解説記事2023年03月06日 ニュース特集 個人の消費税還付申告、当局が審査重点化の試行(2023年3月6日号・№969)
ニュース特集
資料をサンプル的に徴求し、実態解明も
個人の消費税還付申告、当局が審査重点化の試行
消費税の適正課税の確保に取り組む国税当局が、個人の消費税還付申告について、従前の還付審査よりも深度ある審査を行うための「消費税還付審査の重点化に向けた試行」を実施していることが判明。輸出免税、輸出物品販売場に係る行政指導では、納税者等から検討に必要な資料をサンプル的に徴求した上で、「消費税還付審査チェックシート(輸出免税用・輸出物品販売場用)」を使用して実態解明を行うなどとしている。
本特集では、国税当局が令和4事務年度に実施している消費税還付審査の重点化に向けた試行の概要をQ&A形式で紹介する。
審査段階で不正還付を的確に抽出
Q
還付審査重点化の試行を実施する背景は?
A
国税当局は、課税部の重点課題の一つに「消費税の適正課税の確保」を掲げていますが、還付申告件数、還付税額は増加傾向にあり、輸出免税や輸出物品販売場の制度を悪用した消費税の不正還付事案が顕著化、不正形態も巧妙化しているとしています。
こうした状況を踏まえ、国税当局(個人課税部門)は、不正還付を未然に防止するためには、還付審査の段階で不正還付が想定される納税者を特定し、その納税者の実態解明に要する事務量を重点的に投下する必要があるとして、「消費税還付審査の重点化に向けた試行」を実施しています。
なお、「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」(令和4年1月公表)では、還付申告の原因を確認するため、行政指導や実地調査を実施する場合がある旨が周知されています。
還付申告書は全件「審査連絡せん」作成
Q
試行の対象となる消費税還付申告書は?
A
令和4事務年度(令和4年7月~令和5年6月)に実施されている「消費税還付審査の重点化に向けた試行」は、新たな方法で消費税還付審査を行うことで、不正還付の伏在についての実態解明を進めることを目的としています。
この試行は、各国税局で実施されているもようですが、例えば東京局(個人課税部門)では、試行の対象とする申告書を令和4年7月1日以降に提出された消費税還付申告書とし、対象となる還付申告書については、「消費税還付審査連絡せん」(審査年月日、審査結果(申是・要事後処理・要訂正・要調査)などを記載)を全件作成するとしています。
e-Tax提出でも処理期間にこだわらず
Q
還付処理に要する期間の考え方は?
A
国税当局は、自宅や税理士事務所からe-Taxで提出された還付申告について3週間程度で処理するとしていることから、速やかに還付理由の解明を行うとしていますが、不正還付が見込まれるなど解明に時間を要する場合は、3週間程度の処理にこだわることなく、還付理由の解明を確実に実施するよう指示しています。
なお、還付保留とした納税者等に対しては、行政指導を基本とした還付原因の確認等が行われるもようですが、調査優先度の高い事案については、実地調査として接触して差し支えないとされています。
所得税無申告→形式審査段階で着眼調査
Q
試行における還付審査の流れは?
A
還付審査重点化の試行では、(1)形式審査(申告書の検算等審査、還付審査照合結果リストによる確認、所在確認、還付金額の確認)→(2)内容審査(還付明細書及び青色申告決算書、収支内訳書の内容から還付原因を解明)の順で審査が実施されます。
(1)の「申告書の検算等審査」では、「消費税還付審査連絡せん」などを活用して、①付表添付の有無、②添付されている付表と申告書の整合性等の審査が行われます。検算等審査の結果、納税者等への接触が必要な場合は、後続の審査(各種リスト等との照合、内容審査)の結果を踏まえた接触態様での接触が図られます。ただし、①所得税申告が無申告である場合(消費税が還付申告の場合で所得税の申告がない場合は、KSKシステムで自動的に還付留保処理)、②簡易課税制度適用者の本則課税による誤申告である場合、③付表または還付明細書の添付が不足している場合などは、後続の審査が困難であることから、その事実を把握した段階で「無申告(行政指導)」「事後処理(行政指導)」または「着眼調査(机上)」を実施し、納税者等への接触を通じて後続の審査で解明すべき事項を確認するとしています。
また、(1)の所在確認を実施した結果、所在不明である場合(事業実態に疑義がある場合を含む)は、還付保留の上、「着眼調査(机上)」が実施されます。なお、還付金額については、還付を留保しない一定の基準が設定されているようです。
実態解明から実地調査へ移行も
Q
輸出物品販売場に係る行政指導は?
A
上記(2)内容審査では、還付明細書および決算書等(青色申告決算書、収支内訳書)の内容により還付原因の解明が行われます。また、還付の適否は過去の接触状況および事業実態等を確認した上で、総合的に判断されます。
輸出免税、輸出物品販売場に係る行政指導では、「申告内容等のお尋ね」(輸出免税用)または「申告内容等のお尋ね」(輸出物品販売場用)に「事業概況回答書」(免税取引に係る事業概況として、取引商品、商品の管理場所、輸出手段(船便・航空便・EMS・その他)、決済手段、作成書類を記載)を添付して送付することで、納税者等から検討に必要な資料をサンプル的に徴求し、取引実態を踏まえて「消費税還付審査チェックシート(輸出免税用)」または「消費税還付審査チェックシート(輸出物品販売場用)」による実態解明が行われます。その際、還付原因が輸出物品販売場によるものと想定される場合は、「免税販売管理システム照会依頼書」(前頁参照)を作成し、局消費税課を通じて、購入記録情報の照会が行われます。

なお、実態解明の結果、調査が必要と判断された場合は、実地調査へ移行します。
輸出物品販売場管理台帳でチェック
Q
購入記録情報の提供方法等の届出書に係る確認は?
A
令和3年10月1日以降、輸出物品販売場を経営する事業者が輸出物品販売場において免税販売を行うためには、輸出物品販売場ごとに作成した「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」の提出が必要とされています。
国税当局は、還付原因が輸出物品販売場によるものと想定される場合、KSKシステムから「輸出物品販売場管理台帳」を出力し、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」の提出の有無を確認するとしています。

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