税務ニュース2023年01月13日 研究開発税制の控除上限特例に救済措置(2023年1月16日号・№962) 既存の控除上限の上乗せ特例と比較し、有利な方を選択可
令和5年度税制改正では、いわゆるコロナ特例(42頁参照)に代わり、研究開発税制(一般型)において、税額控除の上限を「増減試験研究費割合の増減」に応じて上下する仕組みが導入される。具体的には、原則25%の控除上限は、増減試験研究費割合の増減に応じ最大で30%、最小で20%とされ、増減試験研究費割合が「−12%まで」は一律20%、「−4%〜+4%まで」は25%、「+12%以上」では30%と控除上限が一定となる“踊り場”が設けられる(与党大綱60頁ロ)。
この改正に対し、試験研究費割合を伸ばしている企業からは歓迎の声が挙がっているが、そうでない企業からは「控除上限の縮減の対象となりかねない」との懸念が聞かれる。しかし、本規定には事実上の“救済措置”が設けられている。与党大綱(60頁)の(注)には「試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、上記の特例と試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における控除税額の上限の上乗せ特例とのうち控除税額の上限が大きくなる方の特例を適用する。」とある。
「上記の特例」とは、上述した「増減試験研究費割合の増減」に応じて控除上限を上下させる特例(以下、「控除上限特例」という)を指す。一方、「試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における控除税額の上限の上乗せ特例」(以下、「控除上限の上乗せ特例」という)とは既存の措置であり、平均売上金額(その事業年度および過去3年の事業年度における売上金額の平均額)に占める試験研究費の割合が10%超の場合には、控除上限(原則25%)が最大10%上乗せされる。この措置は、与党大綱60頁の「ハ」にあるように、令和5年度税制改正で適用期限が3年延長されている。
つまり、増減試験研究費割合が低く、新設の控除上限特例を適用した場合には控除上限が引き下げられるような場合であっても、既存の「控除上限の上乗せ特例」は使えるケースもあり得るということだ。増減試験研究費割合が伸びていなくても、試験研究費の「額」自体が大きい場合には、控除上限の上乗せ特例が適用され、控除上限の縮減を免れるケースがあろう。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
最近閲覧した記事
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.