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解説記事2023年01月30日 税務マエストロ インボイスQ&A~令和4年11月改訂を検証する!(2023年1月30日号・№964)

税務マエストロ
インボイスQ&A~令和4年11月改訂を検証する!
 税理士 熊王征秀



マエストロの解説

 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(インボイスQ&A)が令和4年11月25日に改訂された。令和4年4月28日の改訂からわずか7か月しか経過していない。年末から年始にかけて令和5年度の税制改正論議が大詰めを迎えることを考えると、令和5年10月から予定されているインボイス制度の本番前にもう一度くらいはインボイスQ&Aの改訂がありそうだ。
 国税庁からは、インボイスQ&Aの他にも登録申請書の記載例やパンフレット、フローチャートなどの情報が五月雨式に公表されているので、情報の拾い漏れに注意する必要がある。本稿では、改訂されたQ&Aについて、特に留意すべき改訂事項をピックアップするとともに、新たに追加された11問のQ&Aについてコメントを付すこととした。

1 改訂されたQ&Aのポイントチェック

 次頁参照。

2 追加されたQ&Aの解説とコメント

○継続した取引における修正した適格請求書等の交付方法
 請求単価や数量誤りなどがあった場合には、修正インボイスを発行することなく、下記のように翌月請求分で修正することができる(問31)。
<具体例>
 x年6月請求分に誤りがあった場合には、x年7月請求分で下記15頁のように修正することができる(Q&A問31より抜粋)。

○値増金に係る適格請求書の交付

問32 当社の行う建設工事等について、その建設工事等の引渡しの日において当該建設工事等の請負代金に係る請求書を交付しています。一方、建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金については、相手方との協議によりその収入すべきことが確定することから、当初交付した請求書とは別に値増金に係る請求書を交付しています。この場合、それぞれ交付している請求書を適格請求書とすることで問題ないですか。【令和4年11月追加】

【答】
 建設工事等の請負契約に伴い収受する値増金は、当該建設工事等の対価の一部を構成するものですが、その金額の確定時期は区々であり、必ずしも建設工事等の引渡しの時までに確定するものではありません。
 そのため、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしています(基通9−1−7)。
 このように、ご質問の値増金は、相手方との協議によりその収入すべきことが確定した日の属する課税期間の課税標準額に算入することとしているため、当該値増金が建設工事等の対価の一部を構成するものであったとしても、当初交付している適格請求書とは別に当該値増金に係る適格請求書を交付することとなります。
 この場合における適格請求書の次の記載事項は、当該値増金に係る金額を基礎として記載することとなります。
① 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
② 税率ごとに区分した消費税額等
(参考)協同組合等において農産物の買取販売に係る販売代金の価格修正として組合員が受け取る事業分量配当金についても同様です。

<疑問点>
 上記Q&A問32の末尾の(参考)によれば、協同組合等の組合員が受け取る事業分量配当金についても組合員はインボイスの交付が必要とされている。
 しかし、消費税法基本通達14−1−3(協同組合等が支払う事業分量配当金)では、協同組合等が組合員に支払う事業分量配当金は、売上げに係る対価の返還等として取り扱うこととされているので、事業分量配当金を収受する組合員がインボイスを交付するのではなく、事業分量配当金を支払う協同組合等が、組合員に対して適格返還請求書を交付することになるのではないだろうか?

14−1−3 協同組合等が支払う事業分量配当金
法法第60条の2第1項第1号《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》に掲げる協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分の金額は、当該協同組合等の売上げに係る対価の返還等に該当することに留意する。

○複数の取引をまとめた請求書の交付

問57 当社は、複数の事業所がある顧客に対しては、その事業所ごとに契約を締結し取引を行っています。一方、請求書は、以下のように複数の契約をまとめて交付しています。
  現在、契約ごとに消費税額等の端数処理を行い、ご請求金額欄における消費税額等はその端数処理をした消費税額等の合計額を記載していますが、令和5年10月から、この請求書に登録番号を追加すれば適格請求書の記載事項を満たすことになりますか。【令和4年11月追加】

【答】の要約
 インボイスに記載する消費税額等の端数処理は、一のインボイスにつき、税率ごとに1回とされている。よって、質問のような請求書を発行することは問題ないものの、これに登録番号を記載してインボイスとすることはできない。
 このようなケースでは、下記のように税込請求額の合計額から算出した消費税額を記載することにより、インボイスとすることができる。

○物品切手等を値引販売した場合の適格請求書の記載事項

問62 当社で主催する演劇の入場券について、一定の販売方法においては、券面金額から一定金額を値引きして販売しています。例えば、12,000円の入場券について、1,000円引きの11,000円で販売しています。このような場合において、当該入場券と引換えに行う演劇に係る適格請求書(又は適格簡易請求書)の記載事項はどのようになりますか。【令和4年11月追加】

【答】
 適格請求書(又は適格簡易請求書)に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、売手において課税売上げとして計上する金額を基礎として記載することとなります。
 この点、貴社は、当該入場券を11,000円で販売しているとのことですので、当該入場券と引換えに行う演劇(役務の提供)の対価(課税売上げとして計上する金額)は、11,000円となります。
 したがって、当該入場券と引換えに行う演劇について適格請求書(又は適格簡易請求書)を交付する場合、当該適格請求書等に記載する「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は、券面金額としている12,000円ではなく、実際に受領した金額11,000円を基礎とした金額となります。
(参考)当該入場券のような物品切手等で適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付の際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務の提供等を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができます(新消令49①一ロ)。
   このような物品切手等を値引販売する場合も、当該物品切手等に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額(又は税込価額)を税率ごとに区分して合計した金額」は値引後の金額を基礎とした金額となります。

<コメント>
 福利厚生目的で演劇の入場券を購入するような場合には、主催者は値引後の入場券の販売金額に応じたインボイスを発行することとなるので、購入者は発行されたインボイスを保存することが必要となる。演劇の入場券は不特定多数を相手に販売するものであり、簡易インボイスに該当することから、購入者はあえて簡易インボイスの発行を受けずとも、帳簿の摘要欄に「回収された○○の入場券」などと記載することにより、仕入税額控除の適用を受けることができる。
 【答】の(参考)に書かれていることは、新たに追加された問90と同一の内容である。

(物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れに係る支払対価の額)

問90 当社は、購入した物品切手等により引換給付を受けた場合、当該物品切手等の購入金額を課税仕入れに係る支払対価の額としています。
  適格請求書等保存方式においては、物品切手等により引換給付を受ける場合であっても、原則として、適格請求書等の保存が必要とのことですが、引き続き、物品切手等の購入金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることになりますか。【令和4年11月追加】

【答】
 現行の取扱いにおいて、物品切手等による引換給付として課税仕入れを行った場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者がその物品切手等の取得に要した金額としています(基通11−4−3)。
 他方、適格請求書等保存方式においては、仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、適格請求書等の保存が必要となりますので、物品切手等の取得(購入)に要した金額の如何にかかわらず、当該適格請求書等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。
 なお、物品切手等に適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができますが(新消令49①一ロ)、このような物品切手等には、適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されていることから、当該物品切手により引換給付を受ける課税仕入れについては、当該物品切手等に記載された金額を基礎として仕入税額控除の適用を受けることとなります。
(参考)仕入税額の計算方法については、問108《仕入税額の計算方法》をご参照ください。

○提供した請求書等に係る電磁的記録の保存方法

問72 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、当該電磁的記録がXML形式等の取引情報に関する文字の羅列である場合、電帳法における保存要件の一つである「整然とした形式及び明瞭な状態」での画面及び書面への出力は、どの程度の表示が求められるのでしょうか。例えば、適格請求書の記載事項を示す文言(例えば、「取引年月日」という文言)も必要となるのでしょうか。【令和4年11月追加】

【答】の要約
 次頁の≪出力(印刷)イメージ≫のように、インボイスであることが視覚的に確認でき、内容が記載事項のどの項目を示しているか認識できるものであれば、「取引年月日」などの文言は必要ない。
 ただし、電帳法においては取引情報の保存と速やかな出力が義務付けられているので、「通常記載される事項」に係る電磁的記録については要件を満たした状態で保存しておかなければならない。

○提供した適格請求書に係る電磁的記録の保存形式

問73 当社は、適格請求書の交付に代えて、適格請求書に係る電磁的記録(PDF形式)を提供しています。提供した電磁的記録については、電帳法に準じた方法により保存することとされていますが、保存する電磁的記録は、相手方に提供したPDF形式のものではなく、このPDF形式を作成するための基となったXML形式の電磁的記録も認められますか。【令和4年11月追加】

【答】の要約
 取引先に提供したPDF形式のインボイスが、XML形式の電磁的記録から取引内容が変更されるおそれがなく、合理的な方法により編集されたものであれば、PDF形式の基となったXML形式の電磁的記録を保存することも認められる。
(例)データベースからフォーマットに出力してPDF形式の請求書を作成するような方法

○出来高検収書の保存による仕入税額控除

問87 当社は、請け負った建設工事について、当該建設工事の一部を他の事業者(以下「下請業者」といいます。)に請け負わせています。下請業者に対しては、下請業者が行った工事の出来高について検収を行い、当該検収の内容及び出来高に応じた金額を記載した書類(以下「出来高検収書」といいます。)を作成し、それに基づき請負金額を支払っています。
  現在、当該出来高検収書については、下請業者に記載事項の確認を受けており、これを保存することにより仕入税額控除を行っていますが、適格請求書等保存方式において、このような出来高検収書により仕入税額控除の適用を受けることは可能でしょうか。【令和4年11月追加】

1 【答】の要約
 仕入明細書等の記載要件を満たす出来高検収書については、下請業者の確認を受けることにより、法定書類として仕入税額控除の適用を受けることができる。
 ただし、下請業者が登録事業者でなくなることが判明した場合には、その工事について仕入税額控除の対象とした消費税額(課税仕入高)を、工事完了日の属する課税期間において課税仕入れに係る消費税額(税込課税仕入高)から控除しなければならない。

参考 出来高検収書の取扱い(消基通11−6−6)
  下請業者に対して外注費を支払う場合において、元請業者が作成する出来高検収書で工事の出来高を検収し、その出来高に応じて支払いをするケースがある。これは、元請業者からしてみると部分完成引渡しを受けているのとなんら実態は変わらないものであり、このような事情を考慮して、出来高検収書に基づく外注費については、その都度、仕入税額控除の対象とすることが認められている。
  つまり、物の引渡しを要するような外注契約であっても、出来高検収書により検収をし、支払いをしているような場合には、下記の<要件>を満たした出来高検収書の保存を条件に、目的物の完成引渡しを待たずとも税額控除ができるということである。

<要件>

①請求書等の記載要件を満たす出来高検収書であること
②下請業者の確認を受けたものであること

  なお、下請業者が工事完成基準により売上げを認識していたとしてもこの取扱いは変わらない。外注費を支払う元請業者は、いわば課税仕入れの先取りをするような形で税額控除ができることになるのである。
2 経過措置との関係(疑問点)
 出来高検収書による仕入税額控除の取扱いは、消費税法基本通達第11章(仕入れに係る消費税額の控除)第6節(仕入税額の控除に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例)に掲載されてはいるものの、実務上は課税仕入れの時期(タイミング)に関する取扱いである。
 本通達が制定される前は、実務上、下請工事が未完成であることを理由に外注費の仕入税額控除が否認されるという事件が多発していた。そこで、本通達の制定により下請工事が未完成の場合でも、出来高検収書の保存を条件に仕入税額控除を認めることにしたものと思われる(私見)。
 では、インボイス導入後、出来高検収書により下請業者(免税事業者)に支払った外注費はどのような取扱いになるのであろうか?
 検収の都度、経過措置による80%控除ができるのであろうか?
 Q&A問87では、工事完了日の属する課税期間で控除済の消費税額をリセット(控除)することとしている。工事が完了した時点で下請業者が非登録事業者の場合には、その請負金額の全額について、仕入税額控除を認めないということであるが、このQ&Aは、80%控除の経過措置(平成28年改正法附則52)をまったく考慮せずに作成しているように思われる。
 出来高検収書の取扱い(消基通11−6−6)が制定された趣旨を考えると、下請業者が非登録事業者であったとしても、検収の都度、80%控除の経過措置を適用すべきである。しかし、このQ&Aの方法によると、免税事業者である下請業者に支払った出来高検収書による外注費は、工事完了までいっさい控除できないこととなってしまう。
 上記のような疑問点を踏まえ、下記の〔設例〕により、ケース別に経過措置との関係を考えてみたい(説明の都合上、消費税(国税)と地方消費税の合計税額で試算する)。
〔設例〕
 x1年に着工し、x4年に完成する請負金額11,000(税込)の下請工事について、出来高検収書により工事代金を支払っている元請業者の仕入税額はどうなるか?
 なお、下請業者はx1年〜x2年は登録事業者であったが、x3年〜x4年は非登録事業者となっている。

 前述のように、Q&A問87は、80%控除の経過措置(平成28年改正法附則52)をまったく考慮しないで作成しているものと思われる。その一方で、Q&A問12(新たに設立された法人等の登録時期の特例)は、令和4年11月改訂で「課税事業者選択届出書」の提出を不要とする経過措置の適用がある場合の取扱いを新たに※で追記している。
 問87についても、80%控除の経過措置について記述しないとQ&Aとして機能しないのではないだろうか?

○短期前払費用

問88 当社は、法人税基本通達2−2−14の取扱いの適用を受けている前払費用について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとしています。
  また、当該前払費用は相手方から交付を受けた請求書等に基づき支払っています。
  適格請求書等保存方式において、相手方から交付を受ける請求書等が適格請求書の記載事項を満たすものであった場合、引き続き、当該前払費用について、支出した日の属する課税期間の課税仕入れとして仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

【答】の要約
 短期前払費用については、インボイスの保存を条件に、支出時に仕入税額控除の対象とすることができる。
 また、支出時にインボイスの交付を受けられなかったとしても、事後に交付されるインボイスの保存を条件に、支出額を仕入税額控除の対象とすることが認められている。
参考 短期前払費用(消基通11−3−8)
  事務所家賃などの賃貸借契約では、その月分の賃料を前月末日までに支払う契約とするのが一般的である。所得税、法人税の計算では、期末において翌月(翌期)分の家賃を前払費用として資産に計上せずに、継続して費用処理している場合には、これを認めることとしている。そこで、消費税の計算においても、所得税、法人税の計算で短期前払費用として必要経費や損金に計上したものについては、その支出した日の属する課税期間において仕入税額控除の対象とすることができることとしたものである。
  この取扱いは、支払日から1年以内に提供を受ける家賃や事務機器の保守料などについて、その支払額を継続してその支払日の属する年又は事業年度の経費として処理したときに認められる。

○郵便切手類又は物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れの時期

問89 当社は、購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自社で引換給付を受けるものについては、継続的に郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しています。
  適格請求書等保存方式において、引き続き、郵便切手類又は物品切手等を購入した時に課税仕入れを計上しているものについて仕入税額控除の適用を受けることができますか。【令和4年11月追加】

【答】の要約
1 郵便切手類の取扱い

 郵便料金については原則として課税期間中に使用した分だけを仕入税額控除の対象とするのであるが、継続適用を条件に、郵便切手類の購入時に仕入税額控除の対象とすることができる。
 原則的処理による場合、ポストに投函する郵便物については、帳簿に必要事項を記載することにより、仕入税額控除が認められている(消令49①Ⅰニ、消規15の4一)。
※郵便局は、ポストに投函される郵便物に関するインボイスの発行が免除されている(消令70の9②三、消規26の6二)。
2 物品切手等の取扱い
 下記①〜⑤の事項が記載されたもので、使用時に回収される業務用の物品切手等については、購入時に仕入税額控除の対象とすることができる(消令49①Ⅰロ)。

①適格簡易請求書発行事業者の氏名又は名称
②登録番号
③取引内容(軽減対象品目である場合にはその旨)
④税抜取引価額又は税込取引価額を税率区分ごとに合計した金額
⑤に対する消費税額等又は適用税率

 上記以外の物品切手等の課税仕入れの時期は、インボイスの交付を受けることとなる引換給付の時となる。
参考 郵便切手類・プリペイドカードの取扱い(消基通11−3−7)
  郵便切手類については、原則として課税期間中に使用した分だけを仕入税額控除の対象とするわけであるが、継続適用を条件として、課税期間中に購入したものについて、未使用の分も含めて仕入税額控除の対象とすることが認められている。
  印紙、証紙については、使用時に税金や行政手数料の支払となるものであり、原則として購入時、使用時ともに税額控除はできないことになる。ただし、チケットショップなどで販売する印紙は非課税規定が適用されないため、継続適用を条件として購入時に税額控除の対象とすることができる(消基通6−4−1)。
  また、テレホンカードなどのプリペイドカードについても、業務用のものについては郵便切手類と同様に購入時点での税額控除が認められている。なお、贈答用のものは購入時、贈与時共に税額控除はできないので、プリペイドカードについては、その使用目的により課税区分を工夫する必要がある。
  商品券、ビール券などは贈答目的で購入するのであるから、基本的には仕入税額控除はできないものと考えるべきである。
  チケットショップなどでは、郵便切手類や印紙などを額面金額よりも安く販売するのが一般的であるが、このような場合の課税仕入高に計上する金額は、額面金額や券面額ではなく、当初の購入金額となることに注意する必要がある(消基通11−4−3)。

○外貨建取引における仕入税額の計算方法

問109 当社は、一部の取引について米ドル建てにより仕入れを行っており、当該取引に係る法人税の処理については、取引を行った日の対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)により円換算を行っており、消費税の処理についても同様としております。
  このような場合に、適格請求書等保存方式における仕入税額の計算方法は、どのようになりますか。【令和4年11月追加】

【答】(筆者改訂)
1 積上げ計算

(1)請求書等積上げ計算の場合
  課税仕入れに係る消費税額は、インボイスに記載された消費税額等を積み上げて計算する(消法30①、消令46①一〜五)。
  この場合において、インボイスに記載された消費税額等の円換算の方法が自社の円換算の方法と異なっていても、その記載された消費税額等を積み上げて計算することとなる。
  よって、売上先がTTSで円換算した消費税額等をインボイスに記載している場合には、当社が採用しているTTMにより再計算することはできない。
(2)帳簿積上げ計算の場合
  取引の都度、税込課税仕入高を割り戻し、1円未満の端数を切捨て又は四捨五入した消費税額等を帳簿に記載している場合には、帳簿に記載した消費税額等の合計額を基に仕入税額を計算することができる(消令46②)。
① 課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)を円換算後、仮払消費税額等を算出する方法

② 課税仕入れに係る支払対価の額(外貨税込)から計算過程の仮払消費税額等(外貨)を算出後、円換算する方法

2 割戻し計算
 売上税額の計算で「割戻し計算」を採用している事業者は、税込課税仕入高を割り戻して仕入税額を計算することができる(消令46③)。
 この「割戻し計算」は、売上税額の計算で「割戻し計算」を採用している場合に限り認められる。したがって、売上税額の計算で「積上げ計算」を採用した場合はもちろんのこと、「積上げ計算」と「割戻し計算」を併用した場合であっても、仕入税額の計算で「割戻し計算」を採用することはできない。
 また、「割戻し計算」は、「積上げ計算」や「帳簿積上げ計算」と併用することができない(インボイス通達3−13(注)2・4−3)。

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