税務ニュース2022年10月28日 スイスからの借入金利息は国内源泉所得(2022年10月31日号・№952) 審判所、利子の支払者の居住地国の国内で生じたもの
本件は、請求人が非居住者からの借入金に係る利息を元本に組み入れたところ、原処分庁が借入金の利息は支払いの際に所得税等の源泉徴収義務が生じる国内源泉所得に該当するとして、納税告知処分を行ったもの。請求人は、スイスの居住者からの借入金は請求人が第三者に対して負う債務の担保に供されただけで、請求人の業務に直接使用されていないから、借入金の利息は「国内において業務を行う者に対する貸付金で当該業務に係るものの利子」(所法161条1項10号)に該当せず、かつ、日瑞租税条約上の貸付金の利子の範囲も同様であるから、租税条約上国内源泉所得とされる貸付金の利子にも該当しないと主張した。
審判所は、所得税法161条1項10号及び日端租税条約11条5項が規定する利子については、所得税法162条1項及び日端租税条約11条7項の各規定により、原則その利子の支払者の居住地国の国内において生じたものとされるとした。その上で、借入金は、請求人が第三者に対して負う債務の担保の原資として用いられ、当該第三者との契約に定める業務の遂行のために利用されていることが認められることから、借入金の利息は、「国内において業務を行う者に対する貸付金で当該業務に係るものの利子」に該当するとともに、その支払者が日本国の居住者であることから、日瑞租税条約により国内源泉所得とされる利子にも該当するとの判断を示し、請求人の主張を斥けた。
また、請求人は、スイスの居住者からの借入金に係る未払利息借入金を元本に組み入れたことに関し、本件借入金の貸主は元本組み入れによって請求人に源泉所得税の徴収義務が発生することの認識がなかったため同意したものであり、元本組入れは錯誤により無効であると主張したが、審判所は、意思表示の動機の錯誤が法律行為の要素の錯誤としてその無効を来すためには、その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となる必要があると指摘。請求人の主張する貸主の錯誤は、元本組入れに関する契約締結の際に、請求人に表示されて法律行為の内容となっていたとは認められないから、法律行為の要素の錯誤として本件元本組入れの無効を来すものではないとした。
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