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会計ニュース2022年07月01日 脱税した者の会計士登録拒否処分は適法(2022年7月4日号・№937) 東京地裁、多額のほ脱税額や実名報道等から社会の信頼失うおそれ指摘

  • 脱税による逮捕歴のある元会社役員が、「公認会計士の信用を害するおそれがある者」に該当するとして日本公認会計士協会から受けた公認会計士開業登録を拒否する処分の取消しを求めた事案で敗訴(東京地裁令和4年6月17日判決)。

 東京地裁はまず、「公認会計士法18条の2第2号所定の『公認会計士の信用を害するおそれがある者』に該当するか否かの判断は、被告(公認会計士協会)の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当であるから、被告がこれに該当するとしてした公認会計士の登録を拒否する処分が違法なものと認められるのは、その判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認められる場合に限られるというべきである。」との解釈を示した。
 その上で、①投資会社の代表取締役であった原告が、共謀の上、当該会社の業務に関し、投資事業有限責任組合からの分配収入の一部を過少に計上するとともに、架空の投資有価証券売却損を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、虚偽の法人税確定申告書を提出し、法人税を免れたという事実、及び②原告が、自己の雑所得となるべき謝礼金収入を自らが管理する香港法人名義の預金口座に送金させるなどの方法により所得を秘匿した上、所得税を免れたという事実により、法人税法違反及び所得税法違反の罪で懲役2年6月(執行猶予4年)及び罰金1,800万円の判決を受けたことを指摘した。
 そして、健全な納税意識の欠如に加え、原告の違反した法人税法及び所得税法が公認会計士の業務に密接に関わる分野であることなども考慮すると、「公認会計士の信用を害するおそれがある者」に該当するか否かの判断に当たって、原告がこれらに違反する罪を犯したことを看過することはできないし、本件拒否処分において重大な非違行為と評価した点に合理性が欠けるところはないと判示した。
 また、長年納税がなされていなかったなどの事実から、原告が真摯な反省をしていたものと評価することはできないとした。そして東京地裁は、本件刑事事件の判決確定から拒否処分までの経過時間の長さ(約7年)を認めながらも、「原告のほ脱税額が多額であり、新聞報道等で原告の実名も掲載されていたことなどに鑑みれば、原告に対する公認会計士の登録を認めた場合には、再び社会的に注目される可能性があることも否定し難く、公認会計士に対する社会の信頼を損なうおそれがあると判断することにも合理性がある」として、被告の拒否処分は適法と結論づけた。

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