税務ニュース2019年11月22日 サイト中傷記事削除費用は家事関連費(2019年11月25日号・№812) 審判所、業務の遂行上直接必要な部分は確認できず
本事案は、診療所を営む医師である請求人が、事業所得の金額の計算上、自身が医業停止処分を受けたことなどを掲載したインターネット上の記事(ネガティブサイト)の削除等のために支払った費用が必要経費になるか否かが争われたもの。請求人は、本件対策費は広告宣伝費としての性質を有するなどと主張していた。
審判所は、ネガティブサイトを放置することにより、ネガティブサイトに記載された請求人の氏名、職業及び年齢等を端緒に、請求人に処分歴等があることが認識され、その結果、請求人個人のみならず診療所に関する悪評等につながるおそれがあることは想像に難くなく、場合によっては患者数が激減するなどの事態が生じる可能性も否定できないと指摘。ネガティブサイトの削除方法等があることを知ったのを機に、業務による売上げに悪影響が及ぶことを回避する目的もあって費用を支出したのであり、本件費用を支出するに至った経緯、趣旨及び目的等の事情を総合的に考慮すると、本件費用は事業所得を生ずべき業務と関連して支出する費用という側面を有しているとした。ただその一方では、私人としての請求人自身に対する悪影響を回避するという側面も有しているとした。
したがって、本件費用は業務と関連して支出する費用としての性質と家事費としての性質を併有するものであり、家事関連費に該当するとした。その上で、本件費用は、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要な部分を明らかに区分していた事実を確認することはできないし、ほかに業務の遂行上直接必要であったことを明らかに区分することができると認めるに足る客観的な証拠もないと指摘。本件費用は家事関連費であっても経費ではないことから、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額には該当しないとの判断を示した。
なお、原処分庁は、本件費用は請求人が私生活で引き起こした刑事事件を原因として支出されたものであることや、業務にどの程度影響が生じたか不明であるのに約560万円もの金額を支出することには合理性がないとしていたが、審判所は、直ちに業務関連性がないと判断することはできないとして原処分庁の主張には理由がないとした。
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