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解説記事2021年06月28日 ニュース特集 中小企業経営資源集約化税制、デューデリジェンスが適用要件(2021年6月28日号・№888)

ニュース特集
税理士や公認会計士、弁護士等の専門家が担当
中小企業経営資源集約化税制、デューデリジェンスが適用要件


 令和3年度税制改正では、中小企業経営資源集約化税制が措置されている。中小企業経営強化税制の新たな類型として「経営資源集約化設備」(D類型)が追加されるとともに、所得拡大促進税制の要件緩和が行われる。また、中小企業同士のM&Aの際の簿外債務などのリスクに備え、準備金を積み立てた際に損金算入を認める措置が講じられる。これらの措置は経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受けることが必要になるが、計画には税理士や公認会計士、弁護士等により事業承継等事前調査(デューデリジェンス)を行うことが適用要件となっているので留意したい。

税理士・公認会計士、弁護士等による事前調査を経営力向上計画に明記

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(法律第70号)が令和3年6月16日に公布された(施行は原則として公布の日から3月以内)。改正法の中には中小企業等経営強化法の一部改正も含まれている。
 中小企業等経営強化法の主な改正内容については、①中小企業の事業・規模の拡大を促進するため、経営革新計画・経営力向上計画について、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群(特定事業者及び特定事業者等)を支援施策の対象に追加、②事業承継に先立ち実施するデューデリジェンス等を経営力向上計画の対象とし、中小企業経営資源集約化税制(M&A後のリスクに備える準備金・設備投資・雇用確保の促進)を措置、③中小企業者とともに事業継続力強化に取り組む中堅企業に対し、連携事業継続力強化に必要な資金について金融支援を措置、④先端設備等導入計画を生産性向上特別措置法から移管し、恒久化することなどが挙げられる。
 中でも注目されるのは、中小企業経営資源集約化税制の措置だ。経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す経営力向上計画の認定を受けた中小企業が計画に基づくM&Aを実施した場合に税制措置が講じられるというもの。具体的には、中小企業経営強化税制の新たな類型として「経営資源集約化設備」(D類型)が追加されるとともに、所得拡大促進税制の要件緩和が行われる。また、中小企業同士のM&Aの際の簿外債務などのリスクに備え、準備金を積み立てた際に損金算入を認めるというものである(本誌863号4頁参照)。
デューデリジェンス費用には一部助成金も
 これらの税制措置の適用を受けるには、前述したとおり、経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受けることが必要になるが、事業承継等事前調査、いわゆるデューデリジェンスを行うことが適用要件になることがわかった。
 通常、M&Aを実施する際にはデューデリジェンスが行われることになるが、中小企業にとってはコストの面で負担が大きく、仮に実施してもM&A実施後の簿外債務が発生するリスクがあるということがM&Aが進まない要因の1つとなっている。このため、M&Aを実施した後の損失を回避するために行うデューデリジェンスを経営力向上計画に記載できるようにしたものである。その計画の認定を受けた場合には信用保険法の特例措置などの対象となるほか、前述の税制措置の適用を受けることができる。
 デューデリジェンスは財務や法務の分野ごとに行われるのが一般的であり、税理士や公認会計士、弁護士等に依頼することが求められる。計画の申請様式には、法務、財務・税務等の調査の種類を記載。また、調査の内容には、どのような項目について調査を行う予定か記載する(図表1参照)。

 なお、中小企業庁によると、中小企業の費用負担を考慮し、デューデリジェンスの費用を一部補助する助成金を措置するとしている。

計画認定までのスキームは現行の中小企業経営強化税制と同様

 経営力向上計画の認定までのスキームについては、検討中ではあるものの現行の中小企業経営強化税制の適用を受ける際とほぼ同様となっている模様だ。このため令和3年度税制改正で拡充された中小企業経営強化税制の内容を中心にみてみることにする。
 中小企業経営強化税制とは、中小企業者が特定経営力向上設備等の取得等をした場合には即時償却又は7%の税額控除(資本金が3,000万円以下の法人は10%)ができるというもの(適用は令和5年3月31日まで)。具体的には、現行の「生産性向上設備」(A類型)、「収益力強化設備」(B類型)、「デジタル化設備」(C類型)のほか、今回、「経営資源集約化設備」(D類型)が追加された(図表2参照)。

 対象設備の要件は「修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備」とされている。今後、中小企業等経営強化法施行規則で定められることになるが、対象設備は機械・装置(160万円以上)、工具(30万円以上)、器具備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウエア(70万円以上)となる模様。現行制度と同様、中小企業等経営強化法における主務大臣の認定が必要になる。
経済産業局の確認が必要
 現時点では詳細が決まっていないものの、手続きのスキーム自体はB類型やC類型と同様となる見込み。中小企業者は認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士等)の事前確認を受けた投資計画案について、所轄の経済産業局から確認書を取得。確認書とともに経営力向上計画を主務大臣に申請し、認定を受けた後に対象設備を取得する流れになる(図表3参照)。

原則は認定後の設備取得も
 ただし、「経営資源集約化設備」(D類型)の取得については、他の類型と同様、例外的に弾力的な取扱いを認める方向で検討が進められている。
 具体的には、経済産業局への確認書発行申請後であれば計画認定後でなくても設備の取得が認められる。ただし、設備の取得から60日以内に計画の申請が受理される必要があるので留意したい(図表3参照)。
 なお、この弾力的な取扱いの場合であっても対象設備は改正中小企業等経営強化法の施行日以降に取得したものであり(令和3年6月23日時点では未施行)、それ以前に取得した設備は対象外となる。

先端設備等導入計画は恒久化、固定資産税減免は令和5年3月末まで適用可
 改正産業競争力強化法等の一部改正法が令和3年6月16日に公布されたことにより、生産性向上特別措置法が廃止された(施行は公布の日)。先端設備等導入制度関係の規定は中小企業等経営強化法に移管され、恒久化された。生産性向上特別措置法に基づき認定を受けた先端設備等導入計画については、中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた先端設備等導入計画とみなされることになる。認定を受けた計画を引き続き実施する場合には特段の手続は必要ない。
 なお、中小事業者等が市区町村から認定を受けた先端設備等導入計画に基づき一定の設備を取得した場合には固定資産税が最大で3年間ゼロになる特例の適用を受けることができる。昨年の新型コロナ税特法では、対象設備に事業用家屋(工場等)と構築物が新たに追加された上で適用期限が令和5年3月31日まで延長されている。要件さえ満たせば、中小企業経営強化税制に追加された「経営資源集約化設備」(D類型)との併用も可能だ。

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