税務ニュース2023年03月31日 裁判で更正の付記理由と異なる主張可能(2023年4月3日号・№973) 地裁、納税者の訴訟上の防御活動に格別の不利益は生じないと判断
原告(個人)は、株式を保有するスイス法人2社(原告がA社の株式を保有し、A社がB社の株式を保有する関係)が、原告の特定外国子会社等に該当し、タックスヘイブン対策税制が適用されるとして所得税等の更正処分等を受けた。
処分行政庁は、各課税対象金額の計算の過程において、A社の保有するB社の株式に係る「その株主等が当該請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合」(措令25条の21②二イ括弧書き。以下、「本件持株割合」という)を、A社がB社から配当決議により実際に分配されることとなった剰余金の配当等の額に基づき算出した。
これに対し原告は、本件持株割合について、処分行政庁の算定方法は誤りであり、請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合に基づき算出すべきであると主張した。
その後、処分行政庁は、原告の主張する算定方法に基づく減額更正処分を行ったが、同時に、当該再更正処分において、納税引当金繰入額の加算、控除対象配当等の額の変更、国外財産調書不提出加算なども行ったため、原告は、それらは理由の差し替えにあたり許されないと主張し、その可否が争われることとなった。
東京地裁は、総額主義(最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決)及び理由提示の定めの趣旨(最高裁平成11年11月19日第二小法廷判決)についての最高裁判決を示し、「被告が、更正処分又は過少申告加算税の賦課決定処分の取消訴訟において、当該処分の適法性を根拠付ける事実として、当該処分に係る通知書に記載された理由と異なる理由を主張することは、原則として許されると解すべきであるが、通知書に記載された理由と異なる理由を主張することにより、納税者の訴訟上の防御活動に格別の不利益が生ずるような場合には、不服申立てに便宜を与えるという理由提示の目的を没却することとなるから、当該理由を主張することは許されない」との解釈を示した。その上で、本件各理由については、国が本件各理由を主張することによって、原告が訴訟上の防御権の行使に当たって格別の不利益を受けるということはできないとして、国は本件各理由を主張できるとの判断を下した。
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