会計ニュース2022年09月16日 非財務情報開示ルール化の流れは(2022年9月19日号・№947) IFRSの日本の財務諸表への反映プロセスと同様のルール策定手続き検討
ASBJは内閣府令において「企業会計に係る基準設定主体」として規定され、ASBJが作成・公表した会計基準について金融庁長官が告示指定したものが「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」に該当することになる(同令第1条3項)。一方、IFRS財団による「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設立を受け、日本ではFASFが母体となりSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が設立されたが、SSBJは今のところ法的根拠に基づく組織ではない。この点についてディスクロージャーワーキング・グループが6月13日に公表した報告書(DWG報告)には、「ASBJが法令上の枠組みの中で位置付けられていることを参考としつつ、SSBJが策定するサステナビリティ開示の具体的内容やSSBJ自身について、法令上の枠組みを含めて、どのように位置付けるかが論点となる」とある(15頁参照)。この記述が示唆するように、SSBJもASBJと同様、近い将来、法令(内閣府令)上の枠組みとして位置付けられる可能性が高い。
DWG報告を受け、金融庁は9月中にも改正開示府令案を公表する見込みだが、これは非財務開示の大枠を定めるものにすぎない。「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という4つの柱から構成されているという点では、ISSBが3月にリリースした「サステナビリティ開示基準」の公開草案(DWG報告(3頁参照)によると、本年末までに最終化予定)と矛盾はないが、詳細な要求事項を定めた公開草案、大枠を定めるにすぎない今回の改正開示府令とは大きな隔たりがある。また、今回のISSBの公開草案は「全般的事項」と「気候変動」しか扱っていない。これらが最終化されれば、ISSBは人権、生物多様性、人的資本への投資、水資源など次の基準開発に取りかかることになる。また、今回の公開草案も最終化後数年経てば改定されることが予想される。
今後はSSBJが法令上の枠組みとして位置付けられるとともに、IFRSの日本の財務諸表への反映プロセスと同様の流れの非財務開示に関するルール策定手続きが確立されることになろう。
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