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解説記事2021年08月23日 ニュース特集 Q&Aで読み解くDX投資促進税制のポイント(2021年8月23日号・№894)

ニュース特集
同一法人に限り1回限りの適用
Q&Aで読み解くDX投資促進税制のポイント


 令和3年度税制改正で導入されたDX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制だが、改正産業競争力強化法が令和3年8月2日に施行されたことで適用が開始された。DX投資促進税制は、同法における事業適応計画に従って導入される①ソフトウエア、②繰延資産、③機械装置・器具備品(①又は②と連携して使用されるものに限る)を対象として、令和3年8月2日(改正産業競争力強化法の施行日)から令和5年3月31日までの間に製作・取得し、その事業の用に供した場合には3%の税額控除(他社とのデータ連携に係るものは5%)又は30%の特別償却の適用を受けることができるというもの。経済産業省ではHP上に「DX投資促進税制Q&A」(https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/dxqa.pdf)を公表しているが、本特集では取材等で明らかになった点や留意すべき点を編集部独自のQ&Aとして解説する。

「課税の特例」の要件を満たせば計画認定もクリアする仕組み
Q

 事業適応計画については事業所管大臣の認定を受ける必要がありますが、DX投資促進税制の適用を受けるには、この計画の認定要件に加えて、「課税の特例」の要件を満たす必要があるのでしょうか。
A
 DX投資促進税制の適用を受けるには、「課税の特例」の要件を満たす必要がある。下記のとおり、「課税の特例」の要件は事業適応計画の認定要件よりも厳しいものとなっているが、「課税の特例」の要件を満たせば計画の認定要件もクリアする仕組みとなっているため、事業適応計画の認定要件に加えて「課税の特例」の要件が加重されるわけではない。
 例えば、事業適応計画の「生産性の向上」の要件については、計画の終了年度において①修正ROA2%ポイント向上、②有形固定資産回転率5%向上、③従業員1人当たり付加価値額6%向上のいずれかの達成が見込まれることとされているが、「課税の特例」に関しては、①〜③の要件に代えて「ROAが2014−18年平均から1.5%ポイント向上」との要件を満たす必要がある。また、「新需要の開拓」の要件については、事業適応計画の要件は「売上高伸び率≧過去5事業年度の業績売上高伸び率+3%ポイント」とされているが、「課税の特例」の場合は「+5%ポイント」をクリアする必要がある。
 なお、事業適応計画の認定要件も含めDX投資促進税制を適用するための要件は図表1のとおりとなる。

クラウドサービスの利用料は適用対象外
Q

 DX投資促進税制はクラウド技術を活用することが要件となっていますが、クラウドサービスを利用する場合も適用することができますか。
A
 クラウドサービスを利用する費用は適用対象にはならない。新たにクラウドサービスを利用する際に発生する繰延資産に該当する初期費用が適用対象になる。
 なお、他社のクラウドサービスでなくても、クラウド技術に該当するものであれば、自社のシステムでも要件を満たすこととされている(本誌884号10頁参照)。

DX認定の取得が要件
Q

 経済産業省のDX認定の取得が「課税の特例」要件ということですが、どのような制度なのでしょうか。
A
 DX認定とは、改正情報処理の促進に関する法律(2020年5月15日施行)に基づき、DXを実施する体制が整っている事業者を経済産業大臣が認定する制度のこと。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に申請書を提出し、審査を受けることになる。認定に係る費用は無料だ。なお、事業適応計画を申請する会社はDX認定を取得する必要があるため、仮に連結納税グループの親会社がDX認定を受けていたとしても、申請する会社も取得する必要がある。

計画認定には事前相談が基本
Q

 事業適応計画の認定を受ける場合には事前相談が必要なのでしょうか。
A
 DX投資促進税制の適用を受けるには、事業所管大臣による事業適応計画の認定が必要になる。必ずしも事前相談が必要というわけではないが、手続の流れとして、計画申請の約2か月前に事業を所管している省庁への事前相談を行うことにより、両者のコミュニケーションを図り、同省庁が計画を認定するか判断することになる。

ソフトウエア等の取得は計画認定後
Q

 ソフトウエアをあらかじめ取得した後に事業適応計画の認定を受けてもDX投資促進税制の適用を受けることができますか。
A
 DX投資促進税制の適用を受けるには、ソフトウエア等の取得は事業適応計画の認定後に実施しなければならない(本誌893号9頁参照)。なお、契約のみ行い、実際の取得等が計画認定後であればDX投資促進税制の適用を受けることができる。

300億円超の投資も対象だが税制は300億円をベースに算定
Q

 DX投資促進税制の場合、投資額の上限は300億円とされていますが、これを超えた額を投資する場合は適用対象外となりますか。
A
 投資額の上限は事業適応計画の認定要件ではないため、300億円を超えた投資に対してもDX投資促進税制の適用対象となる。同税制の適用に際しては300億円をベースに特別償却限度額又は税額控除限度額を計算することになる。

複数回の適用はできず、連結納税適用会社はグループ単位で1回
Q

 DX投資促進税制は複数回適用することは可能ですか。
A
 DX投資促進税制については、同一法人に限り1回限りの適用とされている。特に気を付けたいのは連結納税制度適用会社だ。連結納税制度を適用しているグループの場合は、グループ単位で1回限りの適用となる。仮に親会社が事業適応計画の認定を受け、「課税の特例」要件の確認を受けた場合にはその他の子会社は同税制の適用を受けることはできない。このため、グループ全体で同税制の適用を受けるには共同申請という形で適用を受けることが考えられる。
 なお、投資額の下限は投資額が過去3年の国内売上高平均額の0.1%以上であることが要件となっている。連結会社の場合は連結決算の売上高を用いることになるが、1社のみの投資では要件をクリアできなくても、共同申請であればクリアできる可能性も大きくなる。

要件の目標が達成できない場合も税制措置は取り消されず
Q

 事業適応計画については毎年度報告が必要とのことですが、要件の目標が達成できない場合には計画が取り消されることになりますか。
A
 事業適応計画は事業所管大臣の認定後に公表されるとともに計画の実施状況も毎年度提出する必要があるが、認定を受けた計画の要件の目標が達成できなかったとしても税制措置が取り消されることはない。なお、仮に事業適応計画が虚偽のものであれば計画の認定が取り消される可能性があるものの、基本的には計画の最終年度で判断されることになる。

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