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解説記事2021年08月30日 SCOPE 大鹿行宏国税庁長官がコロナ禍の実地調査の方針示す(2021年8月30日号・№895)

SCOPE
税務行政のDXに取り組む
大鹿行宏国税庁長官がコロナ禍の実地調査の方針示す


 本誌は、令和3年7月8日付けで理財局長から第52代国税庁長官に就任した大鹿行宏氏にインタビューを行った。大鹿長官は、6月に公表した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション−税務行政の将来像2.0−」の実現に向けて工程表を策定する方針を示したほか、コロナ禍の実地調査ではWEB会議システムなども活用して対応する考えを示している。

「税務行政の将来像2.0」の実現に向けて工程表を定めて実施

本誌:国税庁長官に就任されての抱負をお願いします。
長官:新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、国税庁では納税の猶予制度を案内するなど、今後も納税者の状況に配意して、迅速かつ丁寧な対応に努めていきたいと考えています。その一方で、コロナ禍においても、悪質な納税者に対しては厳正な姿勢で対応します。加えてコロナ禍の下、国税庁としては、6月11日に「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション−税務行政の将来像2.0−」を構想として提示していますが、私としては構想の実現に向けてより具体的な工程表といったものを定めて様々な施策を展開していきたいと考えています。

コロナ禍の実地調査、WEB会議等も活用
本誌:コロナ禍における実地調査の取組についてお聞かせください。
長官:コロナ禍における実地調査については、納税者の置かれた状況や心情に配意して、必要な感染症対策を徹底した上で実施します。その際、納税者から要望があった場合には、WEB会議システムなどを活用した実地調査を検討しており、電話や書面による行政指導なども積極的に実施しています。
本誌:消費税不正還付や国際課税に係る事案への対応についても教えてください。
長官:消費税不正還付への対応については、国税局に輸出免税制度等を悪用したスキームの把握・解明を担当する消費税担当の統括国税実査官や国際税務専門官を設置しており、税務署には消費税調査を専担する消費税専門官を設置するといった体制整備の強化を図っています。また、富裕層や国際的な租税回避に対しては、国外送金等調書等や租税条約等に基づく情報交換を積極的に分析・活用して税務調査を行っているほか、国税局・税務署に国際的な租税回避事案への対応を専門に担当する部署を設置するといった執行体制の強化を図っています。
DXで申告漏れの可能性高い納税者を判定
本誌:国税当局のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に向けた取組をお聞かせください。
長官:6月に公表した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」では、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」という2本の柱を維持しつつ、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションに取り組む方針を明確にしています。
 「納税者の利便性の向上」では、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を一つの理想形として目指していきたいと思っています。例えば、確定申告では、給与収入や源泉徴収税額、医療費などのデータを申告データに自動で取り込んで数回のクリックで手続が完了できるといった仕組みを構築したいと考えています。また、「課税・徴収の効率化・高度化」に関しては、納税者から提出された申告書や決算書に加えて、第三者から提供される法定調書や、租税条約に基づいて情報交換により外国税務当局から得られる情報などを分析して、申告漏れの可能性が高い納税者の判定を行うといった取組を拡大していきたいと考えています。
令和8年にはすべての税務署に拡大
本誌:内部事務センター化の取り組みについて教えてください。
長官:昨今では、複数の税務署の内部事務(申告書の入力や審査、還付金の返還手続、行政指導事務)を一か所のセンターで集約する内部事務のセンター化を進めています。今年7月からは、国税局の組織として業務センター室を設置しています。センター化の取組は、適正・公平な課税・徴収を実現していく上で必要な業務改革であると捉えています。今後、センター化を順次進め、令和8年には全国のすべての税務署にこのセンター化を実現することを予定しています。
適格請求書発行事業者登録はe-Taxで可
本誌:インボイス制度の導入に向けた取組についてお聞かせください。
長官:令和5年10月から導入されるインボイス制度については、今年10月から適格請求書発行事業者の登録申請の受付が開始されます。国税庁ではホームページにインボイス制度の特設サイトを開設し、制度を解説した動画やQ&Aを掲載するほか、オンライン説明会などを開催しています。また、事業者の方の相談窓口として「消費税軽減税率・インボイス制度電話相談センター」を設けるとともに、個別相談については各税務署において「改正消費税相談コーナー」を設置し対応します。
 登録申請手続については、e-Taxで申請から通知までできるようしています。個人事業者の方はスマートフォンでも利用できますので、ぜひe-Taxを利用していただきたいと思っています。また、各国税局に「インボイス登録センター」を設置します。郵送の場合は同センターに提出することができます。
本誌:本日はありがとうございました。

大鹿行宏(おおしか ゆきひろ)
昭和61年4月 主計局総務課
平成4年7月 洲本税務署長
  5年6月 高松国税局総務部総務課長
 18年12月 東京国税局査察部長
 25年7月 主計局総務課長
 26年7月 大臣官房参事官(大臣官房担当)
 29年7月 主計局次長
令和2年7月 理財局長
  3年7月 国税庁長官

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