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解説記事2022年01月24日 最新判決研究 小規模宅地等(特定事業用宅地等)の課税特例における「生計を一にしていた」の要件(2022年1月24日号・№915)

最新判決研究
小規模宅地等(特定事業用宅地等)の課税特例における「生計を一にしていた」の要件
東京高裁令和3年9月8日判決(令和3年(行コ)第1号)
横浜地裁令和2年12月2日判決(平成31年(行ウ)第10号)
 筑波大学名誉教授・弁護士 品川芳宣

一、事実

(1)甲の相続人である乙は、平成26年8月27日、甲から相続した藤沢市所在の土地450.85㎡(相続税評価額5472万円余、以下「本件土地」という。)について、租税特別措置法(平成27年改正前のもの)(以下「措置法」という。)69条の4第1項1号に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「本件特例」という。)を適用して相続の申告をした(以下「本件申告」という。)。これに対し、H税務署長は、平成29年9月27日、本件特例の適用はできないとする更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件賦課決定」といい、本件更正と合わせて「本件各処分」という。)をした。
 乙は、本件各処分を不服として、前審手続を経て、平成31年2月20日、国(被告、被控訴人)に対し、その取消しを求めて本訴を提起したが、平成元年12月29日死亡したため、同人の妻であり、相続人であるX(原告・控訴人)が、本訴の地位を承継した。
(2)乙は、甲の甥(甲の兄丙の子)であり、甲の養子である。甲の子は、長女丁と養子乙の2人である。甲は、藤沢市所在の本件土地を含む宅地928.92㎡(以下「本件宅地」という。)を所有し、丙は昭和40年に本件宅地上に建物(以下「本件建物」という。)を建て、大工業の作業場として使用していた。乙は、昭和48年頃から丙の大工業を手伝うようになり、平成6年に丙が引退してからは1人で大工業を営み、平成16年に丙の死により、本件建物を相続した。
 乙は、平成23年1月31日、横浜家庭裁判所から甲の成年後見人として選任され、同2月16日、後見開始の審判があった(以下甲についての後見を「本件後見」といい、後見開始の審判を「本件後見開始審判」という。)。甲は、昭和34年6月以降、丁とともに藤沢市片瀬に居住し、乙は、昭和57年以降、藤沢市石川に居住し、甲とは同居していなかった。
 甲は、平成26年8月27日死亡し、乙と丁の2人が甲の遺産(本件宅地を含む。)を相続した(以下「本件相続」という。)。本件宅地は、3筆に分筆され、本件建物等の敷地部分(本件土地)を乙が単独で取得し、その他の2筆を丁及び乙が共有(持分各2分の1)で取得した。

二、争点及び当事者の主張

1 争  点
(1)乙が相続した本件土地について本件特例が適用されるか否か(争点(1))。
(2)本件申告につき、国税通則法(以下「通則法」という。)65条4項に定める「正当な理由」があるか否か(争点(2))。

2 Xの主張
(1)本件特例の趣旨は、一般に被相続人等の事業の用又は居住の用に供されている宅地等が相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であることを踏まえ、中小企業の円滑な事業承継の観点から、相続財産の評価において特別な配慮を加える点にある。措置法69条の4第1項の「生計を一にしていた」との要件については、所得税法における「生計を一にする」との要件の解釈から検討すべきところ、最高裁昭和51年3月18日第一小法廷判決・裁判集民事117号201頁は、所得税法56条における「生計を一にする」との要件につき、「有無相扶けて日常生活の資を共通にしてい」るとの規範を立てており、この生計一要件は、①同一の生活単位に属しているか(独立した生活を営んでいないか)、②相扶けて日常生活を営んでいるか、又は、③日常の生活の糧を共通にしているかによって判断されるべきことになる。
(2)本件における「生計を一にしていた」との要件の判断においては、乙が甲の成年後見人に就任していたという特殊性をどのように評価・考慮するのかが重要である。
 前記①(同一の生活単位に属しているか)の要件についてみると、乙は、従前から、甲の日常の世話をしており、家計の区別もされていない状況であったが、甲の生活能力の著しい低下により、甲の成年後見人に就任することとなり、その結果、甲の財産の分別管理を余儀なくされるようになった。
 その後、乙は、3年半以上もの期間、甲の成年後見人として、身上監護業務として甲の生活の維持や医療、介護等、身上の保護に関する行為を行い、財産管理業務として、甲の財産全体を把握し、包括代理権を行使することによりこれらの財産を保存し、一定の範囲で甲のために利用する財産の管理に関する行為を無償で行ってきた。よって、前記①の要件である同一の生活単位に属していることの要件を充たしていることは明らかである。
 前記②(相扶けて共同生活を営んでいるか)の要件についてみると、身上監護、財産管理を行う乙は、甲のあらゆる生活を助けており、相扶けて共同生活を営んでいるとの要件を充たしていることは明らかである。
 前記③(日常の生活の糧を共通にしているか)の要件についてみると、乙は、乙の財産は当然のこととして、甲の財産も全て自らのコントロール下にあり、両財産を自由に使っていたのであり、このような状態を社会通念に照らして判断すれば、日常生活の糧を乙の下で共通にしていたものと認められるから、日常の生活の糧を共通にしていることの要件を充たしていることも明らかである。
(3)乙の父である丙は、甲の所有していた本件宅地(本件土地)上で大工業を営んでおり、乙は、当該事業を承継し、本件宅地(本件土地)を利用し続け、甲から本件土地を相続したものであり、乙が丙の事業を承継した本件では、事業承継の保護という本件特例の趣旨が妥当する。
(4)通則法65条4項所定の「正当な理由」とは、過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解されている。これを本件についてみると、乙は、従前から、甲の日常生活の世話をしているから、本件特例の適用があると考えたことには真にやむを得ない理由があるというべきであり、乙に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷と認められる。

3 国の主張
(1)本件特例における「生計を一にしていた」との要件の意義については、相続税法上、定義された規定はないものの、一般的には、「生計」とは、「暮らしを立てるための手立て」を意味する用語であることからすれば、日常生活の経済的側面を指すものと解される。そして、本件特例が、小規模な宅地等が相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであることを根拠の一つとしていることからすれば、「生計を一にしていた」との要件は、被相続人と相続人等の日常生活の経済的側面の結びつきの観点から設けられたものと考えられる。
 そうすると、本件特例の適用に当たり、「生計を一にしていた」ものとされるためには、その親族が被相続人と日常生活の糧を共通にしていたことを要し、その判断は社会通念に照らして個々になされるべきである。
(2)これを本件についてみると、乙と甲とは、居住費、食費、光熱費、その他日常の生活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にはなく、日常生活の糧を共通にしていたとはいえず、「生計を一にしていた」とは認められず、本件土地について、本件特例を適用することはできない。
(3)過少申告加算税の趣旨に照らせば、通則法65条4項に規定する「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解すべきである。
 本訴における本件相続の開始の直前において乙が甲と生計を一にしていた甲の親族に当たる旨の乙の主張は、「生計を一にしていた」との要件の誤った解釈に基づくものである。この誤りは、単に税法の知識不足又は誤解に基づくものであると認められるから、乙に過少申告加算税を賦課することが過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお不当又は酷である場合に当たるとの立証がされているとはいえない。

三、一審判決要旨

請求棄却。
1 本件土地につき本件特例適用の可否(争点(1))

(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば、前掲事実のほか、以下の事実が認められる。
① 本件後見開始審判の当時、甲には、年間約181〜197万円の収入(年金収入が約72万円のほか、駐車場の賃料収入、有価証券の配当金など)があり、年間約195〜236万円の支出(固定資産税約81万円、食事の宅配代約43万円のほか支援介護費、生活費、水道光熱費など)があった。また、甲は、本件後見開始の審判がされた当時、約1236万円の預金、評価額約2324万円の有価証券を所有していたほか、本件宅地、自宅の建物等の不動産を所有していた。
② 乙は、甲の後見事務において、甲の食費、日用品費、ガソリン代、水道光熱費、電話料金、訪問介護費、医療費、健康保険料、固定資産税等の日常の費用、後見監督人に対する報酬等を支払っており、甲に関する支出や入金を金銭出納帳(以下「本件出納帳」という。)や甲名義の預金口座で管理していた。なお、乙は、甲の後見人としての報酬の支払を受けていなかった。
③ 本件後見開始審判の当時、乙は、大工業を営んでいて、世帯収入は年間約400万円であり、平成26年分の所得税の確定申告において、甲を扶養親族としていなかった。
(2)本件特例の趣旨は、被相続人等の事業等の用に供されていた小規模な宅地等については、一般にそれが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であることを踏まえ、担税力の減少に配慮したものであり、本件特例の適用により、中小企業の円滑な事業承継が実現するという関係にあるものと解される。そして、被相続人が所有する宅地等を利用してその親族が事業を営み、その事業によって被相続人及び相続人の生計が支えられている場合には、その宅地等は相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであり、通常、その土地の処分について相当の制約を受けているから、そのような土地を相続した相続人の担税力もまた相当程度減少しており、日常生活の経済的側面の単位でみれば、被相続人の事業等の用に供されていた場合と同視できることから、同様の配慮をしたものと解される。
 このような本件特例の趣旨に照らすと、「生計を一にしていた」との要件は、当該土地を利用してなされる事業の収益によって被相続人と相続人(親族)の生活基盤が維持されるなど、社会通念に照らして、被相続人と相続人(親族)が日常生活の糧を共通にしていた事実を要するものと解するのが相当である。
(3)これを本件についてみると、前記前提事実によれば、本件後見の開始から本件相続の開始までの間において、甲の食費、光熱費、その他日常の生活に係る費用に係る支出は、本件出納帳及び甲名義の口座で管理されており、本件出納帳により管理されていた現金は、甲の収入及び同人が亡夫から相続した預金が入金された甲名義の口座又は同口座の預金を原資とする甲名義の口座などからのものであるところ、甲名義の口座に乙との間での出入金は見当たらず、本件出納帳で管理されていた現金に乙から拠出された現金があることもうかがわれない。また、乙は、大工業を営んでいて、相応の収入があり、甲から経済的な援助を受けていたことはうかがわれない。さらに、乙と甲はそれぞれの自宅で生活していて、同居していたわけではない。
 これらの事実からすれば、乙と甲とは、日常生活の糧を共通にしていたとはいえず、「生計を一にしていた」とは認められないものというべきである。
(4)Xの主張に対して検討すると、次のとおりである。
① Xは、乙は従前から甲の日常の世話をしており、家計の区別がされていなかった旨の主張をする。確かに、乙は、平成22年6月頃から甲の財産管理をするようになったが、甲の生活費は甲からの預かり金から支出していたのであり、乙が甲の生活費を拠出していたとか、両者の家計が一体になっていたとかいう事情は見当たらない。
② Xは、乙が甲の成年後見人となっていたという特殊性を考慮すれば、日常の生活の糧を共通にしていたといえ、生計一要件を充足するものと解すべきであると主張する。しかし、前記のとおり、本件特例の趣旨は、被相続人等の事業等の用に供されていた小規模な宅地等については、一般にそれが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であることを踏まえ、担税力の減少に配慮した点にあると解されるから、「生計を一にしていた」との要件に該当するというためには、乙の事業によって、乙のみならず、被相続人である甲の生計が維持されていたという関係がなければならない。
③ Xは、乙が父である丙から本件宅地(本件土地)で営んでいた大工業を承継した本件においては、事業承継の保護という本件特例の趣旨が妥当すると主張する。しかし、前記のとおり、本件特例は、当該宅地等について、担税力の減少に配慮したものであって、その適用により中小企業の円滑な事業承継が実現するという関係にあるとしても、中小企業の円滑な事業承継そのものをその目的とするものとは解されない。そして、被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業等の用に供されていた宅地について本件特例が適用される趣旨は、このような場合であっても、日常生活の経済的側面の単位でみれば、当該宅地等が被相続人の事業等の用に供されていた場合と同視することができることによるものであり、そのような関係がないにもかかわらず、被相続人以外の者からの事業の承継を保護する趣旨とは解されない。

2 本件賦課決定に係る「正当な理由」の存否(争点(2))
(1)過少申告加算税は、過少申告をした納税者と当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに、過少申告による納税義務違反の発生を防止し、適正な申告納税の実現を図り、もって納税の実を挙げようとする行政上の措置であるから、このような過少申告加算税の制度趣旨に照らすと、通則法65条4項に規定する「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。
(2)これを本件について見ると、措置法69条の4第1項に規定する「生計を一にしていた」との要件の解釈は、前記で説示したとおりであり、また、乙や甲の生活状況等は前記認定のとおりであるところ、本件賦課決定処分当時、前記認定の乙や甲の生活状況に照らして、本件において「生計を一にしていた」との要件を満たすとする乙の解釈は、独自のものであるといわざるを得ないから、乙に過少申告加算税を賦課することが、不当又は酷である場合に当たる場合であるとはいえない。

四、控訴審判決要旨

控訴棄却(請求棄却)。
(1)当裁判所も、Xの請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、原判決を次のとおり付加、訂正するほか、原判決のとおりであるから、これを引用する。
(2)本件土地は本件相続の開始前から申告期限まで引き続き甲の親族である乙の事業の用に供されていたこと、乙は、本件相続により本件土地を取得し、本件相続開始時から申告期限まで引き続き本件土地を所有していたことが認められる。そこで、本件において、本件特例の適用の有無を判断するに当たっては、本件土地が「甲と「生計を一にしていた」乙の事業の用に供されていた宅地等」に該当するかが問題となる。
 この点につき、相続人が被相続人の財産を相続した場合には、相続人には新たな経済的利益が発生することから、当該相続財産に担税力を見出し、相続人に相続税の負担を求めることになる。
 しかし、被相続人がもともとその所有する宅地等で事業を行っていた場合には、そもそも、被相続人が「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」を処分して現金化することは困難であり、「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」には十分な担税力がなかったものと解される。相続人がその事業を承継する場合には、相続人は、被相続人から「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」を相続したことにより新たな経済的利益が発生しているように見えるものの、当該宅地等で被相続人から承継した事業を継続するのであるから、やはり被相続人から相続した「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」を処分して現金化することは困難である。このように、相続人が、相続により「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」を取得し、そこで被相続人の事業を承継した場合には、当該宅地等には担税力がないから、「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」については、本件特例により相続税の課税価格に算入すべき価額を軽減することにより、相続人の相続税負担の軽減を図ることにしたものである。
 すなわち、本件特例の趣旨は、「被相続人の事業の用に供されていた宅地等」については、被相続人の生前から一般にそれが事業の維持のために欠くことのできないものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であることを踏まえて、相続財産としての担税力の有無に着目し、相続税負担の軽減を図ることとしたものである。その結果、本件特例の適用により、中小企業の円滑な事業承継が促進されるという効果が期待されるものの、それはあくまでも副次的な効果にとどまるものというべきである。
 また、事業承継は必ずしも相続を契機として行われるわけではなく、相続人である子が被相続人である親の事業をその生前に承継する場合もあり得るし、被相続人が相続人に対して宅地等を無償で貸し付け、相続人が当該宅地等で事業を始める場合もあり得る。
 このような場合のうち、被相続人の有する宅地等で相続人が営んでいた事業により、相続人の生計だけでなく、被相続人の生計も支えられていたときは、相続によって被相続人から相続人に事業承継が行われる上記の場合と同様、被相続人は、生前、上記の相続人「の事業の用に供されていた宅地等」で行われていた事業によりその生計を支えられていたということができるから、被相続人の相続の前後を通じ、相続人「の事業の用に供されていた宅地等」は、これを処分して現金化することは困難であったものであり、十分な担税力がなかったものと解される。したがって、相続人は、被相続人から相続人「の事業の用に供されていた宅地等」を相続したことにより新たな経済的利益が発生しているように見えるものの、当該宅地等には担税力がないから、相続税の課税価格に算入すべき価額を軽減することにより相続人の相続税負担の軽減を図る必要があることは、上記の場合と同様である。
 以上によれば、本件特例にいう「被相続人と生計を一にしていた」相続人「の事業の用に供されていた宅地等」とは、上記のように、相続人の生計だけでなく被相続人の生計をも支えていた相続人「の事業の用に供されていた宅地等」を指すものと解するのが相当である。
 これに対し、相続人が被相続人の有する宅地等で事業を営んではいるものの、これによって被相続人の生計が支えられていない場合には、相続人の営む事業は被相続人の生計とは関係がないといえるから、被相続人が、生前、相続人「の事業の用に供されていた宅地等」を処分することには制限がなく、当該宅地等に担税力の減少は生じていないことになる。
 したがって、このような場合は、相続人が相続した財産における担税力の有無に着目して、相続税の課税価格に算入すべき価額を軽減することにより、相続人の相続税負担の軽減を図るという本件特例の趣旨は妥当しないから、本件特例を適用することはできない。
(3)本件の事実からすれば、乙が本件土地上で営んでいた大工業によって甲の生計が支えられていたとは到底いえないから、本件土地は「甲と「生計を一にしていた」乙の事業の用に供されていた宅地等」には当たらず、本件土地につき本件特例を適用することはできない。
 この点につき、Xは、措置法69条4項1項にいう「生計を一にしていた」の解釈につき、所得税法56条にいう「生計を一」の概念との同一性を主張する。
 しかしながら、所得税法56条は、事業経営者と生計を一にする親族がその事業に従事している場合には、いわば家族ぐるみで事業を行っているものとみて、その事業所得を事業経営者によって代表される家族単位で一体的に把握し、その家族間における給料等の支払は内部的なものとして所得計算上問題にしないことを定めた規定であるのに対し、本件特例の趣旨は、前記のとおり、相続人が相続した財産における担税力の有無に着目し、「被相続人と生計を一にしていた」相続人「の事業の用に供されていた宅地等」について、相続税の課税価格に算入すべき価額を軽減することにより、相続人の相続税負担の軽減を図る点にあると解される。したがって、本件特例が適用されるか否かを判断するためにその要件を検討するに当たっては、所得税法56条と同様に解することは相当ではない。

五、解説

はじめに
 相続税の申告において最も留意すべきことは、当該相続財産の中に、措置法69条の4に規定する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(本件特例)の適用がある宅地があるか否かということと、本件特例の適用要件を充足するか否かということである。例えば、当該相続財産の中に、相続税評価額で1㎡100万円の宅地200㎡について本件特例の適用があるとすると、最高1億6000万円(100万円×200×0.8)の課税価格を減額することができることになる。そのため、当該特例は、第二の基礎控除と云われる所以であるが、金額的には、当該基礎控除をはるかに上回る場合があり、かつ、相続税の課税対象となる被相続人は大概そのような宅地を有してるだけに、相続税の申告において最も留意すべきこととなる。
 また、このような恩典的な特例であるが故に、その適用要件も比較的厳しく、当該適用要件の充足をめぐる争訟事件も多い。その中で、本件では、甲の相続人(親族)である乙が、本件土地が「特定事業用宅地等」該当の要件である「当該被相続人と生計を一にしていた者」(措法69の4③一ロ)に該当するか否かが争われたものである。この場合、「生計を一にしていた」か否かについては、所得税法56条等に定める「生計を一にする」と同一用語であるだけに、両者との解釈上の異同も問題となる。ともあれ、本件特例の適用をめぐって、このような解釈・適用が争われることは数少ないので、本判決は、非常に注目される事案であると言える。
 そのほか、本件においては、本件賦課決定について、通則法65条4項に定める「正当な理由」の存否も争われているので、紙幅の都合に応じて敷衍することとする。

1 本件特例の立法趣旨と要点
(1)相続税における小規模宅地の課税の特例は、当初、国税庁の通達によって措置されていた。すなわち、昭和50年6月20日付で発出された「事業又は居住の用に供されていた宅地の評価について」(直資5−17、以下「小規模宅地通達」という。)は、「相続又は遺贈により取得した宅地(〈略〉)で、その相続又は遺贈に係る被相続人(〈略〉)の事業又は居住の用に供されていたものの価額(その宅地の地積が3に掲げる地積を超える場合には、3に掲げる地積に対応する部分の価額)は、〈略〉(編注=評価通達)の定めにより評価したその宅地の価額の100分の80に相当する金額によって評価する。」と定めていた。
 そして、上記の「事業の用に供されていた宅地」とは、「相続開始時において被相続人がその営む事業の用に供していた宅地をいい、貸し付けていた宅地及び貸付けていた建物の存する宅地は、これに該当しないものとする。」(同通達2(1))と定め、上記「3に掲げる地積」とは、200㎡とされた(同通達3)。このような小規模宅地通達は、昭和58年の税制改正において、措置法において立法化され、その後、逐次拡充され、本件特例へと引き継がれることになった。
 このような昭和58年の税制改正の趣旨については、次のように説明されている(注1)。
 「ところで、今回、前述のように取引相場のない株式の相続税の評価について改善合理化を行うこととされたことに関連し、税制調査会の「昭和58年度の税制改正に関する答申」において「株式評価について改善合理化を図ることとの関連で、個人が事業の用又は居住の用に供する小規模宅地についても所要の措置を講ずることが適当である。」とされたことから、最近における地価の動向にも鑑み、個人事業者等の事業の用又は居住の用に供する小規模宅地の処分についての制約面に一層配意し、特に事業用土地については、事業が雇用の場であるとともに取引先等と密接に関連している等事業主以外の多くの者の社会的基盤として居住用土地にはない制約を受ける面があること等に顧み、従来の通達による取扱いを発展的に吸収して相続税の課税上特別の配慮を加えることとし、以下に述べる小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例として法定することとされました。」
(2)かくして、本件特例では、当該特例の対象となる特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等のうち、前3者について、相続税の課税価格に算入すべき価額を通常の評価額の20%とし(措法69①)、特例対象面積を特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等については、400㎡としている(措法69②一)。
 そして、本件で問題となっている特定事業用宅地等とは、被相続人等の事業の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族が相続により取得したもの、とされている(措法69の4③一)。
 「イ 当該親族が、相続開始時から相続税法27条・・・の規定による申告書の提出期限(以下この項において「申告期限」という。)までの間に当該宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続き当該宅地等を有し、かつ、当該事業を営んでいること
 ロ 当該被相続人の親族が当該被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始時から申告期限(省略)まで引き続き当該宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の事業の用に供していること。」
 このような特定事業用宅地等の該当要件のうち、本件においては、被相続人である甲の親族である乙が、甲と「生計を一にしていた者」であったか否かが専ら争われることになった。

2 「生計を一にする」の意義
(1)所得税法においては、「生計を一にする」という用語は、同一生計配偶者(所法2①三三)、扶養親族(所法2①三四)、親族が事業から受ける対価(所法56、57)、雑損控除(所法72)、医療費控除(所法73)等多くの場合に用いられている。そして、所得税基本通達2−47は、「生計を一にする」の意義について、次のように定めている。
 「法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1)勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
 イ、当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
 ロ、これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2)親族か同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。」
 このような取扱いの趣旨について、国税庁の担当者は、次のように説明している(注2)。
 「これらの規定における「生計を一にする」とは、これらの規定が個人の担税力の強弱をいわばその者の経済生活単位ごとにとらえ、これを租税負担の面で考慮する趣旨のものであるといえることから、一般的には、同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしているものと解される。
 したがって、この場合の「生計を一にする」とは、必ずしも一方が他方を扶養する関係にあることをいうものではなく、また、必ずしも同居していることを要するものでもない。本通達は、以下の趣旨を明らかにしたものである〈略〉。」
(2)以上のように、所得税法においては、「生計を一にする」という用語が多用されているが故に、その解釈・適用をめぐる裁判例も多い(注3)。その中で、Xがその主張において引用する最高裁昭和51年3月18日判決(前出)の事案では、印刷業を営む上告人が、結婚していて別居し当該事業に従事している長男及び次男に支払った給与につき、所得税法56条の適用の可否が争われた。一審の福岡地裁昭和45年3月19日判決(税資59号368頁)及び控訴審の福岡高裁昭和47年11月20日判決(同66号1011頁)は、①上告人は、昭和40年中に支払った長男らに対する雇人費につき、源泉所得税を徴収せず、長男らも当該雇人費につき市民税を納付していないこと、②当該雇人費の支給は、支給額及び支給日が一定せず、通常の給与体系と異なること、③長男らは、専ら上告人の事業に従事し、右事業から生ずる収入のみによって生計を維持していたこと、を認定した上で、長男らは「上告人と生計を一にする親族にあたる」旨判示し、当該雇人費の必要経費に当たらない旨判示した。
 これに対し、前掲最高裁判決は、「右(1)ないし(4)の事実(編注=上記①〜③の事実)のみから直ちに、係争の雇人費が長男らにおいて上告人の事業に従事したことの対価であることを否定し、家族間の扶養の一態様として支給された生活費にすぎないとみることは、社会通念に照らし当を得たものとはいいがたい。そして、原判決挙示の証拠によれば、長男らは、毎月支給を受ける右金員のうちから自らの責任と計算でそれぞれの家賃や食費その他の日常の生活費を支出し、時に上告人から若干の援助を受けることがあったものの、基本的には独立の世帯としての生計を営んでいたことがうかがわれるのであり、右生計の源泉が専ら上告人の事業にあったからといって、上告人と有無相扶けて日常生活の資を共通にしていたものと認めるには足りない。」と判示し、上告人と長男らが「生計を一にする」状態にはない旨判断した。その点では、本件において、Xが、前提最高裁判決を引用することに首肯し難いところがある。
(3)ともあれ、本件における「生計を一にする」、納税義務者の納税義務の範囲に影響する「住所」、納税義務者等が営む「事業」等、所得税法及び相続税法並びにそれら各法の特別措置を定める用語には、共通のものが幾つか存在する。これらの場合、同じ個人に対する課税規定であるから、それらの共通の用語を同一に解釈すべきか、それぞれの法律の趣旨に基づいて別個に解すべきかについては、必ずしも定説があるわけでもない。
 例えば、前述の「住所」については、民法からの借用概念である(民法22参照)が故に所得税基本通達2−1及び相続税法基本通達1の3・1の4共−5とも、「住所とは生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する」旨定めている。しかし、具体的な訴訟事件をみてみると、上記両法において共通に解釈することに疑問がある場合もある(注4)。また、「事業」については、所得税法上多用されているため、通達の取扱いや解釈論も整備されているところ、本件特例における「事業」の意義についても、所得税法上の事業概念と同一に解すべきものと解されている(注5)。
 そして、本件における「生計を一にする」の意義、解釈については、前述のように、一審判決及び控訴審判決とも、X側が所得税に関する最高裁判決を引用して甲と乙とが「生活を一にしていたこと」を主張したこともあって、相続税に関する措置法の解釈上の独自性を強調して、当該主張を否定しているが、前掲最高裁判決をもってしても、甲と乙との「生計を一にする」関係を否定できることを考慮すると、両判決の判示に疑問なしとしない。

3 本件における「生計を一にする」の判定
(1)本件においては、乙は、甲の甥であったが、その後、甲の養子となり、平成23年以降、甲の成年後見人となり、甲から何ら報酬を貰うことなく、甲の財産、生活費を包括的に管理していた。しかし、甲は、実子である丁と同居し、年間、年金、不動産賃料等200万円弱の収入があり、それらによって生計を維持していた。他方、乙は、自己の所帯を持ち、年間約400万円の収入を得て、甲とは別居しており、生計も甲とは独立していた。また、乙は、甲の財産の大部分を形成する本件宅地の約半分を占める本件土地を生業である大工業の事業の用に供していたものであるから、甲とは生活面でも密接に関係していたものと解される。
 かくして、前述のような事実関係の下で、本件特例の適用上、乙が甲と「生計を一にしていた者」に当たるか否かが争われた。この点につき、一審判決は、前述のように、本件特例の立法趣旨を判示した上で、「このような本件特例の趣旨に照らすと、「生計を一にしていた」との要件は、当該土地を利用してなされる事業の収益によって被相続人と相続人(親族)の生活基盤が維持されるなど、社会通念に照らして、被相続人と相続人(親族)が日常生活の糧を共通にしていた事実を要するものと解するのが相当である。」と判示し、前述の事実関係の下では、甲と乙とは、日常生活の糧を共通にしていたとはいえず、「生計を一にしていた」とは認められない旨判示した。
 また、控訴審判決は、前述のように、本件特例の立法趣旨を一層明確にした上で、所得税法56条と本件特例との関係について、「本件特例が適用されるか否かを判断するためにその要件を検討するに当たっては、所得税法56条と同様に解することは相当ではなく、あくまでも本件特例の上記趣旨に従って解釈すべきである」と判示し、Xの控訴を棄却している。
(2)以上のように、本件の各判決は、本件特例の立法趣旨をそれぞれの立場から明確にして、当該立法趣旨と「生計を一にしていた者」の解釈の関係を論じ、本件におけるXの主張を退けたものである。このように、本件特例における「生計を一にしていた者」の解釈と範囲が争われた事例は見当たらないようであるので、本件各判決は、意義のあるものと考えられる。しかし、控訴審判決が特に強調するように、「生計を一にする」の意義・解釈について、殊更、所得税法と相続税法(措置法)との間に差異があるかのように強調することには疑問がある。
 確かに、所得税法56条と本件特例を対比すると、前者の適用の場合、「生計を一にする」を広く解釈すると納税者に不利に作用するのに対し、本件特例の適用の場合には、広く解釈すると納税者に有利に作用するという相反する問題は存在している。しかし、前記2で述べた所得税法56条の関係裁判例に照らしても、それぞれの事実関係と社会通念によって判断すれば、本件の事実関係の下で結論を左右することにはならないものと考えられる。もっとも、乙が甲に対して本件土地の賃借料を支払った場合に、当該賃借料が乙の事業所得から控除していたら、所得税法56条が適用されるのではないかという疑義が生じるかも知れない。

4 税法解釈の疑義における「正当な理由」
 本件においては、前述したように、本件特例における「生計を一にしていた」の解釈が極めて困難であるが故に、当該解釈を結果的に誤ったX側に通則法65条4項に定める「正当な理由」の存否も争われた。この問題については、紙幅の都合上、詳述は避けることとするが、本件のような税法解釈の疑義をめぐって「正当な理由」の存否が争われることが多いだけに関係裁判例について若干敷衍することとする。
 すなわち、本件のような税法の解釈の疑義に関する「正当な理由」の存否については、東京高裁昭和51年5月24日判決(税資88号841頁)が、「かかる納税者に過少申告加算税を賦課することが不当もしくは酷になる場合を指称するものであって、納税者の税法に不知もしくは誤解に基く場合は、これに当たらないというべきである。」と判示して以降、ほとんどの裁判例がこの考え方に追従している(注6)。そして、多くの裁判例では、このような場合の「正当の理由」を否定しているのであるが、中には、税務当局側の対応をも考慮して「正当な理由」を認められている事例も見受けられる(注7)。
 本件においては、前記2及び3において述べた「生計を一にする」の解釈論等に照らすと、結論的には本件各判決が判示するところになるものと考えられる。しかし、前述してきたように、当該用語の解釈が所得税法と相続税法(措置法)を通じて混乱しているようでもあるので、仮に、本件において、乙が甲に対し本件土地に係る賃借料を支払い、当該賃借料について所得税法56条の適用によって、乙の事業所得の必要経費とされていなかった場合には、「正当な理由」の存否に一層の問題を惹起することも考えられる。

5 本件各判決の意義と問題点
 以上のように、本件は、小規模宅地の課税特例(本件特例)のうち、本件土地が「特定事業用宅地等」に該当するか否かが争われ、その中で、主として、親族(相続人)である乙が被相続人甲と「生計を一にしていた者」であるか否かが争われることになった。このような本件特例については、相続税の申告において最も重視すべき事柄であるだけに、当該適用の是非をめぐる争訟事件も多いが、本件のような「生計を一にしていた者」の該非が争われることは極めて稀である。もっとも、「生計を一にする」という用法は、所得税法及び相続税法(措置法)を通じて多用されているだけに、その解釈論は極めて重要である。そして、そのことが、相続税法(措置法)の事案に明らかにされただけに、本件各判決は今後の実務の参考になる。また、本件において通則法65条4項に定める「正当な理由」の存否も争われたが、税法の解釈の疑義に関する一事例として注目しておく必要がある。なお、上記の各争点に関する本件各判決の判示内容については、それぞれ問題を有していることも指摘したとおりである。
(注1)国税庁「昭和58年 改正税法のすべて」177頁。なお、同解説中の「取引相場のない様式の相続税の評価について改善合理化」については、上記書の172頁以下、品川芳宣「財産(資産)評価の実務研究 第12回」資産承継2020年6月号140頁以下等参照。
(注2)後藤昇他編「平成24年版 所得税基本通達逐条解説」(大蔵財務協会 平成24年)51頁参照。
(注3)例えば、扶養親族のような所得控除に関するものとして、大阪高裁昭和37年7月13日判決(税資36号771頁)、京都地裁昭和37年12月26日判決(行裁例集13巻12号2292頁)等を、親族が受ける対価に関するものとして、名古屋地裁昭和46年8月30日判決(税資63号374頁)、東京地裁昭和47年4月11日判決(同65号738頁)、福岡高裁昭和47年11月20日判決(同66号1011頁)、松山地裁昭和49年1月21日判決(訟務月報20巻6号158頁)、最高裁昭和51年3月18日第一小法廷判決(集民117号201頁)等参照。
(注4)品川芳宣「重要租税判決の実務研究 第三版」(大蔵財務協会 平成26年)706頁等参照。
(注5)東京地裁平成7年6月30日判決(行裁例集46巻6・7号659頁)等参照。
(注6)品川芳宣「附帯税の事例研究 第四版」(財経詳報社 平成24年)70頁、89頁等参照。
(注7)名古屋地裁昭和37年12月8日判決(行裁例集13巻12号2229頁)、大阪高裁平成3年4月24日判決(税資183号364頁)、最高裁平成18年10月24日第三小法廷判決(民集60巻8号3128頁)等参照。

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