会社法ニュース2022年01月21日 有報における男女別の賃金開示を検討へ(2022年1月24日号・№915) 施政方針演説で「賃金格差の是正に向けた開示ルールの見直し」明言
連結決算導入前の1999年3月期までは、有価証券報告書の「従業員の状況」欄で、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均給与月額について男女別の開示が行われていたが、連結決算が導入された2000年3月期からはこれらを男女を分けずに開示することとなった。2012年には、内閣府に設置された『女性の活躍状況の資本市場における「見える化」に関する検討会』において、女性の活躍ぶりを示す指標等の1つとして、有価証券報告書で従業員の男女比率や女性管理職比率の開示が検討されたが、企業側から反対の声が上がり、見送られた。
こうした中、1月17日に招集された通常国会の冒頭、岸田総理は施政方針演説の「新しい資本主義」という大テーマにおける「中間層の維持」という項目の中で以下のように述べている。
世帯所得の向上を考えるとき、男女の賃金格差も大きなテーマです。この問題の是正に向け、企業の開示ルールを見直します。
ここでいう「企業の開示ルール」とは開示府令を指している模様であり、今後、有価証券報告書において男女別の賃金の開示を求めることが検討される可能性がある。現在、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)では気候変動開示などについて議論が行われているが、男女別の賃金開示も新たに議論のアイテムとして加わることが考えられる。
現状、有価証券報告書では女性の役員への登用状況の開示が行われているが(42頁参照)、男女の賃金格差が制度開示の対象とされれば、女性従業員の賃上げへのプレッシャーが高まることになるだけに、そのインパクトは大きい。最も早ければ、来年(2023年)3月期に係る有価証券報告書から開示が求められる可能性がある。
実務的には、開示対象が連結ベースか単体ベースかという論点があるが、あくまで日本における女性活躍がテーマであることから、少なくとも海外子会社を含めた開示が求められることは考えにくいだろう。また、持株会社が上場している場合、持株会社のデータだけを出しても意味がないため、中核的子会社について開示が求められることは不可避と思われる。
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