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解説記事2019年12月16日 ニュース特集 実務に直結する令和2年度の納税環境整備(2019年12月16日号・№815)

ニュース特集
金地金取引による消費税還付スキームを制限
実務に直結する令和2年度の納税環境整備


 令和2年度税制改正が固まった。納税環境整備では、海外の中古建物の節税スキーム封じ(今号11頁参照)のほか、金地金取引による消費税還付スキームも制限されることになった。また、国外居住親族に係る扶養控除の年齢要件が「年齢16歳以上29歳以下、70歳以上」に制限される。国外で一定以上の所得がある親族でも適用対象になっているとの指摘を受けてのものだ。本特集では、明らかになった令和2年度税制改正のうち、課税関係の適正化や申告・納税のための環境整備を中心に解説する。

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居住用賃貸建物の取得時には仕入税額控除を制限

 令和2年度税制改正では、海外の中古建物の節税スキーム封じなどのほかにも、納税環境整備を目的とした見直しが行われる。
 例えば、金地金取引による消費税還付スキームも制限される。居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額については非課税売上に対応するため、仕入税額控除の対象にはならないが、作為的な金地金取引を継続して行うことにより、消費税の課税売上を計上し、仕入税額控除を行うというスキームが横行していることに対応するもの。裁判でも争いがあり、納税者側が敗訴しているが、消費税法基本通達の解釈をめぐってのものであり、金地金取引による消費税還付スキームがアウトになったわけではない(本誌808号40頁参照)。
 このため令和2年度税制改正では、居住用賃貸建物については取得時の仕入税額控除を制限し、実際に事業用の賃貸として課税売上があれば、3年間の実績(非居住用賃貸割合)に応じて控除額を調整することとしている(図表1参照)。令和2年10月1日以後に行う居住用建物の仕入れについて適用する。

国外財産調書、資料提出しない場合には加算税を加重

 国外財産調書制度の見直しも行われる(本誌811号13頁参照)。同制度では、その年の12月31日において5,000万円を超える国外財産を有する居住者については当該国外財産の種類、数量、価額、その他必要な事項を記載した調書(国外財産調書)を翌年の3月15日までに所轄税務署長に提出することが義務付けられている。国外財産調書の提出を促す観点から、国外財産に関する所得等の申告漏れが把握された場合、①調書記載の国外財産に係る分は過少(無)申告加算税を軽減(△5%)(所得税・相続税に適用)、②調書不提出・記載不備に係る分は同加算税を加重(+5%)(所得税のみ適用)するアメとムチの政策が採られている。
 しかし、税務当局が税務調査の際に納税者に対して必要な資料の提出等を要求しても、納税者側が指定された期限までに提出等しないケースがあり問題となっている。国外の資料(国外預金の入出金明細等)は税務当局が直接現地に赴いて入手することは難しく、仮に外国税務当局に対して情報交換を要請する場合でも、相手国の事情に応じ回答に時間を要することになるからだ。したがって、このような場合には加算税を加重する等の措置を講じるとしている。
 具体的には、調書記載の国外財産に係る分についても加算税軽減を不適用とし、調書不提出・記載不備に係る分は加算税を更に5%加重する(図表2参照)。また、相続等により取得した国外財産についての調書提出期限を後ろ倒し(相続翌年→翌々年)するとともに、相続人が提出すべき当該調書に申告漏れ財産の記載がない場合、相続税についても加算税を加重する。加えて、相続等により取得した財産に係る財産債務調書の提出期限も同様に後ろ倒しする。

 なお、これらの見直しは、令和2年分以後の所得税又は令和2年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用される。
期間制限に関係なく3年間は更正可能
 また、更正・決定の期間制限を見直す。現行、法定申告期限から一定の期間(一般的に5年、偽りその他不正の場合は7年等)が経過すると、申告漏れが確認されても更正・決定はできない。
 この点、納税者が税務調査時に税務当局から求められた国外取引等に関連する資料を指定された期限までに提出等せず、外国税務当局に対して情報交換要請が行われた場合(税務当局から納税者に対し要請の事実を通知した場合に限る)については、期間制限に関係なく、要請から3年間は更正・決定を可能とする。令和2年4月1日から適用する。

国外居住親族に係る扶養控除に年齢制限、令和5年分以後から適用

 国外居住親族に係る扶養控除については、所得要件の判定において国内源泉所得が用いられており、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの指摘を踏まえ、適用要件を見直す。
 現行、所得税の扶養控除については、16歳以上の生計を一にする親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)等で、給与収入103万円以下(合計所得金額38万円以下)の者を有する場合、1人につき38万円が所得控除される。見直しでは、年齢要件を「年齢16歳以上29歳以下、70歳以上」に限定する。ただし、30歳以上69歳以下の者であっても、①留学ビザのコピーを提出した者、②障害者控除を受けている者、③送金関係書類において38万円以上の送金等が確認できる者については扶養控除の適用対象とする。なお、親族の範囲など、年齢要件以外は現行制度のままとする。令和5年分以後の所得税について適用する。
令和3年1月1日から利子税を引下げ
 利子税・還付加算金の割合については、市中金利の実勢を踏まえ、令和3年1月1日より1.6%から1.1%とする。延滞税については、遅延利息としての性格や滞納を防止する機能、回収リスクの観点から、その水準を維持するとしているが、納税の猶予等の場合に軽減される延滞税については、利子税・還付加算金と同様に1.1%に引き下げることとされた。

源泉徴収における推計課税を明確化

 源泉徴収における推計課税の整備も行う。現行、申告所得税においては推計課税の規定が明文で措置されているが、源泉徴収については、推計課税ができる旨の明示的な規定はなく、その方法も確立されていない。このため、個人事業者等に対する調査の際の帳簿書類の提示がない場合など、その者における従業員別の給与の支払金額が不明である場合には、所得税の徴収が困難な事例も発生しているという。
 これを踏まえ、今回の改正では、税務署長は個人事業者等における従業員別の給与の支払金額の推計が困難である場合には、各従業員に同じ額の給与を支払ったものとみなして所得税を徴収できることとし、推計により所得税を徴収できる旨を法令上明確化するとしている(図表3参照)。令和3年1月1日以後に支払われる給与等について適用される。

除斥期間終了間際の申告でも加算税の賦課が可能に

 また、除斥期間終了間際にされた申告に係る加算税の賦課決定期限の整備も行う。現行、 期限後申告等があった場合の加算税の賦課決定期限(除斥期間)は、その本税と同様に、法定申告期限から原則5年間(偽りその他不正の行為がある場合は7年間)とされている。しかし、除斥期間の終了間際に申告書の提出等がされた場合については、加算税の賦課決定要件を満たしているにもかかわらず、加算税を賦課できないケースがあるとの指摘が行われている。
 このため、更正決定等をすることができなくなる日前3月以内にされた「納税申告書の提出」又は「納税の告知を受けることなくされた源泉徴収等による国税の納付」に係る加算税の賦課決定については、当該申告書の提出又は納付がされた日から3月を経過する日まで行うことができることとする見直しを行う(図表4参照)。令和2年4月1日から適用される。

会計検査院の指摘を受け住宅ローン控除の適用を見直し

 会計検査院の指摘を受け、居住用財産の譲渡特例を適用した場合における住宅ローン控除の適用が見直される。
 住宅ローン控除は、居住日の属する年とその前後の2年間計5年間に居住用財産の譲渡特例等を受けていないことが適用要件とされている一方、居住用財産の譲渡特例等は、居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡について適用を受けることができることとされている。このため、従前住宅を居住の用に供しなくなった3年後に譲渡をした場合は、2つの特例について併用が可能になっている。この点、会計検査院では、「住宅ローン控除特例と譲渡特例等の併用を制限している制度の趣旨に鑑みると合理的ではなく、必ずしも必要最小限のものとなっていないと考えられる」と指摘していた。
 これを受け、令和2年度税制改正では、新規住宅の居住年から3年後に従前住宅を譲渡した場合において、その譲渡について譲渡特例の適用を受けるときは、新規住宅について住宅ローン控除の適用ができない措置が講じられることになった。令和2年4月1日以後に従前住宅の譲渡をした場合について適用される。また、認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除(措法41の19の4)の適用についても同様の見直しが行われる。

令和2年10月からキャッシュレスやクラウド会計に対応

 消費税率引上げに伴い、キャッシュレス還元制度が導入されるなど、世の中にもかなり浸透してきた電子マネーによる“キャッシュレス決済”だが、令和2年度税制改正では、企業による請求書や領収書等の授受及び保存についてもこれに対応する見直しが行われる。
 現行、電子的に受領した請求書等をデータのまま保存する場合、①データの受領後遅滞なくタイムスタンプを付与、又は②改ざん防止等のための事後処理規程を作成し運用するとの要件があるが、これに③ユーザーが自由にデータを改変できないシステム(サービス)を利用、④発行者側でタイムスタンプを付与している場合の2類型が追加される(図表6参照)。令和2年10月1日から適用される。いずれの場合もデータが適正に保存されていれば、紙の請求書や領収書等の受領やスキャン作業は不要となり、バックオフィスの効率化にも寄与するとしている。なお、③ではクラウド会計などが想定されている。

振替納税の通知依頼等を電子化
 そのほかにも、確定申告・納税を円滑にするための施策が講じられる。
 例えば、振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出の電子化だ。現行、振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出は、所轄税務署を経由して金融機関に提出することとされているが、本人確認のため金融機関において届出印の印鑑照合が必要であることから、書面での提出に限定されている。しかし、昨今では、金融機関において、印鑑照合を要しない本人確認の仕組み(電子的に入力された暗証番号等の確認)が整備されてきたことを踏まえ、納税者利便の向上及び税務事務の効率化の観点から、振替納税の通知依頼及びダイレクト納付の利用届出について、e-Taxを利用して電子的に行えるようにする。令和3年1月1日より適用する。
準確定申告、相続人の電子署名を一部不要
 準確定申告の電子的手続の簡素化も行われる。現行、e-Taxにより準確定申告を行う場合、法令上、相続人全員の電子署名等が必要とされている。このため、申告データを送信する相続人以外の相続人が申告内容を確認した旨を証する「確認書」を添付することにより、これらの相続人の電子署名等を不要とするとしている。令和2年分以後の所得税について適用される。
納税地異動後の振替納税手続を簡素化
 納税地の異動があった場合の振替納税手続の簡素化も行う。現行、振替納税を行っている個人が他の税務署管内へ異動した場合、異動後の税務署においても振替納税を継続して行うためには、異動後の税務署に対し、「振替納税に係る依頼書」の提出が必要とされている。この点については、納税者の利便性向上の観点から、振替納税を行っている個人が他の税務署管内へ異動した場合において、異動前の税務署に提出する「納税地の異動届出書」等に、異動後も従前どおり振替納税を行うこととする旨を記載したときは、異動後の税務署に対してする申告等に係る納付について、振替納税を引き続き行うことを可能とする。令和3年1月1日から実施する。

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