税務ニュース2022年02月11日 G通算制度下のムチ税制の発動要件は(2022年2月14日号・№918) 研究開発税制のみ通算グループ全体で判定、ムチ税制の発動確認に手間
ムチ税制(措法42の13⑥、今号42頁参照)は研究開発税制における中小企業者(措法42の4⑧七)等に該当しない法人が、①対象年度の所得金額が前事業年度の所得の金額を上回ること、②対象年度の継続雇用者の給与総額が前事業年度の継続雇用者の給与総額以下であること、③対象年度の国内設備投資額が減価償却費の3割以下に留まること、との3つの要件の全てに該当する場合に発動されるが、令和4年度税制改正では、賃上げ税制とのバランスを図る観点から、ムチ税制が一部厳格化される。具体的には、「資本金10億円以上かつ常時使用する従業員1,000人以上」及び「前事業年度が黒字」のいずれも満たす法人については上記②の要件が厳格化され、継続雇用者の給与総額が対前事業年度比で令和4年度は0.5%以上増加していないこと、令和5年度は1%以上増加していないこと、とされる。
ここまでは税制改正大綱で確認できるが、税制改正法案により、グループ通算制度を適用する場合の取り扱いが明らかとなった。まず、研究開発税制を適用しようとする場合の「資本金10億円以上かつ常時使用する従業員1,000人以上」との要件は、通算法人のいずれかが該当すれば満たすことになる(改正措法42の13⑦三)。例えば、通算グループ内に一社でも資本金10億円以上かつ従業員常時1,000人以上の通算法人があれば、上記②の要件の厳格化があり得る。また、「前事業年度が黒字」との要件及び上記①②③の要件(上記厳格化後の②を含む)は、通算グループ全体で判定する(改正措法42の13⑦四、五、六、七、八)。一方、研究開発税制以外の租税特別措置の適用を受けようとする場合には個別の通算法人ごとに判定する。研究開発税制のみ通算グループ全体でムチ税制の判定を行うのは、研究開発税制が、租税特別措置の中では例外的にグループ調整計算の対象となるため。
通算法人のいずれかが賃上げ率0.5%や1%、あるいは設備投資要件を達成できなかったとしても、通算グループ全体で十分な賃上げや設備投資を行っていれば研究開発税制は引き続き適用可能だが、ムチ税制が発動されないことをグループ全体で確認する手間は連結納税時代と同様にかかることになる。
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