に当たっては、投資収益率又は労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認する。
 ロ サプライチェーンの強靭化に資する類型については、上記イの投資収益率又は労働生産性の伸び率の確認に代えて、海外に生産拠点が集中している一定の製品の製造をすること及びその地域経済牽引事業計画が実施される都道府県の行政区域内でのその製品の承認地域経済牽引事業者の取引額の一定水準以上の増加が見込まれることを確認する。
 ハ 承認地域経済牽引事業の実施場所が特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合に先進性に係る要件を満たすこととする特例について、その承認地域経済牽引事業に係る地域経済牽引事業計画の承認を受けた日がその特定非常災害発生日から1年(現行:5年又は3年)を経過していない場合とし、対象となる区域を特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区のうちその特定非常災害に基因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物等の敷地等の区域とする。
② 特別償却率及び税額控除率の引上げに係る要件について、その確認に当たっては、投資収益率及び労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認する。
③ 主務大臣の確認を受けた承認地域経済牽引事業計画の実施期間内には、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けられないこととし、承認地域経済牽引事業計画の実施期間終了後に、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けようとする場合には、主務大臣は、現行の要件の確認に加えて、その確認に係る地域経済牽引事業計画前の地域経済牽引事業計画に係る投資収益率及び労働生産性の伸び率の実績を確認する。
特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 適用期限の到来をもって廃止。
中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の税額控除 適用期限を2年延長。
関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象に計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る)を実施するために必要不可欠な設備を追加。
給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度を見直し、青色申告書を提出する法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除ができる制度とする。この場合、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
法人税の額から控除される特別控除額の特例(特定税額控除制度の不適用措置) 適用期限を3年延長。
① 本措置の対象に、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除及びデジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除を追加。
② 継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額を超えることとの要件を判定する場合に雇用調整助成金及びこれに類するものを控除しないこととする。
再生可能エネルギー発電設備等の特別償却 適用期限の到来をもって廃止。
船舶の特別償却 適用期限を2年延長。
① 外航船舶について、事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
② 内航船舶について、対象から匿名組合契約等の目的である船舶貸渡業の用に供される船舶を除外するとともに、事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却 適用期限を2年延長。
施設規模要件を3億5,000万円以上(現行:3億円以上)に引き上げ。
特定事業継続力強化設備等の特別償却 対象法人を中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月16日)から令和5年3月31日までの間に中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画等の認定を受けた中小企業者等とし、対象資産をその認定を受けた日から1年以内に、取得等をして、事業の用に供する資産とする。
① 対象資産に次の資産を追加。
 イ 架台(対象資産をかさ上げするために取得等をするものに限る)及び無停電電源装置
 ロ 感染症対策のために取得等をするサーモグラフィ
 ハ 資本的支出により取得等をする資産
② 対象資産から次の資産を除外。
 イ 火災報知器、スプリンクラー、消火設備、排煙設備及び防火シャッター
 ロ 資産の取得等に充てるための補助金等の交付を受けて取得等をするもの
③ 令和5年4月1日以後に取得等をする資産の特別償却率を18%(現行:20%)に引き下げ。
共同利用施設の特別償却 適用期限を2年延長。
ただし、取得価額要件を400万円以上(現行:200万円以上)に引き上げ。
特定地域における工業用機械等の特別償却 ① 過疎地域に係る措置について、青色申告書を提出する法人が、新過疎法の施行の日から令和6年3月31日までの間に、新過疎法の過疎地域のうち市町村が定める過疎計画(仮称)において産業振興施策促進事項(仮称)に記載されている地区の区域内において、機械装置、建物等及び構築物の取得等をした場合には、5年間普通償却限度額の32%(建物等及び構築物については、48%)の割増償却ができる措置に改組する。
② 次の措置について、対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とした上、その適用期限を2年延長。
 ア 半島振興対策実施地域に係る措置
 イ 離島振興対策実施地域に係る措置
 ウ 奄美群島に係る措置
③ 振興山村に係る措置は適用期限の到来をもって廃止。
沖縄の離島地域における旅館業用建物等の特別償却 適用期限を1年延長。
対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
医療用機械等の特別償却 適用期限を2年延長。
① 診療所における全身用CT及び全身用MRIの配置効率化等を促すための措置を講ずる。
② 対象機器の見直しを行う。
事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却 適用期限を2年延長。
特定都市再生建築物の割増償却 適用期限を2年延長。
ただし、
① 対象となる民間都市再生事業計画の認定要件に複合用途開発であることとの要件を追加。
② 対象となる民間都市再生事業計画のうち特定都市再生緊急整備地域における民間都市再生事業計画の認定要件にオフィスの基準階面積が1,000㎡以上であることとの要件を追加。
沖縄の情報通信産業特別地区における認定法人の課税の特例 適用期限を1年延長。
沖縄の国際物流拠点産業集積地域における認定法人の課税の特例 適用期限を1年延長。
ただし、対象事業からこん包業を除外。
沖縄の経済金融活性化特別地区における認定法人の課税の特例 適用期限を1年延長。
ただし、対象事業から自然科学研究所、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所及び税理士事務所に属する事業を除外。
農業経営基盤強化準備金 適用期限を2年延長。
ただし、
①  対象法人を農地中間管理事業の推進に関する法律の規定により市町村が公表した人・農地プランにおいて地域の中心となる経営体として位置付けられたものに限定(令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。
② 農業経営基盤強化準備金制度の損金算入限度額及び農用地等を取得した場合の課税の特例の圧縮限度額となる所得の金額について、積立て後5年を経過した農業経営基盤強化準備金の取崩しにより益金の額に算入される金額はその所得の金額を構成しないものとして計算。
特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置) 適用期限の到来をもって廃止。
特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例 適用期限の到来をもって廃止。
技術研究組合の所得の計算の特例 適用期限を3年延長。
ただし、対象資産から鉱業権を除外。

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