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解説記事2021年08月02日 論考 バブル期の土地税制改革−資産課税の観点から−(2021年8月2日号・№892)

論 考
バブル期の土地税制改革−資産課税の観点から−
 早稲田大学教授・弁護士 清水 治

はじめに


 平成年代初頭のバブルの形成・崩壊は、その後の経済・社会に甚大な変動をもたらし、経済政策にも大きな影響を与えた。そのうち、地価税の創設をはじめとする1991年度の土地税制改革についは、近年は語られることは稀だが、地価高騰の下、負担増を含むかなり大規模な改革が行われた。筆者は当時の税制改革作業に携わった経験を有し、改めてこの改革の背景、検討過程を振り返り、その上で、格差問題や富裕税構想など資産課税への関心が高まる今日の状況との関連を考えたい。

Ⅰ 土地バブルと土地基本法

(1)地価高騰と土地バブル
 1985年頃から1991年にかけて地価は急速に上昇し、1991年頃にピークに達した。例えば、1991年の地価公示価格(全国・全用途平均)は、1985年比で、3.2倍、3大都市圈では3.6倍となった。地価高騰は、首都圈から始まり、大阪圈、名古屋圈へ、さらに地方部にも波及していった。この間、名目GDP成長率は4.2〜8.4%で、消費者物価上昇率は0.1%〜3.3%で推移しており、地価上昇は実体経済の動きと乖離していることから、バブルと呼ばれる。日本は米国の国土面積の約25分の1であるが、土地資産額は米国の約4倍との当時の推計(脚注1)が異常さを感じさせた。
 地価と並行して、株価も上昇し、1989年末のピーク時には、日経平均株価が約3万9,000円に達した。このように、土地、株式の資産バブルが形成された。
(2)土地バブルの社会問題化
 土地所有者は、株式保有層より格段に広いだけに、社会的影響も大きかった。マイホーム価格の収入倍率が、従来の4.5倍から、7.8倍に達し、マイホームの夢が困難になったと評された。用地買収が困難化し社会資本整備への支障が生じた。地上げや土地ころがしなどに批判が高まった。土地白書は、地価高騰が「持つ者と持たざる者との資産格差の拡大による社会的不公平感の増大等我が国社会・経済に重大な問題をもたらしている」と警告した(脚注2)。
(3)累次の土地対策と土地基本法制定
 このような状況の下、政府は、1987年10月に最初のパッケージとして「緊急土地対策要綱」を取りまとめ、さらに翌年6月には「総合土地対策要綱」を取りまとめた。しかし、その後も、地価高騰はなかなか沈静化せず、1989年には、土地の公共性を強調した土地基本法を制定し、以後の土地対策の基本的指針となった。1991年1月には、土地基本法を踏まえ、「総合土地政策推進要綱」が閣議決定された。
(4)土地基本法のコンセプト
 土地基本法(脚注3)は、第2条で、土地の特性として、①土地は現在および将来の国民のための限られた貴重な資源であること、②国民の諸活動にとつて不可欠な基盤であること、③その利用が他の土地の利用と密接に関係すること、④その価値が社会的経済的条件により変動することを指摘し、このように土地は「公共の利害に関係する特性を有していることにかんがみ、土地については、公共の福祉を優先させるものとする」と明確に規定する。
 その上で、土地に関して、適正かつ計画に沿った利用(同法3条)、投機的取引の抑制(同法4条)、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担(同法5条)を規定する。
(5)土地対策の目標
 土地政策の目標として、総合土地政策推進要綱は、まず第1に、土地神話の打破を掲げる。そのため土地が最も有利な資産であるという状況の要因を除去することを強調する。
 なお、土地神話の背景としては、従来からの右肩上がりの地価上昇期待が定着していたこと(脚注4)、地価上昇を前提に土地の保有コスト、資本コストを度外視した土地保有が一般化していたこと、さらには収益還元価格の考え方が未成熟だったこと(脚注5)が考えられよう。
 同要綱は第2の目標として、適正な地価水準の実現を挙げ、地価を土地の利用価値に相応した水準まで引き下げ、中堅勤労者が相応の負担で住宅を確保し得る地価水準をめざすとしている。第3に、適正かつ合理的な土地利用の確保を目標として設定している。
(6)土地対策の具体的施策
 以下、総合土地政策推進要綱の主なポイントを紹介する。
(ア)土地利用関係 土地取引規制(監視区域の的確な運用、規制区域の指定等)、土地利用計画の整備、充実(線引き、用途地域の見直し等)、住宅・宅地の供給促進、土地の有効利用の促進(市街化区域内農地の宅地化、低・未利用地対策等)
(イ)土地関係融資規制 不動産業向け貸出の総量規制
(ウ)土地に関する負担の合理化 土地税制の活用は土地政策上極めて重要な手段の1つであるとして、要綱決定直前に取りまとめられていた1991年度税制改正案を引用し、①国税に関し、地価税の創設、譲渡益課税、農地の相続税納税猶予の見直し、②地方税に関し、固定資産税の土地評価の適正化、路線価の公開、市街化区域内農地の宅地並み課税、特別土地保有税における遊休地課税の強化等を掲げている。
  このほか、負担の合理化として、土地再開発等における開発利益の還元に言及している。
(エ)土地の適正な評価 地価公示制度の見直し、及び公的土地評価制度の均衡化・適正化として、相続税評価、固定資産税評価の見直しを挙げる。

Ⅱ 土地税制改革の検討

(1)税制調査会等での土地税制の検討過程
 土地税制改革の検討は、政府税制調査会が1990年4月に土地税制小委員会を設置して始まった。小委員会での21回の審議・報告を経て、10月30日に税調総会で「土地税制のあり方についての基本答申」(以下「基本答申」)を決定し、内閣総理大臣に提出された。政府税調は、新税の骨格など理論的な提言を行っている。
 また、与党サイドでは、自民党税制調査会が翌年度税制改正の審議を例年より前倒しで、9月下旬から検討を開始した。その後、新税の税率等の具体的な課税要件も盛り込んだ「土地税制改革大綱」を12月6日に決定した。ただし最終局面までとりまとめは難航した。さらに12月19日に平成3年度税制改正大綱を決定している。なお、自民党税調での検討が本格化する11月頃から、平行して具体的な課税要件等について政府内で集中的に事務折衝が行われた。
(2)土地保有課税のあり方の検討
 以下、主として基本答申に沿って、検討内容を概観する。政府税調での検討の最も大きな論点は、土地保有課税のあり方であった。
(ア)土地基本法を踏まえ、①土地という有限で公共性の高い資産の保有の有無が資産格差を拡大させており、土地保有に対しその資産価値に応じて一層の税負担を求める(土地に関する負担の適正・公平の確保)、②土地の利用価値よりも資産価値に重点をおいた非効率な利用等の問題への対応(土地の資産としての有利性の縮減)、という基本的考え方に立って、土地保有に対する負担の適正化を求める基本的方向が示された。
(イ)保有課税の具体的な検討における第1の論点は、適正な負担を求めるためには固定資産税など既存税制の見直しで対応すべきではないかという点であった。
  固定資産税に関しては、同税は、資産保有と市町村行政サービスとの間の受益関係に着目し、土地の使用収益し得る価値に応じた負担を求める性格の税であり、取引価額に負担を求めることを予定せず、土地の有利性縮減という政策的役割を期待するのは困難であると結論付けられた。
  また、特別土地保有税については、同税は、投機的土地取引の抑制と有効利用の促進を目的とした政策税制であり、土地保有に対する負担の公平確保の機能を期待できないとされた。
  石(2008)は、「固定資産税を土地対策の一環として用いるという発想が、それまでとられていなかった」(脚注6)と指摘する。
(ウ)次に、土地保有課税において国税として対応する場合、どのような課税類型が適切であるかが問題となった。
  まず、低未利用地課税については、①実効性ある具体的な土地利用計画が存在しない現状では、利用度判定に係る客観的基準の設定が困難であり、②そもそも負担の公平確保、土地の有利性縮減という基本的要請にこたえられない、との問題点が指摘された。
  次に、含み益課税については、古くからの土地保有には負担が及ぶが、新規取得土地には負担が及ばないとの難点があるとされた。
  これらの検討の結果、土地保有に関する負担の公平確保、土地の有利性の縮減という基本的要請にこたえるには、土地の資産価値に応じて負担を求める一般的な土地保有課税が最も適合するとの方向性が示された。
(3)地価税の具体的設計の検討
 以下、基本答申及び与党税調での議論を踏まえて、新税の具体的検討のポイントを記す。
(ア)課税対象 課税標準は、1月1日現在で保有する土地の時価とされた。これは、個々の土地保有でなく、全国に保有するすべての土地の資産価値に応じた負担を求めるものである。
  他方、土地の適正利用という土地基本法の下、居住用の土地及び公益的に利用される土地(公共法人、公益法人、医療施設、福祉施設、鉄道施設の用地等)についてはかなり広範な非課税の特例が導入された。また、資産価値の極めて低い土地(平米当り3万円以下の土地)も非課税とされた。
(イ)納税義務者と基礎控除 利用より資産価値に着目した土地保有への負担という観点に即し、小規模な店舗の用地等一定の資産規模以下の土地保有は対象とせず、納税義務者をかなり高額の土地資産保有者に限定する必要性が意識された。このような考え方から、基礎控除が設計され、具体的には、10億円の定額控除(個人、中小法人、公益法人等においては、15億円)または、面積比例控除(平米当り3万円に面積を乗じた額)のいずれか多い金額を控除することとされた。
(ウ)土地の評価 時価については、全国の土地について統一的な基準により毎年度評価替を行っている相続税評価を活用するのが適当であるとされた。この関連で執行面では、評価地点の拡大等の相続税評価の充実措置が講じられた(脚注7)。
  なお、協同組合等の有する土地、一定の公的規制のある土地について課税価格の2分の1特例が設けられた。
(エ)税率 土地の資産としての有利性の縮減、事業経営の継続への配慮を考慮して、税率は0.3%とされた。なお、適用初年度(1992年度)は、0.2%とされた。具体の税率は、党税調において激しい議論を経て決定されたが、大綱策定時には、税率が低すぎるとの評価が多かった(脚注8)。
(オ)税の名称 「地価税」という名称は、政府税調の答申を経て、与党税調での結論とりまとめの時点で初めて使用された。それまでは新しい土地保有税と呼ばれていた。
(4)土地譲渡益課税の見直し
 土地の譲渡益に対する負担の適正化では、所得税・住民税の長期譲渡益に対する比例税率の引上げを行っている。改正前には、譲渡益4,000万円まで所得税20%、住民税6%、4,000万円超は所得税25%、住民税7.5%の税負担であったが、改正後は一律、所得税30%、住民税9%に引き上げとなった。当時の最高税率は、所得税50%、住民税15%であり、所得税法の長期譲渡所得2分の1課税の原則に照らしても、土地譲渡益に重い負担を求めたことが分かる。
 この他、法人の土地譲渡利益に対する重課制度の強化も行われた。
(5)土地評価の均衡化・適正化
 土地の固定資産税評価については、従来、地価高騰の下、実勢価格に比べかなり低いことが指摘されていたが、課税の適正化を図るため、地価公示価格の70%水準を目指すものとして、負担調整措置を伴ないながら段階的に引き上げることとされた。また、路線価の公開(基準地等の公開から始め、公開地点の拡大から全面公開へ)の方向が示された。相続税評価については、地価公示価格水準に対する評価割合の引上げの方向が示された(脚注9)。
(6)ハブル崩壊後の土地税制の緩和
 地価は、1991年頃には上昇が止まり、1992年頃から、長期にわたる低下が始まった。地価下落、土地取引の低迷を背景に、土地税制の緩和を求める声が強まった。
(ア)譲渡益課税の軽減
  譲渡益課税については、1995年から累次の軽減が行われ、1999年には、長期譲渡益について、一律、所得税20%、住民税6%に引き下げられた。
(イ)地価税の軽減、凍結
  地価税の税率は、1996年度から、半減(0.15%に)となり、さらに、1998年度からは、当分の間、停止することとされた(租税特別措置法71条)。政府税調は、1998年度改正の際、「土地基本法を前提とする限り、少なくとも廃止は適当でない」と指摘している(脚注10)。

Ⅲ 資産課税の観点からの一考察

(1)土地バブルとの関係
 第一に、土地バブルを背景とした土地税制改革は、他の土地対策と相まって、地価高騰の鎮静化、地価高騰に伴う社会的課題の解消には一定の効果を有したと考えられる。ただし、地価高騰の是正には、不動産融資規制の効果が大きかったとの指摘がある(脚注11)。
 第2に、地価税創設は、保有する土地の資産価値への負担を通じて、土地の「保有より利用」といつた意識の変化には一定の影響を与えたと考えられる。改革前の状況について、基本答申は「人件費、金利、在庫などのコスト節減には世界的に最も敏感な日本の事業者が土地の保有に関してはほとんど節減という意識を持たない(脚注12)」と指摘したが、導入された地価税の申告統計から当時の土地保有状況を見ると、全法人の1%強が地価税の納税者となり、その法人が全法人の土地保有資産額の約3分の2を保有していたことが明らかになっている(脚注13)。地価税導入は法人の土地保有コスト意識に影響を与えたと推測される。
 第3に、保有課税、所得課税における土地税制の大幅な強化が短期間に実現に至った背景には、地価高騰による社会問題の深刻化、外部的な要因で価格が上昇する土地保有の有無が資産格差をもたらすことへの不公平感の高まりの下、その解決が土地基本法制定を経て最重要の政策課題に位置付けられたことがあったと考えられる。
 第4に、資産バブルの文脈では、金融資産への負担の取扱いについて付言したい。1990年当時は、土地問題の社会問題化という背景ゆえに、土地税制の見直しが議論の中心であり、金融資産課税は議論の対象とならなかった。その理由としては、①株式バブルは、土地税制の検討が行われた1990年には、既に崩壊が始まっていたこと(日経平均のピークは1989年12月)、②さらに、消費税導入を含む抜本的税制改革(1987年及び1988年改正)において、利子課税における少額貯蓄非課税制度(マル優)等の見直し、株式等の有価証券譲渡益課税において従来の広範な非課税扱いに代え、源泉分離選択課税、申告分離課税の導入により、金融資産所得への課税の大幅な適正化が既に行われていたことが指摘されよう。
(2)税体系における資産課税の位置付け
 税体系における課税ベースの構成を見ると、資産課税は、所得課税、消費課税に比べて、補完的な位置付けにとどまる。すなわち1980年代から現在まで、おおむね15%前後で推移(国税+地方税ベース)(脚注14)しており、地価税の適用時期である1992年度〜1997年度でも約17%程度であった(脚注15)。他方、バブル期の土地税制改革にみられるように、資産への負担、再分配機能、公平感の維持という役割においては、資産課税の存在意義は必ずしも小さくないと考えられる。
 なお、資産関連の税制論議において、資産の保有、取得に対する課税のみならず、資産の譲渡益、果実(資産の収益)に対する所得課税を含めて考える視点も必要であろう。例えば、政府税調の「今後の税制のあり方についての答申」(1993年11月)は、資産性所得課税の問題を保有課税、取得課税と並べ、資産課税の項目として論じている。当時、国税収入のうち、資産移転等課税(相続税、地価税等)は7.3%、資産所得課税は16.3%(1990年度)であり、広義の資産課税として捉えるとかなりの比重を占めていたことが分かる(脚注16)。
(3)再分配機能との関係
(ア)税制の再分配機能の強化 近年は、所得格差、資産格差の問題が意識され、消費税率の引上げ等を背景に、所得税・相続税の再分配機能を強化する方向の見直しが行われてきた。すなわち、所得税における最高税率の引上げ、給与所得控除の上限の見直し、基礎控除等における所得制限の導入、相続税・贈与税における基礎控除の引下げ、最高税率の引上げ、世代間贈与の特例措置の見直し(教育資金贈与、出産・結婚資金贈与)が挙げられる。かつての資産バブルヘの対応とは別に、再分配機能の視点から、土地や金融資産に係る資産課税の役割を検討することも今後の課題であろう。
(イ)資産課税の強化、富裕税構想との関係 近年の経済のグローバル化の下で、格差問題に関心が高まり、広義の資産課税の強化や富裕税構想も注目されている。ピケティは、長期データに基づき、資本収益率が経済成長率を上回り、富の格差が拡大する傾向があると指摘し、政策的対応として、世界に保有する富に対して累進税率による資本税を提言している(脚注17)。また、スティグリッツは、活力ある公正な社会のために累進的税制の強化を唱え、特に土地の収益への課税強化を提言する(脚注18)。
(ウ)以下では、一般的な土地保有課税である地価税について、富裕税構想との対比を補論として考えてみたい。
  第1に、課税対象を見ると、富裕税構想は、土地に加え、金融資産、土地以外の不動産、貴金属等を対象とするものと考えられる。地価税は、土地保有の価値をとらえる仕組みとしてオーバーラップする存在である。ただし、富裕税構想では、土地のようないわゆる表現資産よりは、非表現資産である金融資産に関する論点、特に国際的資本移動が大きな現在、金融資産の国外逃避、捕捉の問題が大きな課題と考えられる。この点については、非居住者の金融口座情報の自動交換制度、国外転出時課税制度、国外財産調書など捕捉環境が整備されてきていることが指摘されている(脚注19)。他方、資産保有よりは資産性所得への課税強化が必要だとする指摘もある(脚注20)。
  第2に、納税義務者については、再分配機能を目的とする富裕税は個人を納税義務者とすると考えられる。他方、地価税は、資産としての土地保有価値への負担の観点から、個人とともに法人も納税義務者とされている。
  なお、土地の保有者については、近年問題となっている所有者不明土地等の問題にも留意を要する。この関連で、2020年には、土地基本法の改正(脚注21)が行われ、土地の適正な「利用」に加え、適正な「管理」を確保すべきことを目的規定(同法1条)、基本理念規定(2〜5条)において明確化するとともに、土地所有者等は、基本理念にのっとり「土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有すること」が明記され、さらに、登記手続その他の権利関係の明確化の努力義務が規定(新6条)されたことが記憶に新しい。

むすびに代えて

 本稿では、バブル期に地価税の創設、土地譲渡益課税の強化などの土地税制改革が実現した背景に、地価高騰の社会問題化、土地に係る資産格差拡大への不公平感があったこと等を指摘した。その後、土地神話は崩壊したが、近年は金融資産を中心とした資産格差が大きな政策課題となっており、その文脈の下で、資産課税の観点から、地価税と富裕税構想の関係等について考察を試みたものである。
 (本稿は、かつての税制改正作業に関する部分も含め、あくまで筆者の個人的見解を記したものである。)

(参考文献)
浅妻章如、首藤重幸(2018)「資産税の課題と展望」税研34巻2号
石弘光(2008)『現代税制改革史 終戦からバブル崩壊まで』東洋経済新報社
尾崎護(2000)「地価税の遺したもの」『公法学の法と政策上巻』有斐閣
柿本国弘(2002)「資産価格バブル・持続的下落と税制の「抑制効果」」岐阜経済大学論集36巻12号
金子宏(2019)『租税法第23版』弘文堂
岸野悦郎(2019)「富裕税復活の可能性」南山経済研究33巻3号
小峰隆夫(2019)『平成の経済』日本経済新聞社
スティグリッツ、ジョセフ(2020)『スティグリッツ プログレッシブキャピタリスム』東洋経済新報社
首藤重幸(2016)「資産税と再分配」租税法研究44号
中島正人(2018)「バブル期の主な土地政策」不動産研究60巻1号
福家俊朗(1995)「資産課税の生理と病理一現代土地税制の普遍性と特殊性」『現代租税法の原理』日本評論社
福田慎一(2016)『「失われた20年」を超えて』NTT出版
ピケティ、トマ(2014)『21世紀の資本』みすず書房
森信茂樹(2019)『デジタル経済と税』日本経済新聞出版社
山口和之(2015)「富裕税をめぐる欧州の動向」レファレンス65巻5号

清水 治 しみず おさむ
弁護士。2014年より早稲田大学政治経済学術院教授。東京大学法学部卒業。フランス国立行政学院修了。1976年4月大蔵省(現財務省)入省。主税局調査、税制第二、税制第一、総務の各課長、福岡国税局長、内閣府審議官など歴任。

脚注
1 日本経済新聞「水膨れ地価、増加額がGNP(名目)を上回る−−1人当りGDP昨年、米国を抜く」1988年12月20日夕刊
2 国土庁「平成2年版土地白書」142頁
3 以下、2条、3条、4条及び5条は、令和2年の土地基本法改正前の条文による。
4 土地バブル期以前にも、高度成長期の1960年代、1970年代前半の列島改造ブームの時期に地価高騰がみられたが、他方、持続的な地価の低下は見られなかった。
5 例えば、日経ビジネス「土地神話の呪縛が解ける」 2000年1月24日号
6 石(2008)457頁
7 尾崎(2000)43頁
8 例えば、日本経済新聞「新土地保有税骨格固まる、地価抑制効果「骨抜き」−−納税者7−8万人」1990年12月6日朝刊
9 平成4年分から地価公示水準の80%程度に引上げられ、また、負担調整措置が講じられた。
10 税制調査会(1997)「平成10年度の税制改正に関する答申」12頁
11 例えば、小峰(2019)34頁
12 税制調査会(1990)「土地税制のあり方についての基本答申」11頁
13 税制調査会(1993)「今後の税制のあり方についての答申」40頁
14 財務省「所得・消費・資産等の税収構成比の推移(国税+地方税)https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/012.pdf
15 地価税収は、初年度1992年度(税率0.2%)5,201億円、1993年度6,053億円。94、95年度は、地価下落を反映し、4,870億円、4,063億円。96、97年度は、税率半減もあり、1,772億円、1,601億円。国税収入に占める割合は、1993年度が1.1%。94年、95年は0.9%、0.7%であった。各年度の「租税及び印紙収入予算の説明」による。
16 税制調査会(1993)「今後の税制のあり方についての答申」附属資料2頁
17 ピケティ(2014)539頁以下
18 スティグリッツ(2020)296頁以下
19 首藤(2016)51頁以下
20 例えば、森信(2019)255頁以下
21 令和2年法律第12号

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