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解説記事2019年10月28日 SCOPE 相場操縦違反で課徴金も原告は取引の当事者にあらず(2019年10月28日号・№809)

東京地裁、課徴金納付命令を取消し
相場操縦違反で課徴金も原告は取引の当事者にあらず


 東京地裁(古田孝夫裁判長)は9月27日、相場操縦の禁止(金商法159条2項1号)に違反したとして投資会社に対して金融庁が行った課徴金2,106万円の納付命令を取り消した。東京地裁は、原告に各トレーダーに対する指揮監督、雇用管理等の権限はなく、個々のトレーダーの採否も別の会社が判断して行っていたことを踏まえると、本件各トレーダーは原告の従業員と同視することはできないと指摘。各対象取引が相場操縦違反行為に該当するか否かの判断をするまでもなく、違反者になり得ない原告に対し課徴金の納付を命ずるものであり、違法であるとした。なお、同事件については東京高裁に控訴されている。

原告による指揮監督、雇用管理等がトレーダーに及んでいるか

 本件は、相場操縦の禁止に違反したとして、金融庁から課徴金納付命令の決定を受けた投資会社(原告)が、本件決定が認定した違反事実に係る取引をしたのは原告ではないと主張して、その取消しを求めた事案である。
 国は、法人が有価証券の売買等をした者であるというためには、当該行為が法人の業務として行われることが必要であり、かつ、それで足りるというべきであり、原告代表者が各グループ会社(参照)を実質的に支配し得たことを踏まえれば、各トレーダーは原告の業務を行っていたといえると主張。一方、原告は、株式の売買等に係る投資判断及び注文は各トレーダーが行うものであり、原告が各トレーダーの行為について指示を行うことはなかったなどと主張していた(参照)。

【表】原告は本件各対象取引をした者であるか

国(被告)の主張 セレクト・バンテイジ(原告)の主張
・原告代表者は、グループ会社である原告、エリート・バンテイジ及びトゥルー・ノース・バンテイジの役員を兼任し、これらの会社の直接・間接の株主であるトゥー・シティーズ・トラストの受益者であったのであり、各グループ会社を実質的に支配し得たことを踏まえれば、本件各トレーダーは原告の業務を行っていたといえる。
・本件各トレーダーが入力した取引は、原告が手配した各契約関係を通じて、そのまま東証及び本件PTSに取り次がれ、これが原告と契約した証券会社の原告の口座に原告の取引として記録される。そうすると、原告は自らの取引を本件各トレーダーに委託したものと評価できる。
・本件各トレーダーの取引はトゥルー・ノース・バンテイジに所属する職員等により、取引監視システムを用いて事後的に監視されていた。また、原告においても、事後的監視が行われており、原告代表者は、各トレーダーの購買力や損失限度に関してグループとしての最終決定権を持っている。
・株式の売買等に係る投資判断及びその注文はあくまでも本件各トレーダーが行うものであり、かつ、売買管理も第一次的には本件各トレーダーの所属する上海支店及び鄭州支店のオーナー兼マネージャーが行うこととなっており、原告が本件各トレーダーの行為について指示等を行うことはなかった。
・本件各トレーダーは、自らの判断により本件各対象取引を行い、実績ベースで利益の配分を受けているのであるから、本件各トレーダーが原告の手足にすぎないとは認められず、原告が本件各トレーダーに対し、指揮命令権限や監視義務を負っていないこと等も踏まえれば、原告が本件各トレーダーを実質的に支配していたとはいえない。
・各トレーダーの違法行為を防止するための種々の注意を尽くしており、過失は認められない。

そもそも原告の従業員でないと判断
 東京地裁は、金商法159条2項は、相場操縦違反行為等の行為をすることを「何人」に対しても禁止していることからすれば、法人が違反者に当たるためには、当該法人の役員、従業員若しくは当該法人による指揮監督、雇用管理等の具体的な事業によりこれらの者と同視し得る者、又は当該法人からの具体的な指示を受けた者が、当該法人の計算で相場操縦違反行為を行ったことを要すると解すべきであるとした。
 この点、原告とエリート・バンテイジの法人格は別であり、各トレーダーは原告の従業員に当たらないため、本件については、原告による指揮監督、雇用管理等が本件各トレーダーに及んでいるなど、各トレーダーを原告の従業員と同視し得べき具体的な事情があるか否かが検討されなければならないとした。
 その上で本件についてみると、各契約の内容、バンテイジ・グループにおけるトレーダーの取引の管理状況等に鑑みれば、原告に本件各トレーダーに対する指揮監督、雇用管理等の権限はなく、実際にも原告が本件各トレーダーを指揮監督し、又はその雇用管理をするような状況にはなかったとした。また、個々のトレーダーの採否もエリート・バンテイジが判断して行っていたことを踏まえると、各トレーダーを原告の従業員と同視することはできないと判断。本件は、各対象取引が相場操縦違反行為に当たるか否かについて判断するまでもなく、本件決定は各対象取引につき違反者になり得ない原告に対し課徴金の納付を命ずるものであるといえるから、違法であるとの判断を示した。

【参考】金融庁による本件課徴金納付命令

 金融庁は平成29年3月14日付で、原告に対し、本件各対象取引が相場操縦違反行為であるとして、課徴金2,106万円の納付を命ずる決定を行っている。
 具体的には、原告の株式売買業務に従事していた本件各トレーダーが、東証の午前立会時間終了後から午後立会時間開始前までの注文受付時間に、東証で成行又は直前の寄前気配値段よりも上値の価格帯に約定させる意思のない大量の買い注文を発注して寄前気配値段を引き上げた上で、売り注文を発注し、その売り注文の一部に自己の買い注文を対当させて株価を引き上げて残りの売り注文を自己に有利な価格で約定させるなどの方法により、本件各対象取引を行っていたとしたものである。

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