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税務ニュース2022年05月27日 借入暗号資産、負債側時価評価の可否(2022年5月30日号・№932) 税務上の明確な取扱い未だ示されず 評価損計上には慎重な対応必要

  • 暗号資産の交換業者ではない法人が売買に使用する目的で暗号資産を借り入れた場合の負債側期末時価評価の可否については、課税当局にもまだ具体的な事例が蓄積されておらず、明確な取扱いが示されていない状況。安易な評価損計上には税務リスクあり。

 暗号資産のトレーディングを行う個人が雑所得としての累進課税を嫌い、法人を設立することがあるが、この際に個人で有していた暗号資産自体を消費貸借契約に基づき法人に貸し付けるケースもあるようだ。法人が暗号資産の借入れを行った場合、一般的には「(借方)暗号資産/(貸方)借入暗号資産」といった仕訳が想定されるが、これらの資産・負債を期末に保有している場合、期末時価評価が論点となる。
 法人税法上、法人が自己の計算において有する暗号資産は、短期売買商品等として活発な市場が存在する場合には期末時価評価が必要とされるため、資産側は期末時価評価を行うのが通常だ。しかし、実務家の間では、負債側の借入暗号資産も時価評価が可能なのかとの疑問が生じている。
 会計上は、暗号資産交換業の自主規制団体である一般社団法人日本暗号資産取引業協会による「暗号資産取引業における主要な経理処理例示」に示された一例によれば、「毎月末及び期末の貸付暗号資産・借入暗号資産には決算時の暗号資産市場相場による円換算額を付し、洗替えの方法により評価替えを行う。このとき発生した評価損益は、『暗号資産売買等損益』に計上する」とあり、負債側の期末時価評価も想定されていると言える。これに対し税務上は、短期売買商品等に関する法人税法61条の7項に暗号資産交換業を行う者から信用の供与を受けて行う暗号資産信用取引についての定めがあるものの、同条は基本的に資産側の規定であり、負債側の取扱いについては言及がない。また、短期売買商品等に関する規定は、有価証券に関する規定と比して簡素であるため、有価証券の場合と同様に考えてよいかも定かではない。
 借入暗号資産の負債側期末時価評価の可否については、課税当局にもまだ具体的な事例が蓄積されていないことから、現状では本誌の取材に対しても「借入返済時には暗号資産の借入時と返済時の時価の差額を損益として認識するのではないか」とのコメントが示されるにとどまっている。現時点では課税当局も明確な取扱いを示していないだけに、実務家としては、特に負債側について評価損を計上する際は、慎重な対応が求められることになろう。

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