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会社法ニュース2022年01月28日 虚偽記載警告で株主損害と因果関係なし(2022年1月31日号・№916) 東京地裁、不適切会計で株式取得も株主の損害賠償請求を棄却

  • 東芝(被告)の有価証券報告書の虚偽記載により損害を被ったとして株主らが損害賠償を求めた事件。東京地裁(金澤秀樹裁判長)は令和3年10月28日、株主の請求を棄却。
  • 被告は不適切な会計処理を行っている旨を開示しており、株価下落の損害と有価証券報告書等の虚偽記載との間に相当因果関係はないと判断。

 東芝(被告)の株式又は同社の株式を参照株式の一つとする仕組債を購入した原告A及びBが、被告の提出した有価証券報告書等には虚偽記載があるとして不法行為又は金融商品取引法21条の2第1項に基づき損害賠償請求を行ったもの。原告らは、被告はインフラ関係の工事進行基準案件において、損失の発生が明らかになった時点で工事損失引当金を計上しなかったことなどを理由に有価証券報告書等を訂正しており、虚偽記載を認めたなどと主張した。
 裁判所は、被告が平成27年4月3日及び5月8日に公表した開示内容(参照)は会計上の損益等に影響を及ぼす事項につき不適切な処理を行っていることを具体的に指摘しつつ、更なる影響を及ぼす事項の存在を示すものであるとし、被告は有価証券報告書等に虚偽記載が存在し、株価下落のリスクが存在することを一般投資家にあらかじめ広く警告したということができるとした。したがって、裁判所は、原告Aが被告株式を取得した後、被告の有価証券報告書等における虚偽記載の内容が明らかになったことで被告株式の価格が下落しても、原告があらかじめ引き受けた損害であるから、その損害と有価証券報告書等の虚偽記載との間に相当因果関係があるとはいえないとして、原告の請求を棄却した。
 また、裁判所は、金商法に基づく有価証券報告書等の継続開示制度(金商法24条等)による保護の対象は開示者が自ら発行し、流通市場において流通している有価証券の投資者であると解されるとの見解を示し、原告Bが購入した仕組債は被告が取引に関与しておらず、原告Bは金商法24条等による保護の対象にはならないとした。

【表】経緯

平成27年
4月3日:
東芝が一部インフラ関連の工事進行基準に係る会計処理について、調査を必要とする事項が判明し、特別調査委員会を設置する旨を公表。調査事項が東芝の業績に及ぼす影響が明らかでない旨を開示。
5月8日:東芝は工事進行基準案件における工事原価総額の見積りの問題以外にも調査を必要とする事項が判明したため、第三者委員会を設置することを公表。過年度決算を修正する可能性を開示。
5月13日:原告Aが株式取得。

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