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解説記事2022年07月04日 SCOPE 法人税等会計基準の公開草案、大きな変更なしで決定へ(2022年7月4日号・№937)

2024年4月1日開始事業年度の期首から適用
法人税等会計基準の公開草案、大きな変更なしで決定へ


 企業会計基準委員会(ASBJ)は6月8日まで意見募集を行っていた企業会計基準公開草案第71号(企業会計基準第27号の改正案)「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」等に対して寄せられたコメントについての検討を開始したが、公開草案からの大きな変更はなく決定する方向となっている。適用は、2024年4月1日以後開始する事業年度の期首からとされ、2023年4月1日以後開始する事業年度の期首からの早期適用を容認している。

退職給付を想定も、今後の基準開発や税法の改正で追加の可能性

 企業会計基準委員会は3月30日、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」等を公表し、6月8日まで意見募集を行っていた。寄せられたコメントについては公開草案に賛成するものが多く、大きな変更なしで正式決定される運びとなりそうだ。
 法人税等会計基準案では、「税金費用の計上区分」が見直される。当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その発生源泉となる取引等に応じて、損益、株主資本及びその他の包括利益に区分して計上することになる。
 ただし、例外として、課税の対象となった取引等が、損益に加えて、株主資本又はその他の包括利益に関連しており、かつ、株主資本又はその他の包括利益に対して課された法人税、住民税及び事業税等の金額を算定することが困難である場合には、当該税額を損益に計上することができるとされており、現時点では退職給付に関する取引が想定されている。
 この点、退職給付に関する取引については、課税の対象となる掛金等の額に数理計算上の差異等に対応する部分が含まれるか否かは一概に決定できず、また、その金額の算定は困難であるとことから設けられた定めであるとし、同委員会では、今後の会計基準の開発や税法の改正によって、同様の状況が生じる可能性があることから、退職給付に関する取引に限定した記載ではなく、「株主資本又はその他の包括利益に計上する金額を算定することが困難である場合」などの要件を定めたものであると説明している。
通算税効果額も発生源泉に応じて区分計上
 そのほか、寄せられたコメントを踏まえ、グループ通算制度を適用している場合の通算税効果額についても発生源泉となる取引等に応じて、各区分に計上するように、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」を改正することとしている。
株主資本を相手勘定として計上する旨を追加
 また、繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い(税効果適用指針51項)については、株主資本を相手勘定として計上する場合が定められていないため、新たに「連結財務諸表において、子会社に対する投資について、親会社の持分変動による差額を直接資本剰余金に計上する場合、当該親会社の持分変動による差額に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の差額に係る一時差異に関する繰延税金資産又は繰延税金負債の差額について、税率が変更されたことによる修正差額を、当該税率が変更された年度において、資本剰余金を相手勘定として計上する。」旨を追加する。

売却損益の繰延べに係る一時差異、個別と連結で異なる取扱いに

 グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについては、連結財務諸表上、売却時において売却損益が消去され、かつ課税関係が生じないにもかかわらず税金費用が計上されるという取扱いに対して、税引前当期純利益と税金費用が必ずしも適切に対応していないとの指摘がなされている。このため、連結財務諸表上、税金費用が計上されないように税効果適用指針の見直しが行われる。具体的には、子会社株式等を売却した企業の個別財務諸表において、売却損益に係る一時差異に対して繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されているときは、連結決算手続上、当該一時差異に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の額を消去し、購入側企業による子会社株式等の再売却等、課税所得計算上(法法61条の11)、繰り延べられた損益を計上することとなる事由についての意思決定がなされた時点において、当該消去額を戻し入れることとしている。なお、今回の改正は、連結財務諸表に限定されている。
資産負債法の例外的な取扱い
 今回の取扱いを受け、連結会社間の子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の当該売却損益に係る一時差異と、連結財務諸表における子会社に対する投資に係る一時差異との性質の相違について明らかにすべきとのコメントが寄せられている。この点については、売却損益の繰延べに係る一時差異については、譲渡を受けた法人において当該譲渡資産の譲渡等の事由が生じたときに益金又は損金に算入されることから、譲渡等によって一時差異が解消する点は、子会社に対する投資に係る一時差異と同様であるが、譲渡法人が当該譲渡資産に係る譲受法人との間に完全支配関係を有しなくなったときに益金又は損金に算入される点で、子会社に対する投資に係る一時差異とは解消事由が異なるなど完全に解消事由が一致するわけではないとしている。
 また、売却損益の繰延べに係る一時差異の取扱いについて、個別財務諸表と連結財務諸表とで異なる取扱いとする点については、個別財務諸表において子会社株式等の売却時に税金費用を計上しないこととすると、子会社株式等の売却損益を計上しているのにもかかわらず税金費用が計上されないこととなり、税引前当期純利益と税金費用が対応しない結果になるため、連結財務諸表に限定したものであり、今回の見直しは、既存の税効果の枠組みにおいて、資産負債法の例外的な取扱いになるとしている。

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