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税務ニュース2022年03月18日 サザビー株、普通株前提に種類株評価(2022年3月21日号・№923) 審判所、株価を“定款に定めた額”とする納税者の主張も排斥し独自評価

  • サザビーリーグ創業者らへの株式譲渡益課税事案(本誌921号)、審判所は、普通株を前提とした評価額(類似業種比準方式)と比較し、種類株の原処分庁評価額を否認。

 本件は種類株式の税務上の時価が争点となった初めての事案とみられ、専門家らの間では審判所がどのように時価を算定したのかに注目が集まっているが、編集部の取材によりその詳細が判明した。
 原処分庁は、本件の取得条項付株式(非上場株式)の時価の算定方法について、①取得条項の行使の効果は残余財産の分配に似ているから残余財産の分配の場合と同じように純資産価額に基づき評価すべきである、②取得価格に係る定款の行使条件も純資産価額ベースとなっている等の理由により、純資産価額方式によるべき、と主張していた模様。非上場株式の評価が問題となっているにもかかわらず、法人税基本通達が準用する財産評価基本通達の適用関係の検討等は行っていなかったとみられる。
 これに対し審判所は、①まずは財産評価基本通達の適用関係を問題とすべきとした上で、②本件株式は、仮に「普通株式」であれば、財産評価基本通達の例により計算できることとなり、③本件の発行会社は同通達上の「大会社」に該当し、④そうすると純資産価額方式ではなく類似業種比準方式により評価されると指摘。類似業種比準方式により本件の発行会社の「普通株式」の株価を審判所で独自に評価・算定した結果、原処分庁が主張する本件の取得条項付株式の時価は、審判所算定額(普通株式)の約8倍に相当することとなり、取得条項付株式の減価要因についても考慮すると、原処分庁の主張を認めることは明らかに困難との判断を示した。
 ただし審判所は、既報のとおり、本件株式の時価を「定款に基づく算定式で現に算出された価額」とすべきとの納税者の主張についても、「取得条項付株式はそもそも特定の当事者間又は特定の事情の下で取引されることを前提とするものである」から、納税者の主張する価額が、常に当然に時価に当たるとはいえないとの考えを示し、全面的に排斥している。本件では、たまたま、審判所が算定した普通株式の評価額と、納税者が主張していた価額との差がさほど大きなものではなかったということのようだ。
 審判所は裁判所とは異なり、当事者の主張にかかわらず、原処分の適否を判断するために職権で調査・審理を行い、裁決の基礎とすることができる。本件は納税者の主張が全面的に認められたという事案ではない点、注意が必要だ。

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